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「絶対泣かない」/山本文緒さん

 2005-06-09-07:39
ペトロニウス さんが、山本文緒さんの「恋愛中毒」の書評 を書かれている。私は「恋愛中毒」は読んだことがないのだけれど、「きっと君は泣く」という本を読んで、そのどろどろっぷりに恐れをなして、山本さんを「あまり近づきたくない作家さん」としてカテゴライスしている。いや、本当に怖いんですよ、この人の小説って(一冊だけ読んで言うのも何だけど)。

ペトロニウスさんの所のコメント欄で少し話していたのだけれど、私が小説を読むのはその人による「新しい世界の見方」「その感情の向こう」を知りたいからであって、「昇華していない感情そのもの」を書いたものにはあまり興味がない。というか、好きではない。感情を昇華することで、それは「作品」になるんじゃないかなー、なんて思っている。

感情を取り扱うからか、恋愛小説には「感情そのもの」をごろんと出してくるものが多いような気がして、苦手なものが多い。それは事例集じゃん!、などと思う小説にも感心しない。その先に何を見るのかを書ききった作品というのは、形態がどうあろうと(小説、漫画など問わず)、「いい作品」であると思う。

今日は山本さんのこちらの作品。これは短編集で、以下に記した15の短編からなっている。

山本文緒「絶対泣かない」角川文庫

花のような人・・・・・・フラワーデザイナー
ものすごく見栄っぱり・・・・・・体育教師
今年はじめての半袖・・・・・・デパート店員
愛でしょ、愛・・・・・・漫画家
話を聞かせて・・・・・・営業部員
愛の奇跡・・・・・・専業主婦
アフターファイブ・・・・・・派遣・ファイリング
天使をなめるな・・・・・・看護婦
女神の職業・・・・・・女優
気持ちを計る・・・・・・タイムキーパー
真面目であればあるほど・・・・・・銀行員
もういちど夢を見よう・・・・・・水泳インストラクター
絶対、泣かない・・・・・・秘書
卒業式まで・・・・・・養護教諭
女に生まれてきたからには・・・・・・エステティシャン

山本さんを散々貶してしまいましたが、なんとこちらは結構面白く読める(あ、中にはあんまり好きじゃないものも、実はやっぱり何編かはある)。短編だからか、「意地悪」な所が幾分か陰を潜め、その代わりに「一生懸命頑張る姿」が描かれる。私が好きなのは「今年はじめての半袖」「女に生まれてきたからには」上手くいくかいかないかその時は分からなくても、「頑張り」はいつか何かの形で報われるのではないかなあと思う。他人の眼を気にしすぎることなく、ね。

長編であろうと短編であろうと、裏側に見える著者の思いはそう大きくは変わらないのだろうと思う。山本さんの本質はどちらなのだろう。でもやっぱり怖いから、長編にはしばらく手を出さないとは思うけれど。強烈な感情に出会うと、どうもぐったりしてしまうので。この人が「昇華した」長編を書いたら、どうなるのかなあ。

著者: 山本 文緒
タイトル: 絶対泣かない

あとがき」より引用
私達は忙しさにかまけて、何故働いているかを忘れてしまいがちだ。
どうして働いているのか。
何が欲しいのか。
それで、あなたは、いったいどうしたいのか。
どうしてもらいたい、のではなく、どうしたいのか。
私は時折、自分に問うようにしている。(1995年3月)

「文庫版あとがき」より
もし、あなたがあなたの仕事が嫌いだとしたら、それがどんなにつまらない仕事でも、それをつまらないと思っているのはあなた自身です。つまらない仕事を選んでいるのもあなたで、でもそのつまらない仕事でお給料をもらって自分を食べさせているのなら、一見華やかそうでも、誰かから扶養されている人よりは何倍も自由であることを、時々は思い出してください。
どうか、あなたがあなたの仕事を好きになれますように。(1998年10月)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
女性を主人公とした短編集としては、こちらもいいなぁと思う。

鷺沢 萠「F―落第生」

読むとちょっと元気になれると思う。本当に好きなのはこの中の、「重たい色のコートを脱いで」なのだけれど、「家並みのむこうにある空」から少しだけ引用。

涙は流れるものではなく噴き出すものなのだ。そう考えると、泣くという行為がなんだか滑稽なものに思われて、千夏は少し救われるのだった。

著者: 鷺沢 萠
タイトル: F―落第生

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡下さい。
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「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
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