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「青葉学園物語 まっちくれ、涙」 /学園生活

 2005-08-26-09:17
吉本直志郎作、村上豊絵「青葉学園物語 まっちくれ、涙」

前回書いた「右むけ、左!」 は青葉学園物語の最初の巻だったのだけど、この「まっちくれ、涙」は全5部作の最終巻にあたる。あとがきには、「この青葉学園物語は、一冊ずつが独立完結のおはなしになっているので、みなさんはどれから読んでもさしつかえありません。また、一冊だけしか読まなくてもいいわけです。でもぼくは、五冊みんな読んでくれるひとのほうが好きです」、とある。

残りの3冊は順番に、「さよならは半分だけ」(これは、昭和54年度、第二十五回青少年読書感想文全国コンクール課題図書だって)、「翔ぶんだったら、いま!」「空色の空の下で」。どれも良かった記憶があるのだけれど、手元にないため、今、記事を書くことが出来ません。今の子どもが読んで共感を覚えるかどうかは分からないけど、乱暴なようでいて優しかったり、普段罵り合ってるくせに、いたわりあったり、互いに思いやりあったり。野遊びや彼らの友情がいいと思う。
*****************************************
■水アメ作戦でいこう!
青葉学園では、梅雨明けの夏休み前、すもう大会が行われることになった。寮別対抗に勝つために、なつめ寮の男子は、他の寮とは一味違う作戦を実行するが?

「ええかおまえら。おれらなつめ寮のもんも、あのアホどもとおんなじように練習をつんだって差がつくわけはない。ほかの寮とちがうことをしてこそ、はじめて差がつくんじゃ」
「アホとおんなじことをしよったら、なーんのことはない、おれらもアホじゃないか。ええ、それが道理じゃろうが」
「そこでじゃ。これから耕一くんが、きたるべきすもう大会のために、おれとふたりで知恵をあわせて考えた結果を、練習より、はるかにまさる名案をおまえらに話して聞かせる」
「まあ、いたらぬわれわれじゃが、あのアホどもと反対の方向へむけて努力をすりゃあ勝てるということよ。これがまた、うれしい努力なんよ。くっ、ひっひひ」

■里子の島で
青葉学園の子どもたちは、毎年夏休みになると、日和島という瀬戸内海に浮かぶ小さな島へ里子に行く。一年ぶりに会う家族に優しく世話してもらったり、島の子どもたちと遊んだり、ちょっとした仲たがいをしたり、楽しい日々は10日ほど続く。耕一がお世話になっている藤浦家に、見事な鯉がいた事でちょっとした騒動が起こる。

「―しかし、人間も勝手なことをいうじゃないですか。どの鯉もまじめに泳いどるのに、やれ、おまえは尾に色がついとる、やれ、おまえはヒゲが似合わんとかいうて、鯉に相談もなしに決めつけたりして・・・・・・」
「はははは、なにをばかなことを・・・・・・おまえさんが飼うたんじゃあ、あの赤べっこうも、宝の持ちぐされじゃのう」
「はははは、そういうこと、そういうこと」
「どうじゃ、藤浦さん」「―あの赤べっこうを、つまり、その・・・・・・二万円で、わしに売る気はないかの」

島の子とちょっぴり意地悪し合って、仲たがいしても、結局最後はみんな仲良し。

「おーい、伝ちゃーん!来年もまたくるぜ!」
「バイ、バーイ!伝ちゃーん!」
「あんまり、えらそうにするなよーう!」
と、和彦も進も、それからボータンも、甲板の手すりから身をのりだすようにして手をふりかえした。
「おまえらも、おれらの島へきて、あんまりえらそうにするなよーう!」

■精霊ながし
学園のみんなが日和島で楽しい夏休みを送っている間、学園最年長で高校二年の弘明は、杉の伐採のアルバイトに精を出していた。夏休みいっぱいを働きとおし、手に入れたお金で恵子と二人で喜びを分かち合うのだ。男たちの汗の匂い、いがらっぽい煙草の匂い、花札をめくる音、弘明はこれまで知らなかった別世間を知る。弘明と年の近いタンコは、何かと弘明の世話をしてくれたのだが・・・。

おたがいにしんそこうちとけ、信頼しあえば、人間は、ぜったいこんなことはできないはずだ。しんじつ信頼を得た人間どうしのあいだでは、ぜったい、こんなことはおきないのだ。
―だれだろうと、相手が本気でくるとき、自分も本気でかえさなければいけないんだ。だれもが、そうした信頼のなかで、あったかい心をかよわせあえば、こんなこともなくなるんだ―
弘明は、自分の生活のなかには、学園での暮らしのなかには、そうした信頼のうえに成り立つあたたかい心のかよいあいがあることに思いあたった。

学園を出た仲間たちが、それぞれに遭うだろう試練や障害を考えた弘明は、それでも人を信頼する心を失わずにいて欲しいと願う。そして、学園の一人である恵子と一緒に、あたたかい家族をつくることを強く決意する。弘明の心の片隅にはいつも恵子がいる。山道を歩きながら、弘明は八年前の戦争後の焼け跡でのお骨ひろいを思い出す。

「雲にもお家が、あーるか」
弘明のほうへ首をかたむけ、なぞなぞをかけてくるようにいった。
お骨ひろいは、どの班も、恵子のようにからっぽの箱のまま学園にもどってきた子のほうが多かった。

悲しいとき、つらいとき、まてよ、ここでくじけてはいけんぞ、ここで涙なんか見せてはいけんぞ、とふんばって、明日につなぐ支えになるものを心のなかに持つのだ。
そんな何かを心のなかに持って、強く生きていくのだ。
*****************************************
古い児童書だけれど、最後の「精霊ながし」などは、大人になった今読んでもとてもいい話。世の中は決して楽園ではないけれど、きっとそれもみんな自分の心持ちなんだよね。
吉本 直志郎, 村上 豊
まっちくれ、涙

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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