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「図書室の海」/短編集

 2005-09-02-08:44
恩田陸「図書室の海」

ノン・シリーズの短編集。あとがきには、ご本人による「おのおのの短編の生まれた背景」のメモつき。

目次
春よ、こい
茶色の小壜
イサオ・オサリヴァンを捜して
睡蓮
ある映画の記憶
ピクニックの準備
国境の南
オデュッセイア
図書室の海
ノスタルジア

長編の番外編に当たるのは、以下の三作。
□睡蓮(「麦の海に沈む果実 」の水野理瀬の幼年時代)
□ピクニックの準備(「夜のピクニック 」の予告編
□図書室の海(「六番目の小夜子」の番外編)

印象に残ったものをあげます。
****************************************************
■睡蓮
前述のように、これは「麦の海に沈む果実」の水野理瀬の幼年時代に当たる作品。幼い頃から、理瀬は理瀬だったのだなぁと思った。校長も。
睡蓮の下には、綺麗な女の子が埋っている。しかし、お砂糖のような女の子では、美しい睡蓮の花を咲かせることは出来ない。苦しみ傷つき、自分を汚いと感じる女の子でなければ、池の底の冷たい泥の感触を感じることは出来ない。

■ある映画の記憶
この話を読みながら、フィクションだと思っていた小説、映画が、実在していたということに驚いた。恩田さんは、記憶に拘る人であるように思える。
【メモ】小説:一色次郎「青幻記」、映画:「青幻記」

■ピクニックの準備
「夜のピクニック」の番外編。予告編として一日で書き上げたとのこと。やっぱりまた、このフレーズが出てくる。「たったそれだけのこと」が「特別」であることって、沢山ある。願わくば、そういう「特別」を沢山見付けたいもの。

みんなで夜歩く。たったそれだけのことが、どうしてあんなに特別のことなんだろう。

■国境の南
ある事件があった喫茶店に久しぶりに足を踏み入れた「わたし」。回想の内にいた彼であったが、最後に過去と現実とのリンクに立ち戻らされる。
南へという言葉には、魔力がある。私ももし逃げるのであれば、北へではなく南へ逃げたい。

あたしね、南の国へ行くの。遠い南の国。

あたしは南の島に行きたいわけじゃないの。海辺に寝転がりたいとは思わない。アメリカに行って、ひたすら南へ南へとどこまでも下って行きたいだけなんだ。それに、アメリカ映画だと、たいてい犯罪者は最後にメキシコに逃げ込むでしょ?

■オデュッセイア
古代、西の海のほとりの城塞都市だったココロコ。ココロコには意識があり、動くことが出来る。上のほうには居住地があり、てっぺんには星見櫓。かつてはそこに長老が住み、星を見ながらココロコと進路の相談をしたのだ。ココロコは長い長い年月を過ごしてきた。動くことが出来ることを知らなかった時代、動くことを知った時代、泳げることを知り新大陸を目指した時代、スピードを求められた時代、静かな場所でひっそり過ごすようになった時代、古くて美しいものを愛する人々に愛された時代。そして、それがやってきた。まどろみの後、ココロコはまた旅をする。

私たちはまだ旅の途中なのだ。

「吸血鬼ハンターD」にも浮遊都市が出てきたような(違ったかも)。浮遊する都市というイメージはやはり魅力的。

■図書室の海
「六番目の小夜子」の番外編。こちらは未読。思春期の少年少女の描き方がうまいなぁと感じる。子供の頃、冷静で大人びていると言われた経験のある人間は、こういった感情に覚えがあると思う。

彼女は幼い頃から、薄々気付いていた。
自分が物語のヒロインにはなれないということを。
主人公になれるのは、揺れている者だけだ。さざなみのようにきらきら瞬いて、光る部分と陰の部分とを持っている者だけが主人公になれる。

でも、最後は明るい。夏は立派に主人公となる。

全ては謎のまま。でも、最後に決めるのはあたしなんだからね。
夏は窓に溢れる光に顔を向け、一人でにやりと笑う。

恩田 陸
図書室の海

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。


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つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
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2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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