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「クジラが見る夢」/ジャック・マイヨールという生き方

 2005-09-26-10:10

池澤夏樹「クジラが見る夢」

これは、ジャック・マイヨールという生き方のお話。彼の思想と、夢の話。

随所に挿入される写真がとても美しい。

若干「男のロマン」というくさみはあるけれど、こんな生き方もあるんだ、と興味深い。

ジャック・マイヨールは、映画「グラン・ブルー」の主人公のモデルであり、また素潜りの世界記録樹立者でもある。その記録はなんと水深105メートル。

■ジャック・マイヨールについて本書より抜粋
一九二七年、上海生まれ。夏休みは九州の唐津で過ごし、泳ぎと潜りを覚える(この海ではじめてイルカに出会う)。
第二次大戦の直前、両親とフランスに戻り、マルセイユで暮らす。ナチス・ドイツに占領されたフランスで、ドイツ兵に命じられ、兄と共にダイナマイト漁を手伝う(海にダイナマイトを放り込んだ後、浮いてきた魚を拾い集める仕事)。
戦後は様々な仕事を転々としたが、動き回り、野外に身を置き、なるべく海の近くにいることを、基本方針とする。
一九五七年秋、ローカル紙の新聞記者として取材に行ったマイアミの水族館で、一頭のイルカと非常に親しくなる。このイルカ、クラウンと遊ぶうちに、長く水中に滞在し、自由に動き回る能力を身に付ける。

冒頭の池澤夏樹氏の言葉より
海そのものは人の理解を超えるが、人にとっての海の意味は理解できる。波に乗って遊ぶイルカの喜びを想像し、月光の海に眠るクジラの夢を想い描くこともできる。これはそういう幸福な日々の記録である。

目次
バハマ沖
サウス・ケイコス
シルバー・バンク

「バハマ沖」は、野生のマダライルカの群れと遊ぶ話。イルカはジャックにとって、泳ぎ、潜りを教えられたという意味で、ちょっと特別な生き物だ。逆に過去、飼われていて、外洋の深い海を知らないイルカに、潜りを教えた事もある(クラウンに教えられたことを、ビミニとストライプに教え返す)。イルカに深く関わって生きてきたジャックではあるが、その彼でも野生のイルカの大きな群れの中で泳いだことはなかった。それを実現出来る場所がバハマ沖。

自然の中で一人で生きてゆける男。逆境は逆境として受け止め、その上でなお不自由な時間を楽しいものにできる男。質素の中に贅沢を見いだせる能力。楽観的でありながら、最悪の事態への準備もさりげなくやっておく。そういう姿勢。

「サウス・ケイコス」は、英領西インド諸島のタークス・アンド・ケイコスという島々の一つ。ジャックは三十数年前、新しいやり方でロブスターを捕って、それを島の人々に教えたために、島の名士だ。彼の昔馴染みのブル・ジョインの話と、サウス・ケイコスの北にあるイースト・ケイコスという無人島でのキャンプの話。

彼は非常に知的な、創造的な人物である。だから人間の身体というものをよく理解し、医者たちが口を揃えて生理的限界を超えていると言った一〇〇メートルに挑戦して勝つこともできた。それは蛮勇ではない。彼なりの思索と推量と緻密な計算の結果生まれた記録である。だから、自分は決してスーパーマンではないと強調するし、最近になって一二〇メートル台の記録を争っている後輩たちについて厳しいことも言う。ジャックが開発した方法をそのまま使っているだけで、何も自分たちで工夫していないと批判する。

「シルバー・バンク」は、ザトウクジラに会いに行く話。ジャックはイルカと出来る事は一通りしてしまったけれど、クジラはそうではない。彼に
はまだまだクジラと一緒にすること、クジラに教えてもらうことがある。

ジャック・マイヨールという男の精神のいちばん奥にあるのは、何かしら偉大なものに近づこうという意志、自分の内なる力によってそれを実行したいという欲望らしい。宗教は自分の外に敷かれたレールに乗ることだから、その方法は彼はとらない。スキューバと同じで、それは安易すぎる。そうでないものを自分の精神と肉体を通じで求める。

「遊び」といっても、ここに書かれる「遊び」の数々は超ハード。でも素敵だ。

人間の身体はかくも優れたものであり、だからこそ精神も優れたものになりうるのだ 「シルバー・バンク」より

池澤 夏樹
クジラが見る夢

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
**********************************************************
■追記
全然知らずに記事にしたのだけれど、Wikipedia から引用すると、ジャック・マイヨールは、自死を選び既にこの世にはいない。

晩年は鬱病を患っていた。2001年12月23日、エルバ島の自宅の部屋で首吊り自殺をしているのが発見された。遺骨はトスカーナ湾に散骨された。

後から、ニュースでちらりと見た記憶も蘇ってきたのだけれど。

海から陸に上がる時、どことなく淋しそうだったというジャック。この本には、サウス・ケイコスに彼が建てかけていた家の話も載っている。自然が好きな友人だけを呼んで、泊めるつもりだったという家。ここを完成させて友人の訪問を楽しみ、のんびり暮らす予定を立てていたというのに、人間の世界からは、はみ出してしまったのかなぁ。


本書で描かれるジャックは、とても幸福で満ち足りているように見えるのにと、
今更ながらショックだった。残念。
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