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「本をつんだ小舟」/読書と記憶と

 2005-10-16-13:41

宮本輝「本をつんだ小舟

あなたの読書の記憶は、自分の中のどんな記憶と結びついていますか?

これは、作家・宮本輝の青春の書を紹介したものでもあり、また自身のよるべない青春を書いたものでもある。紹介されされているのは、次の32作。

ジョセフ・コンラッド「青春」/上林暁「野」/フロベール「トロワ・コント」/ボードレール「悪の華」/山本周五郎「青べか物語」/ファーブル「昆虫記」/「寺山修司歌集」/宇野千代「おはん」/水上勉「飢餓海峡」/チェーホフ「恋について」/カミュ「異邦人」/井上靖「あすなろ物語」/ドストエフスキー「貧しき人々」/柳田國男「山の人生」/老舎「茶館」/泉鏡花「高野聖」/ドルトン・トランボ「ジョニーは戦場へ行った」/中野重治「雨の降る品川駅」/フォースター「インドへの道」/永井龍男「蜜柑」/ツルゲーネフ「はつ恋」/「山頭火歌集」/メリメ「マテオ・ファルコネ」/深沢七郎「楢山節考」/ゴーゴリ「外套」/三好達治「測量船」/樋口一葉「にごりえ」/北杜夫「どくとるマンボウ航海記」/ラディゲ「肉体の悪魔」/サマセット・モーム「雨」/大岡昇平「野火」/島崎藤村「夜明け前」

恥ずかしながら、この中で自分が読んだことがあるのは数冊だけれど、宮本輝の言葉によって、これらの名作を少し身近に感じることが出来る。いつか機会があって波長があった時に、私もここで挙げられている名作に触れたいと思っている。

今回、再読して、気になったのは『上林暁「野」』。これは、宮本さんが中学三年生の時に、家の近くの小さな書店の親父さんが勧めてくれたもの。中学生の宮本さんが、小難しい本ばかり買い込むのを見ていた親父さんの言葉には、詰め将棋の問題を出して、挑戦するようなところがあったのだそうだ。

12年後、「野」に再会して、中学生の頃には分からなかった、こういう小説も、なかなかええもんです」と照れ臭そうにいった、親父さんの言葉を理解出来たそうだ。

私たちは、ときに、それが何の糧ともならぬことを承知しながらも、観念にひたりたくなる場合もある。ときに、荒唐無稽な冒険小説でうさを晴らしたくもなる。推理小説を睡眠薬代わりにしようとして、逆に徹夜してしまう日もあれば、たまにはおとなの精神を満足させるまっとうな物語を読んで、心豊かな時間を持ちたくもなる。それが、小説を読むことのそれぞれの楽しみでもあるのだ。だが、観念小説でもなく、冒険小説でも推理小説でもない、といって別段物語が展開されるわけでもない小説の中に、生半可な観念や物語などを、静かな、しかし恐ろしいまなざしで超越してみせた作品が幾つかある。我が国では、それを私小説と呼んでいる。
そうした作品を書いた作家の中で、私が最初に出会ったのが上林暁であり、最も愛読したのも彼の作品であり、今でもときおり読み返すのが「野」である。

単に自分がこういう物語に興味を持てる年齢に達したのかもしれないけど、宮本さんの言葉の紡ぎ方、姿勢にも通じるのだと思う。

青が散る 」のコメント欄で、「物語三昧 」のペトロニウスさんが、宮本輝を「柔らかく見えても、実は世界の絶望をよく理解して、いつもその恐怖に畏怖している感じ」と表現されていたのだけれど(ごめん!また許可とってない!)、この本を読むとその理由が朧気ながら分かるように思います。
・・・・・・・・・・・追記・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その後、ペトロニウスさんが、宮本輝についての記事をお書きになりました。
私の記事も紹介していただいております。



■ペトロニウスさんの記事はこちら

→『花降る午後』『蛍川』 宮本輝著

とてもいい記事ですので、是非読んでみてくださいね。

ネット兄貴のペトロニウスさん!いつもお世話になっております。笑
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私が持っている文春文庫の背表紙の言葉を引用します。

母が睡眠薬自殺をはかった夜、押入れの中で読んだはじめての大人の小説「あすなろ物語」。高校の天城旅行中、眠られぬまま一晩中読む続けたチェーホフ「恋について」。生涯に一度だけ父親を投げ飛ばした記憶が鮮やかに甦る「青べか物語」。よるべない青春時代を照らす一筋の光のような存在だった32冊の名作を紹介する読者案内。

これを読んだだけでも、決して明るくはない青春だということが分かるけれど、重く暗い青春を宮本さんは見事に昇華されたのだなぁ、と思う。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

☆関連過去記事
青春の書(大学編)/「青が散る」

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