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「月の裏側」/ひとつになりたい?

 2005-11-08-09:59
恩田陸「月の裏側」幻冬舎

箭納倉は水の街。街中に、迷路のように掘割が張り巡らされている。

大手レコード会社のプロデューサーである多聞は、旧知の大学教授、協一郎の誘いにのって、箭納倉へやって来た。

「ようこそ、箭納倉へ」

箭納倉では、ここ一年の間に、奇妙な事件が連続して起こっていた。
何れも堀に面した家に住む、三人の女性が数日間失踪した後、何事もなかったかのように、ひょっこりと戻ってきたのだ。

この街に一体何が起こっているのか?

「ゲーム」の参加者は、前述の多聞、協一郎に、地方新聞社の記者・高安と、協一郎の娘・藍子を加えた、人間四人プラス猫の白雨。

話をする内に、多聞は協一郎の弟夫婦も、この一連の失踪者であることを知る。しかも、藍子によれば、叔父夫婦と一緒に失踪した猫を火葬にした際、その後にはタール状の物質の他に何も残らなかったという。通常であれば、骨が残るはずなのに・・・。続いて猫の白雨はどこからか、人間の体の一部に良く似た物体を拾ってくる。これらは何を意味するのか?

あれは「ひとつ」。人類は戦略的に多様性を目指してきたが、同時に「ひとつ」になりたいという誘惑とも常に戦ってきた。

ひたひたとした恐怖を感じさせられる。水ってどうして怖いのかなぁ。
ラスト、殆ど明るいともいえる受容の様子は、空恐ろしくもある。
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話としては、そこまで優れたプロットではないと思うのだけれど、流石恩田さん!と思った部分を抜書き(文章には若干手を加えています)。

■言葉について
言葉が違うということは、その人間が異分子であるということを如実に示す。自分の身を守り、共同体に馴染むには、その共同体の言葉を覚えるのが有効である。しかし、あまりに言葉の習熟が早すぎると、馴染むべき共同体から逆に警戒されてしまう。また、それぞれの共同体には、その共同体のコアを表す言葉というものがあり、ネイティヴでない者が、ある共同体の言葉を学ぶ時、骨を埋める覚悟がない限り、その共同体のコアの言葉は使うべきではない。通過者のとるべきスタンスは、共同体のルールに熟知しその内側にいるが、共同体のコアには関心を示さないというもの。

■探検について
ゲームは男だけでやった方が面白い事を、男は子供の頃から本能的に知っている。しかしそこに参加したがる女の子は、みんなが密かに憧れている女の子であったりする。彼らは内心迷うのだが、大抵の場合、女連れを良しとしない意見が勝つ。だが女の子は、メンバーの中で自分に気があると思しき男の子、若しくは一番博愛主義者であると思われる男の子に攻撃を絞り、彼一人に許可を求め、かつ彼に他のメンバーを説得することを求める。こういう時の人選を、女の子は決して間違えない。そして、当初の目的だった探検は、大抵一人の女の子に振り回されて、全然違うものになってしまう。

■新聞記者高安が語る、人を「読む」ことについて
自分が体験したことのない「悩める青春」や「感情のもつれ」、「人間の心の闇」を知る意味で、読書が好きだった。やがて、私は現実に存在する者たちを「読む」方が面白いことに気付く。人間を読むことは、読書よりも遥かに複雑でスリリングだった。人間の「読み応え」は様々で、直ぐに私は「読み応え」のあるものを求め始めた。記者という職業を選んだのは、この好奇心のためであり、同僚たちの正義感や使命感、文章修行、功名心などとは全く無縁であった。

■直感について
子どもの受け取っている情報と、大人の情報では質的に異なる(感じていることも、必要としていることも)。また、受け取った情報の処理の仕方も、子どもと大人とでは異なっている。反抗期とは、子どもの情報処理システムから、大人のそれに移行する時の混乱なのではないか。
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この本の中に出てきた、「文学しりとり」、なかなか良かった。文学作品のタイトルでしりとり。本好きが集まってやったら、ちょっと楽しそうではありませんか?


 ← 私が読んだのはこちら
恩田 陸
月の裏側
 ← 既に文庫化されているようです

得体の知れないものの恐怖としては、スティーブン・キング「It」が、今までの読書の中では一番。これも、水のイメージがありませんでしたっけ?(その時の恐怖感は残っているのに、話を殆ど忘れてしまいました。あな、情けなや)
スティーヴン キング, Stephen King, 小尾 芙佐
IT〈1〉
スティーヴン キング, Stephen King, 小尾 芙佐
IT〈2〉
スティーヴン キング, Stephen King, 小尾 芙佐
IT〈3〉
スティーヴン キング, Stephen King, 小尾 芙佐
IT〈4〉
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「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
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2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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