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「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」/様々な夫婦の形と、女友達

 2005-12-16-09:06
江國香織「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」

透明な糸に絡め取られて、更に上からぴっちりとラップで覆われたような閉塞感を覚えた。息苦しい。

決して暗い物語ではなく、その舞台は明るく、江國さんらしく洗練されたものでもある。でも、江國さんの恋愛小説に出てくる女性は、色々な面で恵まれてはいるのだけれど、いつもゆるやかに絶望しているように思える。
自分には久しぶりの江國さんの恋愛小説で、そろそろ楽しく読めるかなぁ、と思ったのだけれど、うーん、私は「間宮兄弟」 の方が好き。

この小説は色々な女性が入れ替わって、主人公となっていくようなスタイル。
彼女達の関係は、友人であったり、姉妹であったり、会社の同僚であったり、夫を通しての付き合いであったり。職業もバラバラ、専業主婦、モデル、編集者、OL、花屋のオーナー・・・。

この中で印象深かったのは、陶子、衿、道子の三人。

陶子は結婚して四年になる専業主婦。彼女は夫である水沼のアクセサリーのような妻(だって、水沼のセレクトは、彼女の下着にまで及ぶのだ!)。その状況の甘やかさを楽しみ、一番そういう所から遠くにいるようであるのに、彼女は犬の散歩中に知り合った男性と情事を重ねる。「好もしい」という程度の気持ちはあれど、それは恋ではなく、求められる事を純粋に喜ぶような気持ち。情事を終えた彼女は、いつもすっかり「元通り」。

でも、それでは遠くにいきすぎる。
遠くにいけば、帰れなくなる。この居心地のいいリビングに。水沼との生活に。
第一、自分は昔から旅行好きなタイプではないのだ。

衿は、陶子の学生時代からの友人である、れいこの夫、土屋保のガールフレンド。職業はモデル。土屋との関係は不倫になるけれど、衿は土屋に真っ直ぐで健やかな愛情を示してやまず、また彼女なりの矜持を持った女性。

ちゃんと話をきいている、ということを示すのは、端的で清潔な愛情表現だ、ということを、子供のころから衿は体でおぼえている。

道子は、陶子が結婚前に付き合っていた、獣医師山岸の妻。山岸は陶子の妹、草子の長年の片思いの相手でもある。過去、道子は浮気をして、それはまた、夫、山岸の知る所ともなった。しかし、今では二人は表面上は、落ち着いた夫婦に戻っている。

「不思議ね」
「みんな、いちばん愛したひととはちがう相手と一緒にいるみたい」
「でも、すぎてしまえばずっと一緒にいた相手をいちばん愛していたと思ってしまうのね、きっと」

その他にも、花屋の共同経営者であった、夫・篠原との離婚後に何とも言えない淋しさを感じるエミ子(不在を淋しいと感じる気持ちも、また愛情なのか?)、土屋との虚像のようだった結婚生活に、終止符を打つ事を決める、れいこ達夫婦の関係も印象深い。

しかしながら、江國さんは恋愛を描きつつも、相手となる男性にまるで期待していない感じがする。でも、それってちょっと淋しくないか?、と思うのです。
だから、読みながら何とも言えない閉塞感を感じるのかも。

陶子の妹、草子と見合い相手の藤岡のカップルは、この中に出てくるカップルの中では、一番向かい合っているように感じられる。最初はみんな向かい合っていても、長い年月の間に気持ちが離れてしまうのかなぁ。自分の世界の構築だけに篭ってしまって、夫婦二人の間に育てているものがない感じ。関係性とは互いの努力によるものであるわけで、空疎な関係にはなりたくないな、と思った。

文句も言ったけれど、江國さんの小説は、氏独特の他にはないもので、時々はこの毒気に当てられたくなってしまう。

江國 香織
薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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