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「土の中の子供」/一筋の光

 2006-06-05-22:20
中村 文則
土の中の子供

人間の中には深く暗い闇があるけれど、同様にそこには細くとも一筋の光明がある。舞城氏であれば、こういったお話を、陽性で暴力的な描写で描くのだろうけれど、こちらはひたすら静か。ほとんど陰鬱といってもいい。でも、どちらも非常に強い「文圧」で描かれていると思う(「文圧」って舞城氏の帯によく書いてあるんだ)。

目次
土の中の子供
蜘蛛の声

そうはいっても、「蜘蛛の声」にはあまり光を感じることは出来なかった。というわけで、「土の中の子供」について。「蜘蛛の声」よりも「土の中の子供」の方が後の作とのことで、その辺の違いもあるのかな。

主人公である「私」は幼少時に、遠い親戚の家でひどい虐待を受けて育った。その後、施設に引き取られ、自活するようになって尚、彼は自ら堕ちていくようである。わざわざ暴走族に吸殻をぶつけてみたり、意味もなく仕事を休んでみたり。

「私」の家にふらふらと棲み付いた、白湯子もまた、自ら堕ちていくような女。

彼ら二人ともが、ダメになること、「人間の最低ライン」を知る事を望むようである。

ひどすぎる虐待が「私」に「リアル」を与えたため、彼は常に危うい所からリアルに近づこうとしてしまうのだ。

何か、他にあるのではないだろうか。無事でいられたことを全身で喜ぶような、私の全てが震えて止まらないような瞬間が、あのような暴力とつりあうような、喜びが、この世界にはあるのではないだろうか。

恐怖を克服するために、自ら恐怖を作り出してしまうような「私」。恐怖の中からしか、「全てが震えて止まらないような瞬間」を見出せない「私」が、自分と周囲との関わり、白湯子との関わりの中で少しずつ変わっていく・・・。

「私」は過去、埋められた「土の中から」生まれ出でた瞬間を思い出す。

「僕は、土の中から生まれたんですよ」
「だから親はいません。今の僕には、もう、関係ないんです」

「私」は一筋の光を胸に、白湯子と共に生きて行くことを決意する。今は二人で一人前のようであるけれど、こんな風に自虐的になってしまった人間が、人のために生きようと思えるのも凄い事。彼らはきっと、この後、自分の人生を生きる事が出来るようになるはずだ。

「あとがき」も良かったです。引用します。

僕は小説というものに、随分と救われてきた。世界の成り立ちや人間を深く掘り下げようとし、突き詰めて開示するような物語、そういったものに出会っていなければ、僕の人生は違ったものになっていたと思う。

私もまた、物語には随分救われてきたと思う。
勿論、中村氏とは違って、読む方専門だけれどね。

*臙脂色の文字の部分は引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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