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「神様」/不思議のものども

 2006-07-20-21:30
 
川上 弘美
神様 
中央公論社


私がこれまで読んだ川上さんの本は、小説では「
古道具 中野商店 」、「ニシノユキヒコの恋と冒険 」。エッセイでは「なんとなくな日々 」。これらも勿論良かったのだけれど、これは基本的には現実にリンクした物語。
川上さんの本には、不思議な生き物が出てくるものもある、と聞いていたのだけれど、まさにこの「神様」が不思議な生き物が闊歩するお話だった。

不思議といえども、怪異でも怪奇でもなく、妖艶でもない。当たり前のように、そこにすこんと不思議な者たちが生きている世界。これぞ川上ワールドなのかな。ちょっと他の作家さんにはない独特の雰囲気に感じた。
不思議のものどもが、怒ったり、笑ったり、悲しんだり、何とも普通に生きている。読みながら、何だかしみじみしてしまったことですよ。

目次
神様
夏休み
花野
河童玉
クリスマス
星の光は昔の光
春立つ
離さない
草上の昼食
あとがき

「神様」「草上の昼食」は、ある日同じマンションに越してきたくまの話。
「夏休み」は梨の精のような、白い毛が生えた小さな三匹の生き物とのお話。
「花野」は五年前に死んだ叔父の話。
「河童玉」は、文字通り河童のお話。大らかな河童たちの姿がいい。
「クリスマス」は、壷から出てきた、コスミスミコの話。気のいいコスミスミコは、「チジョウノモツレ」でこんな姿になってしまったのだという。
「星の光は昔の光」だけは、そういえば不思議がちろりとしか出てこないな。近所の小学生、えび男くんお話。
「春立つ」は近所の居酒屋「猫屋」のおばあさん、カナエさんの不思議な話。
「離さない」は、偶然手に入れてしまった人魚の話。

作品の世界が繋がっているのは、「神様」「草上の昼食」「河童玉」「クリスマス」「星の光は昔の光」。 私が中でも好きだったのは、川上さんの初めて活字になった小説だという「神様」「草上の昼食」

◆「神様」◆
「わたし」の三つ隣の部屋に越してきたのは、雄の成熟したとても大きなくま。彼は律儀で行き届いたくまだった。「わたし」とくまは、くま言う所の縁を感じ、時に共に散歩をする仲になる。呼びかけの言葉としては、漢字の「貴方」が好きだというくまは、昔気質のくま。

「わたし」はごく普通にくまを受け入れるけれど、勿論そんな人間ばかりではない。子どもに「くまだ」「くまだ」と囃し立てられても、くまはあくまで穏やか。
「小さい人は邪気がないですなあ。」

川原でのピクニック。くまは魚を獲って、更に今日の記念にと干物にして、「わたし」にプレゼントしてくれる。なんと行き届いたくま! 散歩を終えた二人はそれぞれの自宅に帰る。くまの別れの挨拶は、抱擁に、「熊の神様のお恵みがあなたの上にも降り注ぎますように」という祈りの言葉。悪くない一日。

◆「草上の昼食」◆
故郷に帰るという、くまとの最後のお散歩。此度、くまが用意したのは、鮭のソテーオランデーズソースかけ、なすとズッキーニのフライ、いんげんのアンチョビあえ、赤ピーマンのロースト、ニョッキ、ペンネのカリフラワーソース、いちごのバルサミコ酢かけ、ラム酒のケーキ、オープンアップルパイ。くまは付き合えず白湯だけれど、彼が用意した赤ワインはバルバレスコ。

赤ピーマンのローストを褒められたくまは、薄皮を剥くのが少し難しかったと話す。学校に通うのも難しいくまの料理は、こんなに多くの料理を作ることが出来ても、それは自己流なのだという。くまの生活の難儀の多き事に、「わたし」は思い至る。
青年期から、こちら側に住んだというくま。故郷に帰る気持ちは如何に? こちら側に馴染め切れなかったというくま。「わたし」とて馴染まないところがあるけれど、それは簡単に比べられるものではない。

故郷に帰ったくまから、差出人の名前と住所がない手紙が届く。
私はくま宛に決して届く事のない手紙を書く・・・。

この「くま」がいいんだよなぁ。「合わせる」ことなんかないのに、一生懸命律儀に「合わせる」姿に、何だかしんみりしてしまう。「魚の皮」を持ってのお散歩。洒落た料理じゃなくったって、「わたし」はきっと付き合ったのに。

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*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
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