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「ガセネッタとシモネッタ」/米原万里さんの豊かな世界

 2008-06-06-23:12
ガセネッタ&(と)シモネッタ (文春文庫)ガセネッタ&(と)シモネッタ (文春文庫)
(2003/06)
米原 万里

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それは、言語の海を泳ぎ切る同時通訳者としての姿だったり、チェコスロバキアのソビエト学校で一般の日本人とは異なる教育を受けた幼き日々の姿だったり、異国の地で「少年少女世界文学全集」を貪るように読む姿だったり。

とにかく印象的なのは、世の中の全ての物事に対する深い愛情と強い好奇心。たとえば、興味を惹かれた本を取っ掛かりとして拡がっていく「芋蔓式読書」にしても、医学や政治経済、金融、電子工学など様々な専門分野の通訳を務めることから必要になる、様々な知識の読み込みや吸収の仕方にしても、まぁ、普通の人でもそういうやり方をすることはある。でも、なかなかこの深度ではやれないよー、ということを、ばりばりがりがりと、しかも楽しんで進んでいく姿がそこには見える。なんというエネルギッシュさ!

言語を操っていた米原さんは、言語の背後にその国の文化を、文学を、人間を見ていた。日本で言う「語学が得意」というのは、大抵単に「その語学が出来る」ということを意味しているけれど、米原さんが話している「語学」というのはそういうものではないんだなぁ。

英文学者・柳瀬尚紀さんとの「翻訳と通訳と辞書 あるいは言葉に対する愛情について」なる対談も面白いです。この柳瀬尚紀さんを全く知らないのに言うのもなんですが、米原さんの器の大きさに比べると、柳瀬尚紀さんが大分小物に見えてしまいます。「鉄のカーテン」を調べ、広辞苑、大辞林ではチャーチルが使ったというところまでしか出ていないけれど、ロシアの辞書では更にその先が載っていて、実は鉄のカーテンというのは、ソ連側から下ろしたものではなく、当初は西側が革命の火除けに引いていたと考えられていたというのも面白ーい(1930年のソ連において、との限定つきだけれど)。米原さんの探求はこの後も続くんだけど、柳瀬さんのおっしゃる「すごい読み手だな」という言葉が、ひしひしと伝わってきます。

通訳をやっていると、知らない単語が出てくると焦りまくります。ですから、事前になるべく資料を取り寄せて調べるんです。ある単語がわからなくて、一つの辞書に当たってなくて、二つ目当たってもなくて、三つ目にあたって語根の同じような単語がある、もう一つ別の用法があったら突き合わせて、たぶんこの意味だろうと類推していくわけです。だから辞書には、ちょっと載っているだけでも、中途半端でも、ありがたいという感じなんですね。辞書はそういうものだと思う。

この辺も全く辞書に頼ってないですもんね。これが英語だったら、グローバルスタンダードだし、通訳者の人数もケタ違いだろうからまた違うんだろうけれど、ロシア語を学んだということも、まさに米原さんという人間を形作ったと言えるような気がします。

そういえば、ちょっと前にテレビで同時通訳者のお仕事を見たんですが(@「ひみつのアラシちゃん」)、ブースの中の緊張感、緊迫感はただ事ではなかったです。あんな集中力を発揮できるのは、やっぱりちょっと特殊な人たちだとしか思えませんでした~(たとえそれが、米原さんのこの本では、あまり面白みがない、といわれる英語の通訳者であってもね。)。
目次
Un Saluto dallo Chef シェフからのご挨拶
 ガセネッタ・ダジャーレとシモネッタ・ドッジ
Apertivo 食前酒
Antipasti 前菜
Primi Piatti 第一の皿
Vino Bianco 白ワイン
Secondi Piatti 第二の皿
Insalata Russa ロシア風サラダ
Vino Rosso 赤ワイン
Formaggi チーズ
Dessert デザート
Caffe コーヒー
Digestivo 食後酒
コメント
米原 万里さんのエッセイはいいですね。
特にロシアの話が面白く、もっと読みたい!って思います。
亡くなられて本当に残念です。
【2008/06/08 21:13】 | honyomi #- | [edit]
米原さん、いいですよねえ。
honyomiさんは、「オリガ・モリソヴナの反語法」は読まれてますか?
私はこの小説が米原さん初読みだったのですが、エッセイもいいけど、この小説もすっごくいいですよ。
ものすごく濃密です。
【2008/06/08 22:08】 | つな@管理人 #- | [edit]
お久しぶりです。
柳瀬尚紀さんといえば、「翻訳はいかにすべきか」を所有してます。
いろいろ他の翻訳を批判している方です。
面白い部分もあり、つなさんじゃないけど「小物だな(笑)」と思う部分もあり、でした。
彼の本を読んで以来、翻訳文が変な小説を読むたびに
「柳瀬尚紀が怒るぞ」と思うようになってしまいました~。
【2008/06/11 13:49】 | びー玉 #- | [edit]
びー玉さん、お久しぶり~。
復活記事読みましたよん。
柳瀬さんって、なるほどそういう方なのですね。笑
うん、拘りがありそうだった。
そういうのって、ちょっとねちねちにも見えるから、失礼ながら、時として小物にも見えてしまうんですが・・・。笑
あはは、おお、そんな影響力が!<「柳瀬尚紀が怒るぞ」
それはそれで、ちょっと興味がわいてきましたよ~。
図書館でチェックしてみます。
【2008/06/11 23:48】 | つな@管理人 #- | [edit]
米原さん初読みの私は、こんなに凄いエッセイストが居たのかってことと、随分若くして亡くなられたのだなと、ダブル・ビックリでした。
これから少しづつ米原本を読んでいきます。

そうそう、柳瀬本『日本語は天才である』( http://ameblo.jp/nanika-possible/entry-10035102881.html )ってのを1年半くらい前に読んでました。とんでもなく博学ってことだけ覚えてます。
【2008/11/01 23:44】 | nanika #- | [edit]
 おはようございます。
 いまちょうど、米原万里さんのアーニャを読んでいます。少女だったロシア時代の話が出てくるんですが、なるほどこういう下地があったのか、と驚くとともに、生き生きとしたワールドワイドな活動に感嘆しています。
【2008/11/02 11:24】 | 樽井 #- | [edit]
>nanikaさん
米原さんの書評本、「打ちのめされるようなすごい本」もいいですよー。
読んでるこっちが、米原さんに打ちのめされますが。笑
亡くなられた時は、ショックでしたねえ。
杉浦日向子さんといい、なんで才能ある人たちが、若くして亡くなっていくのか。
柳瀬さん、博学なんですね。
でも、この本だと、私は上のような感想になってしまいましたわー。笑

>樽井さん
「アーニャ」私も持ってるんですが、謎に興味をひかれて、飛ばし読みをするという、大変に勿体ないことをしてしまいました…。
米原さんは、ああいう子供時代を過ごしたからこそ、あのような人物になったのでしょうね。
もちろん、違う子供時代を過ごしたとしても、ロシアには関連しなかったとしても、ひとかどの人物にはなられたのでしょうけれど。
レビュー、お待ちしております♪
【2008/11/03 10:32】 | つな@管理人 #- | [edit]












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  • ガセネッタ&(と)シモネッタ【本の世界の迷子です】
    翻訳者の苦労    ★★★ 米原 万里 ガセネッタ&(と)シモネッタ (文春文庫) ロシア語同時通訳者の米原万里さんのエッセイ集。 特に抱腹絶倒というわけではないけれど、前半は面白い。
【2008/06/08 21:10】
  • 『ガセネッタ&シモネッタ』【本だけ読んで暮らせたら】
    『ガセネッタ&(と)シモネッタ』   米原 万里/著、 文春文庫(2003年)  単行本(2000年) ロシア語同時通訳という専門職につき、世界のアチコチに行き、様々な文化・ひとに接触した経験を豊富に持つ著者の毒舌エッセイ集。 著者は、私などが決して
【2008/11/01 23:34】
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つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
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2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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