「ブリスさん」/トールキン教授の絵本
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J.R.R. トールキン, J.R.R. Tolkien, 田中 明子 - 「ブリスさん 」
「サンタ・クロースからの手紙」 と同じ、評論社からの出版。「サンタ~」は落ち着いた緑、こちら「ブリスさん」は茶色の表紙。教授直筆の絵や文章で綴られる美しい本という点でも、「サンタ~」と「ブリスさん」は似た作りの絵本。
彼の名前は強いて訳せば、「しあわせさん」になるとのことなんだけど、ブリスさんはある日、銀一色の素敵な自転車に乗って、自動車を買いに行く。その車は、中も外も目も醒めるような黄色で、車輪は赤! (表紙の感じだと、「目の醒めるような」って感じでもないけどね)
さて、車を手に入れたブリスさんは、知り合いのドーキンズ兄弟を訪ねる事にした。しかし、自動車の運転に不慣れなブリスさんは、この先、珍道中を繰り広げる事になる。
まずは、手押し車一杯にキャベツを積み込んだデイおじさんを引っ掛け、次に荷車いっぱいのバナナをロバに引かせた、ナイトおばさんを引っ掛ける。こうして、ブリスさんの車には、デイおじさんにキャベツ、ナイトおばさんとバナナが乗り、更に車の後ろにはロバを繋ぐことになる。
でも、まだまだアクシデントは終わらない。森の中の道を通ったブリスさんが、次に会うのは、アーチィとテディとブルーノの三匹のクマ。クマたちは、バナナやキャベツ、ロバや自動車が欲しいというけれど・・・。
結局、全員でドーキンズ兄弟のところに行く事になったブリスさんたち御一行。勿論、その登場の仕方も、普通に玄関から「こんにちは」なんていうものではない。きれいな敷物の上でピクニックをしていた、ドーキンズ兄弟の上に、皆でドーーーン!
繰り広げられるドタバタ劇が面白い絵本。
ブリスさんが村の人たちに内緒で飼っている、キリンウサギも魅力的。
キリンのなが~い首を持つ、ウサギなのです。珍道中の最中には全く出てこないので、 最初に出てくるだけなのかなぁと思っていたら、最後には色々と重要な役割を果たしていました。いっちばーんラストの絵は、村の子供たちがキリンウサギの首にそれぞれ結わえた紐を持ち、メリーゴーランドのように楽しそうにぐるぐる回っている。それを見つめるブリスさんの心中は如何に?(大冒険の後の、穏やかな心地なのかしらん)