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「後巷説百物語」/そして、全ての幕引きが・・・

 2006-09-30-21:31
 
京極 夏彦
後巷説百物語 

此度、「巷説」の舞台となるのは、文明開化を迎えた明治初め。

主に出張るは、北林藩ゆかりのものども四人。
東京警視庁の一等巡査、後に不思議巡査こと矢作剣之進。
商社に勤める変り種、笹村与次郎。
旗本の二男坊、洋行帰りの倉田正馬。
道場主の剣豪、渋谷惣兵衛。

時代は幕末から明治に変われども、人の世はそう簡単に変わるわけではない。一等巡査、剣之進が持ち帰った「謎」を四人で捏ね繰り回し、捏ね繰り回した挙句に訪ねるは、薬研掘のご隠居、一百翁。

一百翁が語る昔の話は、現代の謎、事件に、ある見方を指し示す。あちらを立てればこちらが立たず、それを八方丸く治めるのは、小股潜りの得意技であったけれど、又一ほどでないにしろ、剣之進も不思議な事件専門の巡査、不思議巡査として名を馳せる様になる。

事件の謎解き、種明かしは、最初は一百翁と共に住む小夜のみに、後には一人、一百翁を訪なうようになった与次郎にも。謎自体も、徐々に又一たちの過去と濃密に絡んでくるようになる。又市の仕掛けは未だ生きていた!

さて、薬研掘に九十九庵なる庵を結ぶ一百翁とは、勿論、これまでの巷説シリーズで、又一たちと共に旅した山岡百介の後の姿である。

道を通せば角が立つ。
倫を外せば深みに嵌まる。
彼誰(かわたれ)誰彼(たそがれ)丑三刻に、そっと通るは裏の径
所詮浮き世は夢幻と、見切る憂き世の狂言芝居
身過ぎ世過ぎで片をばつけて、残るは巷の怪しい噂―。

そう、残るのは全て巷の噂、巷説のみ。
又市の百物語で幕を開けた「巷説百物語」は、百介による百物語でその幕を閉じることとなる。

思い出される昔は、全部お話
物語になった現実こそが昔
虚構(うそ)と現実(まこと)の真ん中辺りに、どっちつかずの場を作る
そうした呪術(まじない)が百物語

筑羅が沖、どっちつかずの世界に居続けた百介は、そして最後の居場所を見つけたのだろうか。

若き日の百介を見るような与次郎がいい。最後の仕掛けは、百介とこの与次郎が、互いにそれとは知らずに、仕掛けることになる。

小股潜り、御行の又市の「仕掛け」は、どこまでも抜かりがない。所詮、人の世は悲しいもの。だから、時に夢幻を見ることもある。そして、一度、夢を見せるならば、その裏にある現実(まこと)を決して見せてはならないのだ。百介の「世に不思議なし、世、凡て不思議なり」との言葉も胸に残る。

この「巷説百物語」シリーズは、最初の一作を読んだだけで長らく放置していたのだけれど、これは全三作を全て読まねば、立ち上がってこない物語でした。このちょっと悲しい余韻もいいなぁ。さっすが、京極夏彦!、という感じ。ああ、でも、記憶が新しい時に、一気読みしたかったよ・・・。

<以下、追記>
ちょっと、ん??、と思いながら読んでいたのだけど、やはり「五位の鷺」「風の神」で登場する由良家とは、陰摩羅鬼の瑕」で出てくる由良伯爵家だし、山男」に出てくるある神を奉じる集団とは、狂骨の夢」に出てくる宗教団体なわけなのね(金色髑髏!)。えーと、でも、臨済宗の高僧、和田智弁って誰だっけ? 「鉄鼠の檻」に、明慧寺の監院として和田慈行が出てくるのだけど、それと関係があるのかしらん?

世に不思議なし、世、凡て不思議なり」は、京極堂の「この世には不思議なものなど何もないのだよ」に繋がっていくのかな。いや、時代を跨ってまで繋がってるだなんて、ずるいよ、そして、上手すぎるよ、京極さん!

目録
赤えいの魚
天火
手負蛇
山男
五位の鷺
風の神


 ← こちらは新書。表紙は風の神?何ともユーモラスな表情だ♪

☆関連過去記事: 
「続巷説百物語」/御行奉為・・・

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡下さい。
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