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「13」/原色の色を生きろ

 2006-12-11-21:26
古川 日出男
13


目次
第一部 13
第二部 すべての網膜の終り
1 ココとマーティン/2 ココとサルサとマデリーン/3 ”マスマティシャン・オブ・カオス”/4 ココとCD/5 ココと臨死体験/6 響一と犬の少年/7 ココとマーティン、天使、響一/8 響一とココ/9 響一とココ?/10 ガブリエラ/11 ”王の王”/12 橋本響一、ココ・ココ・マチューカ・プラード/13 ”13”

片目だけの特殊な色覚障害を持つ響一は、その障害のゆえに特異な色彩の世界に生きていた。彼の描く絵は幼児のレベルを超え、輪郭線は存在せず、物体の輪郭は全て「色の終わるところ」として表現されていた。

そうして彼は、入園検診の時の色盲検査で新しい世界を知る。色盲の検査表には、正常者には読めても異常者に読めない文字や数字、また逆に異常者には読めても正常者には読めない文字や数字が配されている。響一が利き目ではない、異常がある左目で表を見た時に、立ち上がってきた文字や数字。それはまるで色の幽霊だった。響一はもう一つの異次元の世界を発見したのだ。それは彼の左目だけが捉えることの出来る、秘められた色彩の異世界。

響一はその異世界を再発見するために、色を塗る、色を作る。この世のありとあらゆる色を繰り、支配する手段を着々と磨く。でも、まだ足りない。まだあの世界への道は閉ざされている。

中学生となった響一の元に、ザイールのムンドゥの森から、狩猟採集民ジョ族の一員、ウライネがやって来る。霊長類の研究者である響一の従兄弟、関口昭彦が、彼らジョ族に命を助けられ、その恩返しとしてこの少年ウライネを、「白人の国」日本へと連れて来たのだ。

森の民であるジョ族にも、彼らの事情があった。農耕民族と白人たちとの接触により、これまで周囲の農耕民族たちを怯えさせていた「森」の魔力、霊力が薄れてしまったのだ。森の魔力を取り戻すため、ジョ族もまた「白人」の力を必要としていた。「白人」の霊力を手に入れることで、森の超自然力は快復する。彼らの中から選ばれたのが、ウライネだったのだ。

中学校を卒業した響一は、高校進学の道を選ばない。響一はザイールのジョ族の元へ行く事を望む。ザイールに渡った響一は、ジョ族の中にウライネの兄弟としての地位を築く。響一はジョ族と共に狩りをし、食事をし、ジョ族に伝わる昔話を好んで聞く。最初の人間の話、死者の世界であるバチカンバの話・・・。濃密な森の色の中、黒い膚の彼らの、白い膚を持つ兄弟となる。

物語の縦糸は、この色彩の求道者、橋本響一が紡ぐ。

これに絡んでくるのは、ザイールの農耕民の中に出現した、聖母マリアと見なされる少女ローミ。彼女は黒いマリア。農耕民たちは、森の民、ジョ族の敵であるのだが・・・。

そして、痛ましい事件の後、ザイールを後にした響一に絡んでくるのは、「すべての網膜の終り」なる映画を撮ろうとしている映画監督マーティンに、女優ココ、主題歌を作り、歌うCD。
粗筋にもなってないような粗筋だけれど、粗筋として言えるのはこれくらい。もう、もう、全ては混沌の中、カオスの中。色、音、匂い、味・・・。森の色彩、ジョ族のボディペインティングの色、彼らの食事、映画の中の映像イメージ、本を読むという行為なのに、物凄く五感を刺激する文章に酩酊する。

犬の物語であったり、神に到達する映像であったり、森の人の話であったり、膚の色の話であったり、まだ読んでないけれど、「ベルカ、吠えないのか?」に繋がるかと思われるもの、「サウンド・トラック 」のレニにも通ずるもの、「アラビアの夜の種族 」にも通ずるもの。

古川さんの話は、全然違う物語であっても、どこか同じ地平で繋がっている感覚がある。一部だけを取り出しても、凄く豊かなイメージなんだけど、それがまた違う世界とも繋がっていたり、また違う色合いを新たに乗せられて語られるのは、物凄く嬉しいなぁと思う。

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