スポンサーサイト

 -----------:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
カテゴリ :スポンサー広告 トラックバック(-) コメント(-)

「蕎麦屋の恋」/恋とか愛とか

 2007-02-06-23:02
姫野 カオルコ
蕎麦屋の恋

目次
蕎麦屋の恋
お午後のお紅茶
魚のスープ

「蕎麦屋の恋」
山藤製薬経理部、秋原課長四十三歳。淡々としているけれど、読み進む内に滅多矢鱈とモテている彼。彼は女性がその時必要としているものを、すっと差し出せる男のよう。とはいえ、彼の場合、進んでそうしているというよりも、これは生来の性質なのかも。二十そこそこで、出来ちゃった婚をした妻との間には、既に大学受験を控えた娘がいる。「出来ちゃった婚」をした時に感じた、何らかの翳りは知らぬふりをしたまま。毎日はそれでも過ぎて行く。しかし、彼が感じた翳りを、妻も感じていなかったとなぜ言える?

さて、ここに一人の女がいる。安定した商社勤めを辞め、調理師専門学校に通い、今は臨時講師のような事をしている波多野妙子。通勤に使う京浜急行快特の車内の中、活発そうな妙子の外見の中に、秋原は何かを渇望する翳りを見る。

人の育ちは外見からは分からない。けれど、妙子はどこか「普通」とは違う育ち方をしていた。家族皆で炬燵でぐだぐだとテレビを見る。彼女の家庭には、そんな当たり前の光景はなかった。一緒に並んでテレビを見る。それが、彼女の我が儘で贅沢な希望。こんな二人が並んでテレビを見る。それが、テレビのある「蕎麦屋」での「恋」。妻を愛してはいるけれど、流されるままに他の女とも関係を結ぶ、秋原が手を出さずに(ま、単にそういう雰囲気にならなかったのもあるけど)愛おしんだのも、するとかしないとか、そんな事じゃない、蕎麦屋の恋。

「お午後のお紅茶」
やわやわと流されているようでいて、目標に向かってしっかりと力強く歩む小林くん。柔らかなようでいて、彼には自らも意識しない美意識が確固としてあるのだ。
「お」午後の「お」紅茶のようなそんな店。そんな似非上品な店はやっぱり願い下げ?

「魚のスープ」
結婚して三年たった僕たち夫婦。育ちの良く健やかな桜子との日々。三年たった僕たちは子供がいなくてはいけなくなった。だって、問題のない家庭とはそういうものだから。
僕たちはそのために、子供を作る行為をするために、スウェーデンに旅に出る。しかし、この旅行は夫である僕にとっては、少々後ろめたいものだった。学生時代の性差を超えた友だち、ストックホルムに住むカズから突然チケットが送られてきたのだ。カズの意図を僕は測りかねる。結婚した桜子とは全く違うカズ。もしあの時、カズが僕のことを好きだったのなら、もしあの時、カズを選んでいたのならば・・・・。
結果として、僕の感傷は意味のないものだったし、僕はこの旅で桜子の違う一面を見る。分からないのならば、これからまた話して、一緒に歩いていけばいい。

姫野さんの作品の中では、まだ軽やかに読める方かなぁ。「魚のスープ」の桜子なんか、最初、嫌な女だなぁ、と思っていたんだけれど、彼女には彼女のやり方があるというだけで、それは決して対照的なカズの生き方とも対立するわけではないんだよね。一つの生き方が正しいわけではない。
珍しくも甘い余韻が残る姫野作品でありました。
コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://tsuna11.blog70.fc2.com/tb.php/318-a6b80160
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫
プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

掲示板その他リンク

ユーザータグ
最近の記事
カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

RSSフィード
カウンター

月別アーカイブ
検索エンジン情報
Googleボットチェッカー Yahoo!ボットチェッカー MSNボットチェッカー

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。