スポンサーサイト
新しい記事を書く事で広告が消せます。
「オチケン!」/青春落語ミステリー
![]() | オチケン!―Rakugo Club The Key to Solving Mysteries (ミステリーYA!) (2007/10) 大倉 崇裕 商品詳細を見る |
オチケンとは、主人公がなし崩し的に所属する事になる「落語研究会」(略してオチケン)と、主人公その人の名前、越智健一とのダブルミーニング。主人公である、大学新入生の越智は、その名を見込まれ(だって、オチケン!)、廃部寸前の落語研究会に引き摺りこまれる。アルバイトに授業にサークル。越智が夢描いていた楽しいキャンパスライフは、オチケンに入ったことで、音を立てて崩れていくのだけれど…。
ええい、扉の紹介を引いた方が早いので、そちらを紹介。
大学に入学して早々、廃部の危機に瀕した落研(オチケン:落語研究会)に入部するはめになった越智健一。
そこで待ち受けていたのは、古い部室(幽霊が出る噂アリ)と、風変りな二人の先輩―天才的な落語の才能を持つ(らしい)、飄々とした岸と、爽やか青年なのに、なぜか押しが強い中村―だった。落語なんてまったく知らず冷や汗ものなのに、勝手な先輩たちに振り回され、ろくに授業も出られず、サークル間の陰謀にも巻き込まれる。そのうえ、キャンパスで奇妙な事件が起きて……。
抱腹絶倒の中篇を二篇収録した、連作落語ミステリー!
もくじ
その一 幽霊寿限無
その二 馬術部の醜聞
付録 落語ってミステリー!?
あとがき
落語でミステリーと言われると、どうしても北村薫さんの「円紫さんとわたし」シリーズと比較したくなってしまうのだけれど、楽しい青春小説として読めば、軽く読めちゃうし、これはこれでまた良しかと。オチケンのライバルも、「お笑い研究会」はともかく、「折り紙の会」や、えらく体育会系でもある「釣竿会」などとなかなか渋くって、所謂王道的ではないところも、ちょっと親近感を覚えてしまいました。私の場合、テニスサークル全盛時代に大学生活を送ってたんだけど、そういったメジャー系ではない、マイナーなところに所属してました。ま、大学生活なんて、何やったって自由なわけで、自分が楽しければそれでいいんだよなー、と思うけど。
付録を読んで、少々意外な思いがしたのが、著者、大倉さんの落語への熱い思い。落語に親しみがない層に興味を持ってもらえれば、という狙いは十分成功しているように思えます。でも、これだけ熱い思いがあるのならば、もっとディープにいっちゃってもいいのでは?、とも思うけど。
これは、シリーズ化を狙ってるのかなー。とりあえず、授業をこんなにサボっていては、まず何よりも進級が危ういようにも思えるけどねえ。がんばれ、越智くん!