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「ミドルセックス」/少女カリオペの数奇な運命

 2007-05-11-21:34
 
ジェフリー・ユージェニデス, 佐々田 雅子, Jeffrey Eugenides
ミドルセックス 

四十一歳になった、「わたし」が語る数奇な運命。それはまた、三代遡った遺伝子の旅の話でもある。ギリシャの山村からトルコ軍の迫害を逃れ、いとこを頼ってアメリカに渡った祖父母の話、そこから始まる一族の話、半陰陽者であった「わたし」の思春期の話、男性として生きる事にした現在の「わたし」の話・・・。膨大な時がこの物語の中には流れている。

目の大きな美しい少女として育った、カリオペ・ヘレン・ステファニディスは、長じて「カリオペ」ではなく、単なる「カル」となった。完璧な美少女だったカリオペは、思春期になっても生理がなく、身体は薄っぺらでぎくしゃくと大きくなるばかり。美しい少女ではなくなったカリオペは、女子校の同級生である「あいまいな対象」に対する熱い思いに苦しむ。それは全て、5-α-リダクターゼ欠乏症のためであった。半陰陽を見逃され、少女として育ったものの、カリオペは生物学的には男性だったのだ。

「カル」となって、米国国務省に職を得て、外務職員となった「わたし」は、ジムで鍛えた筋肉の鎧をつけ、誂えのスーツに身を包み、外的には順調な人生を歩んでいたものの、その内面には問題を抱えていた。好きになった女性と、最後の一線を踏み越える事が出来ないのだ・・・・。

目次
第一部
 銀のスプーン
 縁結び
 不埒なプロポーズ
 絹の道
第二部
 ヘンリー・フォードの英語の坩堝
 ミノタウロス
 氷上の結婚生活
 詐術(トリックノロジー)
 クラリネット・セレナーデ
 世界のニュース
 すべては卵から(エックス・オヴオ・オムニア)
第三部
 ホームムーヴィー
 オーパ!
 ミドルセックス
 地中海食
 ウルヴァレット
 高揚への目覚め
 あいまいな対象
 恋するテイレシアス
 肉体
 壁の銃
第四部
 お告げをする陰門
 ウェブスターでの自分捜し
 若者よ、西へ
 サンフランシスコの性別違和
 ヘルマフロディトス
 エア-ライド
 終点
解説/柴田元幸


「姉さんは、ただ姉さんってだけじゃない。親のまたいとこの子ってことにもなるだろう。だったら結婚したってかまわないよ。全てはレフティーのこの言葉から始まった。カリオペの祖母、デスデモーナとレフティーが育った、ギリシャのビシニオスという山村では、誰もが何らかの関係で繋がっていて、親のまたいとこの子との結婚もそう稀なことではなかったのだ。更に、遺伝子の悪戯は続く。いとこのスーメリナから生れたテッシーと、デスデモーナとレフティーの息子、ミルトンが結婚し、カリオペが生れる。近親婚の結果、カリオペは半陰陽者の遺伝子を持って生れる事になる。

と、こういった理屈は抜きにしても、まるでノンフィクションのように作りこまれた物語には圧倒される。本当に合った事のようだけれど、これはあくまでノンフィクション。

自動車産業の町、デトロイトを舞台にしたこの物語は、勿論、そういった産業の話とも無縁ではなく、幅広く見ればアメリカという国の物語でもある。移民としてアメリカにやって来たレフティーが、最初に職を得たのはフォードの工場であった。1970年代に思春期を過ごしたカリオペの兄、チャプターイレヴンは裕福な家を嫌い、ヒッピーのような生活を送る。

ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹 」でも思ったんだけど、ジェフェリー・ユージェニデスという人は、少女を媒介にしてアメリカという国を描いているように思う。その時期、その季節のアメリカ・・・。思春期の少女たちが媒介とされるのは、その感受性の強さ故なのかなぁ。で、また、その少女の揺らぎが実に繊細に描かれるのだよね。

彼らが手に入れたグロスポイントにあるミドルセックスの家。ブルジョアの生活様式を取り払って、内部の壁もほとんどなく、新しい世界に住もうという新しいタイプの人間のために設計された家。その家に、彼らは古い生活様式、古い家具を持ち込んで、その設計意図を台無しにはしたけれど・・・。
「カル」は新しい世界で生きて行く。この長い物語を語り終えたカルの未来はどうなるのだろう。語ることは癒される事、新たに生れ出る事に等しいのだから、未来はきっと明るいはず。

蚕が効果的に出てくるところも魅力的。小さな体から己の何倍もの糸を吐き出す蚕の幼虫。まるで、長い長い物語を紡ぐカルのようでもある。

この物語のことは、
有閑マダム さんのところで知りました。
有閑マダムさん、良い物語の紹介をありがとうございました♪

 ◆有閑マダムさんの記事はこちら → 
本* Middlesex
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