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「小説以外」/小説家、恩田陸
- 恩田 陸
- 「小説以外 」
「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記 」で、何だか興味が湧いてきちゃった恩田さんの日常生活。
いそいそとこちらの本を読んでみました。
小説ではなく、エッセイから透かし見る恩田陸とは?
いつものように目次を書きうつそうとしたら、何だかとんでもない量なので、今回は諦めました。自作について、本格推理小説、ファンタジーについて、小説の解説など、長さもばらばらな本に関する様々な文章が集められている(時に、お酒や料理、二足の草鞋を履いていた頃の二重生活の話なども)。
これを読んで意を強くしたのは、恩田さんはやはり「予感」の作家さんだということ。それは、映画番組の最後に放映される、放映予定の映画の紹介を見る時が一番わくわくしていたという話、本のカタログを見るのが好きで、本の背表紙、タイトルから話の内容を想像するのが楽しかったという話にも現れているし、様々な小説の予告編が集まったような物語である、「三月は深き紅の淵を 」が書かれたことにも現れている。
常に入口を、予感を探しているような感じ。こういうのは自分にも良く分かることで、勿論本を読むことは非常に大きな喜びなのだけれど、まだ頁を繰る前、ただその形を見ている時の、物語が自分の前に立ち現れる前のわくわくした気持ちは他にはないものだなぁ、と思う。
面白かった章を挙げる。
これだからイギリス人は・・・・・・
架空長編アンソロジー
予告編と本編の間で
恩田さんがこよなく愛するミス・マープルシリーズ。私はクリスティといえばポアロ派なのだけれど、ミス・マープルの良さがそろそろ分かるようになったかしら・・・。冷徹な観察眼と、些かの稚気、教養と合理性に、ちょっと風変わりのスパイスを効かせた「イギリス人のミステリ」。やっぱり、この辺は安定した良さがあるよねえ。恩田さんの擁護があってなお、本格推理小説の様式美にはやっぱり慣れないんだけど・・・。
この本を読んで気になった本。
・ハリー・クレッシング「料理人」
・飯嶋和一「神無き月十番目の夜」
・ベルナール・ウェルベル「蟻」 - ・ゼナ・ヘンダースン<ピープル・シリーズ>
・I・コールドウェル&D・トマスン「フランチェスコの暗号」
しかし、こういう「読んでいる」人の本を読むと、自分って全然本のタイトルを知らないなぁ、と思うですよ。「架空長編アンソロジー」なんて、小説自体が架空なのか?、と思っちゃいましたもん(「ウォーターシップダウンのうさぎたち」で我に返ったけど)。
そして、恩田さんのファンならば、自分が読んだ本の背景を知ることが出来るのも嬉しいところ。あちこちから集められた文章なので、長さもバラバラだし、ペースを掴むまではちょっと読みづらかったのだけれど、ああ、これはこの話だよね、とニヤニヤしながら読んじゃいました。