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「この庭に―黒いミンクの話」/窪地の家で

 2007-06-28-22:04
この庭に―黒いミンクの話この庭に―黒いミンクの話
(2006/12/13)
梨木 香歩

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北国の窪地にある家に、引き篭もったある人物の視点で語られる物語。

物語の中でもしんしんと雪が降るのだけれど、この本にはまるでその雪のように静謐な絵が挿まれる。そのほとんどは無彩色の世界なのだけれど、時に効果的に赤い色がほんの少量用いられる。静かで、時にユーモラスな絵が、この物語には良く似合う。

読み進める内に、読者はその人物が若い女性であるらしき事を知り、ある生きにくさを抱えた彼女が、この北国の家に逃避してきたことを知る。それはまるで、春を拒絶する冬眠のよう。部屋に転がるのはさまざまな国籍の酒瓶であり、彼女はアルコールと、この家に偶々あった、オイル・サーディンだけで、この家に来てからの日々を過ごしていた。

そんな彼女の元に現れたのが、「黒いミンクを探している」という日本人形のような女の子。この窪地の家の庭にミンクがいるはずなのだ、と少女は言うのであるが…。そうして、いつしか野性味を残した、しなやかな黒いミンクがあらわれるようになる。そのミンクは、彼女の中のサーディンの群れを狙い、サーディンはミンクから逃げ惑う。

この野性味溢れるミンクを受け容れるか否か? 下品なほどの野性味を見せる、帰化動物であるミンク。新しい環境に適応してしぶとく生きるミンクに、彼女はふと自分の父を思い出す。そんな彼女のもとに、日本人形のような少女が再び訪れる。少女はこの事にも意味があるのだと説き、彼女は深い深い雪の中でただ眠り続ける。

5ページにわたる絵が載せられた後には、更に場面が転換する。そう、この彼女とは「からくりからくさ」「りかさん 」に出てきた、ミケルのことであり、たぶん、今までのことは、熱を出して寝込んでいたミケルの夢の話であり、ミケルの将来の姿でもある。ちょっと不思議で、ミケルに優しく説く少女は、きっとあの人形のりかさん

何かが起こるわけでもなく(頭のないサーディンが宙を舞ったり、頭を見つけたサーディンが、嬉しそうにその頭をてんでばらばらにつけたりはするけれども)、ドラスティックに何かが変化するわけでもないのだけれど、ほんの少しの流れによって、人の心が変わっていく梨木さんお得意のストーリー展開とでも言えましょうか。しんしんと降りこめる雪、現実離れしたサーディンの舞う様、鮮やかにその場を乱す黒いミンク、不思議なストーリーだけど、何だか心地良いのです。
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つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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