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「柘榴のスープ」/生の営み、料理というもの、魔法のスープ

 2007-07-10-22:54
マーシャ メヘラーン, Marsha Mehran, 渡辺 佐智江
柘榴のスープ
アイルランドのクリュー湾近く、小さな村バリナクロウに、異国情緒溢れるカフェ、<バビロン・カフェ>がオープンした。そこで働くのは、マルジャーンにバハールにレイラーのアミーンプール三姉妹。彼女たちはこの寒村に、芳香に溢れた料理でもって、命を吹き込む。その料理はまるで魔法のよう。カフェの中では、金色に煌くサモワールがしゅんしゅんとお湯を補給し、香りに満ちた様々な料理が並ぶ。緑の指のように美しく整えられたドルメ、マリネのようなトルシー、紙のように薄いパン、ラヴァーシュ、ラム肉とじゃがいものシチュー、アーブグーシュト、ドーナツのようなゾウの耳などなど。それは、繊細にしてみっちりとしたペルシアの料理。

マルジャーンの料理のレシピが、一章毎に明かされるのとともに、段々と明らかになるのは、彼女たち三姉妹が、ここ、アイルランドの小さな村まで逃れてきた事情。黒いチャードルで隠された女性たちが増え、マルジャーンとバハールの人生の場面にも、イラン-イスラーム革命から波及した大きな傷が刻まれる。そして、それはまだ幼かったレイラーにも記憶されていた…。

彼女たちが町の人々に料理を振舞い、心を開くのと同じくして、町の人々が抱えていた問題も、少しずつ解決されていく。悪者は悪者として描かれるし、レイラーから漂うローズウォーターやシナモンの香りなど、何だかおとぎ話のようでもあるのだけれど、この明るさやユーモアが、チャードルで隠されたイランの、ペルシアの本来のものなのかもしれない。フィクションではあるのだけれど、「物語る」物語。美しい姉妹に料理を供されながら、お話を聞いているような気分になる。

マルジャーンの魅力溢れる料理のさまはこんな感じ。

 マルジャーンは真ん中をつまんだゾウの耳を二つ、オイルを熱した深い鍋に一分間沈めてから、溝穴のあるスプーンでペーパータオルに移した。余分なオイルの雫がペーストリーからぜいたくに滴り落ち、のどが乾いているペーパータオルにたちまち飲み込まれた。

まさに、煌きと官能の料理。

料理だけではなく、出てくる人物たちも、それぞれに魅力的だし、ペルシアの官能すら感じさせる料理と、アイルランドの自然の対比もまた見事。これは、良い本を読みました。マーシャ・メヘラーン、これ一作しか出ていないのが、残念だなぁ。

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。



★アイルランド、メイヨー州について★
アイルランド留学クラブ 」さんが詳しかったです。
下記、URLには、クロッグ・パトリックや、クリュー湾からの眺めが載せられています。
http://www.ryugakuclub.com/ireland/travelireland/mayo.htm

★チャードル(Wikipediaにリンク

★イラン革命(Wikipediaにリンク

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