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「メディア9」/十七歳は大人になるとき

 2007-07-12-23:05
 
栗本 薫
メディア9(ナイン)〈上〉
メディア9(ナイン)〈下〉
ハルキ文庫

十年ぶりに《船》、メディア9が帰ってくる。人々はお祭り騒ぎや、特別の大盤振る舞いを待ち望むが、数百名のスペースマンは《船》を降りることなく、《船》から得られるのは沈黙のみ。一体、《船》に何が起こったのか??

ここでいう《船》とは、恒星間宇宙船のこと。地球および太陽系は、文明、経済、政治、あらゆる面において、停滞および膠着状態に達していた。この静止した社会の中、《船》がもたらす外宇宙の輸入品や技術のみが、唯一社会を活性化させる重要なファクターとなっていた。宇宙船に乗りこむスペースマンたちは、ほぼ何の対価もなしに、外宇宙から物資を輸入するという難しい任務にあたっていた。そんな彼ら、スペースマンたちを、地球に結び付ける錨となっていたのが、スペースマンの家族たちだった。

物語の主人公は、このスペースマンの息子、リン。彼自身も、《上》へ、宇宙へと飛び出すことを望む、適性検査前の年齢を迎えていた。ところが、彼の父、ロイが乗るメディア9が、基地上空にとどまったまま、着陸を拒否する。市民たちは宇宙船の汚染を噂し、強制爆破を企むのであるが…。リンは当局から追われながらも、ガールフレンド、ヴァイと共に、宇宙船を護り、真相を知ろうとする。

「市民」たちは、自らはリスクを負わず、けれど権利ばかりを求めるように描かれる。そして、卑小な存在である彼らの恐怖は増幅する。実際、「スペースマン」たちと「市民」では、既に体格すらも違ってしまい、主人公のリンは、子供のころに「ヒツジの群れに入ったオオカミのよう」とも言われている。当然、「オオカミ」のリンは、市民たちに恐れを抱れる存在となる。自分の考えを明らかにし、責任を持って行動することすら、「反社会的」だと言われてしまうこの窮屈な世界の中で、リンは急速に大人に、男になっていく。

そだなー、本来は、このリンや強いスペースマンたち、リンについていくことを誓うヴァイの、伸びやかさ、つよさを楽しむべき物語なのだろうけれど、そして、実際、概ねは楽しく勢いで読めるのだけれど、何だか気になってしまうのは、ここでボロボロに言われている「一般市民」たちのこと。自分とは違う存在、優秀な存在を、「怖いから」という理由だけで、利益は享受したまま、排除するのはいかんよ、とは思うんだけど、実際、みんながみんな、(目に見えて)役に立つ存在か?っていうと、ねえ。スペースマンたちは、進んで自らの義務を果たす人間、として描かれていたのだけれど、うーん、自分って、義務を果たしてる?、などと思わずわが身を振り返ってしまうのでした。ああ、なんか、SFの読み方として間違ってる…。

面白かったんだけど、ほんとに強いことはよいことなのか? 強くなければ価値はないのか? 常に外の世界や上を目指さなくてはいけないのか?、とか、なんだかヘンなプレッシャーを感じてしまいました。もっと若い時に読んだら、リンやヴァイと一緒に、わくわく燃えられたのかも?
SF
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