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「サハラ縦走」/砂と礫の海の中で

 2007-07-18-23:16
野町 和嘉
サハラ縦走
岩波文庫 同時代ライブラリー


目次
1 サハラへのパスポート
2 オアシス
3 タマランセットへ
4 ニジェール
5 地平線
6 リビアの奥地で
7 キャラバン同行記
8 私たちの旅
9 タッシリ・ナジェール取材記
10 ラクダ君の死
11 旅のおわりに

 その後のサハラ
 -同時代ライブラリー版によせて-


あとがきのような「その後のサハラ」より引くと、これは1974年から75年にかけての約一年間に及ぶサハラ旅行の記録。1974年10月にロンドンを出発して翌年ミュンヘンに到着するまで、延々五万キロに達する車の旅と、車を手離したあと空路アルジェリアに行きタッシリの山塊をめぐった旅。

サハラとは、アラビア語の”沙漠”を意味する普通名詞であり、それは地球上でもっとも広大な荒地なのだという。アフリカ大陸の大西洋沿岸から東は紅海まで、地中海沿岸から南は北緯十五度線上まで、十一カ国にまたがり実に全アフリカの三分の一の面積を占める荒涼たる世界。

太古、ヨーロッパに数次の氷河期をもたらしたのと同じ気候変動によって、サハラは湿潤と乾燥とを何度も繰り返した。七、八千年前にはカバや象さえ生きていたサハラ地域に、現在の沙漠にいたる乾燥化が始まったのは、紀元前二千年頃のことなのだという。そして、広大な内陸部の低地と、それを囲む海岸部の山岳地帯という、サハラを取り巻く地形が、一旦乾き始めた地域の急速な乾燥化を助長した。湿気を含んだ海洋からの風はことごとく山々で遮られ、奥深い内陸部に降雨をもたらすことはなく、そうして残されたのは、激しい風化作用を受けた巨岩の峰々や、礫沙漠。もしくは、礫がさらに風化し、微粒子となった、砂粒からなる砂丘群。

この熱砂の世界を、この上なく清浄な世界と感じる著者が語る、沙漠とそこで出会った人たちの物語。たとえば、オアシスの話(「オアシス」という言葉から連想される、緑滴る枯れない泉があるわけではなく、そこは人々が必死に水を守る土地であり、その水も深い井戸から汗みずくになって汲み出すものである)、沙漠の塩の話(太古海底であった場所であるからして、塩分が沈殿し、ほぼ無尽蔵に塩がある)、ラクダのキャラバンの話(ラクダのキャラバンは、すでに輸送力としてではなく食肉用として組織されていたらしい)、素焼きの壺が置かれるお墓の話(サウジアラビアのファイサル元国王の墓の写真も、著者が見たオアシス・イグリにある墓と何等変わらぬ簡素なものであったらしい)、トゥアレグ族の話(見知らぬ者の前で素顔を晒すと、鼻や口から悪霊が体内に入り込むと信じられているため、ベールの巻き方が独特なのだという)など、なかなか聞けない話などではありますまいか。

著者の本業は写真家なので、残念ながらカラーではないのだけれど、載せられている写真も豊富。そもそも、私がこの本を手に取ったきっかけは、表紙の夕陽と砂丘の写真に惹かれてのことだったしね(これまた残念ながら、画像が出ないようだけれど)。トゥアレグ族のラクダレースは、かっこいい!

ひたすら沙漠を旅したそれまでの章とちょっと違うのは、タッシリ・ナジェール取材記。タッシリ・ナジェールとは、トゥアレグの言葉、タマシェック語で”川のある台地”を意味し、平均標高千数百メートルのサハラ中央部を走る広々とした台地のこと。そこには、サハラがかつて緑だったころ、その頃の岩壁画が、様々な様式、様々な年代で描かれているのだという。ところが、今ではこの地は乾いた死の台地となったため、水の補給が難しく、壁画を見て回るのはとても困難なことなのだとか。著者はラクダとロバを駆使し(ラクダはたくさんの荷物を運べるけれど、ロバのように険しい道は通れない)、何とかたくさんの壁画を見て回る。白い巨人や象のレリーフ、ロバや牛など、大らかな壁画が面白いです。

トゥアレグ族の少年、アブリと、旅人スレイマンが紡ぐ物語、「砂漠の宝―あるいはサイードの物語 」を思い出しながら、読みました。しかし、沙漠で生きるのって、ほんと過酷…。この旅に付き合った奥さんも凄いと思いました。車の移動も、当然、砂に足を取られながらなわけで、ほとんど苦行だもの。なのに、沙漠を旅することをやめないわけで、「魅せられる」ってきっとこういうことを言うのだろうね。
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