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「ミスター・ヴァーティゴ」/空も飛べるはず

 2007-10-03-23:37
ミスター・ヴァーティゴミスター・ヴァーティゴ
(2001/12)
ポール オースター

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これはですねー、超楽しい読書でした。

内容はウォルト少年が語る一代記なんだけど、まぁ、これがとんでもない出来事が物凄い勢いで起こっていくのです。このとんでもなさっぷりは、ちょっとお伽話的でもある。「とんでもない出来事」の中には、いい事も悪い事も、嬉しい事も悲しい事も、割り切れる事も割り切れぬ事も含まれる。それでも、転がる石には苔生さぬとでも言いましょうか、悪餓鬼であり、イェフーディ師匠の言葉を借りれば、「獣」だったウォルトは、そこからの生き直しを、常に新鮮な気持ちで全力でぶつかって行く。このウォルトの心意気が実に清々しい。どんな事があっても、強く、イキの良さを失わないウォルトの生き方は、きっと生への賛歌。

ウォルトがイェフーディ師匠に拾われたのは、九歳の時。セントルイスの街で小銭をせびって暮らす、みなしごだったウォルトが見込まれたのは、ウォルトが誰よりも小さくて、汚くて、みじめったらしかったから。人間の形をしたゼロであるウォルト。師匠は自分についてくれば、ウォルトは空を飛べるようになるというのだが…。勿論、すれっからしのウォルトは、最初から師匠のこの言葉を信じたわけではないけれど、師匠と共に汽車に乗ってカンザスの田舎町へと辿り着く。そこで待っていたのは、辛い修行の日々と、初めての友だち、初めての家族のような存在。師匠の言葉通り、空を飛べるようになったウォルトだけれど、今度は彼が安らいだ「家庭」が壊される。兄のような存在だったせむしの黒人少年、イソップ、母のようだったインディアンのマザー・スー。有色人種である彼らは、KKKに殺される。この「空を飛べるようになる」、「ウォルトが人間となる」までが、第Ⅰ部

第Ⅱ部ではいよいよ、空を飛ぶ「ウォルト・ザ・ワンダーボーイ」の公演が始まる。それは、1927年の夏に始まり、舞台は田舎町から最後はニューヨークへ…。ところが、今度はめまいがウォルトを襲う。空を飛べなくなったウォルトを、イェフーディ師匠は見捨てるのか? いやいや、イソップとマザー・スーを失い、今では二人となってしまった彼ら。師匠は彼ら二人の次の生活を提案する。新しい道を目指す彼らの前に現れたのは、悪夢のようなスリム伯父。ウォルトの成功を妬む伯父は、とんでもない行動に出る。ここまでが第Ⅱ部

「楽しかった日々を忘れるなよ」、それが師匠の言葉だったけれど…。十八になったウォルトは、スリム伯父に追いついた。そして、そこでシカゴの裏社会に君臨するビンゴと出会う。これがウォルトの新しいキャリア。腹心としてのぼりつめたウォルトは、シカゴのど真ん中でクラブを経営するまでになるのだけれど…。偶然出会った、懐かしのイェフーディ師匠が愛した女性、ミセス・ウィザースプーンが言う通り、ウォルトが積み重ねているのは、「泥棒ごっこ」のキャリア。泥棒ごっこに未来はない。そうして、ウォルトはまたも絶頂から転がり落ちる。二十六歳になったウォルトは軍隊に入隊する。ここまでが第Ⅲ部

除隊したウォルトは、そこから職と住居を転々とする。そして、人生で二番目に賢明な選択と言える(一番目は、イェフーディ師匠に着いていったこと)結婚をして、その後の二十三年間を幸せに過ごす。ところが妻のモリーは癌におかされ、彼を残して逝ってしまう…。痛手からようやく立ち直り、甥のもとへと旅立つはずだったウォルトが立ち寄ったのは、第Ⅱ部でウォルトとイェフーディ師匠とミセス・ウィザースプーンの三人で暮らした、懐かしのウィチトーの街。そして、そこで出会ったのは、まさにミセス・ウィザースプーンその人!
けれども、ウォルトの前をそうして、みんなが過ぎ去って行く。そして、ウォルトが最後に出会ったのは…。まるで昔の彼を見るような、ユセフという通いの掃除婦の子供。これが第Ⅳ部で、ウォルトの語るなが~い物語もお終いとなる。

こうして、ウォルトの一代記が語られるのだけれど、それはアメリカの歴史とも無縁ではない。KKKや大恐慌など、それらも合わせてこの物語となる。

ポール・オースターって、前に読んだのが「最後の物たちの国で 」だったので、もっと暗いというか、切実な感じの文章を書く人だと思っていたのだけれど、こんな楽しい物語もかけるのですね。ま、こちらも単純に「楽しい」物語ではないのだけれど、最後の物たちの国で」が少し淡い色彩を帯びた物語だとすれば、こちらはぐいぐいと原色で描いたような物語なのです。この勢いを借りるとすれば、次は「ティンブクトゥ」だ!
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つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
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