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「火を熾す」/それぞれの闘い

 2009-05-31-23:56
火を熾す (柴田元幸翻訳叢書―ジャック・ロンドン)火を熾す (柴田元幸翻訳叢書―ジャック・ロンドン)
(2008/10/02)
ジャック・ロンドン

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目次
火を熾す|To Build a Fire
メキシコ人|The Mexican
水の子|The Water Baby
生の掟|The Law of Life
影と閃光|The Shadow and the Flash
戦争|War
一枚のステーキ|A Piece of Steak
世界が若かったとき|When the Worlld Was Young
生への執着|Love of Life
 訳者あとがき

柴田元幸翻訳叢書”でございます。そうじゃなかったら、きっと読まなかっただろうな~。

実際、最初はそのあまりの救いのなさ(というか、自然の厳しさ?)に辛くなって、途中で読むのをやめちゃったりしてたんだけど、実は割とバラエティーに富んだセレクトだったので、読み進めている内に、だんだんとのめり込んでいきました。最初に、あ、こういうお話なのね、と見切った気になったんだけど、そこで読むのをやめてしまったら、勿体ない事をするところでした。

「火を熾す」では人間側が自然に敗れ去るけれど、全てがそういう話ではないのです。極寒の地が描かれたかと思えば、革命に燃えるメキシコが描かれたり、マウイ島の老漁師が描かれたり。「影と閃光」、「世界が若かったとき」などは奇妙な味わいで、現代英米作家によるもの、と言われても納得してしまう感じ。

ジャック・ロンドンの生涯は、四十一年に満たない短いものだったのだとか。短いけれど、きっと濃密なものだったのでしょう。人は死から逃げることは出来ないけれど、それまでの対峙の仕方には、色々あるんだよね。

本書では、一本一本の質を最優先するとともに、作風の多様性も伝わるよう、ロンドンの短篇小説群のなかから九本を選んで訳した。また、同じテーマを扱っていても、人間が敗北する場合と勝利する場合のなるべく両方が示せるように作品を選んだ。まあ勝利とは言っても、いずれは誰もが自然の力に屈する生にあっては、一時的なものにすぎないのだが……ロンドンの短篇の終わり方は、個人的に非常に面白いと思っていて、時にはほとんど冗談のように、それまでの展開をふっと裏切って、ご都合主義みたいなハッピーエンドが訪れたりする。そうした勝利の「とりあえず」感が、逆に、人生において我々が遂げるさまざまな勝利の「とりあえず」さを暗示しているようでもいて、厳かな悲劇的結末とはまた違うリアリティをたたえている気がする。  (「訳者あとがき」より引用)

老獪さを備えたときには既に若さはなく、若さに輝くような対戦相手を、少しずつその老獪さで削り取っていくものの…、という「一枚のステーキ」は切ない。名誉のためではない、生活のための試合。そして彼には、既に試合前に一枚のステーキを食べることも、タクシーに乗って会場に行くことも出来ない…。若さと強さだけではない、何かを備えたものだけが、成功者となるのでしょうか。彼の対戦相手は、成功者となれるのでしょうか。

どうしようもない現実が描かれても、どこか納得出来てしまうところも、また特徴なのかなぁ。それはもう仕方のないことなのだもの。それでも、一瞬の輝きが切り取られていれば、それでいいんだ、という気になっちゃいました。

「水の子」は自然の中であっても、南の島を舞台としているからか、極寒の地を描いた他のものとは違う味わい。水の輝きの中、老漁師の語りが伸びやかです。理屈を言う、常識を言う側がばからしくなってしまって、老漁師が言うようにすべては夢なのかもしれないなぁ、などと海面の輝きに幻惑されます。
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【2009/06/02 00:47】
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プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
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2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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