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「ボトムズ」/テキサス東部、大恐慌の時代に

 2009-05-12-00:08
ボトムズ (ハヤカワ・ノヴェルズ)ボトムズ (ハヤカワ・ノヴェルズ)
(2001/11)
ジョー・R. ランズデール

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ボトムズ。テキサス東部の田舎の低湿地帯。八十歳を過ぎた私が老人ホームで思い出す、一九三三年から一九三四年にかけて起こったあの一連の事件…。

ジョー・R・ランズデールは、「モンスター・ドライヴイン」(感想)を読んだきりだったので、この「ボトムズ」表紙の”アメリカ探偵作家クラブ賞受賞”に、「えええ?」と思いながら借りてきました。「モンスターズ・ドライヴイン」、好きだったんだけど、いい意味でとってもB級な感じだったので、”探偵”という言葉に何だか違和感を感じたのでした。でもでも、これがまたしてもいい意味で裏切られて、面白かった~。事件自体は、面白いというものではないのだけれど…。

amazonから引きます。

内容(「BOOK」データベースより)
暗い森に迷い込んだ11歳のハリーと妹は、夜の闇の中で何物とも知れぬ影に追い回される。ようやくたどり着いた河岸で二人が目にしたのは、全裸で、体じゅうを切り裂かれ、イバラの蔓と有刺鉄線で木の幹にくくりつけられた、無残な黒人女性の死体だった。地域の治安を預かる二人の父親は、ただちに犯人捜査を開始する。だが、事件はこの一件だけではなかった。姿なき殺人鬼が、森を、そして小さな町を渉猟しているのか?森に潜むと言われる伝説の怪物が犯人だと確信したハリーは、密かに事件を調べる決心をする―鬼才が恐怖の原風景を描き、最高の評価を得た傑作ミステリ。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。

暗い森の中でハリーと妹トム(トマシーナ)が目にしたのは、死体だけではありませんでした。半身が山羊、半身が人間の姿をしたゴート・マン。大人はその存在を認めないけれど、彼らは確かにその頭に角を見、哀しげな甲高い声を聞いたのです…。

オカルトめいた雰囲気、猟奇的殺人…。こう書くと暗いばっかりなんだけど、裕福とは言えない暮らしの中、テキサス州東部というこの場所で、自分の為すべき事をする、父や母の姿がいいんだなぁ。黒人を差別するのが当たり前のこの土地で、ハリーの父も母もそういった考えは持ってはいないのです。父がこういう考え方や行動を起こす事になった、彼が少年の頃の出来事はやり切れないのだけれど…。

犯人が見つからない中、「二ガー」の死体を調べる父の立場は悪化していきます。二ガーのことはニガーに任せておけ。それがこの土地の一般的な考えなのだから…。黒人の老人、モーズが被害者の遺留品を持っていたことから、父は彼がやっていない事を確信しつつ、事件の進展としてモーズを逮捕します。ところが、このことが漏れたことから、モーズはリンチにより殺害されてしまいます。そうして、強かった父は陰鬱な物思いに沈んでいってしまう…。かつての父の親友であり、母を巡っての恋敵であったという、受け持ち区の違う治安官の警告…。道を見失いかける父でしたが、母やボトムズに骨を埋めたいと、伯母のもとから帰って来た祖母の力もあって、何とか立ち直ります。そうして、対峙した真犯人は…。

それなりに本を読んできちゃうと、やっぱりこいつ胡散臭いな~と思う人間がいるわけで、そういう点ではそう意外な犯人と言うわけではありません。それでもね、ハリーやトムと一緒に暗い闇を歩いた気分になったし、電気も水道もない中、贅沢なんかしようとも思わず、ただひたすら己の仕事をなす姿に打たれました。エピローグで語られる、その後の消息も決して明るいものではないのだけれど、それもまたリアルな人生なのかもしれません。エピローグの最後の台詞がまたいいんだ。これらは恐ろしい出来事だったけれど、楽しいこともまた沢山あった。この恐ろしさ、暗さがきちんと描いてあるから、その楽しさもきっと素晴らしいものだったんだろうなぁ、と感じるのです。川を渡るヌママムシの頭とか、ひーとか思うけど、とってもリアル(あ、これ、楽しい出来事じゃないけど。そして、さらにネットでヌママムシを検索して、その姿に恐れ戦く。Wikipediaにがっつり画像が載ってます)。

ボトムズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)ボトムズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2005/03/24)
ジョー・R・ランズデール

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コメント
ランズ様の作品にとどまらず、文学寄りのミステリで、私はこれが一番好きです。うんこ塗れのハップ&レナードシリーズと同じ作者とは思えない、美しい感動作だと思いました。
【2009/05/12 09:50】 | goldius #ncVW9ZjY | [edit]
goldiusさん、こんばんは~。トラバどもです♪
amazon見に行って、他のランズデール作品を見てたら、ちょうど、goldiusさんの書評がある!、と思ってたんです。
記事もあったんですね。
文学寄りという、「ダークライン」も気になる所なんですが、色々なバランスが良いのは、こちらの「ボトムズ」なのでしょうか。
いい作品でしたよね。
【2009/05/12 23:32】 | つな@管理人 #- | [edit]
こんにちは。
私も、全部読んだわけでは、ないですが、
成長物語みたいな要素もあるし、
ランズデールの作品の中では、一番好きです。

【2009/05/20 01:52】 | indi-book #- | [edit]
こんばんは~。
うわー、すでにランズデール作品の一番の当たりを引いちゃったのでしょうか。笑
あきらめずに「ダークライン」だけは読んでみます。

少年の成長としても、家族の物語としても、とても良かったですよね。
「スタンド・バイ・ミー」みたいな感じで、映画化されてもいいのになー、と思ったんですが、されてないのかなぁ。
【2009/05/20 22:48】 | つな@管理人 #- | [edit]
私もこれ読みました。
11歳の少年の一人称にしては語り口が硬い事と、
ハリーの同年代の友人達がほとんど描かれないのが気になりました。
全体にはは非常にいい作品だと思いました。
ただこの作者、残念ながらこのほかの作品は大した事ないそうで、その後読んでいません。
【2009/05/23 01:54】 | piaa #- | [edit]
piaaさん、こんばんは。
確かに同年代の子供たちがほとんど出てきませんでしたねえ。
私は「モンスター・ドライヴイン」で、初めてランズデールを読んだので、この「ボトムズ」を読んでびっくりでした。
でもね、「モンスター・ドライヴイン」は、いい感じにバカバカしくて楽しかったです。
私はおバカ路線も、もう少し探してみようと思います。笑
【2009/05/25 22:49】 | つな@管理人 #- | [edit]
まずいなあ。なんか読んだような記憶が…。それもさほど昔のことでなく…。
なのに、「ディックの本棚」に感想がないのです。
ああ、いよいよ記憶の崩壊でしょうか…。
え? 2001年刊行?
だとすると、きちんと記録をとっていない時期かも知れません。
【2009/06/15 21:15】 | ディック #22hNL7Yc | [edit]
ディックさん、こんばんは。
いやー、そういうこと、ありますよね。
読んだ本、全てをブログに上げるのも大変ですし。
私もそれなりにあげ損なってる本があります。

あ、でも、記録をとってない頃かもしれないんですね。
メモ書き程度であれ、多少でも書いておくと、頭に沁み込む気がしますよね。
読書ノートには何回も挫折した自分が、ブログを続けられているのも、何だか不思議だなー、と思います。

最近、感想を書こうと思いつつ、結構挫折してしまってもいるんですが…。
【2009/06/15 23:47】 | つな@管理人 #- | [edit]












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【2009/05/12 09:46】
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【2009/05/20 01:40】
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つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
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2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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