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「翻訳文学ブックカフェ」/翻訳者は黒子なのか?

 2009-03-14-22:23
翻訳文学ブックカフェ翻訳文学ブックカフェ
(2004/09)
新元 良一

商品詳細を見る

珍しくも手持ち。といっても、古屋で偶然見つけたんですが。図書館に押されて、ついつい後回しになっちゃったんだけど、これ、すっごい楽しかったーーー! 最近、自分が読むのも、翻訳モノの比率が増えているしね。

帯から引きます。
翻訳の心
  ×
文学の愉しみ

若島正/柴田元幸/岸本佐知子/鴻巣友季子
    青山南/上岡伸雄/小川高義
中川五郎/越川芳明/土屋政雄/村上春樹
錚々たるメンツでしょ? 元々知っている人も知らない人も、訳したを見て分かる人も、それでも分からない人もいたけれど…。

対談って基的に苦手なんだけど、これは楽しく読めたなぁ。対談というよりもインタビューで、これ、インタビュアーである新元さんがきっと巧いんでしょうねえ。取り上げられたトークのほとんどは、ジュンク堂書店池袋店にて収録されたものなのだとか。

翻訳というとテクニカルな話になるのかなぁ、と思ったんだけど、テクニカルな話で面白い部分もあったけど、みなさん、すごくハートで訳されてる感じがして面白かったです。やっぱり、つるっとした訳がいいわけじゃなくって、原文の癖であるとか、ひっかかりを大切に訳されているのは共通していました。原文に対峙しうる日本語を探すことが大切なんですね。

手がける本の見つけ方も、それぞれ面白かったです。海外ならいざ知らず、日本の書店で見つけて、なんてことも実際にはあるんですねえ。どこまで本当のことかは分かりませんが、青山南さんなんかは、翻訳する作家を、写真で決めるのだとか。

翻訳家は黒子なのか、というと決してそんなことはなくて、今ではこの人が訳しているから読もうとか、自身の言葉で書かれた翻訳家のエッセイも楽しんだり出来るし、更には新訳だって色々出ている。幸せな時代ですよねえ。版権の問題とか色々あるだろうけど、色々な人の訳で読むのも楽しいのかも。

とはいえ、この作家はこの翻訳家じゃなくっちゃ!、というのもあって、小川高義さんの項で言えば、その扉にも書いてあるんですが、「ラヒリは俺の女だ!」発言なども飛び出ています。笑 勿論、冗談ではあるのだけれど、ちょっとドッキリする発言ですよね。でも、作家と翻訳家の名コンビ。素敵ですよね。

全てに色々気になるところはあったけれど、一番びっくりしたのは、土屋政雄さんの項。「日の名残り」の端正な世界が印象深い土屋さんですが、実は文学作品以外にも、コンピュータのマニュアルを訳されることもあるのだとか。意外だなぁ。

同じく土屋さんのところで言うと、その作品の世界を作るため、文体を掴むまでに、小説の推敲作業にかける姿勢に心を打たれました。みなさん、それぞれ色々なやり方があるのだとは思うのですが・・・。

手順としては、ある程度いくまでは、作品の初めから昨日までに訳した部分を全部読み直す。これを必ず毎日やります。原文に対してこれで必要十分な日本語か。違和感があったら、どんな小さな部分でも直す。それを直すことで、ほかにも直す必要のあるところが出てきますから、それもどんどん直す。それを終えて、まだ時間が残っていれば、初めて今日やるべき未訳の部分を訳します。次の日、また同じことを繰り返す。こうやって、もう句読点の位置まで変えるところがない、というところまできっちり決めていきます。

この本、一回読んだだけでは、この情報量をとてもこなせない感じ。いいところは、「これから訳してみたい本」についても、インタビューしてるところなんですよね。その後を考えると、実際に出ているものもあったりとか。ジェフリー・ユージェニデスについて、柴田さんがヘンな作家だ!、って仰ってるところも、何だか嬉しかったなー(既読本:「ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹」、「ミドル・セックス」)。私もヘンだと思うけど、何だか惹きつけられる作家なんです。とにかく本の、作家の話題がいっぱいで、にんまりしてしまう一冊なのでした。楽しかったー! 本の雑誌社、素敵です。

【追記】
そうそう、これについてメモっとこうと思ってたのに、すっかり忘れていたのでした。

青山南さんの項で、創作科の話が出てたんです。あのアーヴィングやレイモンド・カーヴァー(こっちは読んだことないけど)も、先生をしていたことがあるのだとか。

創作科というのは、最初は文学なんて教わるもんじゃないと、バカにされてきたそうだけれど、今アメリカで活躍している作家はほとんど創作科の出身なんだって。創作科を出ると創作科の先生になる。すると、生活が安定して一年に一冊本が書ける。そして、そこの生徒が…、というように再生産のような広がりがあるのだとか。で、アメリカ中の大学にそういう創作科があるから、層の厚さはすごいものになるわけですね。波及効果でイギリスも同じ状況で、カズオ・イシグロとかイアン・マキューアン(こっちも読んだことないけど)も創作科の出身なんだって。

日本では、こういう取組みはないのかしら。アーヴィングの授業なんて、「昨日こんなものを書いたんで、今日の授業はこれを読む!」と、自分の小説を読み、「どうだ、いいだろう」と言っておしまいだったんだそうな。ま、これは創作科の創成期の話らしいんですが、創作科って面白そうな場所だよなぁ、と思ったのでした。そうやって、生活が安定するのもいいことだしね(って、本をあまり買わずに、図書館でばかり借りている私の言う台詞ではないかもしれませんが)。
目次
Day1
若島正
Day2
柴田元幸
Day3
岸本佐知子
Day4
鴻巣友季子
Day5
青山南
Day6
柴田元幸
Day7
上岡伸雄
Day8
小川高義
Day9
中川五郎
Day10
越川芳明
Day11
土屋政雄
Day12
村上春樹
 あとがき

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Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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