「犬は勘定に入れません」/猫もいます
![]() | 犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 (2004/04/17) コニー・ウィリス 商品詳細を見る |
もうねー、ほぼ二週間これを読んでいて、遅々として進まなかったんだけど、途中からはぐんぐん面白くなってきて、いやいや楽しい読書でしたよ。ま、531ページ二段組みというのは、それなりのボリュームでもあるわけですが。
物語は主人公らしき人間とその他数名で「主教の鳥株」とやらを探している場面から始まります。ところが、最初の方はほんとに何が何だか分かりません。実は彼らは「ネット」を使って「降下」してきた時空旅行者で、レイディ・シュラプネルという強権を振るう女丈夫の命により、血眼になって「主教の鳥株」を探している真っ最中。
レイディ・シュラプネルの一大プロジェクト、コヴェントリー大聖堂の復元のために、彼女はその強権を用いて、オックスフォードの中のほとんどすべての学生を徴集していたのです。「神は細部に宿る」。レイディ・シュラプネルは少しの齟齬も許さず、学生たちをあらゆる年代に「降下」させ、あらゆる事象を調査させるのですが…。
そんな中、主人公である史学部の学生、ネッド・ヘンリーは重度のタイムラグ(時代差ボケ)を患っているとされ、現代(二〇五七年)に戻されてしまいます。看護婦からはベッドでの安静をすすめられたけれど、レイディ・シュラプネルはもちろんそんなことを許しはしません。ネッドは彼に同情したダンワージー教授により、19世紀のヴィクトリア朝に派遣されます。ある簡単な任務を果たしたのち、テムズ河でのんびりすると良いと言われたのですが…。問題はネッドがタイムラグにより、ダンワージー教授から託された任務を聞き取れなかったこと。
自分の存在が時空連続体に影響を与えるのでは?、と怯えながら、ネッドはビクトリア朝に飛び込んでいくのですが…。そこにいたのは、ネッドが二〇五七年で一目ぼれしていたヴェリティと、レイディ・シュラプネルのひいひいひいひいお祖母さんであり、コヴェントリー大聖堂の復元や、「主教の鳥株」捜索の元凶でもあるトシー。
段々と分かってくるのは、ネッドとヴェリティが既に時空連続体に影響を与えてしまったこと。ヴェリティが二〇五七年に持ち込んでしまった、猫、プリンセス・アージュマンドは、ネッドが飼い主のトシーの元に戻すはずだったのに果たせず、さらにネッドはモードとテレンスの出会いを阻害し、テレンスはトシー(未来ではCがつく誰かと結婚しているはず)と婚約してしまった!
未来はいったいどうなってしまうのか? そして主教の鳥株の行方は?
すべてにちゃーんと説明がされるんだけど、探偵役のネッドとヴェリティの関係も楽しいし、テレンスの飼い犬、ブルドックのシリルとプリンセス・アージュマンドの関係も楽しい(何かというと、プリンセス・アージュマンドのパンチがシリルに綺麗にヒット)。「犬は勘定に入れません」の元ネタである(読んでないけど)、「ボートの三人男」となった、ネッド、テレンス、ぺディック教授(隙あらば釣りをする)の旅路も楽しいです。
ヴェリティは一九三〇年代が専門のミステリおたく。ノリノリで探偵ごっこをやり始めるあたりも実に可愛いのです。普段はしっかり者で、むしろネッドにばしばし指示しちゃうような方なんだけど。
コニー・ウィリスは二冊目。両方とも大森望さんの翻訳だったんですが、大森さんの翻訳によるものか、突っ込みなんかがすっごく楽しいんだよねえ。キャラたちまくりの登場人物たちも楽しかったです。





