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「至福の味」/最後の晩餐
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料理評論家として栄華を極めた男。しかし、彼の命はあと僅か…。グルネル通りの寝室に横たわる彼の回想と、彼の周囲の人々の独白が交互に続く。浮かび上がる男の姿とは…。
男が追い求めるのは生涯最高の味。最後の晩餐として、その味をもう一度食べたいというのが男の願い。男は思い出すことが出来るのか?
フランス最優秀料理小説賞受賞作とのことなんですが、そもそも「料理小説」ってそんなにはないんじゃないかなーと思ったり、すごい限定だよなーと思ったり。
男が思い出す、祖母や伯母が作ってくれたという、素朴な家庭料理は確かに美味しそうなんだけど! 家庭も顧みずにひたすら美食を追い求めたこの男。それでも、妻は彼の面倒を最後まで見たのだから、それでいいのかもしれないけれど、周囲には彼のせいで傷ついた人たちが沢山。彼らの独白を読むうちに、すっかり彼らに同情してしまい、主人公たる男がただの自己チュー男にしか見えず、いっそ思い出せなくてもいいんじゃないの?、などと思ってしまいましたよ。多少におとぎ話的なところもあるけれども、私にはちょっと合いませんでした…。
食の追求としてはそれでいいんだろうけれど、「美味しんぼ」の海原雄山親子の確執ではありませんが、食に纏わる確執は根が深いのだと思うのです。その確執はそのまんまにして、自分だけすっきりって何さーー!!と憤ってしまいました。いや、この小説の読みどころは、きっとそこではないのでしょうが。そして、表紙の雰囲気は好きなんだけどさ。
もともと、著者ミュリエル・バルベリの他の本を読みたいなぁ、と思っていて、でも、そちらの設定の匂いにちょっと腰が引けて、こちらを借りてきたのです。「至福の味」もamaoznでは高評価なんだよね。うーん、ミュリエル・バルベリさん、私には合わないのかなぁ。「至福の味」も自分だけがトクベツ!な男の話なんだけど、こちらの本も、自分の知性を隠す未亡人に天才少女、ミステリアスな日本人の紳士と、非凡なことを前面に押し出している感じなんだよね。読んでないくせに雰囲気だけでいうのもなんですが、非凡なことってそんなに偉いの?、と思ってしまうのだよなぁ。
![]() | 優雅なハリネズミ (2008/10/09) ミュリエル・バルベリ 商品詳細を見る |