「非正規レジスタンス」/IWGP8
![]() | 非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク8 (2008/07) 石田 衣良 商品詳細を見る |
目次
千川フォールアウト・マザー
池袋クリンナップス
定年ブルドッグ
非正規レジスタンス
■千川フォールアウト・マザー■
シングル・マザー、ユイの苦しみ。彼女に自らの経験を踏まえて、ある道を示したのはマコトの「おふくろ」だった。ユイの子供、カズシの転落事故などは、どこかで起こっていても不思議ではない事件。わたしたちはその背景を知ることもなく、若い母親を無責任だと責めるけれど…。その裏にはこんな事情がないとも言い切れないよなぁ。
■池袋クリンナップス■
池袋の街を再開発したデベロッパーの息子、カズフミは池袋の街で清掃活動を始めていた。黄色いバンダナをつけた、平和的集団、池袋クリンナップス。ところがこのカズフミが、父親の強引な事業の進め方のせいか、誘拐されてしまう。マコトはカズフミを救出するための協力を求められるのだが…。
■定年ブルドッグ■
どうしようもないS男に引っかかってしまった、警察官の娘、ハルナ。ハルナの行動もあまり褒められたものではないけれど、S男、カズマは、ハルナの父と、ハルナそれぞれに写真をばらまき、脅してきたのだ。父と娘の物語であり、警察官の父と「定年ブルドッグ」である大垣の友情の物語でもある。
■非正規レジスタンス■
池袋の街でマコトが知り合った、まるで難民のような生活を送るサトシ。そんな中、日雇い派遣で生きのびる彼らが、何者かに襲われるという事件が相次ぐ。マコトは派遣会社、ベターデイズに登録し、スタッフ番号I128356の真島として、その内情を探ることになる。
これが、池袋の、日本の「今」だとするならば、今回はまた随分と暗い話ばかりだなぁ、と思いました。相変わらず、石田さんの「今」を切り取る文章は見事なんだけどね。
たとえば、「非正規レジスタンス」における出だしはこんな感じ。
ベターデイズは、まんまグッドウィルのあの事件ですね。安全ネットもなく、連帯感もなく、日々漂うしかない若者たち。この中にも東京フリーターズユニオンなる団体が出てきますが、実際にもこういった団体が出てきているのですよね。安く使い捨てできる人材を求める企業の姿勢は、一度その旨味を知ってしまっただけに、本当に変わることが出来るのかしら、と思うけれど、やっぱりこのあたりの歪さはどこかで是正するべきだよねえ。働いて、評価されて、経験を積み上げることは、純粋に喜びだもの。ただただ労働力を提供するだけでは、擦り切れていってしまうよなぁ。おれたちの生きてるこの国では、二十四歳以下の若いやつらの半分が透明人間だって、あんたはしってるかい?
やつらはこぎれいな格好をして、こまめにシャワーを浴び、外見はまるでうえの階級に属する正社員の若者と変わらない。憲法で保障された生存権を脅かす貧しさは、巧妙かつ必死に隠されているのだ。すえた汗のにおいはしないし、髪型だって普通。女だったらきちんと化粧もしているだろう(デパートの試供品なんかでね)。
だが、誰も気にとめない透明人間をよく見てみると、悲惨な実態がわかってくる。




