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「見知らぬ場所」/ジュンパ・ラヒリ、三作目

 2008-11-03-10:26
見知らぬ場所 (Shinchosha CREST BOOKS)見知らぬ場所 (Shinchosha CREST BOOKS)
(2008/08)
ジュンパ・ラヒリ

商品詳細を見る

ジュンパ・ラヒリ三作目の本書は、短篇と、連作短篇とでもいうべき中編からなっています。そして、フランク・オコナー国際短篇賞受賞作だそうであります。

フランク・オコナー国際短篇賞って何?、と思ったら、あの、イーユン・リーの「千年の祈り」(感想)が第一回の受賞作だそうな。主催はアイルランドのマンスター文学センターというところで、2005年に創設とのこと。比較的若い賞のようですが、村上春樹氏も受賞しておられるそうですよ。
目次
 第一部
見知らぬ場所 Unaccustomed Earth
地獄/天国 Hell-Heaven
今夜の泊まり A Choice of Accommodations
よいところだけ Only Goodness
関係ないこと Nobody's Business
 第二部 ヘーマとカウシク
一生に一度 Once in a Lifetime
年の暮れ Year's End
陸地へ Going Ashore

訳者あとがき
第一部はそれぞれに関連のない短篇、第二部が連作になります。

移民一世ではなく、今回は完全に二世の方に話の軸が移っています。子供のころは、両親により、毎度お決まりのインドへの里帰りに付き合わされたものだったけれど、成長した彼らは違う。彼らの伴侶となったのも、たいていは同族ではない。両親とは違う形で、アメリカの地に根をおろしながら、両親のこと、家族のこと、自分が作った家庭を想う…。インド的なもの、移民的なものが、だんだんに喪われていくからといって、完全になくなってしまうわけではないんだけれど、たいていはそれらを共有することはもうなく、個人としての思い出になってしまっている。

しかしまあ、インドからやってきて、アメリカに完全に根を下ろす。それはきっと並大抵のことではなくて、子供たちも男であれ、女であれ、ほとんどが武装のように素晴らしい学位や仕事を獲得しているのです。そういう意味で、ラヒリの作品は、別にそれでどうというわけではないのだけれど、インテリの作品なのだなぁ、と思います。唯一のドロップアウトというべきは、「よいところだけ」の主人公、スーダの弟、ラフールや、連作「ヘーマとカウシク」のカウシクかしらん。

社会的にも成功して、家庭だって成功を収めているように見える。それでも、どこか自信なさげ、心がどこかに飛んでいるように見えるのも、またラヒリの登場人物たちの特徴でしょうか。伴侶を見つけ、子どもたちが順調に成長していっても、それはなんというか、その個人としての満足には繋がっていないような…。もちろん今の状態が幸せであることを理解しつつも、子供たちが出来たことで、夫婦としての時間を楽しめなくなってしまった、一人の時間が何よりも大切になってしまったと嘆く、「今夜の泊まり」におけるアミットなど。

個人である前に、誰かの妻であり、夫であり、父であり、母であるだけでは、充足出来なくなっているわたしたちの自由。カウシクを思いながら、ナヴィーンの子を産むヘーマは幸せだったのでしょうか。

どれも印象深いお話ですが、表題作の「見知らぬ場所」の父と娘の互いに遠慮し合った愛情が良かったです。それでも、最後に父はルーマの父親であることよりも、自分であることを選ぶんだよなぁ。ジュンパ・ラヒリのこの短篇集。私にはとても現代的であると思えました。
☆関連過去記事☆
・「停電の夜に」(感想
・「その名にちなんで」(感想

・「喪失の響き」(感想
ジュンパ・ラヒリのものではないのだけれど、インテリではないインドがここにはあります。「喪失の響き」はブッカー賞受賞作でもあるし、著者、キラン・デサイがインテリじゃないわけがないとは思うけれども(母、アニタ・デサイも著名な作家だそうです)。
コメント
つなさん、こんにちは~。

>社会的にも成功して、家庭だって成功を収めているように見える。それでも、どこか自信なさげ、心がどこかに飛んでいるように見える

確かにその通りですね!
私は今回、なんでこんなにみんなインドを感じさせないんだろうっていうのに
すっかり気が取られてしまいまいました。
英語を話すことには既に何の問題もないし、そうなると肌の色とか顔立ちとか
その程度のことには周囲も特に反応しなくなってますしね。
本人もインドとアメリカの間で揺らいでアイデンティティの葛藤をするようなことは
すっかりなくなっているし…
第一世代と第二世代というのは、これほどまでに意識が違うものなのか!って。

でも、つなさんの感想を拝見して「なるほどー!」です。

キラン・デサイの描くインドは、また全然違いますね。
確かにインテリではないインド。
インドは奥がとっても深そうです。迷い込んだら抜けられなくなりそう。(笑)
でも惹かれます。
【2009/01/21 09:01】 | 四季 #Mo0CQuQg | [edit]
四季さん、こんばんは!
わーい、トラバありがとうです。
私の方からのトラバは、最近、うまくいかないみたい~。
fc2のブログが迷惑トラバを打ってるせいで、一般の私からのトラバもはじかれてるんじゃないかなぁ、と勝手に思っています…。

さて、ご賛同(笑)、ありがとうございます♪
なんだかこういう浮遊感が、現代的なものであるように思えるんですよねえ。

インド、すっかり感じさせなくなっていましたね。
もっと見えない奥の方に潜んでいるのでしょうねえ。
関係ないけど、日系アメリカ人などは、いくら外見に日本を感じようとも、三世あたりから完璧にその中身はアメリカ人と聞きますが・・・。
インドの場合でも、二世から三世に更に代が移った場合、また違った物語が描かれるんでしょうかねえ。

ああ、あれからキラン・デサイも読んでないんでした。笑
他の本でも、やはり混沌としているのかしら。
インドは広いですものねえ。
以前、カレーの本を読んだ時に、地方によってカレーが全く違うのだと聞きかじりました(いや、それは食べ物の話ですが。笑)。

あ、そうそう、「翻訳文学ブックカフェ」ですが、これ、私古本屋で偶然発見しまして。
わが図書館にもないみたい~。
でも、ぼちぼち読んでると、いろいろ面白いです♪
その内、ここでも紹介しますね。
【2009/01/23 00:24】 | つな@管理人 #- | [edit]












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【2009/01/21 06:55】
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つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
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