「人喰い鬼のお愉しみ」/マロセーヌ・シリーズ1
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利用図書館の新着案内を何よりの楽しみにしているわたくし。たまたま気になったのが、このマロセーヌ・シリーズの三作目だったのですね。よく見たら、一作目も図書館にあったので、まずはそちらから借り出してまいりました。
しっかししっかし、これがめちゃくちゃ小ネタ的というのかなー、これがフランス的というのかなー、ごちゃごちゃとフリルがついた小説なわけです。この一週間、これと舞城王太郎の小説を併読してたのですが、ちょっと辛いものがありました。多分後で書くけど、舞城さんの「ディスコ探偵水曜日」にも、「人喰い鬼」的な要素があったしなー。
さて、マロセーヌ・シリーズというだけあって、主人公は当然マロセーヌ君(バンジャマン・マローセヌ)なわけですが、彼の職業は少々変わったもの。デパートのスピーカーから降る、軽やかで優しげな声が今日も呼ばわる。「マロセーヌさま、お客様ご要望コーナーまでお越しください」。
マロセーヌは、一応デパートの品質管理係ということになっているのだけれど、実際に彼がやる仕事といえば、品質管理などではなく、それは客のクレームに対する生贄の山羊。責め立てられるマロセーヌに同情し、客はそれまでの自分の要望を引っ込めるのだ。まさに見事な悪党どもの連繋プレー。勿論、マロセーヌはそんな仕事に多少嫌気がさしてもいるのだけれど…。
そうはいっても彼には養わなければならない弟妹がいる。漂泊の旅人のような常に家出中のマロセーヌの母は、父親の違う子供を産んでは、「私のおおちびさん」であるマロセーヌに、彼らの世話を任せているような状態なのだ。
さて、マロセーヌが勤めるデパートで爆発事件が相次ぐ。生憎なことに、いつも現場に居合わせるのはマロセーヌ。そろそろ警察の目も厳しくなってくるところ。この事件はいったい何のために起こっているのか??
ここで、「人喰い鬼」というタイトルが効いてくるんですねー。一見、何の関係もなさそうだった、マロセーヌの弟が描く人喰いサンタクロースの絵なんかも効いてくるし。
このバンジャマンを入れて五人の兄弟たちは、それぞれに問題を抱えているんだけど、彼らを棄てた様な形になっている母を含めてさえ、いい家族なんだな。健康的とは言い難い、バンジャマンがちびに聞かせてあげる彼の作り話だって、それは彼らの絆なわけだし。中絶しようとしている妊娠中の妹ルーナ、何でも写真に撮ることでどうにか世界を理解出来る妹クララ、占いと神秘主義に傾倒する妹、テレーズ、実際に爆弾を作って見せちゃう弟、ジェレミー、人喰いサンタを描いて女教師を驚愕させる、ちび。揃いも揃って、個性的。
その他にも、バンジャマンの同僚で、同性愛者のテオ、テオが君臨する売り場を徘徊する小爺(おじい)たち、忘れてはならない、バンジャマンの飼い犬、ジュリユスなどなど。ジュリユスの匂いには勘弁ーですが、脇も色々面白いのです。あと、同僚たちの声にもめげず、バンジャマンを信じるクードリエ警視長とか。
読みづらかったと文句をつけた割には、意外と褒めてますが、これは読んだ後の方が、じわじわ面白かったな〜、と思う類の小説みたい。ちらほら見たところでは、続く作品でも、せっかくデパートを辞めたというのに、バンジャマンの生贄の山羊(スケープゴート)的人生は続くみたい。続きも読んでみようかな。
私が読んだのは、全8冊から成る「新しいフランスの小説」のシリーズの内の、単行本ですが、amazonで表紙が出てきたものを載せています。




