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「サーカス象に水を」/解き放たれて

 2008-09-14-00:08
サーカス象に水をサーカス象に水を
(2008/07/10)
サラ グルーエン

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印象的かつミステリアスなタイトルに、この雰囲気のある表紙。ぐっと惹きつけられたんですが、最初の印象は全く裏切られず面白かったです~。

「プロローグ」で語られるのは、緊迫したサーカスの場面、そこで行われたある殺人の様子…。七十年間、誰にも話さなかったというこの謎は、後になって解かれるし、ミステリー的要素もあるんだけど、語られていく他の要素に目を奪われちゃって、正直途中忘れかけていました。

時間軸は二つ。

九十歳、もしくは九十三歳(ここまで来たら、その三歳の違いにどれほどのことがあろうか?)の頑固爺さんの「わたし」を巡る時。二十三歳の「ぼく」を巡る時。

名門、コーネル大学で、獣医師としての資格を取るばかりになっていた「ぼく」を襲ったのは、両親の交通事故死という不幸だった。不況やその他の不幸な状況が重なり、「ぼく」は継ぐはずだった、父の医院兼住居、財産の一切を失うことになる。卒業試験を白紙提出した「ぼく」は、勢いで汽車に飛び乗ってしまう。それは、<地上最大のベンジーニ・ブラザーズ・サーカス>のサーカス列車だった…。

一方の老人となった「わたし」。「わたし」が暮らす、介護付きの居住施設の近くにサーカスがやって来る。「わたし」はサーカスで暮らした短くも濃密な四ヶ月を思い出す…。

いかにも自信なさげで、まだ何者でもなくおどおどした感じもある「ぼく」と、癇癪を爆発させる「わたし」との乖離に、最初は戸惑ったんだけど、最後まで読むとこの二人の人物が、全く同じ人物であることが良く分かるのです。

妻が死に、その後の一人暮らしで腰の骨を折ったことから、「わたし」は子供たちに体よく老人ホームに入れられてしまうのだけれど、時に記憶が混濁し、自ら忘れっぽいことを認めてはいても、「わたし」は人間としての誇りを失っていない。幼児のように扱われることに我慢が出来ず、食事だってきちんと歯があり、消化が出来る人間のものを食べたいのだ。とはいえ、それは大勢の高齢者に対応する施設では難しいことで、「わたし」は苛立ちを募らせる。

「ぼく」が送ることになったサーカスでの生活は、冷静に考えると不潔だったりもするんだけど、裏方とパフォーマーとの垣根を越えた、ピエロのキンコー(ウォルター)との友情、「ぼく」、ジェイコブ・ヤンコフスキを助けてくれた老人、キャメルへの恩返し、運命の女性との恋など、語られるエピソードはいずれも魅力的。ある意味、性格破綻者でもあるような、団長のアンクル・アル、すこぶる魅力的に振る舞うことも出来れば、狂人としか思えない振る舞いをする演技主任兼動物監督のオーガスト、気のいいストリッパー、バーバラなど、サーカスの仲間たちもいいスパイス。放浪とはまた違うんだろうけど、町から町へと列車で渡り歩いていく、サーカスでの生活は、やはり自由。この自由にはなかなか大きな代償が支払わされることもあって、サーカスの経営状況が芳しくない場合、夜の間に、裏方の男たちが列車から落とされるという噂も付いて回る。

獣医学を学んだことを買われて、ジェイコブが面倒を見るようになったサーカスの動物たち。マーリーナの馬たち、シマウマ、キリン、ライオン、ホッキョクグマ、オランウータン、チンパンジー…。そうしてやって来た象のロージー…。「サーカス象に水を」とタイトルに「象」が入るだけあって、この象のロージーがとても可愛らしくてチャーミング。能なしと蔑まれていたロージーだけれど、ジェイコブがある事に気付いてからは、彼女と心を通わせることが可能になる。ロージーとマーリーナのステージは、実際に目に見えるよう。

この物語が秀逸なのは、この爺さんとなったジェイコブの日常が入るところでしょう。若き日のジェイコブのような話を読むことはあっても、これが老人となった主人公と対比されることはなかなかないような気がします。しかも、時に涙もろく、強気の影に淋しがり屋の素顔が見えども、まだまだガッツを失っていない爺さんだしね。

誰ともなかなか心を通わせることが出来なくなっていた、ジェイコブの心にすっと入りこんでいた看護師のローズマリー。しかし、彼女もまた、事情があってこの施設から離れなければならなくなっていた。ラストはそう来るかーー!!という感じだったんだけど、確かにそうしかあり得ないかも。本当の意味での「自由」を考えてしまいます。巧いよなぁ。
コメント
そしてこちらにも~。

そうそう、初っ端から殺人が出てくるんですよね。
だからミステリでもあるんですけど
私も読んでる最中はそのことはすっかり忘れてました。(笑)
それより、その後どういう人生を送って今この状態になってるのか
そっちの方が気になってしまって
プロローグの記述から、かなり予想はしてたんですけど
ちゃんと明らかになるまではドキドキでした。(^^ゞ
いや、ほんと何もかもが良かったです。

ロージーも可愛かったですよね。
あの大きな身体で可愛いのって、ものすごく可愛いなって思いました~。
って、なんだか意味不明な文章ですが、伝わりますか?(笑)
【2009/02/27 08:09】 | 四季 #Mo0CQuQg | [edit]
あ、あっちでいい忘れちゃいましたが、トラバありがとうございます♪

わー、四季さんもそうでしたか?笑<忘れちゃう
間がぽーんと飛んでますものね。
これ、タイトルも表紙も好きで。
雰囲気がとてもいいですよねえ。
四季さんとこで話題になってた、昔話に怒った件は、単純に「そんなんで水やったっていうな!!」って、頑固爺的に怒ってるんだと思ってました~。
タイトルにもなってるし、他にも重要なことがあったのかしら?

うふふ。ロージー可愛かったですよね。
伝わりましたよう~。
ロージーにとってジェイコブは、ようやく現れた理解者でもあるわけですもんね。
【2009/02/28 22:05】 | つな@管理人 #- | [edit]
つなさん、こんばんは!
今日ね、図書館で仕事中に「サーカスの犬」なんて本を見つけたんですが
これが「サーカス象に水を」と同じ雰囲気の表紙なんです。
もしや同じ人が描いてるのかしら?
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334961665/

既にいっぱい借りてるので、今日は見送ってしまったんですが
でもでも気になる! やっぱり借りてくれば良かったーと思ってしまいました。
つなさんはこの本、ご存知でした?

サーカス象の水の件は、つなさんもそう思ってらっしゃいましたか。
やっぱりそんなとこですよね、きっと。
【2009/03/01 20:04】 | 四季 #Mo0CQuQg | [edit]
四季さん、こんばんは~。
うわー、ほんとに似てる!!
内容にも心惹かれるなぁと思って(というわけで、この本のこと、全然知りませんでした)、わが図書館で検索してみたんですが、どうも蔵書に入ってないみたい…。がーん。
そんなに新しい本ってわけでもないから、これから入るわけでもないだろうしなぁ…。
でも、この本を探している内に、気づけば全然違う本を予約してました。笑

ところで、「既にいっぱい借りてる」ところに、とっても共感です。笑
そういう時に(いつも?)限って、気になる本が出てきちゃうんだけど、そのくせ、次に行った時には見つけられなかったり、忘れちゃってたり…。
それも含めて出会いなのかしら、なーんて思うんですが。
でも、図書館が仕事場だと、次から次へと気になるものが出てきちゃうのでしょうか。笑
ちょっと羨ましーです。笑

サーカス象の水の件。やっぱそれでいいんですよね~。
知った風なこと言われたら、私もやっぱり怒るかも。笑
年をとったら、頑固ばあさんになっていたりして。
【2009/03/02 00:27】 | つな@管理人 #- | [edit]












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【2009/02/27 07:56】
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つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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