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「八日目の蝉」/暗い場所から出た先には

 2008-09-04-23:04
八日目の蝉八日目の蝉
(2007/03)
角田 光代

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やっぱり、角田さん好きだーーーー!!

暗く救いのないような話を書いていても、絶対、それだけじゃあないんだよね。それでもなお、人の心の力、人の強靭さを信じているというか…。

不倫相手の子を中絶し、その代わりのように、彼の家庭から生後間もない赤ん坊を連れ去り、逃げ続けた女。それが、0章と1章の語り手である、野々宮希和子。「どうか、この子と一日でも長くいられますように」。薫と名付けたその子との生活を望む、希和子のその願いは随分と身勝手なようにも思えるのだが…。勿論、普通に逃げ続けたのであれば、希和子はとっくに捕まっていた。昔の友人のもと、地上げに抵抗していた女性のもと、怪しげな宗教団体のようなエンジェルホーム、エンジェルホームで知り合った久美の実家がある小豆島。転々と居を移すことで、彼女の約四年にわたる逃亡は可能になった。エンジェルホームでは、エンゼルさんという中年女性に新しい名を貰い、人々は財産を含む現世での様々な執着を手放し、考えることを放棄する…。

2章からは、その子、”薫”が語り手となる。彼女もまた、最初は知らなかったこととはいえ、妻子ある男性との恋に苦しんでいた。そんな彼女の前に現れたのは、エンジェルホームで”薫”と一緒だったという、マロンこと千草。

彼女たち二人は、自分たちの意志ではなく特殊な育ち方をしてしまった。地中から出て、七日目に死んでしまうという蝉。生き残って、他の仲間たちが見ることがかなわなかったものを見られるのが、八日目の蝉。それは不幸なのか、幸福なのか。

”薫”が希和子から引き離され、取り戻されたその家庭は、決して明るく暖かい家庭ではなかった。逃げ続ける父、子供のような母。それでも、その家庭は彼女の家庭であり、母は彼女の母であった。四年間、なにくれとなく”薫”の面倒をみ、慈しみ育てた希和子と何ら変わることなく…。”薫”は一番の被害者であるのだろうけれど、弱い母、父もそれぞれに当事者であったのだ。普通では見られなかった景色をたくさん見てしまった彼ら。それでも、出来ることは憎むことだけではないはずなのだ。

小豆島の風景が美しいです。海と空と雲と光と。
コメント
こんばんわ。TBさせていただきました。
ずしっとくる作品でした~。
角田さんの作品、私も好きです。
この作品は難しいなぁと思います。
希和子のした事はいけないことだと思うんですけど、
本当の両親以上に自分を犠牲にして薫を育てていたと思いますし、
だから許されるっていうわけじゃないのですが…。
なんて、いろいろぐるぐる考えていました。
深いです。
【2008/09/05 20:46】 | 苗坊 #O4RQWoCY | [edit]
苗坊さん、こんにちは。
うんうん、ずしっと来ました~。

希和子のした事はもちろんいけないことなんですけどね…。
彼女に出来るだけの愛情をこめて、薫を育てていたこともまた事実なわけで…。
薫が連れ戻された家庭は、理想的な家庭というわけではなかったけれど、憎むだけ、相手を責めるだけでは何も始まらないわけで、色々な事を赦せたから、あのラストの海と空と雲と光があるんじゃないかなぁ、と思いました。

人間はたくさんの間違いを犯すものだけれど、それでも、それを赦して一緒に生きていけるんじゃないかなぁ、と。
希和子のその後も気になりますが・・・。
【2008/09/06 16:24】 | つな@管理人 #- | [edit]
この本は、ほんとめちゃくちゃ面白かった、、。
逃亡中の潜伏する場所も、けっこうリアルというか、描写が
なんかありそうで、面白かったです。
<ネタバレ>
ラスト二人の出会いを、描かず、読者にゆだねた角田さん、ズルイよ、、、。
でも、いいです。

【2009/02/12 00:40】 | indi-book #- | [edit]
indi-bookさん、こんばんは。
トラバありがとうございます~。

うんうん、潜伏場所の辺りでは、ちょっと桐野夏生さんを読んでいるような気分にもなりました(なんか、ありそうじゃありません?)。
ああいう場所には、実際に身を隠している人もいるのかもしれませんね。

ラストも、うん、そうですよね。
あの情景も含めていいなー、と思いました。
【2009/02/13 23:53】 | つな@管理人 #- | [edit]












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