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「ハドリアヌスの長城」/牢獄からの解放

 2008-08-25-23:31
ハドリアヌスの長城 (文春文庫)ハドリアヌスの長城 (文春文庫)
(2000/12)
ロバート ドレイパー

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主人公である、ヘイドリアンは二重の意味で囚われ人であった。十五歳の誕生日(十五歳以上は、成人と同様に裁かれる)に犯した殺人の罪によって、その後、仮釈放を目前にした時期の脱獄によって。また、ある悪魔に魅入られてしまった罪によって…。

清廉潔白な父を持つヘイドリアン。古い森の人であった祖父は、最初の孫であり、息子の長子である彼に、アール三世という名を付けようとしたが、ヘイドリアンの父はそれを拒否した。父は息子に一族の伝統を束縛と感じさせたくないといい、偉大なローマ皇帝にちなんで、ヘイドリアン(ハドリアヌス)という名を選んだのだ。

「なんでも楽々できたとかいう男の名前を息子につけるというのか。息子に、ただのアールでいるのでは足りないというのか……おまえも王様になれと息子に言うのか……信じられるか……」

様々な重圧が、まだ少年だったヘイドリアンを歪めたのか。彼の罪は、ただ偽の光に魅入られてしまったというだけであったのに。

ヘイドリアンや、親友ホープ、彼の運命の女、ジルが育ち、暮すのは、テキサス州にあるシェパーズヴィルという架空の町。シェパーズヴィルは、刑務所を一大産業とする町。囚人が町を清掃し、農場で収穫をし、テキサス州矯正施設庁長官の家のシェフをし、ハウスボーイを務めるそんな町…。そこには、利権があり、犯罪があり、親子2代にわたる付き合いがある。

文庫裏にあるこの本の紹介は全くの的外れ。

テキサス州シェパーズヴィル。この町では15万人の囚人を収容する州立刑務所が唯一最大の産業だ。ある日、仮釈放寸前に脱獄、8年も逃亡していた殺人犯ヘイドリアンが帰ってきた。幼友達で矯正施設庁長官に納まっているソニーが彼の特赦を認めさせたからだ。ヘイドリアンの帰郷に動揺する住民―監獄の町に仕掛けられた罠とは?

ヘイドリアンの帰郷に住民は全く動揺などしていないし(だって、ここは刑務所の町、シェパーズヴィルなのだ)、むしろ彼を迎える旧知の人々は本質は何も変わっていないと言えるでしょう。偽の光に惑わされていたのは、ヘイドリアンだけではなく、町の人々もまた。

結構、なっがい話なんですが、ずーっと読んでいくと、最後は爆発的だと思います。ここまで読んで良かったー!、と思いました。

その土地の旧家であるエステル家の父娘には、「風の影」を思い出したんだけど、そこまでロマンチックではなかったみたい(というか、見損なったよ、ひどいよ、ジル!)。

誰もが幻惑されずにはいられなかった、ある光。その光から逃れたときに、ヘイドリアンの本当の人生が始まるのでしょう。

訳者あとがきによれば、ロバート・ドレイパーの次の作品は、イタリアのベニスに場を設定し、本作とはまったく趣向の異なる作品になるのだとか。洋書を探してみても、それらしいものはないんだけど…。次作もぜひ読みたい作家でした。

洋書の乾いた雰囲気も、和書の壁と影が印象深い装丁も、両方いいなー。
Hadrian's WallsHadrian's Walls
(1999/05)
Robert Draper

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