スポンサーサイト

 -----------:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
カテゴリ :スポンサー広告 トラックバック(-) コメント(-)

「ザ・ロード」/その道の先に

 2008-08-18-23:04
ザ・ロードザ・ロード
(2008/06/17)
コーマック・マッカーシー

商品詳細を見る

「すべての美しい馬」などの国境三部作、および「血と暴力の国」(未読)のコーマック・マッカーシーの最新刊です。刊行後二か月くらいだから、私にしては割と素早く読んだ方かも。

アメリカでロードノベルと言えば、広大な道を車でぶっ飛ばすようなイメージがあるんですが、これは父と子がひたすら自らの足で歩く、そういう小説です。

舞台は特に明記されていないけれども、核戦争か何か、とにかく人間の生活をまるきり変えてしまうような災害が起こった後の世界。父が過ごした思い出の場所もほとんど姿を変え、子である少年に至っては、災害後に生を受けたため、それ以前の世界を父の言葉でしか知ることがない。荒廃した大地には灰が降り積もり、人間の姿もほとんど見られない。年毎に寒さは厳しさを増していく。父はこの土地でもうひと冬をすごすことを諦め、二人は南へと向かうのだが…。

生き残った人間は、実は彼ら二人だけではない。弱い人間を「食糧」とみなす、「悪い」人間だっている。彼らは身を隠しながら、歩みを進める。残された食料を探し、火を焚き、眠り、水を調達し、歩く。その合間にぽつりぽつりと交わされる、父と少年との会話。ほぼひたすらにその繰り返し。父の拳銃には弾が二発。それは敵に対してというよりは、どちらかといえば惨い目にあわされる前に、少年の生を終わらせるためのものであったのだけれど…。

こんな世界に生まれ、光も希望も知らないはずなのに、少年は驚くほどに他者を思いやる心を失っていない。自分の役目は少年を守ることと、他者と戦い、他者を切り捨てることも厭わない父とは、時に残された弱者をめぐって喧嘩になるほど。それはもちろん、少年が父に守られているからこそ言える言葉では?、とも言えるんだけど…。父と子の会話の中で繰り返されるフレーズ、「火を運ぶ者」。それは自分たちを慰めるだけの気休めの言葉ではなく、彼らは本当にそうだったのかもしれない。
寒く厳しい荒涼とした風景。暑い夏のでろーんとした頭で読んじゃうのは、ちょっと勿体なかったかもしれません。それでも、さすがはマッカーシーの小説で、読んだ後の方が何かと余韻が残るんだけど。

さて、私は小説を読んでいるときに、割とどうでもいいことが気になるタイプなんですが、今回気になったのは、父と子が全財産(防水シートや缶詰だの毛布だの)を載せて運ぶカート。ポール・オースターの「最後の物たちの国で」において、全てが失われゆく街に生きるアンナが、街漁りに使っていたのもショッピング・カートでした。世界の終りのような情景と、ショッピングカートは実は相性が良いのでしょうか。そういうときに使うショッピングカートは、日本の華奢なやつではなくって、やっぱりアメリカのばかでかいやつ? スーパーで世界の終末について、思いを馳せてしまいそうです・・・。

もう一点、思ったのは、マッカーシーの小説は、やはり男の世界であるということ。少年の母は、この状況に耐えきれませんでした。「すべての美しい馬」にも「平原の町」にも、勿論女性は出てくるのだけれど、それは男とは全く別の思考回路で生きている生き物なんだよね。マッカーシーが描くマッチョorタフな女性も、見てみたいなぁ。
コメント
こんばんは。
TB&コメントありがとうございました。
マッカーシーの作品は、その結末がハッピーであれ、悲惨であれ、その後もズット尾を引きます。後に残ります。
何年も前に読んだ作品であっても、その中身・内容は未だに記憶にあります。そういう作品は私にとってホント稀なんですよね。
【2008/08/21 23:18】 | nanika #- | [edit]
こんにちは。
救いのない作品でしたが、貪るように読んでしまいました。
「ただのお話さ」と言い切れないところが恐ろしい最近の世界情勢です。

拙HPでもとりあげました。

http://www.h2.dion.ne.jp/~kisohiro/road.html
【2008/08/22 19:39】 | 木曽のあばら屋 #GHYvW2h6 | [edit]
木曽のあばらやさんと つなさんも比較的好評のようですね。nanikaさんと、私の知人の min-min さんは絶賛に近かった。
こりゃあ、いよいよ読まないと…。
【2008/08/24 21:15】 | ディック #22hNL7Yc | [edit]
>nanikaさん
トラバ返し、ありがとうございます♪
ふふ、私もですよー。笑
ブログやり始めて、すっかりブログ記事が自分の記憶代わりです。
マッカーシーの本は、ずしーんと来ますね。
あの時、nanikaさんとbookbathさんに励まされて読んで良かったです!

>木曽のあばら家さん
こんばんは~。アドレスありがとうございます。
そうですよね、親としての視点で読むとまた違うんでしょうねえ。
名無しのところが、また普遍的でもあるのかも。
しかし、あんな状況に置かれたら、生き延びる自信が全くありません…。

>ディックさん
ディックさんはまだ読まれてなかったんですね。
ちょっと意外でした。笑
厳しいけれど、温かな世界でした。
私は最初に読んだからか、「馬」という脇役のせいか、どうも「すべての美しい馬」のインパクトが強いんですよねー。
なので、あまり「絶賛」という感じではない書き方になったのかもしれません。
【2008/08/25 00:00】 | つな@管理人 #- | [edit]
つなさん、

>ちょっと意外でした。笑

読書予定本が山積みでして…、それを崩すだけで精一杯。
金曜夜に風邪でダウンして、上巻を半分読みかけの『ハリー・ポッター』最新刊を今朝読み終えたところです。本を読む気力が出てきて、明日は出勤できそう…。
あれもこれもと興味の対象がたくさんあって、自分でも収拾が付かないです(笑)
【2008/08/25 13:40】 | ディック #22hNL7Yc | [edit]
風邪の具合はいかがですか?
突然、寒くなっちゃいましたもんねえ。
今日はお休みだったのでしょうか。
(でも、本読んでちゃだめですよ~。笑)

積読本の山なのですね。
でも、もうすぐ読書の秋。がしがし減っていくのでしょうか。
ハリポタ最新刊は、私も読了しております♪
でも、ネタバレが怖くて、感想が書けません。笑
【2008/08/25 23:41】 | つな@管理人 #- | [edit]
>でも、ネタバレが怖くて、感想が書けません。笑

ハリポタ最新刊の感想ねぇ…、ぼくもいったいどうしたものか、と困っております。日曜日にハリポタにはまって、風邪の治りが一日遅れ、月曜を休まざるを得なかったような気がしていますが、そういう発言は、じっと控えて黙っております(笑)
【2008/08/27 22:02】 | ディック #22hNL7Yc | [edit]
あははー、私も当初ハリポタ休暇とってやろうと思ってました。笑
諸事情でとれませんでしたが・・・。
風邪でほんとにつらい時はあれですが、治りかけのときとかに、ぐだぐだ読む本は至福だなぁ、と思います。

ネタバレせずにどう感じたかだけを書けばいいんですが、どうしても言及しちゃうからなぁ。でも、なんとなくまだ自分の中でも感想が定まっていないんです。全巻読む直してみたいけど、時間がなかなかねえ。
【2008/08/29 00:18】 | つな@管理人 #- | [edit]
さて、ぼくはかなり感情移入して読むほうですから、こういうのってつらいですね。だから避けてたのに、評判いいからついつい…(笑)
思ったより起伏に富んだ物語になってましたが、途中から「海」につくのが怖いんですよ。待っているのはどうせ「落胆」だろうと思うから。

きょう石田衣良さんの『ブルー・タワー』の感想を準備したのですが、これもJ・G・バラードの『ハイ・ライズ』といういやな小説のイメージがあって、なかなか読む気になれませんでした。こちらは池袋ウエストゲートパーク風の描き方で、結果的に陽性だから、救われましたけど。
【2008/10/05 19:46】 | ディック #22hNL7Yc | [edit]
最後が怖くて、薄眼をあけて読んじゃう感じでしょうか?笑
そこはやめてー、連れて行かないでー、と思うことってありますよね。

バラードって一冊も読んだことないんですが、勝手に重~いイメージを持っています…。
でも、石田さんの本だと、そこまで読後感が悪いこともないのかしら。
私は石田さんは、IWGPシリーズしか読まないと勝手に決めているんですが、最新刊がもうしばらくしたら手に入るかもしれません♪
(図書館予約が2番目になりました♪)
【2008/10/06 23:51】 | つな@管理人 #- | [edit]












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://tsuna11.blog70.fc2.com/tb.php/1153-1a8e198d
  • 『ザ・ロード』【本だけ読んで暮らせたら】
    The Road (2006) 『ザ・ロード』  コーマック・マッカーシー/著、 黒原敏行/訳、 早川書房(2008) 最初の7、8ページを読んだだけで、とてつもない寂寥感に襲われた。 凄い舞台設定だ。そして、そんな世界に生きる人間を描く筆力もまた凄い。 ...
【2008/08/21 23:13】
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫
プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

掲示板その他リンク

ユーザータグ
最近の記事
カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

RSSフィード
カウンター

月別アーカイブ
検索エンジン情報
Googleボットチェッカー Yahoo!ボットチェッカー MSNボットチェッカー

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。