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「愛の領分」/愛には領分があるのか?

 2008-08-10-23:37
愛の領分愛の領分
(2001/05)
藤田 宜永

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わが図書館で、直木賞特集の本棚が出来てまして、そこから借り出してまいりました。ということで、第125回の直木賞受賞作であります。

藤田宜永さん、初読みです。帚木蓬生さんの、現代離れしたほのぼのとした恋愛小説を読んだ直後だったからか、この情念の世界がなかなか面白かったなぁ。じっとりと濃い。若いころの友情と、自分でも何ともし難い感情の世界が描かれることから、宮本輝さんの「青が散る」を思い出しました。
宮”武”淳”蔵”(テーラー・ムサシ経営)は、妻に先立たれた男やもめ。若いころは随分と遊んだものだったが、今では息子と二人、静かに暮らしている。いつものように静かな仕事場に、若き日に共に遊び歩いた、高瀬昌平が突然現れた。淳蔵は、昌平の妻、美保子にその昔、恋をしており、彼女の手酷い裏切りにあって以来、それまでの交友を断ち、四半世紀ほども高瀬夫妻に会うことはなかった。探偵を雇ってまで、淳蔵を探し出した昌平の真意とは…。

手広く商売をやっている家に生まれ、羽振りが良く、如何にも陽性の坊ちゃんだった昌平は、商売に失敗し、心身ともに別人のようになっていた。美しかった美保子も、重症筋無力症を発症し、衰えを隠せない。淳蔵は昌平のスーツの仕立てを頼まれ、東京から上田に住む高瀬夫妻の元を訪れることになるのだが…。四半世紀を経ての再会により、淳蔵、昌平、美保子、更にもう一人の女性を加えて四人の人生が再び絡まり合う。

もう一人の女性とは、淳蔵、昌平共通の知人である太一の娘、佳世のこと。五十三になる淳蔵と三十九歳の佳世。年齢は若干離れているものの、共に独身の二人。二人の交際には、何の支障もないはずなのだが、この恋にはどこか秘密の匂いが付きまとう。若い日に、不倫相手が自殺した過去を持つ佳世。彼女の書く植物画は、精密で美しいけれど、どこか淋しさが付きまとう。淳蔵と体を重ねるようになっても、その欠落した様子は埋まらず、時に浴びるように酒を飲む。彼女の闇には何があるのか。対する美保子の闇も深い。現実に幸福を見いだせない彼女は、淳蔵に愛された過去に縋り付くようである。

それぞれの人物の陰影が濃いです。淳蔵の亡くなった妻のことを、淳蔵は激しい情愛ではないけれども、愛していたと信じていた。しかし、彼女はおっとりとしたその顔の下で、淳蔵と美保子の繋がりに嫉妬しており、淳蔵の愛は通じていなかったようでもある。また、その母に夫への不信を告げられていた息子も、抑うつを抱えたまま、どこか歪に成長していた。なんか考えちゃうとくらーいし、みんな、もっと思ってることちゃんと発散しようよ!、って感じなんですが、こういうじっとりしたお話も、たまには悪くないなぁ、と思いました。

だけど、悪縁だろうが良縁だろうが、縁には違いない。

人が何を考えているのか、他人には本当の意味で分かることは決してないけれども、それでも人は繋がって生きていく。時にそれは思いがけない因果をもたらすものだけれど、それもまた人生、なんですかねー。昌平と淳蔵のような繋がりは、さすがに一般的とはいえないと思うけれども。淳蔵の職業が、仕立て屋というのもまた素敵です。刹那的なものを抱えつつ、若き日から静かな生活を求めていた淳蔵に、実に相応しい職業と言えるでしょう。キャバレーのボーイから仕立て屋の弟子になる、若き日の選択も凄いけど。
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つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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