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「ローマ人の物語3・ハンニバル戦記[上]」/ローマ軍団のシステム

 2007-12-01-23:22
塩野 七生
ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) 新潮文庫

またまた、読者へ」から引いてしまいますと、この部分では塩野さんが歴史を語る際のスタンスが明記してあって、これがなかなか興味深かったです。

この連作の通し表題を、私は『ローマ人の物語』とした。だが、日本語の表題のラテン語訳には、歴史とか物語とかをダイレクトに意味する、ヒストリアもメモリアも使いたくなかった。所詮は同じ意味ではあるのだが、ジェスタエという言葉を使った。RES GESTAE POPULI ROMANI「レス・ジェスタエ・ポプリ・ロマーニ」とは、直訳すれば、「ローマ人の諸々のの所業(ジェスト)」である。いかなる思想でもいかなる倫理道徳でも裁くことなしに、無常であることを宿命づけられた人間の所業を追っていきたいのだ。

そして、歴史はプロセスにあるとの考え方に立てば、戦争ほど当事国の民の姿を裸にして見せてくれるものはなく、これほど恰好な素材もないのだという。上巻で語られるのは、強国カルタゴとのシチリアを舞台とした戦い。

さて、プロセスとしての歴史は何よりもまず愉しむもの。日本で使われている高校生用の教科書によれば、塩野さんがこの巻(文庫本では上中下の三冊)全てを費やして書く内容は、以下の五行に要約されてしまうのだという。

イタリア半島を統一したのち、さらに海外進出をくわだてたローマは、地中海の制海権と商権をにぎっていたフェニキア人の植民都市カルタゴと死活の闘争を演じた。これを、ポエニ戦役という。カルタゴを滅ぼして西地中海の覇権をにぎったローマは、東方では、マケドニアやギリシア諸都市をつぎつぎに征服し、さらにシリア王国を破って小アジアを支配下におさめた。こうして、地中海はローマの内海となった。

しかしながら、これは高校生ならば知らないと落第する「結果としての」歴史であり、これ以外の諸々はプロセスであるが故に愉しみともなり考える材料をも与えてくれる、オトナのための歴史…。

さて、プロセスを愉しむオトナのための歴史。この巻で面白かったのは、「ローマ軍団」のお話。

有事の際にはじめて傭兵を募集するのが一般的であった時代に、ローマ人は高度にシステム化された軍団を持っていた。召集の仕方から軍団の編成まで、相当にマニュアル化されていたらしいのだけれど、マニュアル化もここに極まれり、と思われるのが、一日の行軍の最後となる宿営地の建設なのだという。

なぜ、ローマの人々は事細かくマニュアル化をし、さらにそれを順守する必要があったのか? それにはローマでは指揮官から兵までが毎年変わってしまうという、ローマ特有の事情があった。誰がやっても同じ結果を得るためには、細部まで細かく決めておく必要があったのだという。

この辺ね、企業などでも場合によっては必要な考え方だと思いません?

「ハンニバル戦記」と銘打たれていても、上巻ではまだハンニバルの姿は見えないのだけれど、この辺も、一人の天才が勝つのか、それともシステム化された全体が勝つのか、という点で興味深いです。

目次
 カバーの金貨について
読者へ
序章
第一章 第一次ポエニ戦役前
    (紀元前二六四年~前二四一年)
第二章 第一次ポエニ戦役後
    (紀元前二四一年~前二一九年)

■関連過去記事■
・「ローマ人の物語1・ローマは一日にして成らず[上]」/民族というもの、国家というもの
・「ローマ人の物語2・ローマは一日にして成らず[下]」/すべての道はローマに通ず

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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