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未熟であるということ/「顔」

 2005-05-14-07:54
突然ですが、私はとても打たれ弱い。自慢することではないけれど、更に人の悪意にも大変に弱い。悪意に接すると、どうもシオシオとなってしまう。だからブログを始める事にも、実はずっと躊躇していた(始めてみたら良い方ばかりで、幸せだなあと感じているのだけど)。以前ブログのコメントで、「tsuna11さんには世界が綺麗に見えるんだろうね」というような事を仰って頂いた事があって、それはとても嬉しい言葉だったのだけど、きっと同時に私の弱さでもある。

何か、ゴチャゴチャ言ってますが、今日は次の一冊を。

横山秀夫「顔」

横山秀夫さん、以前「クライマーズ・ハイ」を読んで、これが結構好感触だったから、「仲間由紀恵でドラマ化されたんだっけな、「FACE」だっけ?婦人警官なんでしょ、警察物ね」位の知識で図書館から借りてきた。読み始めてみたら、これが非常に読み辛い。
本書は一言で言えば「男社会である警察で孤軍奮闘する、年若い婦警・平野瑞穂を主人公とした短編集」プロローグエピローグを除けば、「魔女狩り」、「決別の春」、「疑惑のデッサン」、「共犯者」、「心の銃口」の五編から成っている。

「男社会である警察で孤軍奮闘する女性」と言えば、乃南アサ「音道貴子シリーズ」を思い出すけれど、音道刑事が腹を括って、ある種のふてぶてしさまで備えているのに対して、この平野巡査は非常に脇が甘くナイーブ。この辺りが、読み進め難い原因だと思う。
ところで、「ナイーブが褒め言葉なのは日本だけだ。ナイーブなんて良い事でも何でもない」というのは、確か落合信彦氏の言葉だったと思うけど、今の日本ではどちらの意味なんでしょうか。とりあえず、私はいい意味では使ってません。
タフであるべき所を、瑞穂はいつも悩み、迷い、ブレる。読んでいると、瑞穂には突出した能力(似顔絵)もあるし、決別の春」で見られる仕事に対する責任感だってかなりなもの。悩むけど、結局は上司に言いたい、言わなければならない事はちゃんと伝える。だから、「なのに何だってそんなに自信がないの!」、「どうして悩むの?」、「いい子ちゃん過ぎない?」と、もどかしくなってしまう。

今日はいつも以上に本の感想からズレていくのですが、ここで私の話を少し。私がかつて働いていた場所も、警察程ではないけれど所謂「男の社会」でした。更にそれ以前の問題として、周囲がほぼ男性という環境の中で学んでいたのと、鈍感だったので、私は人生のある地点までは「男女って平等なんでしょ?対等で当たり前なんでしょ?」と思っていた。その時点においても、今思えば力仕事なんかは、思いっ切り人に頼っていたのだけれど。会社に入ってみると、女性が少ない事で「マスコット的役割」、「癒し的役割」を期待されることもあれば、逆に単純に「目立つ」ことへの僻み、嫉みのターゲットとなることもあった。で、勿論、決して「対等」ではなかった。少ないとは言え女性が居る中でも、立場、役割が違えば、「女の敵は女」という言葉がちらりと頭をよぎることもあった。男性の中にも女性の中にも、上手く入る事が出来ずに蝙蝠みたいと思ったり。そんな訳でようやく冒頭に戻るのだけれど、入社後暫くはこれらの物事に当たるのに、いつも非常に消耗して、悩んで迷っていた。まさに本書の平野瑞穂巡査のように。

そう思って読むと、最初の読み辛さは、瑞穂の中に自分を見てしまったせいだという事が分かって、後はすんなり。話を重ねる毎に、瑞穂も成長していきます。エピローグでは、第三者から見た瑞穂の眩しい程の輝きが語られる。
正直言って、ミステリーとしてはそんなに優れたプロットではないし、「クライマーズ・ハイ」程のカタルシスも得られない。普通の警察小説と思って読むと、肩透かしを食うかもしれない。でも「男社会で奮闘する若い女性の成長物語」として読んだ私には、面白い一冊でした。後は失礼ながら、この本を横山秀夫さんという「オジサマ」が書かれたという事が興味深かった。

私の目標はいい意味でもうちょっと図太くなること。入社後のゴタゴタだって、私が無邪気でナイーブ過ぎたせいも多々あったはず。もうちょっと、泰然自若としているべきだった。会社を辞める頃には、「蝙蝠」なんてもう思わなかったし、多少図太くもなりましたが。そして、村上龍「69」における、レディ・ジェーン・松井和子の「うち、ブライアン・ジョーンズの、チェンバロの音ごたる感じで、生きていきたかとよ」という生き方も気になる所ですが、残念ながらそんな美貌でもキャラでもありませんので、目指す方向はやはり図太くあることなのです。

私が読んだハードカバー版を載せておきますが、既に文庫化されているようです。

著者: 横山 秀夫
タイトル: 顔 FACE
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つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
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