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首を飼う/「ポポイ」

 2005-05-24-07:51
倉橋由美子「ポポイ」

穏やかではないかもしれないけど、これは美少年の首を飼う物語。「ポポイ」というのは、主人公の舞がこの首につけた名前。悲嘆をあらわすギリシア語の感嘆詞とのこと。これ一冊でも話として纏まってはいるのだけれど、『「桂子さんの物語」という大きな幹から分かれた枝*』でもある。
(*「夢の通い路」新潮文庫の古屋美登里さんの解説より引用)

高校時代の友人が倉橋由美子さんに嵌まっていて、借りて読んでいる内に私も嵌まってしまった。優雅で上品な言葉遣い、とってもノーブルな世界なのだけれど、幻想的でエロティックでもある。読書の大きな魅力の一つである、「異世界」に遊ぶ事の出来る小説なのだ。

とりあえずは、薄く、「美少年の首」というインパクトのあるこの一冊から再読。主人公の舞も、「舞」なんて普通の可愛い名前を持っているけれど、実は全然普通の女の子ではない。元首相の祖父を持ち、「お城」のような建物に一族で住んでいる。倉橋さんの小説の登場人物は、大体において恵まれた生まれや境遇、容貌を持つのだけれど、さらに独特の価値観(時にそれはインモラル)やクールな物の見方を持っている。

主人公の舞の独白。

考えてみると、私はすべてにニュートラルな人間であるようだ。何事に対しても、「こうあるべきだ」という姿勢をもたない。すべてはそのあるがままの姿であるしかしようがないではないかと思っている。その意味で私はまわりのすべてに対してニュートラルであるらしい。(中略)ニュートラルな人間は「べき」を放射しないから、ぎらぎらしない。無色透明に近くてつかみどころがない。匂いも薄い。(中略)私にもかなりはっきりした好き嫌いはある。ただ、嫌いなものは自分とは無縁のものと見て、関係を切断しておくだけのことだ。軽蔑はしても憎むということはない。好きなものは好きで、それがそばにあると嬉しい。しかし無理に所有しようとは思わない。なくなれば淋しい。でも淋しさを味わうのも悪くないものだ。

脳だけの存在となってしまったポポイ。それとは対照的に、脳梗塞により脳のハード部分が壊れたと思われる舞の祖父。ポポイの存在はこの物語における重要な要素であるのだけれど、どうも世話をされるだけの、庇護される存在となったポポイには、観賞用としての興味しか湧かない。抜書きの多さからもお分かりかもしれませんが、美少年ポポイよりも余程、舞の方にぞっこんなのだった(ってか、ぞっこんって死語かしらん)。

音楽に対するこんな表現も好きだなあ、と思う。

このディスクから出てくる音楽は、音を波のようにではなくて粒子のように使っている音楽だ。今、部屋の中は暖かいし、この適度に柔らかくて、湿りを帯びた音の粒子は脳をマッサージするにはちょうどいい具合だと思う。

硬くなった頭に、倉橋さんの小説は、それこそマッサージとしてよいのかもしれないなあ、と思う。

著者: 倉橋 由美子

タイトル: ポポイ
(画像出ないようですが、表紙も綺麗)


コメント
つなさん、こんにちは~。
倉橋由美子作品、沢山読まれてるのですね。
私の周りには、あまり本の話ができる友達がいなかったので~
お友達が嵌っててそれで、なんて出会い方が羨ましいです。
なんだかそこここに古今東西の文学の素養が潜んでるようで
その辺り、ちゃんと汲み取れるかどうか不安ではあるのですが…
ま、気にせず、今からぼちぼちと追いかけます!
桂子さんシリーズは、順番はそれほど気にしなくていいのでしょうか?
ちょうど「夢の浮橋」をゲットしたところなので
大丈夫そうならそこから入ろうと思ってます。
つなさんが教えてくださった本も探しますね~。
またいろいろ教えてくださいね。^^
【2009/05/11 08:08】 | 四季 #Mo0CQuQg | [edit]
四季さん、こんばんはー。
いやー、読んではいるんですが、若かりし頃に読んだので、ろくに分からず読んじゃったものが多数です。笑
特に全共闘とかあのあたりのモチーフだと、全然だめです。笑

私も周囲で本の話が出来る友達ってあまりいなくって、振り返ってみれば、このときの彼女くらいです。

そうなんですよー、そこここに色々なものが潜んでいるんです!
でも、四季さんならきっとだいじょぶー。笑
短編の方が読み易いのは、あくまで自分基準なので、四季さんもそうかは分からないんですが…。
あ、「夢の浮橋」、私も持ってます。
今、ぱらぱらめくってみたけど、読んだはずなのにほとんど覚えてないー。笑
こっちは私が苦手とする方かもしれません…。
桂子さんシリーズは、特に順番気にしなくてもいいんじゃないかなぁ、と思います。
版元もいろいろ違うので、むしろ正確な順番が分からないというか…。

いえいえ、こちらこそいつも色々ご紹介ありがとうございます。
わが図書館に、なぜかキアラン・カーソンの「シャムロック・ティー」だけが入っていて、私を誘惑するのですが、これはやっぱり「琥珀捕り」から読むべきですよねえ。
せっかく、おお、珍しく新刊が入った!、と思ったのに、なんで続巻のみを置くんでしょう。笑
四季さんの記事を読んで以来、気になってまーす。
【2009/05/11 23:30】 | つな@管理人 #- | [edit]
わあ、「シャムロック・ティー」!
いえいえ、これは「琥珀取り」とはまた別の作品なのです。
だから、先に読んじゃってもぜーんぜん大丈夫。
むしろこちらの方が読みやすくていいかもしれません。
お友達がね、この本を読んで「読むドラッグ」だと言ってたんですよ。
まさに!と思いました。
つなさんにも楽しんでいただけるといいな♪
【2009/05/12 17:34】 | 四季 #Mo0CQuQg | [edit]
えー、先に読んじゃっても大丈夫ですか?
じゃあ、今度借りてきちゃおうかな~。
と思ってると、まんまと借りられてたりもするんですけどね。笑
私が行くまで待ってて、「シャムロック・ティー」!
うふふ、酩酊出来るのかな。
読んだら、またお伺いします♪
【2009/05/12 23:35】 | つな@管理人 #- | [edit]












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【2009/05/11 06:39】
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Author:つな がる
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「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
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