「吉原手引草」/手練の時代小説
![]() | 吉原手引草 (2007/03) 松井 今朝子 商品詳細を見る |
第137回直木賞受賞作です。ええと、図書館というところは、直木賞をとった作品なんかだと、やたらと冊数を仕入れているのですよね。で、とった直後は予約がいっぱいでなかなか借りられないのだけれど、ほとぼりが冷めるとこれが存外すっと借りられるようになっている。というわけで、ちょうど良い頃合いとなった本書を借りてまいりました。
目次
引手茶屋 桔梗屋内儀 お延の弁
舞鶴屋見世番 虎吉の弁
舞鶴屋番頭 源六の弁
舞鶴屋抱え番頭新造 袖菊の弁
伊丹屋 繁斎の弁
信濃屋茂兵衛の弁
舞鶴屋遣手 お辰の弁
仙禽楼 舞鶴屋庄右衛門の弁
舞鶴屋床廻し 定七の弁
幇間 桜川阿善の弁
女芸者 大黒屋鶴次の弁
柳橋船宿 鶴清抱え船頭 富五郎の弁
指切り屋 お種の弁
女衒 地蔵の伝蔵の弁
小千谷縮問屋 西之屋甚四郎の弁
蔵前札差 田之倉屋平十郎の弁
詭弁 弄弁 嘘も方便
どうやら、見目の良い若い男らしい、ある人物のインタビューにより浮かび上がってくるその姿とは…。うわー、これは実にうまい、手練の小説ですねえ。
吉原の妓楼、舞鶴屋の呼出しの花魁、葛城なる人物が、忽然と姿を消したようなのだが…。花魁の周囲の人々の弁により、徐々に浮かび上がってくる、葛城その人の人となりも魅力的だし、ラストの「詭弁 弄弁 嘘も方便」で一気に明かされる花魁の事情は、ミステリーとして読んでも、十分に面白い(途中で底が割れちゃう、という向きもあるかもしれないけれど。まぁ、ここは語りを楽しもうということで)。
吉原に生きる様々な役を持った人物それぞれから聞き取りを行うことで、吉原の事情について特に詳しくなくとも、するりと読めてしまうという親切さ。私は安野モヨコさんの「さくらん」や杉浦日向子さんの本を思い出しながら読みました。
いやー、松井さんのこの本って、今度こそ北村さんが直木賞だろ!!、と思ってた時の、直木賞受賞作だったので、何となく悔しいような心持ちがしていて、実は微妙な感情を持っていたのだけれど、ちゃんと面白い本でした。凛と立つ一人の女と、町人の意地とでもいいましょうか、覚悟が潔い、すっきりとした一冊でした。時代物で安心して読むことの出来る作家さんに、また一人出会えたような気がします。
□著者松井今朝子さんのHPにリンク
□次に読みたいのはこの辺。ずっと前から、店頭でこの表紙が気になっていたのよ。
![]() | 一の富―並木拍子郎種取帳 (時代小説文庫) (2004/06) 松井 今朝子 商品詳細を見る |
読みながら、脳内でこの絵に変換されてしまいました。これ、話もそうだったけれど、絵もなかなか強烈だよね。
![]() | さくらん (2003/11) 安野 モヨコ 商品詳細を見る |







