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「太陽の村」

 2010-03-31-23:53
太陽の村太陽の村
(2010/01/28)
朱川 湊人

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内容紹介
父親の定年を祝うハワイ旅行に出かけた坂木一家は、帰りの飛行機で事故に遭う。
意識を取り戻した主人公・龍馬は、自分がタイムスリップして過去の世界に来てしまった事を悟る。
どうする俺??? おたくで引きこもりの龍馬は、やがて農作業や素朴な村民との触れあいにより、
現代とは正反対の生活に喜びを見出していくのだが…。
「都市と田舎」、「過去と未来」、「バーチャルとリアル」、「文明と未開」の狭間に揺れる青年の葛藤と成長を直木賞作家が描く。
著者新境地のタイムスリップ・エンタテインメント!

えええ、朱川さんってこんなのも書くんだーという、非常にギャグ寄りの文体です。あのノスタルジー溢れる情景はどこに? ここにあるのはノスタルジーの欠片もない、陽光の下のお話(ま、太陽の村、だし)。

どうなんだろう。ギャグな文体は普通に面白かったんだけど、この本の主張するところは一体どこなんだ? ラストの竜馬の選択がそうだとしたら、それはちょっと賛同しかねるのです。
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「火星ダークバラード」

 2010-03-31-23:48
火星ダーク・バラード火星ダーク・バラード
(2003/11)
上田 早夕里

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 プロローグ
第一章 安息の地
第二章 プログレッシヴ
第三章 孤立
第四章 破壊の天使
第五章 焦熱の塔
 エピローグ
 あとがき

すっごく良かったんですが、なんと目次しかメモしてなかった…。

これはもろにSFなんですが、上田 早夕里さんはミステリーも書いていて、以前「ショコラティエの勲章」(感想)を読んだことがありました。ミステリーも決して悪くはなかったんですが、やっぱりこの方、SFの方なんですね。迫力が違いましたー。

内容(「BOOK」データベースより)
火星治安管理局員・水島烈は同僚の神月璃奈とともに、凶悪殺人犯ジョエル・タキを護送中、襲撃を受けて意識を失うが、それは、肉食恐竜の姿をした生物によるものだった!意識を取り戻した水島を持っていたのは、ジョエル・タキ逃亡の知らせと璃奈の無惨な死体―。捜査当局から疑いをかけられた水島は自らの潔白を証明するため、個人捜査を開始するが、その矢先、アデリーンという美少女と出会う。事件の真相を知っていると語る彼女は他人の精神と共振することのできる「超共感性」と呼ばれる特殊な脳機能の持ち主だった。だが、すでに事態は二人の力だけではどうしようもない方向へと向かっていたのだった…。サスペンスに満ちた展開で息つく間も与えないSF巨篇、堂々の誕生!第4回小松左京賞受賞作。

不器用な男、水島につられて、読んでる間、なんだかハードボイルドな気分になりました。ピュアなアデリーンの方ではなく、水島に同調してしまうのはなぜに。

「八朔の雪」「花散らしの雨」 みをつくし料理貼

 2010-03-31-23:39
たぶん、既にもう人気なんだと思うんだけど、みをつくし料理帖シリーズがすっごく良かったんです! 立て続けに既刊3冊読んじゃいました。

八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)
(2009/05)
高田 郁

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狐のご祝儀―ぴりから鰹田麩
八朔の雪―ひんやり心太
初星―とろとろ茶碗蒸し
夜半の梅―ほっこり酒粕汁
 巻末付録 澪の料理帖

花散らしの雨 みをつくし料理帖花散らしの雨 みをつくし料理帖
(2009/10)
高田 郁

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俎橋から―ほろにが蕗ご飯
花散らしの雨―こぼれ梅
一粒符―なめらか葛饅頭
銀菊―忍び瓜
 巻末付録 澪の料理帖

これからも澪がどんな料理を作り出すのか楽しみです。1巻の「八朔の雪」では澪とご寮さん(女将)との関係など、良く分からない部分もあって、最初はそんなに引き込まれなかったんだけど、1巻途中からはもうぐぐっと持っていかれました。いつも本は通勤途中で読んでるんですが、これはたまたま家で読んでたんですね。途中からは涙が出て仕方なかったので、家で読んでて良かったです…。

澪の相は「雲外蒼天」。艱難辛苦が降り注ぐが、耐えて精進すれば、必ず青空を見ることが出来るんだそうな。3巻までくると、その艱難辛苦の不幸っぷりに、ああ、また…、という若干のマンネリも感じてしまったのだけれど、澪が考えだす料理と、澪の以前の奉公先を巡る謎、澪の幼馴染、あさひ太夫に関する謎、澪が恋心を抱く「小松原」の謎。これらがうまーく効いてます。すこーしずつだけれど、謎の答えにも近づいてきているみたい。でも、全てが解かれたら終わっちゃいますものね。マンネリになったとしても、ながーく楽しみたいシリーズです。

「推定少女」「少女七竈と七人の可愛そうな大人」

 2010-03-31-23:33

推定少女 (角川文庫)推定少女 (角川文庫)
(2008/10/25)
桜庭 一樹

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Prologue 少女A
Vol.1 雪みたいに白い
Vol.2 Φ!
Vol.3 ララの銃
Vol.4 秘密基地
Vol.5 ドール
Vol.6 FOUND DEAD
Vol.7 シンジケート
EndingⅠ 放浪
EndingⅡ 戦場
EndingⅢ 安全装置
 ファミ通文庫版あとがき
 あとがき
 解説 高野和明

「ぼく」な少女、カナの語り口が少々辛い。十五歳だった!!!、ってことですね。思春期のもやもや~~~。
エンディングがこんなにあるのはずるくないすか?、と思ったら、大人の事情でファミ通文庫版に書き換えたものがEndingⅡだそう。

EndingⅠ → 最初に書いたもの
EndingⅢ → ハッピーエンドに書き換えたもの
EndingⅡ → Ⅲを短く更に書き換えたもの

少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)
(2009/03/25)
桜庭 一樹

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 辻斬りのように
一話 遺憾ながら
二話 犬です
三話 朝は戦場
四話 冬は白く
五話 機関銃のように黒々と
六話 死んでもゆるせない
 五月雨のような
七話 やたら魑魅魍魎
ゴージャス
解説 古川日出男

男たちなど滅びてしまえ。吹け、滅びの風。

こちらは侍のような、少女七竈にぐっときました。あまりに美しすぎる異形のかんばせ。少女はどんな大人になるのだろう。

「西城秀樹のおかげです」

 2010-03-23-23:47
西城秀樹のおかげです (ハヤカワ文庫 JA)西城秀樹のおかげです (ハヤカワ文庫 JA)
(2004/11/09)
森 奈津子

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内容(「BOOK」データベースより)
「ありがとう、秀樹!わたくしとお姉様は、あなたのことを決して忘れませんわ」―謎のウイルスにより人類が死滅した世界で、ひとりの百合少女の野望を謳いあげる表題作、前代未聞のファーストコンタクト「地球娘による地球外クッキング」、1979年を舞台にした不条理青春グラフィティ「エロチカ79」ほか、悩める人類に大いなる福音を授ける、愛と笑いとエロスの全8篇。日本SF大賞ノミネートの代表作、待望の文庫化。

目次
西城秀樹のおかげです
哀愁の女主人、情熱の女奴隷
天国発ゴミ箱行き
悶絶!バナナワニ園!
地球娘による地球外クッキング
タタミ・マットとゲイシャ・ガール
テーブル物語
エロチカ79
 あとがき
 文庫版のためのあとがき
 解説/柏崎玲央奈
「哀愁の女主人、情熱の女奴隷」のみ、「笑壺-SFバカ本ナンセンス集」(感想)にて既読でありました。「哀愁の~」も間違った方向に情熱を燃やす人々の滑稽さが面白かったんですが、こちらも変わらずパワフル。

人類滅亡を目の当たりにしながらも、自分たちがルールを決められることにヨロコビを感じる、自称・お姉さまにいじめられるのを待つ可憐な乙女(その実態は三十四歳、身長二百センチにして体重二百キロ)とドラァグ・クイーンのわがままなオンナっぷり(「西城秀樹のおかげです」)とか、性欲と食欲プラス変態味覚欲とSF欲を満たすべく奮闘する三人娘(「地球娘による地球外クッキング」)、など。官能的表現がぜっっっっったいに入ってはくるんだけど、それが入るまでのベースがバリエーションに富んでいるので、なかなかに楽しかったのです。

でも、この後に読んだ「ゲイシャ笑奴」は、官能表現がかなり前面に出てきて、かつそのシチュエーションがほぼおんなじだったので、ちょっと辛かったかなー。ま、表紙とレーベルからも分かりますかね…。やっぱり、アイディアとかバリエーションって大事だな、と思った次第でありました。

ゲイシャ笑奴 (徳間文庫)ゲイシャ笑奴 (徳間文庫)
(2009/06/05)
森 奈津子

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「世界の涯まで犬たちと」/やさしい世界

 2010-03-16-23:59
世界の涯まで犬たちと世界の涯まで犬たちと
(2007/09)
アーサー ブラッドフォード

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内容(「BOOK」データベースより)
犬、猫、様々な動物と人間が織りなす、ねじれてゆがんだ不思議ワールド。O・ヘンリー賞受賞の新鋭作家が紡ぐ、全米大絶賛の短篇集。

目次
キャットフェイス
軟体動物
テキサス盲学校
冬を南で
マットレス
アラン・マシューズの家
六匹の犬のクリスマス
ビル・マクウィル
スノウ・フロッグ
リトル・ロドニー
ピーチ・トリップ
チェインソー・アップル
ドッグズ
ロズリンの犬
この短編はすべて繋がっているのかなぁ。「ぼく」の無責任なまでのやさしさ、ある意味でのピュアさ(短編によっては、大麻をすっちゃったりしてますけど)が際立つ短編集です。

繰り返し出てくるモチーフは、奇形や障害など、どちらかと言えばマイナス、ネガティヴに寄っているもの。それが「ぼく」のやさしさやピュアさに触れる事で、ただのマイナスではなくなるとでもいうか…。見慣れた世界が、ちょっと違って見えるかも? 綺麗は汚い。汚いは綺麗。ほんとの輝きは、思いもよらぬところにあるのかも。

ほんとの輝きかどうかは分かりませんが、変わった輝き、美しさとして強く印象に残ったのは「スノウ・フロッグ」。「ぼく」と一緒に牧場で働くエリザベスは、変わった能力の持ち主のよう。彼女はどうも飲み込んだものを、お腹の中で孵すことが出来るみたい。例えば卵を飲み込めば、彼女の口からは生まれたてのヒヨコが、牧場で見つけたゼリー状の物に覆われた緑に発光する虫(巨大なツチボタルらしい。ツチボタル自体は実在するのよね)からは、とてもキレイなカエルが…。

そう、いまでは、もとの種よりもはるかに大きいスノウ・フロッグたちがいる。なかには大型猟犬の成犬ほどの大きさのものまで。そして、冷えこんだ冬の晩、明るく光りながら雪のなかをはずんでいくスノウ・フロッグたちの姿は、ノースカントリーや高山地域ではごく当たり前になった。そうした田舎の町や村の子供たちが、気立てのいいこの生き物たちと雪原で仲良く遊びたいから夜更かしをさせて、とよく両親におねだりする声が聞こえてくる。クリスマスのころ、子供たちが雪のなかで、温かく、丸々として光り輝くカエルたちと戯れる姿ほど素晴らしい眺めを、ぼくは見たことがない。(p131「スノウ・フロッグ」より引用)

”DOGWALKER”が”世界の涯まで犬たちと」。タイトルもいいですよね。

「遥か南へ」/辿り着く場所

 2010-03-16-23:32
遙か南へ (文春文庫)遙か南へ (文春文庫)
(2000/01)
ロバート・R. マキャモン

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内容(「BOOK」データベースより)
はずみで人を殺してしまったヴェトナム帰りのダンは、余命いくばくもない身ながら逃避行に出た。道連れは顔半分に痣のある美少女に、ダンを追う三本腕の賞金稼ぎとプレスリーのそっくりさん。アウトサイダーにされてしまった者たちは、癒しを求めてひたすら南へ向かう。温もりと恐怖が混ざり合う不思議なロード・ノヴェル。

1 よくできた息子
2 死を刻む音
3 カインのしるし
4 クリントの手
5 進むべき道のり
6 ペルヴィス登場
7 大きな蛙
8 不可解な業
9 時は盗っ人
10 射線上に立つ
11 夜の旅
12 ジュピター
13 悪魔の天国
14 小さな頭骨
15 真実
16 黄色に黒
17 迷路
18 もっとも危険な土地
19 地獄のわが家
20 キングの流す赤い血
21 音もなく動く影
22 鱗の音
23 髑髏
24 象と虎
25 爬行動物
26 窮地
27 酷暑のなかへ
28 エイヴリエッタの島
29 ブライト・ガール
 訳者あとがき
「少年時代」(感想)の興奮そのままに、借りてきた本です。

しかし、目次を見てもお分かりの通り、とにかくなっがい! しかも、実は途中まではそんなに面白くはなかったのです。「よい子」「良い兵隊」であったダンの事情に同情こそすれ、エンタメとして面白くなんて読めない…という感じ。良い兵隊として、上官の命ずるままに任務を果たした彼に与えられたのは、枯葉剤を浴びたことによる脳腫瘍や白血病。彼が思い出すのは、枯葉剤の銀色の雨に、ヴェトコンにより焼かれる子供のにおい。そうして、”Gone South(南へ行っちまった)”、つまりは気が狂ってしまった仲間たちの姿…。

物語が俄然息を吹き返すのが、プレスリーのそっくりさん、ペルヴィスが出て来るあたり。その前に、三本腕の男、フリント(&クリント)も出てくるんだけど、この彼の事情も可哀そうで…。やっぱり面白くなんて読めないよーと思っていたんだけど、ペルヴィスの場合はね、彼なりの事情があるようなんだけど、その事情が後から出てくるからか、読んでてそんなに辛くなかったのです。彼の楽観性もあるんだろうけど。

逃げるダンに、追う賞金稼ぎのフリントとペルヴィス。更には顔のあざを治すために、”ブライト・ガール”なる癒し手を探す娘、アーデンが絡んできて…。彼らは南へと進むのです。そう、”Gone South(=気が狂ってしまう)”とのダブル・ミーニング。

よい子、良い兵隊であり続けたのに、頭に血が上ったその一瞬に人を殺してしまったダン。三本腕のためにまともな仕事に就くことも出来ず、孤独を好んでいたフリント。エルヴィス・プレスリーとして生きることに情熱を注いでいた、セシル・ペルヴィス。顔のあざに苦しんでいたアーデン。南に行った彼らは救いを得たのか?

ラストはなんだか意外でした。”ブライト・ガール”の正体、ダンの元々の仕事の理由(ま、これはラストまで行くと、ああ、それでこの職業だったのね、と分かるんだけど)、おー、そうくるか、という感じ。警察の無能っぷりとか、この懸賞金の額で賞金稼ぎなんて商売がなりたつのかなー、とか色々疑問もありますが、ラストに辿り着いた時、このロード・ノベルに付き合って良かったと思ったのでした。

「少年時代」におけるほど魔法が前面に出ているわけではないけれど、”ブライト・ガール”の存在とか、島の修道院の様子などにほのかな魔法の香りを感じました。ダンたちを助けた、沼地にすむ元海軍部隊ののトレインなんかも、そういえば魔法の存在かもね。

「お狂言師歌吉うきよ暦」

 2010-03-04-23:01
お狂言師歌吉うきよ暦 (講談社文庫)お狂言師歌吉うきよ暦 (講談社文庫)
(2008/12/12)
杉本 章子

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内容紹介
路考(ろこう)お粂(くめ)と謳(うた)われた水木歌仙の下で踊りの稽古に励むお吉。十三で「歌吉」の名をいただいて5年、ようやく大名家の奥向きで踊りを披露するお狂言師の一座に加えてもらえることになった矢先、嫉妬した相弟子に小鋸(このこ)で頬に一生消えない傷をつけられる。そんな折、公儀の隠密より姉弟子を探れという密命が……。

目次
鋸の小町
藤娘の夜
出合茶屋
その夜の客
お糸の祝言

仕掛け花火
消し幕
解説 縄田一男
若干流し読んじゃったんですが、”お狂言師”という踊りを披露する一座の世界が面白かったです。旅の一座と混合してたんですが、お吉はきちんとした所の娘(駕籠屋なので、もちろん武家の娘というわけにはいかないけれど)。町娘のお稽古事の延長に、お狂言師の世界があったんですね。

顔に一生消えない傷を付けられた彼女は、踊りで生きていくことを覚悟するのだけれど、隠密の日向とは何やら良い雰囲気なのだし、どうにかならないのかなぁ。続きもあるようなので、さっくり予約してしまいました。しかし、良く考えると、ただの町娘に隠密もどきの働きをさせるなんてひどいな。次作でもお吉は働かされているのかしら。時代はちょうど水野忠邦の天保の改革あたり。時代物を読んでいると、水野忠邦、いつもあんまり恨まれていて、ちょっとかわいそうになってしまいます。

杉本章子さんという方、全然知らなかったんですが、直木賞作家なんですねえ(89年に受賞)。さすがの手堅さでありました。

「借金取りの王子」/君たちに明日はない2

 2010-03-04-22:14
借金取りの王子借金取りの王子
(2007/09)
垣根 涼介

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内容(「BOOK」データベースより)
デキる女ほど、なぜ辞めたがる??リストラ請負人・村上真介の悩みは今日も深い。デパート、生保、金融、ホテル…次の標的は、あなたかも!?恋と仕事の傑作エンタテインメント、ますますパワーアップ。

結局、NHKのドラマの方は、一回しか見られなかったんですが、本の方は順調に読み進んでいます。「君たちに明日はない」(感想)の続編です。

今回も真介の口上は滑らか。
「これを機会に、新しい外の世界にチャレンジされるのも一考かと思われますが、いかがでしょう」。
この辺りは嫌になるほど、リアリティがあるような気がしてしまいます。

今、この男のデカいアタマのなかには、大金が転がり込み、転職活動もうまくいって、新たな職場で活躍している自分のイメージが浮かんでいる。希望的観測に沿った未来。
最近になって分かってきた。
人間は、受け入れがたい現実は受け入れない。不本意な将来には目を塞ぎ、代わりに自分に都合のいい未来だけを信じる。(p23より引用)

このあたりも、ね。

真介は彼らの錯覚を利用して、辞職勧告を受け入れるよう”落とす”。もちろん、それは錯覚にしか過ぎないのだから、それは鬼のやること、自分はろくでなしだとの自覚はあるのだけれど…。それでも、それが真介のオシゴト。今回も4件の面接が描かれます。

真介とて、何も考えていないわけではなくて、File5は彼の会社が新規に立ち上げた人材派遣業のお話。派遣業の言い出しっぺの真介は、この新規部門のチーフとして、恋人陽子の事務局にスタッフを派遣します。

今回、じーんと来たのは、表題作でもある「借金取りの王子」。消費者金融業の恐ろしさとともに、印象深かったのが「王子」の純情。対になる「姫」の男っぷりも良かったです。ある意味、夢のようなお話でもありましたが、いいんだなぁ。ごっつい結婚宣言、かっこいいです。

今後が気になる展開としては、真介の会社「日本ヒューマンリアクト㈱」の社長、高橋がぐいぐいと出てきたこと。年のころは、真介の恋人、陽子とぴったりなんですよねーー。次作では、このトライアングルには何か進展があるのかしらん。うーん、陽子はどちらと付き合っても良いのではないのかなぁ。真介にはまだまだ独りが似合いそう。とかいって、次作では結婚話とかが出ているのかもしれませんが…。

目次
File1. 二億円の女
File2. 女難の相
File3. 借金取りの王子
File4. 山里の娘
File5. 人にやさしく

「製鉄天使」/赤朽葉家の伝説スピンアウト

 2010-03-04-22:00
製鉄天使製鉄天使
(2009/10/29)
桜庭 一樹

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内容(「BOOK」データベースより)
辺境の地、東海道を西へ西へ、山を分け入った先の寂しい土地、鳥取県赤珠村。その地に根を下ろす製鉄会社の長女として生まれた赤緑豆小豆は、鉄を支配し自在に操るという不思議な能力を持っていた。荒ぶる魂に突き動かされるように、彼女はやがてレディース“製鉄天使”の初代総長として、中国地方全土の制圧に乗り出す―あたしら暴走女愚連隊は、走ることでしか命の花、燃やせねぇ!中国地方にその名を轟かせた伝説の少女の、唖然呆然の一代記。里程標的傑作『赤朽葉家の伝説』から三年、遂に全貌を現した仰天の快作。一九八×年、灼熱の魂が駆け抜ける。

かなり楽しみにしていたんですが、これは残念だったなぁ。”鉄を操る”ところ、どうやら誰かの語りを聞いているようであること、その辺りは新しいんだけど、あとは「赤朽葉家の伝説」を読んでいれば事足りてしまうのです。

ドブスの集団エドワード族とか、漫画的な面白さには溢れているけど、そこに新しさはないんだよねえ。うーむ、これは何を楽しみに読めばいいのでしょうか。ちょっと本気で分からなかったです…。何か読み損なってんのかなー。

「赤朽葉家の伝説」の感想にリンク
目次
一章 鏖のメロディ
二章 エドワード族の最後
三章 スーパー・デリシャス・アイアン・ガール
四章 灼熱のリボン野郎
五章 えいえんの国、さ!
エピローグ
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プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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