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「儚い羊たちの祝宴」

 2010-02-27-22:53
儚い羊たちの祝宴儚い羊たちの祝宴
(2008/11)
米澤 穂信

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内容(「BOOK」データベースより)
ミステリの醍醐味と言えば、終盤のどんでん返し。中でも、「最後の一撃」と呼ばれる、ラストで鮮やかに真相を引っ繰り返す技は、短編の華であり至芸でもある。本書は、更にその上をいく、「ラスト一行の衝撃」に徹底的にこだわった連作集。古今東西、短編集は数あれど、収録作すべてがラスト一行で落ちるミステリは本書だけ。

身内に不幸がありまして
北の館の罪人
山荘秘聞
玉野五十鈴の誉れ
儚い羊たちの晩餐
今、内容紹介をコピペしていて気付いたんですが、これ、ラストに拘ったものだったんですねえ。そこは良く分かんなかったけど、多少浮世離れしていても、それなりにキレのよい短編集でした。短編を繋ぐのは、ハイソサエティの子女が集う読書会、「バベルの会」。まぁ、それぞれぶっ飛んだ設定でもあるように思うんだけど、「バベルの会」は、”幻想と現実とを混乱してしまう儚い者たちの聖域(アジール)”なんだそうな。再興された「バベルの会」は、また違ったものになるのでしょうか。

ジェリコーのメデューズ号の筏の絵を思わず調べてしまいましたわー。見たことあったけど、これが居間に掛けてある家なんて嫌だわ…(あれ、居間で良かったんだっけ…、応接間とかじゃなかったっけ…)。

それぞれ、多少の突っ込みどころがあるお話なんだけど、「玉野五十鈴の誉れ」だけは、拘ったというラストに突っ込んでしまうなぁ。そういえば、以前、どちらかでもそういった感想をお見掛けしたような…。そ、それはちょっと駄洒落落ちなのでは。
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「少年時代」上・下/魔法のボーイズ・ライフ

 2010-02-27-22:40
少年時代〈上〉 (ヴィレッジブックス)少年時代〈上〉 (ヴィレッジブックス)
(2005/07)
ロバート マキャモン

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少年時代〈下〉 (ヴィレッジブックス)少年時代〈下〉 (ヴィレッジブックス)
(2005/07)
ロバート マキャモン

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(↑読んだのは版元も違うハードカバーなんですが、表紙が素敵だったこちらを)

これは、すっごく良かったです。夢中になって読みました。あまりにもパーフェクトな少年時代!アメリカ南部の片田舎、黒人差別が残る小さな町、貧しい家庭、超人ではなくとも、子のためにも恥ずべき行いはすまいと勇気を振り絞る父。
第一部 春の薄闇
第二部 悪魔と天使の夏
第三部 燃える秋
第四部 冬の冷酷な真実
第五部 いまのゼファー
 謝辞
 訳者あとがき
縦糸となるのは、牛乳配達の最中、父と子が遭遇した殺人事件。底なしの湖に沈んでいった車の中の死体をめぐる謎。ワイヤーで首を絞められ、ひどい暴行の跡もあったその死体は、運転手を助けるために湖に飛び込んだ父を夜毎苛む。いっしょに来い、下の暗いところへ…。父の夢の中で死体はこう囁く。

横糸は、少年コーリーが一年間に出会う様々な出来事。父の失業、友の死、爆弾騒ぎなどなど。少年コーリーは成長していくのだが…。更に重要なキーワードは、冒頭の読者への語りにもある「魔法」という言葉。コーリーが暮らす町ゼファーを、彼は魔法の町だという。

あれは魔法の土地だった。
わたしの内には、あの素晴らしい魔法の王国で過ごした少年時代(ボーイズ・ライフ)の思い出がしまわれている。
わたしはおぼえている。
こうしたことをわたしはこれから語ってみたい。

「少年時代」上・下/魔法のボーイズ・ライフ の続きを読む

一言感想

 2010-02-27-22:16
9462794627
(1995/08)
石黒 達昌

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内容(「BOOK」データベースより)
戦争、クスリ、多重人格―90年代の生と死。マラソンの素人に近かった女性ランナーがクスリを使用し、世界記録を上回るペースで来た40キロ過ぎに突然死した。その死を巡って複数の毒物に関わった研究者、医師が、麻薬や毒物の研究と症例を生々しく裁判の証言で語る表題作ほか2篇を収録した最新作品集。

「イスラム教の信者、ユダヤ教の信者、キリスト教徒など、神と終末の日とを信じ善を行う者は、その主のみもとに報酬がある。彼らには恐れも悲しみもない」
94627
ALICE

読みこなせる人が読めば面白いんだと思うんです。でも、こういう説明が延々と続くような小説は苦手なんだよなーーー。たとえて言うと、円城塔さんの「つぎの著者につづく」(「オブ・ザ・ベースボール」の併録だった)のような感じ。あくまで私の中で、ではありますが。ここは、「冬至草」を読んでみようかな。結局、読めたのは内容紹介にもある、表題作「94627」だけでした。これは、他のものよりも設定がもう少し分かり易かったんだよね。
王の眠る丘王の眠る丘
(1993/06)
牧野 修

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内容(「BOOK」データベースより)
少年戌子は、いつか馬奴騎手になりたいと思っていた。馬奴とは、蹄を持ち二本の脚で直立する獣で、騎手はその肩にのって、速さを競うのだ。だが、ある日、戌児が住む流民の町は、黄武神皇が支配する巨大帝国〈霊ノ国〉の軍隊によって、一夜にして壊滅してしまう。親しい人々を殺された戌児とその仲間たちは黄武神皇に復讐を誓うが…、神皇は謎の力に守られていた。戌児たちに残された方法はただ一つ。三年後に開催される国家行事“大耐久馬奴走”に参加することだった。この大陸横断マラソンレースに勝利すれば、神皇暗殺のチャンスがやってくる。戌児は、夢見ていた騎手となって、レースに挑んだ。ハイ!ノヴェル大賞受賞作。

この馬奴がいいんですーー。大きな獣萌え? 周囲の国々を呑み込んで、巨大帝国<霊ノ国(ひのくに)>を作り上げた黄武神皇…。虐げられる人々、アイデンティティを奪われる少数民族。戌子はみなを救えるのか? ってところだけれど、最後に一ひねり。この一ひねりが良かったかな。タイトルの意味も生きるというもの。

↓私が読んだハードカバーは、安彦良和絵だったんですが、おお文庫ではこんなすっきりな絵に! でも、やっぱりイメージはもっと泥臭く。少年と馬奴には、安彦絵がぴったりでした。
王の眠る丘 (ハヤカワ文庫JA)王の眠る丘 (ハヤカワ文庫JA)
(2000/01)
牧野 修

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いっちばんいっちばん
(2008/07)
畠中 恵

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内容(「BOOK」データベースより)
摩訶不思議な妖怪に守られながら、今日も元気に(?)寝込んでいる日本橋大店の若だんな・一太郎に持ち込まれるは、訳ありの頼み事やらお江戸を騒がす難事件。お馴染みの妖がオールキャストで活躍する「いっちばん」、厚化粧のお雛ちゃんの素顔が明らかになる「ひなのちよがみ」の他三編を収録。大人気「しゃばけ」シリーズ第七弾。

いっちばん
いっぷく
天狗の使い魔
餡子は甘いか
ひなのちよがみ
「餡子は甘いか」では、栄吉の菓子作りの腕が少しは上がるかなぁ、と思ったんだけどなぁ! 心はきっぱり決まったみたいだけれど…。栄吉の奉公先の主人が言うように、ながーーい目で見ればいいんだよね、きっと(でも、なんかコツとかさ! 栄吉の餡子が壊滅的にダメなのには、外から見て明らかな理由はないの?)。

「にょっ記」/そんな日常

 2010-02-27-21:54
にょっ記にょっ記
(2006/03)
穂村 弘

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内容(「MARC」データベースより)
他人の日常って、ほんとうに奇妙なもの。ましてや鬼才ホムラヒロシともなれば…。くすくす笑いとハイブロウな後味のウソ日記。挿絵はフジモトマサルのひとこま漫画。『別冊文芸春秋』連載に加筆して単行本化。

どうでもいい、しかしそれがいい。

ときどき、穂村さんと会話をしている「天使」はところで誰?(誕生日のプレゼントに木のうろを欲しがったり、第一礼装=おめかしで行くかどうかを聞いたりする。一瞬、彼女的な人のことなのかな、と思ったんだけど、もうもうと土煙りのたつヘッドスライディングを見せてくれたりするので、やっぱり実在ではない不思議な相方のようなものなのかしらん)

大正時代の学習帳とか、綴り方のお手本は純粋に面白そう~~。でも、自分の使ってたものが、後の世の人に見られるのはちょっとやだな。笑

「Heart Beat」/青春音楽小説アンソロジー

 2010-02-24-23:43
Heart BeatHeart Beat
(2008/10/29)
芦原 すなお伊藤 たかみ

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内容紹介
ビートルズも四人、ベンチャーズも四人。なら、アーゴノーツも四人でなくちゃならない。(「アルゴー号の勇者たち~短い叙事詩~」)。
実質的には文化祭の打ち上げっていうより、50ccの解散パーティーになる(「シャンディは、おやすみを言わない」)。
エレキギターのフレーズが聞こえてきた。吹奏楽部の新しいレパートリーだ(「peacemaker」)。
おれはあんまり気乗りしないまま、生まれて初めてライブハウスってところに行った(「おれがはじめて生んだ、まっさらな音」)。
指定されたとおりの場所を押さえて弾くと、ちゃんとブルースに聞こえるではないか(「フランソワ」)。
そのとき僕は、自信過剰で感傷的な、チェロ専攻の高校二年生だった(「再会」)。


「船に乗れ!」が巷で評判の藤谷さん。わが図書館には他にあんまりおいてないようだったので、アンソロジーを借りてきました。これ、読んだことない伊藤たかみさんの短編も入ってたので、ちょうどいいなー、と思って。しかし、伊藤さんてば、いつの間に角田さんと離婚されてたんでしょう。角田さんの再婚のニュースにびっくりでした。


Peacemaker
小路幸也
シャンディは、おやすみを言わない
伊藤たかみ
おれがはじめて生んだ、まっさらな音
楡井亜木子
アルゴー号の勇者たち~短い叙事詩~
芦原すなお
再会
藤谷治
フランソワ
花村萬月
小路さんは流石の手堅さ、伊藤さんのはちょっと甘かったかなー。昔良く読んだ、喜多嶋隆さんをちょっと思い出す感じ。もう少しぴりりとした所が欲しいです。期待の藤谷さんは、これ、どうも「船に乗れ!」の番外なんじゃないかな。これだけだとぜんっぜん分かりませんでした。やっぱりほとぼりが冷めた頃に読もう…。
この中で好きだったのは、「おれがはじめて生んだ、まっさらな音」。高校生のゴツゴツした「おれ」。彼はモンスターに出会えるのかな。この真っ直ぐさで、彼をはじめて夢中にさせたバンドの音と同じくらい、彼を圧倒するモンスターを見つけられるんじゃないかな。

「文学刑事サーズデイ・ネクスト〈3〉だれがゴドーを殺したの?」

 2010-02-24-23:40
文学刑事サーズデイ・ネクスト〈3〉だれがゴドーを殺したの?〈上〉文学刑事サーズデイ・ネクスト〈3〉だれがゴドーを殺したの?〈上〉
(2007/01)
ジャスパー フォード

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文学刑事サーズデイ・ネクスト〈3〉だれがゴドーを殺したの?〈下〉文学刑事サーズデイ・ネクスト〈3〉だれがゴドーを殺したの?〈下〉
(2007/01)
ジャスパー フォード

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内容(「BOOK」データベースより)
わたしはサーズデイ・ネクスト。ついこのあいだまで、イングランドで暮らす一介の「文学刑事」だった。ジェイン・エアを誘拐した文学破壊凶悪犯ヘイディーズを倒し、ポーの『大鴉』の中で、卑劣な巨大企業ゴライアス社と対決したのはいいが、ひきかえに愛する人をうばわれてしまった。しかも記憶を操る怪女エイオーニスから、兄の仇と命を狙われる始末。そんなわたしに『大いなる遺産』の豪快なブックジャンパー、ミス・ハビシャムが助け舟を出してくれた。普通は現実世界の人間が入れない“ブックワールド”に匿ってくれるという。『ロビンソンクルーソー』の島で過ごすか『高慢と偏見』の中で優雅なドレスをまとうか迷ったが、怪しげな未完の小説のなかでしばらくのんびり身を隠すことにした。しかし運命はわたしに休息をゆるしてくれないらしい。小説世界でも刑事をやるんだよと、ミス・ハビシャムのしごきが始まった…。ヒースクリフから植物怪獣トリフィッドまで、文学オールスター勢揃いの“文学刑事シリーズ”第三弾。

内容(「BOOK」データベースより)
“ブックワールド”に身を潜めてのんびりするはずが、こっちの世界でも、刑事もどきをつとめるハメになったわたし。相変わらず厳しいミス・ハビシャムの叱咤を浴びながら、マクベス三婆の押し売りに耐え、脇役たちのストレス解消セラピーにつきあい、誤植ウイルスを撃退する忙しい日々がはじまった。あるとき、ミノタウロスの逃走を追いかけていた現場で、どうやら小説OSのアップグレードをめぐる陰謀が進行していることに気づく。このままでは型にはまった小説だけが量産され、文学世界が破壊されてしまう!いったい黒幕はだれなのか?わたしから夫ランデンの記憶を完全に消そうと執拗に狙う、怪女エイオーニスの攻撃を必死でかわしながら、相棒となった作中人物仲間とともに捜査に乗り出したが…。

メモメモ。これって、目次を書き写すだけでも満足しちゃうんだなー。
1 朝食の欠如
2 『カヴァーシャム・ハイツ』のなかで
3 三人の魔女、多項選択、嫌み
4 ランデン・パーク=レイン
5 ロスト・プロットの泉
6 グラマサイトの夜
7 ミノタウロスに餌をやる
8 A419号線で一六〇マイル
9 アップル・ベネディクト、針鼠、ブラッドショー隊長
10 第四万三百十九回ジュリスフィクション会議
11 ウルトラワードTMの導入
12 『嵐が丘』
13 セント・スティーヴンの教会近くの貯水池
14 ジェネリックの教育
15 ランデン・パーク=サムボディー
16 ネモ艦長
17 ミノタウロス騒動

18 安らかに眠るスネル、そしてルーシー・ディーン
19 牧羊犬シャドー
20 名前をもらったIbbとObb、『ハイツ』ふたたび
21 パイ泥棒は誰だ?
22 クリミアの悪夢
23 第四万三百二十回ジュリスフィクション会議
24 誓約、ジャンル委員会、ディーン捜索
25 ミス・ハヴィシャム―最後の挨拶
26 ポスト・ハヴィシャム・ブルース
27 わが心の果ての灯台
28 ローラの旅立ち、『ハイツ』ふたたび
29 ブラッドショー夫人とソロモン(審判)社
30 暴露
31 形勢逆転
32 第九百二十三回ブックワールド賞
33 ウルトラワードTM
34 未解決の問題
34a 荒天
今回はヘイディーズ一族のエイオーニスとの戦いもあるんですが、背景にずーっとあるのは、小説OSのアップグレード! ウルトラワードTMの導入を巡り、ブックワールドは何やらきな臭い…。妊娠中にのんびりしようったって、そこはサーズデイのいるところ。そうは問屋がおろしません。

ヒースクリフやロチェスターのようなメジャーどころだけではなく、マイナーな作中人物から、まだ生まれ出ていない小説の作中人物まで、それぞれに個性が溢れていて楽しい~。このシリーズは作中の小ネタも楽しくって、教育を受けて作中人物を演じるようになる”ジェネリック”という存在も面白かったな。彼ら彼女らは色々な役を演じるためのコースを受けるんだけど、一時期誤って、『レベッカ』のダンヴァース夫人が量産されちゃったそうです。ひたひたと迫る、ダンヴァース夫人の一団…。こわーーーーい。実は『レベッカ』読んでないので、あくまでこの本を読んでの想像なんですけど。

有名作品を色々取りこぼしているので、小ネタに十分に反応しきれないところもあるんですが、珍しくイヴリン・ウォーの『ブライヅヘッドふたたび』は分かったよ!(私が読んだのは、『回想のブライズヘッド』だったけど) あー、そして、やっぱりあれはクマなんだよね。

しかし、全部読んでも、サーズデイの愛しのランデンは、相変わらず根絶されたまんまなんです。一応現実の世界に(多少は)リンクしていた、1から比べるとどっぷりとブックワールドなる完璧フィクションの世界だった3。次作はどうなるのかなーー。というか、きちんと4は訳されるのか??

「ワイルド・サイドを歩け」

 2010-02-14-02:30
ワイルド・サイドを歩け ~『このミス』大賞・シリーズワイルド・サイドを歩け ~『このミス』大賞・シリーズ
(2004/03/13)
東山 彰良

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相浦理一、18歳―昼は進学校に通う優等生、夜は博多の街角に立つ男娼。ある晩、はずみで客を殴り倒した理一は、男のバッグを持ち逃げする。バッグの中身は、大量の台湾産ドラッグ「百歩蛇」と拳銃一挺。理一は悪友の馬素たちと相談し、「百歩蛇」をストリートギャング・ラプターズに売り付けようと企む。井島勝義、26歳、通称イジー―組員一人の超弱小零細暴力団、井島組の組長。上納金の締めつけにあえぎ、上部団体に内緒でガキ相手のドラッグ密売に乗り出すが、ホモの台湾人運び屋が商品と拳銃を奪われるトラブルが発生、ドツボ一歩手前。通称ユーリ(本名不詳、20歳くらい)―ラプターズを束ねる、ユーリ・アルバチャコフ激似のストリートギャング。ドラッグ商売をめぐって井島組と衝突する。理一とイジーとラプターズ、三つ巴の抗争はさらにヒートアップ。

このミス2010年版を読んで、気になっていた「ジョニー・ザ・ラビット」。そちらがまだ図書館に入っていないようなので、とりあえずはあるものを借りてこようと借り出してきたんですが…。うーむ、感想としては、私はワイルド・サイドを歩きたくない!、という感じですかね。

最初のシーンを除けば、主人公の理一が男娼である必然性もないし(もしかして、ヘモXのせい?)、他の登場人物たちも、やたらと特徴があるのに、いまひとつキャラが立っているとは言い難い。ばたばたと人も死んでいるけど、クライム・ノベルとしての突き抜けた爽快感もない。うーん、これは何を描きたかったのでしょう??? そして、福岡が滅多矢鱈と危険な街になっていることも気になります。確かにその点は思いっきりワイルドだったかもしれません。しかし、同じ若干キケンな匂いのする福岡なら、北森さんの「親不孝通り」シリーズの方がいいよなあ。こうなってくると、興味を持った「ジョニー・ザ・ラビット」もちょっとあやしいよなーー。

「大きな約束」「はるさきのへび」「ニューヨークからきた猫たち」

 2010-02-14-01:56
大きな約束大きな約束
(2009/02/05)
椎名 誠

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単行本、文庫合せて累計230万部を越え、今も読み継がれる『岳物語』から24年。ライフワークともいえるシーナ家の物語に、ついに「孫」が誕生!「風太」と「海ちゃん」の二人の孫の「じいじい」となった作者が描く”家族” のいま…。
サンフランシスコに住む息子・岳に「風太」と「海ちゃん」が生まれた。三歳の孫からの国際電話に、すばやく「じいじい」の声で対応しながらシーナは思う。幼かった頃の岳のこと。ニューヨークに住む娘のこと。チベットに旅行中の妻のこと……「家族が揃って食事するありふれた風景はじつはほんのうたかたのものなのだ」。
親子の関係、老い、近しい人の死と新しい命など、世代を越えてアピールする作品。


はるさきのへびはるさきのへび
(1994/05)
椎名 誠

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朝起きて窓の外を見ると、海が見える家に住む、そんな夢を持つぼくは、夏のある日、3人の少年と会った…。陽だまりの中をにょろにょろいくへびのように少しのんびりして少し笑える小さな愛の小説集


ニューヨークからきた猫たちニューヨークからきた猫たち
(2002/11)
椎名 誠

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ある朝、母の死んでいく夢を見た。12時間後におきる予知夢であった。「ふゆのかぜ」の中をそれぞれ生きるさまざまな人生の屈曲点。夫婦、親子、そして子供が巣立ち離れて暮らす家族の絆を、おだやかな筆致で描く家族小説集。

予約に失敗して貸出の枠が余っちゃったので、困った時の椎名本とばかりに、一気に借りちゃった本3冊です。椎名さんは本も沢山あるので、似た話もあったりして、書いとかないと忘れちゃいそうなので、メモメモ。

「大きな約束」では、最初の「こんちくしょうめ」の狭い道での車の擦れ違いを巡るトラブルに、こんなこと書いちゃっていいのかしらん、と思ったり、でもここで若い時分に初めて逮捕された時の、留置場の話に持っていくあたりがすごいよねえ、と変に感心してみたり。周知のことなのかもしれませんが、これくらいでは週刊誌だのネットだので、スキャンダラスに書かれたりはしないのかな。

「はるさきのへび」では、椎名さんとは似て非なるサラリーマン、塩田勇のお話「階段の上の海」が印象深かったなぁ。玉川上水近くの家とか、義母が経営することになり、妻が手伝うようになった保育園の話とか、うまーく真実が滑り込ませてあるのでしょうね。奥さんが、家のことも手を抜かずに、勉強に仕事にと奔走してたのは、本当のことなんだろうなぁ。理想に燃える義母と妻に置いていかれて、なんだかぼーっとしていた椎名さんも。そこで、”諸見里先生”のような存在があったのかどうかは、読み手にはあずかり知らぬことですけれども。

あとは、山田早苗なる女性が主人公となる「海ちゃん、おはよう」も、やはり形を変えた私小説で興味深かったです。あとがきによると、これは育児雑誌の編集部に異動したP・タカハシさんの頼みで連載を引き受けたものだそう。育児雑誌と椎名さん、普通は結びつきそうもないもんねえ。そんなわけで、母親から見た考え方で書くという、今までやったことのない手法で挑んだのがこのお話なんだそう。若くして親となった父と母の戸惑いや奮闘が面白いです。

こうやって読んでいくと、奥さんがずっと働いていたことも大きくて(とはいえ、奥さんは家の中のことは物凄くきっちりとやっていたようだけれど)、たぶん三十年以上経った現代でも、子育てに関しては、椎名さんは進歩的な考えを持っているような気がします。「ゼロ歳児からの集団保育は、最終的にその子供の自主性や社会性に大きくプラスする筈だ」。今でこそ、ゼロ歳児を預けることも珍しくはありませんが、私も話を聞くとなんだか可哀そうな気がしちゃったり、育児休業がとれるなら取っちゃえば~、と思っていたんですよね。そういう意味では、実際、椎名さんの長女、葉さんは、母・一枝さんが働く保育園に、早くから預けられていたのでした(朝、家を出て、また裏から入るような感じだったみたいだけど)。

子供がいないので、その方面、私は明るくないのですけれど、しかしやっぱり国がやるべきことは、子供手当などではなくて、無認可保育園を“認可”するとか、援助するとか、そういう方面なんじゃないんですかねえ。”無認可保育園」の活動家保母だった一枝さんと椎名さんは、若き日に離婚の危機もあったのだそうな。

P・タカハシさんと、「大きな約束」の「熱風の下」における、腹膜の癌になった”親しい友人高橋”は同一人物なのだっけ…。

「君たちに明日はない」/大人のオシゴト小説

 2010-02-14-00:48
君たちに明日はない (新潮文庫)君たちに明日はない (新潮文庫)
(2007/09/28)
垣根 涼介

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「私はもう用済みってことですか!?」リストラ請負会社に勤める村上真介の仕事はクビ切り面接官。どんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、なぜかこの仕事にはやりがいを感じている。建材メーカーの課長代理、陽子の面接を担当した真介は、気の強い八つ年上の彼女に好意をおぼえるのだが…。恋に仕事に奮闘するすべての社会人に捧げる、勇気沸きたつ人間ドラマ。山本周五郎賞受賞作。


File1. 怒り狂う女
File2. オモチャの男
File3. 旧友
File4. 八方ふさがりの女
File5. 去り行く者
 解説 篠田節子
たまたま一回だけドラマを見て、気になったので図書館で借りてきちゃいました。私が見たのは、ちょうどFile3.の「旧友」のところだったみたい。でも、次回予告は「オモチャの男」だったし、順番は適当にいじってあるんだな、きっと。ドラマはなかなか良くって、主人公の真介がすっかり坂口憲二にしか見えませんー! 続巻も予約を入れようと思ったら、同じように予約を入れた人がいたみたいで、続きを読むのはちょっと先になっちゃいそうです。

ドラマを見た時に、不思議だった田中美佐子の立ち位置は、原作を読んで理解は出来たんだけど、別に映像化するときに、なくても良いキャラだったのかも…。だって、真介、ただの年上好きにしか見えないよー。しかも、あんな純情キャラでもないしなぁ。実際、大人の娯楽小説として、小説の中ではアンナコトもコンナコトもしちゃう仲なんですけど。オヤジ小説に若い女性の恋人が彩りをそえるように、若い男性主人公に年上の女性の恋人がいるんですね、きっと。ま、実際はそこまで単純な話ではなく、真介もまだ色々と何物かを隠し持ってそうな面白そうな男性だとは思うのですが。

ほんとにこんな会社があるのかは知りませんが、アウトソーシング流行りかつ、終身雇用が崩壊しつつあるこの現代に、ちょうど良いリアリティのあるお話でした。しかし、この真介がクビにする人たちの年齢が結構若くってですねえ。なんだか、身に詰まされてしまうんだなぁ。会社が自分に掛けているお金を正確に把握出来てる人って、一体どのくらいいるのでしょうか。その辺をきちんと考えたり、自分が何をしたいのか、何を出来るのか、そのためにもし足りないものがあるのなら、そこをどう埋めていくか(自力で?それとも会社を利用して?)、などなど、常に考えてかないと、これからは会社人生が続けられないような気がします。

「イニシエーション・ラブ」

 2010-02-13-23:38
イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)
(2004/03)
乾 くるみ

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大学四年の僕(たっくん)が彼女(マユ)に出会ったのは代打出場の合コンの席。やがてふたりはつき合うようになり、夏休み、クリスマス、学生時代最後の年をともに過ごした。マユのために東京の大企業を蹴って地元静岡の会社に就職したたっくん。ところがいきなり東京勤務を命じられてしまう。週末だけの長距離恋愛になってしまい、いつしかふたりに隙間が生じていって…。

仕掛けのある本だとは聞いておりましたが、なっるほどねーーー。しかし、いまひとつ勘の鈍い私は最後にえーーー!、っとなった挙句、ネットの旅に出てしまいました。しっかり解説してくれているページを見つけたので、思わずじっくり読んでしまいました。

目次
A面
1 揺れるまなざし
2 君は1000%
3 YES-NO
4 Lucky Chanceをもう一度
5 愛のメモリー
6 君だけに
B面
1 木綿のハンカチーフ
2 DANCE
3 夏をあきらめて
4 心の色
5 ルビーの指輪
6 SHOW ME

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プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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