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「やんごとなき読者」/読書の楽しみ

 2009-09-26-03:14
やんごとなき読者やんごとなき読者
(2009/03/11)
アラン ベネット

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内容(「BOOK」データベースより)
英国女王エリザベス二世、読書にハマる。おかげで公務はうわの空、側近たちは大あわて。「本は想像力の起爆装置です」イギリスで30万部のベストセラー小説。

前評判でものすごく期待しちゃった分、実はそこまではまったわけではないんだけど、読書の楽しみに目覚めていく女王がキュートでした。地がしっかりしている分、振り回される周囲の人々は、「キュート」だなんて言ってられない感じなんだけど…。恐る恐る踏み出したという割に、その読書道はやっぱり女王然としているのです。

他にやらなきゃいけないことがあるのに、はまってしまう読書。本好きなら経験ありますよね?

そうして、読書の体力をつけた女王はまた次の次元へ。この切り替えがなかなか素敵。本を読んで得られるのは純粋な楽しみだけではなくって、時に何かの結論。ただし、それは自分でも気付かないうちにしていた決意に裏付けを与えるだけのもの。「本はいわばけりをつけてくれる」。なるほどねえ。
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「死因不明社会」/海堂尊さんブルーバックス

 2009-09-26-03:04
死因不明社会 (ブルーバックス 1578)死因不明社会 (ブルーバックス 1578)
(2007/11/21)
海堂 尊

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目次
 プロローグ 「死因不明社会」の出現とその処方箋
第1章 そして誰も「解剖」されなくなった
  厚生労働省・白鳥圭輔室長、独占インタビュー①
第2章 現代日本の解剖事情
第3章 死体のゆくえ
  厚生労働省・白鳥圭輔室長、独占インタビュー②
第4章 解剖崩壊
第5章 医療事故調査委員会における厚生労働省の謀略
  厚生労働省・白鳥圭輔室長、独占インタビュー③
第6章 Aiは医療事故問題解決の処方箋となりうるのか?
第7章 Aiの病院死症例における威力
  厚生労働省・白鳥圭輔室長、独占インタビュー④
第8章 「死亡時医学検索」の再建のための処方箋「Ai」
第9章 犯罪監視システムとしてのAi
  厚生労働省・白鳥圭輔室長、独占インタビュー⑤
第10章 死をめぐる医療と司法の相克
第11章 Aiの医学的考察
  厚生労働省・白鳥圭輔室長、独占インタビュー⑥
第12章 「死因不明社会」の処方箋と明るい未来
  Aiセンターが医療と社会を再建する
「厚生労働省・白鳥圭輔室長、独占インタビュー」なんて、あの架空の「チーム・バチスタ」シリーズの登場人物が出てきちゃいますが、基本的には真面目な作りです。かつ、これは「イノセント・ゲリラの祝祭」の参考書になるのではないか、と。この辺の基礎知識がないと、「イノセント・ゲリラ」はちょっと厳しい気がします。あれ、ほぼ事件が会議室で起こってるんだ!、って感じですしね。

真面目な本なので、「病理解剖」の写真(白黒で小さいけど、あ、これ、腸だよね~、などとばっちり分かる)なんかも出てきて、若干吃驚しましたが、総じて読んで良かったと思います。

解剖というと、私などは「検屍官」のケイさんの、内臓の重さなどを記録する場面などを思い出すのですが、良く考えてみれば、破壊検査である「解剖」の前に、非破壊検査で問題個所に当たりをつけるのは、ものっすごく妥当な話だよねえ。

あと、知らなかったのが、「監察医制度」が敷かれている場所とそうでない場所があるということ。昭和二十四年の政令で、東京二十三区内、横浜市、名古屋市、大阪市、神戸市、福岡市並びに京都市の七都市に監察医制度を設置するとあるそうなんだけど、昭和六十年の政令一部改正で、福岡市と京都市は除外されて、現在はたった五都市に置かれているのみなんだって。また、監察医制度のない地域では、行政解剖は病理解剖と同様、遺族の承諾が必要になるけれど、監察医制度の下では遺族の同意が必要とされないんだそうです。つまり、虐待などを見逃し難い。

五都市に敷かれているこの「監察医制度」ですが、行政解剖の数を見れば地域偏重性が一目瞭然。住んでる場所で、死んだ後の処遇が変わってしまうなんて、ちょっとショックでした。監察医が置かれている五都市のうち、唯一実質的にその機能を完遂している専門施設が東京都監察医務院で、ここには院長、副院長に加えて、常勤の監察医や非常勤医を有しているんだそうな(これが横浜市だと、監察業務を行っているのが、辞令を持つ個人医だったり、たとえば大阪市だと所長、監察医とも非常勤になってしまう)。

「ひかりの剣」/剣士、速水

 2009-09-26-02:36
ひかりの剣ひかりの剣
(2008/08/07)
海堂 尊

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内容(「BOOK」データベースより)
バブル景気真っ盛りの1988年、東城大医学部剣道部の猛虎、速水晃一、帝華大医学部剣道部の伏龍、清川吾郎、剣の才能を持つふたりの男が、全存在をかけて戦う。そしてその戦いの陰には、帝華大から東城大佐伯外科に招聘された阿修羅、高階顧問の姿があった。医療ミステリーの旗手が放つ、初の青春小説。

あの将軍(ジェネラル)こと救命救急センター部長の速水晃一の医学生時代。そうしてこれは、「ブラック・ペアン1988」(感想)の裏の物語でもあります。

何が恐ろしいって、阿修羅・高階。その指導も恐ろしいことこの上ありませんが、さすが阿修羅。あの裏でこんなことまでやっていたとは…、とその八面六臂ぶりにすっかりビビってしまうのでした。
目次
第一章  明鏡止水  桜宮・東城大学   冬
第二章  クラウディ  東京・帝華大学   冬
第三章  春風駘蕩  桜宮・東城大学   春
第四章  マリオネット 東京・帝華大学  春
第五章  剣心一如  桜宮・東城大学  初夏
第六章  ミラージュ  東京・帝華大学  初夏
第七章  獅胆鷹目  桜宮・東城大学  夏
第八章  セキレイ   東京・帝華大学  夏
第九章  サブマリン  第三十七回医鷲旗大会 夏
第十章  マリンスノー
第十一章 寒月牙斬  桜宮・東城大学  晩秋
第十二章 エゴイスト  東京・帝華大学  冬
第十三章 竿頭一歩  桜宮・東城大学  春
第十四章 遠雷驟雨  桜宮・東城大学  夏
第十五章 ヒーロー   東京・帝華大学  夏
第十六章 栄光     第三十八回医鷲旗大会 夏
目次が、な、長い! 字面でも分かると思いますが、四文字熟語の堅い雰囲気が、硬派・速水。カタカナが帝華大学の軟派な清川視点のお話です。

まぁ、とにかく速水がかっこいいので、「ジェネラル・ルージュの凱旋」でかっこいい速水に惚れた私などには、まだ若い速水がたまらんです。まだ、泥沼の救命救急の世界で疲れ切ってはいないので、なんか目もキラキラしてそうだし…。

速水のライバル・清川吾郎は、「ジーン・ワルツ」にも登場します。しかし、もともとの軟派な性格がなせる業な気もするけど、清川には女難の相がある気がする…。

ここでも印象的なのは、これが医療費削減、医師数の削減へと舵を切られた時代であるということ。「チーム・バチスタの栄光」も、最初は「チーム・バチスタの崩壊」というタイトルだったそうだし、やはり海堂さんは、医療の崩壊を描いているんだなぁ。

「イノセント・ゲリラの祝祭」の帯には、「厚生労働省をブッつぶせ!」とあるんですが、政権交代が果たされた今、医療についてはどう舵が斬られるのでしょうか。無駄な官僚仕事にお金を取られることなく、Aiが導入されたり、色々進歩があるといいんだけど。そもそも警察や消防に誰も利益なんて言わないのに、医療だけが利益を求められるのでしょう。特に救急なんて、利益が上がるわけないよねえ。警察だって、科学捜査が進歩した今、捜査に掛かる費用は増えていると思うんだけど、I/O費とか、どっかで出してんでしょうか。

メモメモ。

「誤解するなよ、糸田教授はボトム20をバカにしてはいない。外科とか救急とか、修羅場で頭角を現すのは、たいていボトム20出身者なんだそうだ。糸田教授は、表層的な改革に走る厚生省路線を心配している。この調子では二十年後、救急や外科が崩壊することにならんか、とね」(p26から引用)

「私は毎日、手術室という命を削る闘いの場に身を置いている。メスという刃は竹刀より小さいが、その下で繰り広げられる世界は、一歩間違えば相手の命を奪う真剣勝負。剣道場で行われている勝負よりもはるかに厳しい。そこで毎日メスを振るっていれば、剣筋はおのずと磨かれる」
高階顧問は窓から外を見やって、ぽつりと言う。
「まだまだ、青二才には負けません」(p103より引用)

「だがその正しさも実践できなければ、ただのクズだ。悔しかったら一人前の医者になり、自分の信じる医療を俺に見せてみろ」
田口に向けられたその言葉は、速水の心に突き刺さる。(p129より引用)

「なぜ最後まで闘おうとしないんだ。ひとりで勝手に退場するな」
部員一同は、激した高階顧問を呆然と見守る。高階顧問が叱責している相手は、目の前の前園でも、ふがいない剣道部員でもなさそうだ、ということを全員が肌で感じ取っていた。(p218より引用)

「これからだって、ずっとずっとそうなんだ。それは誰にも止められない。だから胸を張って前だけを見続けていて下さい」(p308より引用)

速水の言葉に、清川はへらりと笑う。
「もちろん。勝ち逃げだけが人生だもの」(p317より引用)

あと、美味しいのは、田口、速水、島津のあのベッドサイド・ラーニング(病院実習)の様子が彼らの側から見られることや、雀荘すずめでの彦根を交えた四人の姿が見られることですかね。ああ、海堂ワールドにどっぷりはまっている~。

「夏雲あがれ」「藩校早春賦」/小藩の若者たちの青春

 2009-09-26-01:20
いっつもこういう話ばっかりしている気がしますが、またしてもシリーズものを逆に読んじゃったんです! NHKでドラマ化してたよなぁ、と思って手に取ったのが、「夏雲あがれ」(関係ないけど、初代の「ごくせん」ファンなので、「ごくせん」メンバーにはつい目がいっちゃうんです。確か、石垣くんが出ていましたよね)。

しかし、これは「夏雲あがれ」、単品では非常に厳しい仕上がり。何かというと、「あの春の…」「あの時の…」という説明が入ってしまうので、「藩校早春賦」を読まないことには、主人公三名の性格も何もかもが薄ぼんやりとしてしまうのでした…。

というわけで、ざっくり「夏雲あがれ」を読んだ後、慌てて「藩校早春賦」を借りてきました。ざっくりとか言ってますけど、設定をきちんと知りたい!、と思うほどには魅力的であったみたい。

しかし、シリーズ物の順番って悩ましいですね…。分かりづらいものには、きちんと何々続編、などと書いておいて欲しいものであります。

藩校早春賦藩校早春賦
(1999/07)
宮本 昌孝

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夏雲あがれ夏雲あがれ
(2002/08)
宮本 昌孝

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何といっても小藩ののどかな風景と(この点ではほぼ江戸を舞台としている、「夏雲あがれ」は若干不利かな)、純粋な若者たちの友情が爽やかなのです。映像化するのも分かるけど、このお話、結構ややこしいのではないのかしらん。

一応、これにて大団円みたいなんですが、冷や飯食いの新吾のその後が気になります…。大活躍だった新吾。報われているといいな。

シリーズもののその後など

 2009-09-26-01:03
■加納朋子さん■

「魔法飛行」(感想)→「ななつのこ」→「スペース」を読みました。
(順番としては、2→1→3)
結論としては、私はこの順番で読んで良かったのかも!
デビュー作「ななつのこ」は、そこに含まれる設定のせいもあって、思っていたよりも陰が濃いように思いました。「魔法飛行」の事件も完全に明るいばっかりじゃないけど、「ななつのこ」から読んでいたら、私はその先には進まなかったかも。

で、三部作ラストの「スペース」です。
スペース (創元推理文庫)スペース (創元推理文庫)
(2009/05/05)
加納 朋子

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「スペース」では、この駒子三部作が繋がりつつも、また違った角度からの風景が見えてきます。「魔法飛行」でもながーい手紙が物語を牽引していましたが、「スペース」でもまた手紙が登場します。ちゃんと謎が隠されているんですが、こういう女の子のどうでもいいトークがちょっと辛かったです。あと、登場人物の名前をきっちり覚えていない自分には、話がちょっとややこしかった…。まー、見事に円環が繋がるんだけど、やや技巧に走り過ぎ? 設定にそりゃないよ、と突っ込んでしまいました。…なんだけど、なんだけど! これは駒子視点の「スペース」と誰かさん視点の「バック・スペース」の二本立てになっているんですが、「バック・スペース」でそうきたか!とのけぞりました。加納さん、すげーーっす。

ただ、私の中では、ほわほわとどこへでも飛んで行けそうだった、「魔法飛行」がベストかな。


■坂木司さん■

こちらも三部作。ひきこもり探偵、鳥井と作者と同名の坂木司の物語。「青空の卵」(感想)→「仔羊の巣」→「動物園の鳥」と、こちらは順番通りに読みました。

「青空の卵」ではその設定に度肝を抜かれたんだけど、そのインパクトを除くと、「仔羊の巣」、「動物園の鳥」は普通に良く出来た物語、という感じでした。

動物園の鳥 (創元推理文庫)動物園の鳥 (創元推理文庫)
(2006/10/11)
坂木 司

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ただし、「動物園の鳥」は、本シリーズの最終作。完結なんだから、やっぱりそこ描きますよね~、なわけです。決して嫌な描き方ではなかったんだけど、物語に対する驚き、インパクトという点では、最初に読んだ「青空の卵」が一番でした。

『永遠』はないかもしれないけど、『絶対』はあるのかもしれない。そうして、二人は大人になれたのでしょうか。

シリーズとは関係ないけど、坂木さん、こちらも読みました。
ワーキング・ホリデーワーキング・ホリデー
(2007/06)
坂木 司

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内容(「BOOK」データベースより)
元ヤン・ホストが宅配便(特別仕様車)ドライバーに転身!?血気さかんな若者と所帯じみた小学生、親子と仕事と仲間によるひと夏の贈り物。

かなり乱暴かつ若干雑にも感じたお話なんですが、TOKIOの長瀬くんあたりでドラマ化したら面白そうかも、と思いました。ちょうどね、読んでた頃に「マイボス・マイ・ヒーロー」の再放送がやってたんです。主人公の勢いに、長瀬くんの勢いが重なって見えました。

「キャッチャー・イン・ザ・ライ」/思春期の堂々巡り?

 2009-09-26-00:20
キャッチャー・イン・ザ・ライキャッチャー・イン・ザ・ライ
(2003/04/11)
J.D.サリンジャー

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村上春樹といえば、世間は「IQ84」で盛り上がっているわけですが、私はたまたま図書館で見掛けたこちらを。
でも、これはちょっといまいちだったかなー。amazon見たら、昔の野崎訳「ライ麦畑でつかまえて」の方が評判いいみたいですね。私は未読なので良く分かりませんが…。

ほんの短い間のお話なのに、ホールデン少年の語りのあまりの長さに辟易してしまいました。これがまた、微に入り細に入りびっちり!、なんですわ~。自分の周囲から全く離れない話し方がかなりきつかったです。大体、ホールデンはすぐ「気が滅入っちまう」し、とにかくやたらとめげてるんです(しかも、自分からめげるような状況に飛び込んでる!)。

村上春樹の翻訳はいいなー、と思っていたんですが、春樹訳だからといってなんでもいいわけじゃないんだな、と思いました。ま、多感な思春期が遠い昔に過ぎ去ってしまったせいで、のれなかったのかもしれませんが…。読んでて、君には自分の周囲のことしか関心がないのか!と突っ込みたくなったんだけど、思春期なんてそもそもそんなもんなのかもしれないし。こうやって感想書くにあたり、ちらほらページを拾ってみると、ま、ホールデンの口癖もそんなに嫌いじゃなかったかなぁ。通勤中にハードカバーを持ち歩いてた(しかもこれが結構重かった!)恨みのせいかもしれません。機会があれば、も一度野崎訳にチャレンジしてみます。

この本で気になるのは、原著者の要請と契約の条項に基づき、加えることが出来なかったという、訳者の解説。どんな解説が載せられるはずだったのでしょうか…。

「道絶えずば、また」/そして、またいつか…

 2009-09-06-14:57
道絶えずば、また道絶えずば、また
(2009/07/03)
松井今朝子

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内容紹介
中村座炎上から五年、長きにわたって江戸歌舞伎の中心であった中村座は太夫元の十一代目中村勘三郎と立女形の荻野沢之丞が皆をまとめ、その地位を守ってきた。しかし沢之丞が老いて引退を表明し、現役最後の舞台の上で不審な死を遂げた。疑われた大道具方の甚兵衛だが数日のうちに首を吊った姿で見つかった。今度は沢之丞の跡目として有力視されている次男・宇源次に疑いの目が向けられた。北町奉行所同心・薗部理市郎が探索に当たるも糸口が掴めない。水死体で発見された大工と甚兵衛の共通点が浮び上がり、大奥を巻き込んでの一連の事件のつながりが見えてくる。舅・笹岡平左衛門の協力を得て事件解決に立ち向かう理市郎。多彩な人物の生き方のなかに芸の理を説く長編時代ミステリー。「非道、行ずべからず」「家、家にあらず」に続く三部作完結編。

「非道、行ずべからず」(感想)、「家、家にあらず」(感想)に続く、三部作であるそうです。完結といわれちゃうと惜しいな~。もう少し、あの宇源次を見てみたいと思うのです。

こたびはなんと、あの三代目荻野沢之丞(しかし、あそこで宇源次に四代目を継ぐと言っていたのに、まだ粘ってたんですねえ)が、一世一代の舞台の上で亡くなってしまう。覚悟の上の自害なのか、それとも殺されたのか?

今回はあのお虎魚(ネットでオコゼの顔を見たら、すごい顔でした~)もほとんど活躍しないし、探偵役の薗部理市郎もずばずばと事実に切り込んでいく感じではないので、ミステリーとしてはうずうずするというか、フラストレーションが溜まる感じ。

ここは芸には太鼓判を押されながらも、心弱く、酒に溺れがちな沢之丞の次男、宇源次に沿って読むのが良いのでしょう。

最後の兄弟対決(?)がいいんだー。やっぱり私は、この道を行った先の役者、宇源次をもうちょっと見せて貰いたいなぁ。

道絶えずば、また、天下の時に会う事あるべし―「風姿花伝」

読んだ後にもう一度扉に戻ってみるこの言葉もいいな。

「ブラックペアン1988」/1988年の東城大

 2009-09-06-14:05
ブラックペアン1988ブラックペアン1988
(2007/09/21)
海堂 尊

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内容(「BOOK」データベースより)
外科研修医世良が飛び込んだのは君臨する“神の手”教授に新兵器導入の講師、技術偏重の医局員ら、策謀渦巻く大学病院…大出血の手術現場で世良が見た医師たちの凄絶で高貴な覚悟。

「バチスタ」以前。バブルの頂点を極めた、1988年の東城大が舞台となります。
目次
序章 昭和の残照
1章 糸結び 一九八八年(昭和六三年)五月
2章 『スナイプAZ1988』 一九八八年(昭和六三年)五月
3章 出血―神を騙る悪魔 一九八八年(昭和六三年)七月
4章 誤作動 一九八八年(昭和六三年)十月
5章 ブラックペアン 一九八八年(昭和六三年)十一月
今回の語りは、新人の外科研修医世良。世良の目を通して描かれるのは、戦場のような外科医の世界と、命を預かったものとしての覚悟。そして、現在に繋がる医療問題の萌芽。

「必要なら規則(ルール)は変えろ。規則に囚われて、命を失うことがあってはならない」

この言葉は、この頃からのあのお人の信念だったんですね。

そして、外科医は強くなければならない。

「君には君が外科医として経験したことを自分の中で消化し、君に続く後輩たちに、その事実を伝えていく義務がある」

患者に対するものの他に、更に多くの責任を負う彼ら。そうして、一度途切れてしまった経験を、伝承を構築し直すのはとても難しいこと。しばらく前に、外科医を志す医学生が減っているとのネットニュースを見ました。ほんとにその酬いはどこにあるのかしら、と思ってしまうのだけれど、その能力のある人には是非なって欲しいと思うし、医療に儲けを求めることのナンセンスさを感じてしまいます。目先の利益でもって、医療界を適当に振り回してはいけないんだろうなぁ。医療に儲けを求め、医者余りだと言って医学部の定員を減らす。そうしてその施策は、私たちのところに戻ってきたのだと思うのです。

1988年といえば、「バチスタ」メンバーの彼らも、まだ学生。田口、速水、島津の三名は、世良に指導される、総合外科学教室のベッドサイド・ラーニングのグループFの学生として出てきます。これによって、ある意味、田口の未来が決まっちゃったんですね。

手術室の清潔、器械出しの緊張感も印象的でした。患者からすると、同じ手術室に入っているお医者さん、と思ってしまうのだけれど、役割によって見える景色が全く違うというところもリアルでした(術野を作るために内臓を押さえているだけの助手だと、当然術野はよく見えない)。そういえば、「バチスタ」では田口講師が、手術ほど見ているものにとって退屈なものはない、って言ってたっけ。

ところで、佐伯教授が、「極北救命救急センターのヘッド、桃倉は私の弟子だ」って言ってるんですが、この桃倉の息子が「医学のたまご」の桃倉なんでしょうか? どっかで出てきた名前なんだよなー、と思っていたのです。

「医学のたまご」「夢見る黄金地球儀」では、ん?、と思ったんですが、東城大本筋のシリーズは、やっぱり面白かったです。

華麗なテクニックの佐伯教授型でいくか、ある程度の経験を積んだ外科医であれば誰でも出来るという器械を使用していくか。「スナイプ」を引っ提げた高階には、確固たるテクニックがありましたが、確かにリカバリ出来る技術もなく、器械に頼るのは危険。誰でも出来るという利点と、そうなってしまったときに、リカバリの技術をどこで学ぶのかというこの矛盾。にしても、外科医としてバリバリ働ける期間って、この過酷さを考えると短いものなんだろうなぁ。一人の神の手は素晴らしいけれど、それだけでは処理できる件数だって限られているし、伝承という問題もある。私には層を厚くするくらいしか対策が思いつかないけど、外科医志望者も減っているというこの現状。外科の未来は大丈夫なんでしょうか…。

「夢見る黄金地球儀」/桜宮市の未来その一

 2009-09-06-12:48
夢見る黄金地球儀 (ミステリ・フロンティア)夢見る黄金地球儀 (ミステリ・フロンティア)
(2007/10)
海堂 尊

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出版社 / 著者からの内容紹介
首都圏の端っこに位置する桜宮市に突如舞い込んだ1億円。その名も「ふるさと創生基金」。だがその金は黄金をはめ込んだ地球儀に姿を変え、今では寂れた水族館にひっそり置かれているだけとなった――はずだった。が、ある日を境にトラブル招聘体質の男・平沼平介の日常を一変させる厄介の種へと変貌する。
8年ぶりに現れた悪友が言い放つ。「久しぶり。ところでお前、1億円欲しくない?」
かくして黄金地球儀奪取作戦が始動する。二転三転四転する計画、知らぬ間に迫りくる危機。平介は相次ぐ難局を乗り越え、黄金を手にすることが出来るのか。『チーム・バチスタの栄光』の俊英が放つ、驚愕のジェットコースター・ノベル!

これ、ちょうど「医学のたまご」と同時期と思ってもいいのかなー。主人公、平沼平介(っつか、ヘイヘイヘイ介?)は、「医学のたまご」のカオルくんの同級生、ヘラ沼のお父さんなんです。ヘラ沼もたいがいな性格でしたが、平介もまた…。

で、これまた、「ナイチンゲールの沈黙」の彼らのその後が出てきたり(にしても、小夜ちゃん、あの生活でいいのかい?)、碧翠院の跡地について言及があったり(でんでん虫の後に出来たってのは、たぶんAIセンターでそれもまた…、ってことなのかなぁ)、など「バチスタ」の世界ともしっかり繋がっています。

でも、読まなくても大勢に影響はないかと思います。主人公に文句ばっかり言ってますが、主人公・平沼平介にも、相棒のガラスのジョーにも(唯一良いキャラなのは、平介のオヤジくらい?)いまひとつピンと来ず。だって、「ジハード・ダイハード」って言われてもなぁ。「バチスタ」の東城大の主要メンバーはキャラも大好きなのに、キャラが愛せず残念でした。

「医学のたまご」/桜宮市の未来その二

 2009-09-06-12:32
医学のたまご (ミステリーYA!)医学のたまご (ミステリーYA!)
(2008/01/17)
海堂 尊

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内容(「BOOK」データベースより)
僕は曾根崎薫、14歳。歴史はオタクの域に達してるけど、英語は苦手。愛読書はコミック『ドンドコ』。ちょっと要領のいい、ごくフツーの中学生だ。そんな僕が、ひょんなことから「日本一の天才少年」となり、東城大学の医学部で医学の研究をすることに。でも、中学校にも通わなくっちゃいけないなんて、そりゃないよ…。医学生としての生活は、冷や汗と緊張の連続だ。なのに、しょっぱなからなにやらすごい発見をしてしまった(らしい)。教授は大興奮。研究室は大騒ぎ。しかし、それがすべての始まりだった…。ひょうひょうとした中学生医学生の奮闘ぶりを描く、コミカルで爽やかな医学ミステリー。

「チーム・バチスタ」の読者として重要なのが、まずはこの物語の時代設定。”沼田教授が10年近く、倫理問題をきちんとしようとして”とあることから、「ジェネラル・ルージュの凱旋」から、すくなくとも10年が経過していることが分かります。そんなわけで、これを単独で読めば、本筋には関係ないという意味で大したことがない部分でも、この世界を追ってきた読者としては、えええ!と思うところも多いんです。

お話としては、主人公カオルくんのあまりにも軽すぎる性格に、いまひとつ馴染めない部分も多かったんですが…。物語の幕の引き方も、「リスクマネジメント委員会」(彼は出世したようだし、10年間委員長の座にい続けているわけでもないんでしょうが)が間に入っててあれはないだろうとか、自ら罪を被った彼にしても、その方法は本当に正しかったのかなぁ、と思ってしまいます。上に立つあのお人は、そんな小手先じゃない解決をしてくれたと思うのだけどなぁ。ただ、上に行くということで、情報はいかなくなってしまうし、予算の関係でスタンドプレーに走る教授を作り易い状態になっているのかもしれません。研究の能力、臨床の能力、金を分捕ってくる能力、政治的能力、教育をする能力。全部違うものだものね。

そして、ここにも出てきた白鳥技官の学生時代の確研メンバー、文部科学省の事務官、小原。「イノセント・ゲリラ」で名前だけは出てきたんだけど、「イノセント・ゲリラ」の次にも出てきそうだし、その御姿を拝見したいところであります。

あ、あとこの本は、左開きの横書きです。カオルくんの実験レポートっぽい感じを出す意味があるんだと思うんですが、そこもちょっと読み難かったかも。
第1章 「世界は呪文と魔法陣からできている」とパパは言った。
第2章 「扉を開けた時には、勝負がついている」とパパは言った。
第3章 「初めての場所でまず捜すべきは身を隠す場所だ」とパパは言った。
第4章 「エラーは気づいた瞬間に直すのが、最速で最良だ」とパパは言った。
第5章 「ムダにはムダの意味がある」とパパは言った。
第6章 「閉じた世界は必ず腐っていく」とパパは言った。
第7章 「名前が立派なものほど中身は空っぽ」と藤田教授は言った。
第8章 「悪意と無能は区別がつかないし、つける必要もない」とパパは言った。
第9章 「一度できた流れは簡単には変わらない」とパパは言った。
第10章 「世の中で一番大変なのはゴールの見えない我慢だ」とパパは言った。
第11章 「心に飼っているサソリを解き放て」とパパは言った。
第12章 「道は自分の目の前に広がっている」と僕は言った。
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プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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