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「死んでいるかしら」/柴田元幸さんエッセイ集

 2008-05-27-23:59
死んでいるかしら死んでいるかしら
(1997/05)
柴田 元幸

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死んでいるかしら?、と聞かれても困っちゃうけれど、自分だけが知らないだけで、もしかして…、と妄想ワールドに入り込む傾向があるとしたら、それは柴田さんと同類とも言えるのかも。

同じく、翻訳家にして名エッセイスト、岸本佐知子さんの本もそうでしたが、エッセイ集一作目である「生半可な学者」(過去感想にリンク)よりも、こちら「死んでいるかしら」の方が、より自由に羽ばたいておられるように見受けられます。こういう妄想系脱力エッセイ、好きだわー。そこはかとない含羞をまぶした妄想って好みなのです。

あとがきにもありますが、これはエッセイ+絵の本。きたむらさとしさんの絵が、すべてのエッセイについていて、これがまたいいのです。

自分の書いたすべての文章にきたむら画伯の絵がつく、という夢のような贅沢が実現できて、本当にものすごく嬉しい。僕の気持ちとしては、この本はきたむらさんとの共著である。   (あとがきより引用)

絵がつくとはいっても、カラーではないし、基本、ワンカットなので、普通は”共著”とは言わないのだろうけれど、そう仰る気持もわかる作りです。表紙もね、犬のすぐ下にある本には”AM I DEAD?”と書いてあるし、この脚は裏面の”柴田くん”のキャラまで繋がってて、彼のTシャツには”entropy”の文字が(エントロピーについては、「エントロピーとの闘い」という項で、エントロピーとの負けいくさについて語っておられます。コリヤー兄弟についても、ここで)。凝ってます。

そうそう、柴田さんといえば、しれっとした書き方でそのまま嘘をつくイメージだったので、この本の中の”コリヤー兄弟”なる人物の話も眉唾だなぁ、と思ってたんですが、Wikipediaによると(リンク)、どうも実話のようですねえ。疑ってゴメン、と思いつつ、便利な世の中だなぁ、と思いました。でも、ほら話の生き難い世の中でもあるのかも?

コリヤー兄弟については、こんな本↓もあるようです。
変人偏屈列伝 (愛蔵版コミックス)変人偏屈列伝 (愛蔵版コミックス)
(2004/03/19)
荒木 飛呂彦鬼窪 浩久

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「狼と香辛料4」/豊作の神と行商人の旅4

 2008-05-26-23:59
狼と香辛料 (4) (電撃文庫 (1390))狼と香辛料 (4) (電撃文庫 (1390))
(2007/02)
支倉 凍砂

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ホロの故郷の情報を求め、ロレンスたちが訪れたのはテレオという村。ところが、この村がどうにもきな臭い。商人としての勘を信ずるならば、さっさと村を後にするに越したことはないのだが…。ホロの故郷の昔馴染みの神々のことを知るために、ホロとロレンスは危ない道を渡ることに。

案の定、村を襲った麦をめぐる災厄に巻き込まれたロレンスたちは、テレオの村人たちのために、自らの身の安全と引き替えに、力を貸すことになる。しかしながら、状況は八方塞がり。三十六計逃げるに如かず。余所者であるロレンスたちの次に、いけにえとして差し出されそうなけなげな聖職者、エルサと、粉挽きのエヴァンと共にテレオの村から逃げ出すのだが…。

首尾よく逃げ出したというのに、エルサは村人達のために村に戻るのだという。彼女の状況に、ホロは自分が居ない間に滅ぼされた故郷を思う。自分が故郷の状況を知っていれば、間に合っていれば…。ホロの悔恨は苦いけれど…。

エルサとエヴァンの二人が実にさわやか。ホロが暴れまわっても、巧くまとめるのはロレンスの役目。麦の「奇跡」、異端の神であるトルエオ様の始末の付け方もお見事。そうして、旅は続くのです。「寄り道」になってしまっても、ね。

「九百人のお祖母さん」/愛すべきほら話

 2008-05-26-00:16
lafferty1.jpg
九百人のお祖母さん (ハヤカワ文庫SF)
(1988/02)
R.A. ラファティR・A・ラファティ

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目次
九百人のお祖母さん
巨馬の国
日の当たるジニー
時の六本指
山上の蛙
一切衆生
カミロイ人の初等教育
スロー・チューズデー・ナイト
スナッフルズ
われらかくシャルルマーニュを悩ませり
蛇の名
せまい谷
カミロイ人の行政組織と慣習
うちの町内
ブタっ腹のかあちゃん
七日間の恐怖
町かどの穴
その町の名は?
他人の目
一期一宴
千客万来
 訳者あとがき
 文庫版 訳者あとがき
表紙を見た瞬間、借りることを決意した本です。SFでこの表紙って、気になりません? 文庫裏の説明によると、これは「愛すべきホラ吹きおじさんラファティの抱腹絶倒の21の短編」集。抱腹絶倒というか、後でじんわりおかしくなってくるタイプのお話だと思うけれど、愛すべきホラ吹きおじさんというのは、全く同感。訳者あとがきにも、ラファティの愛すべきおじさんぶりが書かれているのだけれど、文章からも何となく伝わってくるような気がします。「うちの町内」は、ちくま文庫の「新編 魔法のお店」にも収録されていたので、これだけは以前、読んだことがありました。

いくつかの短編について。でも、あらすじを書いても、この面白さは伝わらないんだよなぁ。

「時の六本指」
自由に加速状態へ入ることができるようになった、ヴィンセントの話。

「山上の蛙」
パラヴァータでは、エリートであるローアたちが姿を消し、愚鈍なオガンタたちが彼らにとってかわるようになっていた。ガラマスクはこの謎と親友アリンの死の謎に迫るため、三重の山に登り、猫ライオンのシネク、熊のリクシーノ、コンドル鷲のシャソス、そして蛙男のベイダー・ジェノを仕留める狩りの旅に出るのだが…。ガイドのチャヴォは、ガラマスクを尊敬しているといいつつ、なぜかガラマスクの命を狙うのだ。

「カミロイ人の初等教育」
”カミロイ人の初等教育に関するダビューク市PTA連合への合同報告書、副題「近隣惑星の平行文化に対する批評的感想ともう一つの教育法の評価」の抜粋”なる設定のお話。

「スロー・チューズデー・ナイト」
超外科手術によって、人類が前よりも素早い決断、よりよい決断を下せるようになった世の中の話。今では、人々はその性質と嗜好に従って、早起き族と昼光族、深夜族の三派に分かれて暮していた。八時間で一つの経歴を作るのも、ごく普通のことになっていたのだが…。そんなある火曜日の一夜のお話。

「スナッフルズ」
惑星ベロータに研究にきた、探検隊の六人。そこには熊もどきともいうべき、愛すべきスナッフルズ(鼻詰まり)がいたのだが…。ある日、豹変したスナッフルズが、探検隊を襲う。

「蛇の名」
ローマ教皇による回勅により、はるか遠い惑星アナロスに宣教に訪れたバーナビィ神父を待ちうけていた運命とは…。

「町かどの穴」
ある夕方、帰宅したホーマーは、愛する妻レジナを貪り食い始めた。ホーマーに一体何が起こったのか? レジナの「ゼッキョー、ゼッキョー」というフレーズが印象的。

「他人の目」
「その町の名は?」、「われらかくシャルルマーニュを悩ませり」と同じ研究所を舞台としたお話。研究員、チャールズ・コグズワースは、他人の眼を通して物事を見る装置を完成させたのだが…。

民話的雰囲気を持つ「巨馬の国」、「せまい谷」、「一期一宴」も印象的だし、恐るべき子供たちとでも名付けたいような、カミロイ人の子供たちや「日のあたるジニー」なども印象的。一気に読むと、ちょっとお腹いっぱいになってしまうけれど、ぼちぼち読み続けると良かったな~。いやー、ケッタイなお話です。電気技師であったラファティが、SF誌にデビューしたのは彼が四十五歳の時だったそう。ずいぶん遅咲きのようにも思うけど、真面目にお仕事をしながらも、頭の中にはこういう世界が広がっていたのかなぁ。
SF

「疏水のある風景」/日本全国、里の水の風景

 2008-05-24-21:44
「疏のある風景」全国土里ネット

amazonで検索しても出てきません。「冊子」だからなのかな。

全国土里ネット(どうも、これで、”みどりネット”と読ませるらしい)が出していて、「宝くじの普及宣伝事業として作成されたもの」だそう。なーんと、「まえがき」には「全国土里ネット会長、野中広務」の名が…。国や政治家っていろいろなことやってるんですね…。

「疏のある風景」なる写真コンテストが行われていたらしいのだけど、その入選・入賞作35作品を中心に、当該疎や地域の関連情報と併せて取りまとめたとのこと。どうも農業水利施設の役割や機能についての啓蒙が目的のようですが、写真も綺麗だし、読み物としても面白かったです(関連ページはここ)。
目次
01 北海幹線用水【北海道】
02 道川放水路【青森県】
03 金山大堰【山形県】
04 金山大堰【山形県】
05 金山大堰【山形県】
06 山形五堰【山形県】
07 山形五堰【山形県】
08 二の堰【山形県】
09 二の堰【山形県】
10 二の堰【山形県】
11 印旛沼【千葉県】
12 印旛沼【千葉県】
13 鷹栖口用水【富山県】
14 金沢疎水群【石川県】
15 蓼川【長野県】
16 中濃用水幹線水路【岐阜県】
17 新堀川排水機場【岐阜県】
18 濃尾用水【愛知県】
19 明治用水【愛知県】
20 立梅用水【三重県】
21 姉川左岸幹線用水(出雲井堰)【滋賀県】
22 西の湖 水郷【滋賀県】
23 琵琶湖疎水【京都府】
24 洛西用水【京都府】
25 伏見用水【京都府】
26 大山井堰【京都府】
27 岩見用水【兵庫県】
28 東西用水【岡山県】
29 藍場川【山口県】
30 那賀川用水(大西堰)【徳島県】
31 吉野川北岸用水【徳島県】
32 堀川用水【福岡県】
33 通潤用水【熊本県】
34 南阿蘇疎水群【熊本県】
35 上井手用水【熊本県】
写真コンテスト入賞作から選んでいるからか、日本全国というには多少の偏りがあって、自分の住んでいる辺りがないのはちょっと残念(と、思ったら、「疏水名鑑」のページに「全国疏水名鑑」というコンテンツがあり、無事、自分の住む場所の近くの疎水を発見しました♪ ウォーキングコースも載ってます。つか、農林水産省ってこういうのも仕事なのか…)。

この本の中では、徳島県の吉野川のページにあった、阿波の土柱の写真と、熊本県の通潤用水の通潤橋が印象的でした。日本にもこんな風景が!、とびっくりする土柱の写真に、日本最大の石造りアーチ水路橋。放水をする石橋なんて、初めて見ました~。

「ザ・古武道」/いにしえの武道というもの

 2008-05-24-01:31
ザ・古武道―12人の武神たち (光文社文庫)ザ・古武道―12人の武神たち (光文社文庫)
(1996/12)
菊地 秀行

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目次
まえがき
其の壱  荒木流拳法
其の弐  関口新心流柔術
其の参  西野流呼吸法
其の四  鹿島新当流剣術
其の五  白井流手裏剣術
其の六  林崎夢想流居合術
其の七  無比無敵流杖術
其の八  楊心流薙刀術
其の九  大東流合気柔術
其の十  水鷗流武術
其の十一 長尾流躯術
其の十二 本部御殿手古武術(もとぶうどうんでいこぶじゅつ)
其の番外 柳生魔剣行
あとがき
原稿用紙の裏側に菊地文学の秘密を見た  火坂雅志
図書館で見つけて、あの菊池秀行さんが、こんな本を出しているなんてー!、と借りてきた本です。編集者と二人三脚の旅、あくまでも筆は軽やかだけれど、礼節と尊敬の気持ちを忘れないこのルポには、菊地氏の真面目な人柄が偲ばれます。武道の体の動きを文章から頭で再現するのに苦戦したけれど、お話として読めばとても面白い本でした。

現在、格闘技が盛んだけれど、格闘技にはスポーツとしての面が強い。現代の人々にもわかりやすいよう、受け入れられやすいよう、段位制をとっていたり、危険な面を削除していたりもする。それに対して古の武道はどうか? それは鎧兜に身を固めた人間を倒すための関節技であったり、真剣をもった人間を相手にするための技であったり、今となっては確かにそれは実戦的とは言えないけれど、古の時代、それはあくまで実戦的であったのだ。

柔術、手裏剣、居合術、合気、杖術、薙刀などなど。聞いたことはあるし、時代劇などで派手に使われていることもある、これらの武道の本来の形とでもいうのかな、プリミティブな形が垣間見えます。寸止めではあるけれど、狙うは相手の頸動脈であったり、ほんとにあくまで勝つための、自分が生き残るための技であるよう。「其の十二」は、ちょっと不思議な読み仮名がついてますが、これは琉球王朝の王家のみに伝わる沖縄古武術。御殿というのは、琉球の言葉で王子の屋敷という意味だそう。

1991年に、この文庫の元となる本が出版されているようだけれど、ほとんどの流派で、宗家は結構な高齢の方たち(でも強いんだけど)だったのですが、今でも元気に修行されているのかしらん。学ぶ人たちも途絶えてはいないようだけれど、これら古武道を学ぶには、えらく長い時間が掛かるようなんだよねえ。巻末にはそれぞれの流派の連絡先が載せられています。見知らぬ、凄みのある世界を知ることが出来ました。

「喪失の響き」/喪失が織り成す様々な響き

 2008-05-21-23:29
喪失の響き(ハヤカワepiブック・プラネット) (ハヤカワepi ブック・プラネット)喪失の響き(ハヤカワepiブック・プラネット) (ハヤカワepi ブック・プラネット)
(2008/03/26)
キラン・デサイ

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amazonの内容紹介から引くと、あらすじは

少女サイは、インド人初の宇宙飛行士を目指していた父を母と共に交通事故で亡くすと、母方の祖父である偏屈な老判事に引き取られた。老判事はすでに引退し、ヒマラヤ山脈の麓の古屋敷に隠居していたが、孫娘の出現は判事と召使いの料理人、そして近所の老人たちの慰めとなるのだった。やがてサイは、家庭教師のネパール系の青年ギヤンと恋仲になる。急速に親密になっていくふたりだが、ネパール系住民の自治独立運動が高まるにつれ、その恋には暗雲がたちこめる――。

とのことなんですが、確かにそうなんだけど、そうなんだけど。これはある意味、あらすじはどうでもいい物語というか…。

混沌としたインドそのままに、時に悲劇的な、コミカルな、新しい、古い喪失が互いに響き合う。「停電の夜に」、「その名にちなんで」で、ジュンパ・ラヒリが描き出したインドとは、違う姿がここにはある。ジュンパ・ラヒリが描き出した人々は、ここでは成功者として、彼らの周囲を通り過ぎる通行人にしか過ぎない。

インドの中での持てる人々である、老判事、サイ、サイたちの隣人ノニ、ローラ姉妹、ブーティ神父、ポティおじさん。持たざる人々である料理人、サイの家庭教師ギヤン。アメリカに渡った料理人の息子ビジュ、イギリスに渡った若き日の老判事、ジェムバイ…。

愛を育むには長い時がかかるのに、喪失は瞬きする間にも起こりうる。ゴルカ民族解放戦線(GNLF)の活動は、それまでうまくいっていた人々の格差を炙り出し、それぞれを敵対させる。アメリカに渡ったビジュは、不法移民として、彼や彼の父親が夢見た成功とは遠い所にいる。イギリスに留学した、若き日の判事、ジェムバイは、その臆病さゆえに、自分の人生から愛を閉め出す。閉め出されたのは、彼の妻、ニミもまた…。

キラン・デサイの筆は奔放。サイたちの住む、ヒマラヤ山脈の麓の古い屋敷、チョーオユーは時に快適な場所として、時に湿気やシロアリにより崩れゆく場所として描かれる。壁に、引き出しの中に、本棚の本の頁に、あらゆる場所に顔を出す様々な黴の描写は美しくさえある。カンチェンジュンガ(Wikipediaにリンク)の麓の長閑な美しさも印象的。

様々な救い難い喪失が描かれるというのに、読み終えたときの感覚は何だか甘やか。料理人が語る内に真実だと思い込む、空想の中の出来事のように、悲劇的なことが描かれていても、薄皮が一枚かかっているよう。料理人の盲目的な愛は、貧しい人に特有のものであるとしても、時に救い。

ラストのシーンもね、いいのです。結局、そこには喪失はなく、最初にあったものが、そのまま戻ってきたとも言えるのかな。インドと言えば、ダウリー(持参金)問題の国でもある。当初、そこには愛があったのに、判事のねじ曲がった考えが、彼の妻を悲惨な境遇に貶める。宗主国と植民地。捻じれたプライドが悲劇を生む。混沌とした世の中で、人はあまりにも弱い存在だけれど…。それでも…。料理人父子や、サイには、同じ過ちを繰り返して欲しくはない、と思う。

「曲芸師のハンドブック」/とある人生の手引書

 2008-05-19-23:59
02995743.jpg
曲芸師のハンドブック
(2008/04)
クレイグ・クレヴェンジャー

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主人公は、ダニエル・フレッチャーであり、クリストファー・ソーンであり、エリック・ビショップであり、その他さまざまな名を持つ男性、ジョン・ヴィンセント。彼は薬の過剰服用で、何度も病院に担ぎ込まれている。なぜ彼はこんなことを繰り返すのか?

過剰服用の場合、自殺の恐れがある患者を退院させないように、病院は医師に精神鑑定を依頼する。読者は、医師カーライルの裏をかこうとする、ダニエルもしくはジョニーの、スリリングな語りに引き込まれていく…。ジョンが磨きを掛けていたのは、精神鑑定の裏をかくことだけではない。人並み外れた知能と技術を持つ彼は、出生証明書を手に入れることから、さまざまな書類を偽造することまで、何でもござれ。いつでも、それまでの自分を脱ぎ捨て、新しい自分、名前を手に入れることが出来るのだ。

周期的に彼を襲う頭痛。特殊な能力者である彼を手離そうとしないギャングのメンバー。彼の愛する女性、キアラ(もしくはモリー)。彼は軽業師のように、なんとかこの生き辛い人生を生き抜こうとするのだけれど…。
目次
ダニエル・フレッチャー
クリストファー・ソーン
エリック・ビショップ
ジョン・ヴィンセント
解説
麻薬常習者ではあるけれど、ジョンはそのまま放っておいて貰えれば、彼は彼なりに社会に適合して生きていける人間でもある。ところが、頭痛の原因は皆目分からず、彼の訴えは聞き入れられない。仕方なく、過剰摂取をしては瀕死の状態で発見されることになる。

なんだかねえ、これがフィクションで良かったというか。まさか、こうやってサバイブしてる人がいるわけじゃないよね…???、と恐る恐る著者に確かめたい感じ。日本だと、こんな風に書類の偽造もできないんじゃないかなぁと思うけど、アメリカだったら有り得ない話ではないのかも、と思ってしまうのです。

ひりひりするような切実さがあるけれども、そこには甘えや自己憐憫は見られない。自分に与えられた能力を使って、なんとか生き延びていくジョンの姿は、いっそ清々しくもあるのだけれど、この生き方はあまりに多くの困難に彩られている。愛する人と二人、なんとか普通に生き延びられるといいのだけれど…。

主人公、ジョン・ヴィンセントは、多指症という設定でした。かのハンニバル・レクター博士もそうでしたね。「ハンニバル」における、レクター博士の記憶の宮殿には、うっとりさせられました…(犯罪者だけど、ね)。

「俳句の魚菜図鑑」/旬の食材、分かります

 2008-05-16-23:56
俳句の魚菜図鑑俳句の魚菜図鑑
(2006/04)
復本 一郎

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もくじ
 本書の使い方
 凡例
春   魚 菜
夏   魚 菜
秋   魚 菜
冬   魚 菜
新年  魚 菜
 二十四節気と季語のたべもの
 節句・行事のカレンダー
 俳人さくいん
 季語さくいん
 和名さくいん
 コラム①~④
俳句を詠むわけでもないのだけれど、写真も綺麗だし、素材から時に調理された状態まで、非常に分かりやすくまとめられているので、面白くぱらぱらとめくっています。

たとえば魚であったり、実がなっている様子であったり、その大元の姿がピンとこないものが見られるのも良いところ。もちろん、「俳句の」魚菜図鑑であるからして、その魚菜に関連した季語を用いた俳句も紹介されています。

表紙を見てもそうなんだけど、美味しそうな写真が多いのです。こういう切り口もいいよね。

「モンスター・ドライヴイン」/B級映画の神さま降臨

 2008-05-14-23:57
モンスター・ドライヴイン (創元SF文庫)モンスター・ドライヴイン (創元SF文庫)
(2003/02)
ジョー・R. ランズデール

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目次
  溶明(フェイド・イン)/プロローグ
第一幕 オールナイト・ホラーショウ
   (ポップコーンと彗星もって)
第二幕 ポップコーン・キング登場
   (血まみれコーンと怪物引きつれて)
第三幕 オービット崩壊
   (死と破滅、そしてイカレたスクールバス)
  エピローグ/暗転(フェイド・アウト)
 日本語版字幕担当者あとがき
 ジョー・R・ランズデール著作リスト
金曜日の夜、テキサス州最大のドライヴイン・シアター、《オービット》はいつだって大騒ぎ。

しかし、この週末はいつもとは違う。ハイスクール・ボーイのぼくとボブ、ランディ。さらには、街の怪しげな酒場、ダンの店で知り合った、年上のウィラード(肉体的には三歳年上だけど、甘ちゃんなぼく等に比べると、精神的には十も年上のよう!)からなる一行は、連れだって訪れた《オービット》で、思わぬ事態に巻き込まれてしまう。《オービット》に彗星がやって来て、シアターの外は車だろうが人だろうが、何でものみ込んでしまう黒い闇に変わってしまったのだ!

こうして、ドライヴインシアターに閉じ込められてしまったぼく達ほか、大勢の人々(なんてったって、《オービット》は四千台の車を収容出来るのだ)。ホットドック、ポップコーン、キャンディ、ソフトドリンク…。売店のマネージャーは、食料には不足はないと請け負い、続けざまに上映されるB級映画の合間に配給が始まるのだが…。

マネージャーは、州兵が来るまでの辛抱だというけれど、シアターの外は暗闇のまま。勿論、州兵なんてやってこない。外の世界がどうなったかなんて、ぼく等には全くわからないけれど、事態はB級映画そのままに進行していく。

ウィラードとランディは、売店に落ちた稲妻によって、融合したポップコーン・キングになってしまう! ポップコーン・キングの支配がはじまり、生き残った人々はその支配下に置かれるのだけれど…。ぼくとボブは協力して、何とかこの事態をやり過ごす。
本作は「伝説のスプラスティック青春ホラーSF」とのことなのだけれど、スプラスティックなんだけど、ほんのり甘酸っぱい感じの青春をしていて、これが何だか楽しいの。主人公もほんのちょっとした悪さを楽しむくらいのごく普通のいい奴だしね(自称”ミスター一般人”)。人食など、色々えぐい場面もあるんだけど、なんてったって、B級だからして、どこかばからしいというか、あほらしい感じの、いい感じの力の抜け具合。そして、B級映画と言えば、隙あらばトゥ・ビー・コンティニュード。終わり方にも、なんだかニヤリとしてしまうのです。
□その夜の《オービット》の上映作品リスト□
・「アルバート・ショック」
・「死霊のはらわた」
・「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド ゾンビの誕生」
・「大工道具箱連続殺人(ツールボックス・マーダーズ」
・「悪魔のいけにえ」
20周年アニバーサリー 死霊のはらわた  ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド悪魔のいけにえ スペシャル・エディション(2枚組)
これがエンドレスで流されるというだけでも、かなりゾッとしないよなぁ。
(しかも、検索するとたくさん出てきて、上に載っけた画像があっているかどうかもわからない…)
SF

「牡丹さんの不思議な毎日」/元温泉ホテル・幽霊付きの物件は如何?

 2008-05-13-22:06
牡丹さんの不思議な毎日 (あかね・ブックライブラリー)牡丹さんの不思議な毎日 (あかね・ブックライブラリー)
(2006/05)
ささめや ゆき、柏葉 幸子 他

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もくじ
引っ越し
お花見
獲物
梅雨
むかえ火
にぎやかな夜
とびやさん
帰郷
初市
五年間の単身赴任を終え、帰って来たお父さんを迎え入れた、牡丹さん一家が引っ越したのは、温泉街にある廃業したホテルだった! と、この設定だけでもかなり人を食っているんだけど…。

女湯はお父さんの大事な盆栽を入れる温室代わりに、男湯はブルテリアのフレディの住処に、食堂をリビングに、三十畳の(!)宴会場を夫婦の寝室に、事務室を娘、菫の部屋に…。温泉の権利もついているこのホテル。さあ、家族風呂に硫黄の匂いがする湯をはろうと思ったら…。お湯に釣られて出てきたのは、長年このホテルに住みついていたという、名前すら忘れてしまった幽霊さん。便宜上、「ゆきやなぎ」さんと名付けられた幽霊と、牡丹さん一家の共同生活が始まるのでした。

「あかね・ブックライブラリー」のほのぼのとした児童書です。ラストの「初市」はちょっとほのぼのとは言えないけれど、恒川光太郎さんの「夜市」でなくとも、どこから何がやってくるのか分らない「市」には、そういう怖さがあるのかもね。とはいえ、たとえば倉橋由美子さんの小説だったら、妖しくエロチックにもなるであろう、異界の人々とのお花見なんかは、あくまでほのぼの。そんなお花見だったら、ご一緒したいな~。
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プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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