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「沖縄やぎ地獄」/食べる沖縄

 2005-12-28-11:02
さとなお
沖縄やぎ地獄

悪そうな山羊の表紙が一際目を引くけれど、これは著者の等身大の沖縄エッセイというか、食べたこと、感じたことを身の丈で理解して書かれたような本。

目次
トフギの謎
ゴーヤー調教
大量食堂
「オリ生」発「クース」経由「うこん」行
すばの細道(1)沖縄そばを攻めてみる
すばの細道(2)独特すぎるその食感
すばの細道(3)灰汁VSカンスイ
すばの細道(4)沖縄そばの秘密
ひめゆり定食を食べながら
沖縄やぎ地獄
汁物クリーンナップ
豚は長寿の素なのか
日本一苦い朝食
硬派でフィクサーな島豆腐
豆腐酔う
キミはタコライスを知っているか
沖縄=ステーキという幻想が終わるとき
脳内ネーネーズ

目次を読んでも、何だろうと気になるものが沢山あった。また、あくまで「著者の身の丈」をベースにしているので、例えば戦争について、例えば基地について書いていても、それは決して大上段に構えたものではない。

専門的な話ではないかもしれないけれど、ごく普通の「戦争を知らない」本土の人間が感じるようなことで、より自分に近いように感じた。難しいことを抜きにしても、著者の妻・優子さんと、娘・(しかしながら、いつも「坊ちゃん」と男の子に間違えられる)きょうちゃんとの、食べ歩き探索記も面白い。

不思議なことも、その不思議を見過ごしてしまえば、それは不思議でも何でもなくなって、知ることへの道を閉ざしてしまう。「すばの細道」に見る、沖縄そばの秘密へ迫るその様子も興味深い。沖縄そばは、「茹で揚げて油をまぶして自然冷却」したものを、再度湯がいてから出されているそうな。独特の食感に不思議だなぁ、と思ってはいたものの、深く考えることなんてなかったので、その姿勢に敬意を表したくなった。

めちゃくちゃに洗えば上品な味に、丁寧に洗わないととんでもない臭いを発するという、「山羊汁」も気になるところ(だって、「動物園の臭い」だそうですよ…)。また四歳児にして、「山羊汁」を「もっとぉ!」とのたまった、「きょうちゃん」の夜の様子は、まさにゴシック太字で強調されているとおり、「地獄じゃ。山羊地獄じゃ。やっぱり悪魔の食べ物じゃ~」といった様子(血の巡りがよくなる山羊料理には、高血圧の人は食べてはいけないほどの、強壮食なのだそうだ)。

文体ちょっと癖がありますが、家族での掛け合いは漫才のようだし、語り掛け口調も読みやすい。沖縄に行った事のある人も、そうでない人も、するする読んで楽しめる本だと思う。沖縄、また行きたいなぁ。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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「分身」/あなたの顔は誰のもの?

 2005-12-27-09:43

東野 圭吾「分身」

鞠子と双葉の二つの章に分かれて、物語は進む。

鞠子の一人称は「私」。彼女は北海道に住む、どちらかというと大人しい女性。幼い頃、母に理由なく疎まれた記憶が残ったまま、中学校から家を離れ、寄宿生活を送る。更に、その母は彼女が休暇で帰宅した際に、自宅の火事により焼け死んでしまう。なぜ母は彼女の成長とともに、悲しい顔を見せるようになったのか、父と鞠子は助かったものの、なぜ母は焼け死ぬことになってしまったのか?

双葉の一人称は「あたし」。彼女は東京に住む、鞠子に比べて随分活発な女性。双葉は、父の顔を知らず母一人の手で育てられた。バンド活動をする双葉であるが、なぜか母は彼女のテレビ出演を強く禁じる。約束を重く考えなかった双葉は、テレビ出演を果たすが、その直後に母はひき逃げされ、亡くなってしまう。

鞠子は、父の過去の東京での研究に、母の死や自分の出生の秘密が隠されているとにらみ、東京で調査を始める。母を殺された双葉の周囲にも怪しい男たちが現れ、彼女もまた否応なく事件に巻き込まれる。交錯する二人の動き。

鞠子と双葉、年齢も一歳違い、これまで北海道と東京で育ち、共通点もなかった二人。ところが、この二人の顔、姿かたちは全く同じものであった。

一体これはなぜなのか?また、過去、鞠子の父が過去関わった研究とは何か。
周囲に現れた怪しい男たちの正体とは?
*****************************************
ネタそのものは、ここまで書いた部分で、想像されるものから、あまり逸脱しない。また周囲の人物、主人公二人の心の動きなども、類型的に感じてしまう。特にこれといって、新しい物の見方、斬新な考え方も見られないように思う。

クローン物に対する嫌悪感もあると思うのだけれど、東野圭吾さんの手によるものでは、「殺人の門」も人の悪意が前面に押し出され、読後感が決して良いものではなかった。世間では高評価の東野さん、なぜ楽しく読めないのか、自分でもちょっと不思議ではある。

友人に東野さんの「秘密」がいいよ、と勧められたので、後一冊は読んでみたいと思うのだけれど、どうもあまり面白く読めない作家さんです。また、その理由も上手く言語化出来ない。

 
東野 圭吾
分身
 ← 既に文庫化されているようです

 
東野 圭吾
殺人の門 

「星に叫ぶ岩ナルガン」/少年と不思議な生き物

 2005-12-26-10:17
 
パトリシア・ライトソン, 猪熊 葉子
星に叫ぶ岩ナルガン」

不慮の事故により両親を亡くした少年、サイモン・ブレンドは、遠縁の親戚、チャーリー・ウォータースとその妹イディが住むウォンガディラにやって来た。親しいものの数々から引き離され、全く知らなかった土地にやって来るその姿は、カポーティの「遠い声遠い部屋」における少年を思い出させる。

さて、ウォンガディラには不思議な生き物たちが棲んでいた。沼に棲み、金色の目を持つポトクーロック。森に棲み、木と木の間を跳び回る、ツーロングたち。彼らは太古の昔から、ここウォンガディラに棲む者たちであった。

しかし、ここに招かれざる客が一人。それは、表題にもある「叫ぶ岩ナルガン」。ナルガンは動く岩。踏み潰す岩。おそろしいばかりに冷酷な岩。

ポトクーロックやツーロングは、彼らの土地に、よそ者であり恐ろしい岩ナルガンが来た事を歓迎しているわけではない。しかし、ナルガンは彼らよりもはるかに古い生き物であり、静観を決め込み、見ない振りを続けていた。

そんな中、チャーリーの羊が殺され、またサイモンらの家にも動く岩ナルガンが迫る。サイモン、チャーリー、イディはこのまま、ナルガンをほうっておくわけにはいかなくなり、悪戯者のポトクーロックや、ツーロングに協力を求め、ナルガンを追い払おうと決意する。
****************************************
ポトクーロックは太古からの生き物。かつては今では老いたチャーリーやイディと共に遊ぶこともあった。チャーリーの符号は「ボートの男の子」。

ポトクーロックをやる気にさせる、チャーリーの知恵、やり取りも面白い。悪戯好きで、太古からその土地に棲む、不思議で勝手な生き物と、人間との化かし合い。

このあたりじゃ、だれかと話したいと思ったときにはな、お前がしたみたいに、大声でよばわりながらだれかの領分にふみこむってことはせんのだよ。まず先に伝言棒をもたせた使者を送る。どうにもこうにも仕方のない時には、自分でそれをもっていくがね。そしてすわってむこうが注意をむけるまで待つんだ。これがしきたりなのさ。

上の文は、ウォンガディラの古い生き物との付き合い方を、チャーリーがサイモンに教え諭す場面。伝言棒の使者、洞穴の中に棲むナイオルなど、古い伝承と詩的な物語が絡み合い、魅力的な物語をなす。冒頭、叫ぶ岩ナルガンの視点で物語が始まるので、多少戸惑うかもしれないけれど、続けて読めば、人間の視点に移り、ぐっと読み易くなる(太古の昔からの生き物の視点というのも、なかなか新鮮でもあるが)。

カポーティ, 河野 一郎
遠い声遠い部屋 


*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「サンタクロースにご用心」/クリスマスにはミステリー?

 2005-12-24-17:45

シャーロット マクラウド, 片岡 しのぶ
サンタクロースにご用心―クリスマス13の物語
扶桑社ミステリー文庫

目次
贋札造りのクリスマス(シャーロット・マクラウド)
鹿狩り(レジナルド・ヒル)
私立探偵リズ・ピーターズ(エリザベス・ピーターズ)
赤い髪の天使(メードラ・セール)
もつれた糸をほどくには(ジョン・マルコム)
バーゲン品につき…… (ドロシー・キャネル)
サンタクロースにご用心(ビル・クライダー)
ファミリー・クリスマス(パトリシア・モイーズ)
ミス・メルヴィルの好運(イーヴリン・スミス)
俺たちの福音(エリック・ライト)
ニックが街にやってくる(ミッキー・フリードマン)
イヴの罠(ロバート・バーナード)
鍋いっぱいのササゲ豆(マーガレット・マロン)

クリスマスにちなんだミステリーがどっさり十三篇。

ミステリーとして純粋に楽しんだのは、「贋札造りのクリスマス」と「俺たちの福音」。

クリスマスに良く似合う親戚モノでは、「バーゲン品につき……」、「ファミリー・クリスマス」、「イブの」、「鍋いっぱいのササゲ豆」。

変わったところでは、サンタクロースが探偵役となる「ニックが街にやってくる」などが気に入りました。
***********************************************
クリスマスのアンソロジーといえば、こちらもクリスマスの前に読みたくなる一冊。

アイザック・アシモフ, 池 央耿
クリスマス12のミステリー
新潮文庫

冒頭には、アシモフによるクリスマスの薀蓄もついてます。

ギリギリになっちゃったけど、メリー・クリスマス!

通販でとってるベルギービールも、今月はラベルなどがクリスマス仕様。
今日はこれを飲んでました。でも、かなり甘かった~。

「シモンとクリスマスねこ」/クリスマスまでのお楽しみ

 2005-12-23-16:21
オンライン書店ビーケーワン:シモンとクリスマスねこ
「シモンとクリスマスねこ」
レギーネ・シントラーぶん / ジータ・ユッカーえ / 下田尾 治郎やく


シモンはクリスマスを楽しみにしているけれど、まだ幼いから、どうしてもクリスマスまでの「にーじゅうよん」を数えることが出来ません。こんなんじゃ、ぼく、クリスマスを待てないよ! そんなシモンの様子を見て、おとうさんはいいことを見つけました。猫のフローラの尻尾には、ちょうど二十四の縞があるのです。

フローラの尻尾に赤いしるしを付ける代わりに(だって、可哀相でしょ?)、おとうさんは白い紙に、二十四の縞のある尻尾を持つ猫を描いてあげました。ふたりはその絵をベッドの上の壁に貼り付け、一日が終わる毎に尻尾の縞を塗りつぶす事にしたのです。

だからこの本には、ちょうど二十四の縞を塗りつぶす事が出来るように、寝る前にシモンのおとうさんやおかあさんがしてくれた話、シモンが体験した話、猫のフローラの話など、全部で二十四篇の短い物語が収められている。またそれぞれのお話に、一ページを丸々使用した、美しい挿絵もついてます。

クリスマスを待つ、わくわくした気持ちを、シモンと一緒に感じることが出来る本。お話も挿絵もいいよ。大人になったら、忙しくてそれどころじゃないかもしれないけど、こういうわくわくって楽しいじゃない? 待つ楽しみを思い出すよ。

 ←文庫もあるようです
レギーネ シントラー, Regine Schindler, Sita Jucker, 下田尾 治郎, ジータ ユッカー
シモンとクリスマスねこ―クリスマスまでの24のおはなし

「夏の名残りの薔薇」/変奏曲

 2005-12-22-08:50
恩田陸「夏の名残りの薔薇」

真実はどこに? それは各人の心の中に。

そして、ほんとうにそれがあったかどうかは、実は大きな問題ではないのかもしれない。

現世から隔絶したような山の上のホテルでは、毎年同じ時期に三人の魔女のような老姉妹が待っている。滞在中一度はよばれるという、お茶会の中での気まぐれにより、次の年にまた招待されるかどうかが決まってくるため、招待客は彼女らのバックにある財力を恐れ、戦々恐々としつつも毎年この山の上までやって来る。それは「招待されている」という自尊心を擽るものでもあり、かつ三姉妹の毒を求めてのことでもある。

夕食時の三姉妹のテーブルは、いつもショーのよう。彼女らが主演する物語であり舞台。どこまでが真実で、どこからがうそ幻なのか。それは三姉妹にしか分からない。周囲のものたちは、ただ嘘で織られたタペストリーを眺めるのみ。

さて、そんな山の上のホテルにやってきた人物のうち、主たるものは桜子、時光の姉弟、桜子の夫、隆介、三姉妹の一人、丹伽子の娘で、女優の瑞穂、そのマネージャーの早紀、桜子の浮気相手であり、輸入車ディーラーの辰吉、大学教授の天知。

桜子と時光は、それぞれに家庭を持つ、人も羨む美しい姉弟だが、実は長期間にわたり、近親相姦の関係にある。時光にとって、一年に数日、美しい姉、桜子を所有出来る、このホテルでの時間は掛け替えのないもの。ここは全て「秘密を持つもの」の集まりだと信じている。

一方の桜子は、実の弟と関係を持ちつつも、ディーラーの辰吉とも浮気をするなど、なかなかに捉えどころのない女性。好き好んで浮気をしているというよりも、ただ自分に求められるものを、そのまま与えているようにも見える。

桜子の夫、隆介は三姉妹の甥にあたる。恵まれた環境に育った彼は、今では如才なく商才も発揮している。時光から見ると、彼は育ちの良い牧羊犬であるが、実際の彼はそんな柔な人間ではない。

女優である瑞穂は、三姉妹たちの悪意を受け継ぐことはなかった。毎年ホテルで醸し出される悪意、険悪な雰囲気に怯えつつも、彼女の安定剤として、マネージャーの早紀を連れて、嫌々ながらもやって来る。

大学教授の天知。基本的にこの招待客は、三姉妹のうち、一人からの招待を受けてやってくる。しかし、彼だけは三姉妹の内、誰から招待を受けたのか、それが良く分からない。随分、古くからの付き合いにも見えるのだが・・・。

そして毎年繰り返された、この「招待」は今年で終わる。

章立ては、主題の次に、第一変奏第六変奏へと続き、登場人物一人の視点を持って語られる。「変奏」は、それぞれ衝撃的な場面で終局を迎えるのだが、次の「変奏」では何事もなかったように、また同じ題材が違う視点で繰り返し語られる。そしてその終局は、全て違ったもの(第六変奏のみ、一年後の話)。
何が真実だったのか? くらくらと酩酊するような物語。
*****************************************
登場人物の内、今回気になったのは、桜子と桜子の夫、隆介の二人。

隆介は一見、金持ちのボンボン風ではあるが、彼の内面はそれから類推されるような、弱いものではない。看板に押しつぶされることなく、その幸運をきちんと享受出来る実力の持ち主。そして、その幸運に実は物足りなさを覚えるくらいの、傲慢、贅沢を自覚している。
そんな彼の前に現れたのが、時光と桜子の美しく気品に溢れた姉弟。
時光は所有することは出来ないが、桜子を所有することならば可能である。

私は他人が思うよりもずっと、人間関係には敏感なのである。男女関係をはじめ、誰が誰に反感を持っているか、誰と誰が手を結ぼうとしているか、他人の動きや表情をちょっと見ていれば分かってしまう。それは生きていくために必要な嗅覚であるが、元々子供の頃からその辺りにはひどく敏感だった。もっとも、その敏感さはある程度隠していた方がいいことも、昔から本能的に知っていた。おっとりした気のいい三代目でいるほうが周囲から愛されるし、皆無防備に情報を提供してくれるものなのである。かといって、決して舐められてもいけないところが、匙加減の難しいところだ。
最初、二人の関係に気づいた時は愕然としたが、逆に安堵のような気持ちを覚えたことも事実である。

彼にとって、桜子と時光の関係は許せるものであるが(むしろ桜子を通して、時光を所有しているという満足感すら覚える)、桜子と辰吉の関係は、「舐められない」ために許すことが出来ないもの。彼にとって、このホテルにやって来て、桜子と時光の年に数日の楽しみを奪うことは、決して本意ではなかった。

ここで手を打たないと、私は無能の烙印を押されることになる。私は、私が自分の問題を解決できる男であることを、各方面に対してアピールしなければならなかったのである。

さて、一方の謎めいた桜子。彼女もまた、時光を愛していた。

時光は、昔から美しい子供だった。彼の無垢を愛していた私は、それを守るために努力をした。そのことが、彼から成熟や、清濁併せ呑む大人の知恵などを奪い取る結果になったかもしれない。だが、私はそのことを後悔していない。隆介が彼に執着するのは、やはり彼のそういうところに惹かれるからだと思う。私が守り育てた弟は、私に夫を連れてきてくれた。だから、私の努力は間違っていなかったのだ。

この二人の愛は空恐ろしくもあるが、無垢を愛する気持ち、愛でる気持ちは分かる。時光が実際に無垢であるかどうかは、分からないけれど、無垢なものに対する憧れは、自分が喪ってきたものへの憧憬でもあるのかもしれない。

 
恩田 陸
夏の名残りの薔薇

さて、この小説には、各所にある映画の場面が挿し込まれる。あとがき-二つのマリエンバートの狭間でによると、これは、『去年マリエンバートで』という映画のシーンだそう。

迷宮のようなホテルを徘徊する、人形のように無機質名登場人物。シンメトリーの巨大な庭園、囁くように繰り返される台詞。演劇的な虚構の空間を埋める、様式美に溢れた白と黒のコントラスト。

この「夏の名残りの薔薇」の核には、映画『去年マリエンバートで』がある。マリエンバートは、チェコの古い保養地の地名のドイツ語読み。かなりの箇所が引用されているけれど、雰囲気だけを楽しんでそのまま読むことも可能。でも、その核となった映画をちょっと見てみたくもある。

ビデオメーカー
去年マリエンバートで〈デジタル・ニューマスター版〉 

*臙脂色の文字の部分は引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

印象バトン

 2005-12-21-20:39

「手当たり次第の本棚」とら さんから、印象バトンを頂きました
はしっと受け取って、いってみましょう。

Q1.まわしてくれた人への印象は?
まず、ひとつには文武両道。
(あの恐ろしいまでの読書量と博識ぶり&空手)
いまひとつは、とらさんの本ブログ、「手当たり次第の本棚」のコメント欄のレスに見られる非常に公平な姿勢より、フェアな精神。
更に重ねると、辛いことをそのまま投げることをしない、負のエネルギーを寄せ付けない強さ。

その辺の印象はあるものの、ご本人が書かれているとおり、全ては「ぬいぐるみ」の皮の中に包まれているわけで、その皮の下を覗き見てみたくもある、ちろ~り。
でも、「ないしょ(・・)/」って、言われるんだ、きっと。笑

Q2.周りから見られている自分はどんな人だと思われている?
血液型診断はあてにはならないと思うのですが、最初は真面目そうといわれつつも、暫く付き合うと、「ああ、B型だねえ」と言われます。これで分かるかなぁ。
ネット上ではそうは見えないのかもしれませんが、実際は結構警戒心が強かったりもするので、一緒にお酒を飲むと、「意外と楽しい人だったんですね」と言われたりも(お酒で、警戒心が緩むのか? てか、「意外と」ってどうなの?)。

Q3.自分の好きな人間性について5つ述べて下さい
・自分とは違う価値観を受け入れることの出来る柔軟性
・人を赦すことの出来る広い心
・明るい方向を志向する強さ
・個として責任を取る気概

・他人を羨まず、妬まない自信


この質問は難しいですねえ。
「人間性」という言葉に合っているかどうかも、ちと微妙。汗

Q4.反対に嫌いなタイプは?
嫌いなタイプというか、嫌いな行動をあげます。
・個を個として認めず、ある集団に無理やり帰属させようとする
・人の意見を聞かず、「自分の常識」を押し付ける
・建設的ではない意見、曖昧なままの意見を吹聴する
・赦すことが出来ない などなど

時々、自分もやる行為です。だから、余計嫌なんだと思う。

Q5.自分がこうなりたいという理想像は?
しなやかで、つよい人間

Q6.自分の事を慕ってくれる人に一言
もしいらっしゃるのなら、ありがとう!

でも、「慕われる」ってあんまり経験ないかも。笑

Q7.そんな大好きな人にバトンタッチ!
えー、ここはネット兄貴のとらさんからバトンを頂いたということで、もう一人のネット兄貴、「物語三昧 」のペトロニウスさんにお願いしたいです。
お忙しいところ恐縮ですが、出来ればよろしく~。

さて、ペトロニウスさんのイメージは、頭脳明晰でやはりここでも、文武両道。
一見、きっとクールなのだろうけれど、中には物凄く熱いものを秘めている感じ?

きっとね、厳しい所もある方だから、実際に近くにいたら、そのズバリ的確な指摘に傷ついたり、反発したりもするのではないか、と思うのです。笑
でも、冷静に考えると、きっと「ああ、そうだよな~」と納得するのだろうなぁ、と。

そういう意味でも、ロールプレイング的に甘々なとらさんよりも、近しい兄貴なのかもしれません(三兄妹ごっこをしておりまして、その中では、長兄にとらさん、次兄にペトロニウスさん、その妹に私、という組み合わせであります。って、思いっきり内輪ネタの〆でスミマセン)。

「溺れる魚」/イロイロとまみれてます

 2005-12-21-09:07
戸梶圭太「溺れる魚」

小柄で色白、体毛も少なく、痩せ型の秋吉は、警官でありながら、女装癖の持ち主。女性用化粧品の万引きで捕まった彼は、特別監察官室預かりの身となる。

一方、タレこみを受けて連続強盗傷害犯のヤサに踏み込んだ白洲は、犯人を射殺すると同時に、犯人たちの金を着服した。この時の着服仲間の落合が自殺したことで、白洲はシラを切ることが出来ず、やはり特別監察官室預かりの身となる。

特別監察官室という部署は、不正を行った警察官を、その不正が殺人や強盗など凶悪犯罪でない限り、内密に処分したがる。
さあ、不良警察官である彼ら二人の処分はどうなる?

原則的に特別監察官は、警察に所属するあらゆる警察官に対して、調査を行う権限があるが、それが及ばないところがある。すなわちそれは、組織の不透明性、秘匿性をもって是とする公安警察官たち。特別監察官とは相性の悪い公安の調査をするのに、秋吉と白洲はうってつけというわけ。それぞれの罪を不問に帰すことと引き換えに、彼らは怪しげな動きを見せる、公安部外事一課の警部、石巻の監視にあたることとなる。

物語は、石巻が出入りする会員制の店、『クリング・クラング』(ドイツ語の擬音で、日本語で言うとガタンゴトン)のメンバーによる企業恐喝事件へと進み、そこに更に不潔極まりない、石巻の同僚の公安警部・伊勢崎、伊勢崎がネチネチといたぶっている革滅派のメンバーなどを巻き込んで、引きずって、ラストは怒涛のごとき様相を呈す。

秋吉、白洲の視点が最初は主になるし、キャラも立っていると思うのだけれど、この後、出てくる面子、全てが一癖もふた癖もある人物。この二人のキャラがそんなに活かされていないというか、普通の小説であれば「濃い」と思えるキャラなのに、後から出てくる濃い面々にすっかり「薄く」感じてしまう。
特に強烈なのは、恐喝されている企業、ダイトーの専務・保坂と、特別監察官室室長の主席監察官、御代田警視正の二人。

企業恐喝の内容もまた強烈。ただ金を出せ、というものではない。ダイトーの幹部を名指しして行わせる、いい大人の男性を辱めることが目的のようなもの。

「服装は・・・・・・上は白のタンクトップ。黒マジックで前面に“男気”、背面に“嫁さんヨロシク」と大書きし、「下はグリーンの迷彩柄の短パン。靴下はクマのプーさんがプリントされたハイソックス、靴は黄色のデッキシューズ」で、頭にはアメリカ・ニューヨーク市警の制帽」を被り、その格好で中央通りを新橋駅に向かって、競歩で歩くこと」とかね。

何もかもが派手派手しく、馬鹿馬鹿しい。

戸梶圭太はぶっ飛んでいるという話を聞いていて、でも、最初の部分はそれ程でもないなぁ、と思って読んでいたのだけれど、ラストに向かうにつれ、どんどんひどいことになっていき、成る程と納得。

人はバンバン死んでいくし、糞便塗れだし、反吐塗れに、血まみれです。嫌いな人は、近づかないほうがお勧めですが、ここまでひどいと現実から遊離して、更にちょっとした爽快感まで得られてしまうところが不思議。

それにしても、警察の陰の部分を一手に引き受けているというのに、御代田のこの飄々とした態度はいったいなんなのだろう。
「死体はそれでいいとして、負傷者はどうするんです」
「どこかにまとめて捨てますよ。夏だから凍死することもないでしょうしね、ほほ」
御代田は笑ったが、石巻は後味が悪かった。

ある意味、クールな御代田警視正。この人の背景をもっと知りたいなぁ、と思った。

 ← 私が読んだのはこちら
戸梶 圭太
溺れる魚
 ← 既に文庫化されているようです

堤監督により、映像化もなされているのですよね。
このぐちゃぐちゃを、どう映像化したのでしょうか。

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溺れる魚

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「空中ブランコ」/伊良部、再び!

 2005-12-19-09:52
?奥田英朗「空中ブランコ」

「イン・ザ・プール」 の続編。テイストは同じ。
ということで、物語の前提は以前書いたものを、そのまま引きます。

「伊良部総合病院」の地下一階には、「神経科」が存在する。総合病院自体は、白壁の清潔そうな建物なのだけれど、「神経科」は閑散としていて、如何にも怪しげ。そして、ここに常駐しているのが、注射フェチのトンデモ精神科医伊良部。患者は大抵、階上のまともな科から、匙を投げられ、回されてきた者たちばかり。彩を添えるのは、セクシーな看護婦マユミだけれど、彼女もまた無愛想この上ない。伊良部は病院の跡取りであるために、何とか仕事を与えられているように見える・・・。

■空中ブランコ
患者:山下公平
職業:会社員(サーカスの演技部員、空中ブランコ乗り)
症例:不眠

昨今ではサラリーマン的な団員が増えて、両親ともに団員の、生え抜きサーカス団員である公平には、居心地の悪いことばかり。最近では外様のキャッチャー、内田のキャッチミスが続き、本番でネットに落ちるという屈辱的な出来事が頻発している。

たぶん自分は、閉じているのだ。本当は人恋しいくせに、近づこうとしない。友だちが増えることに慣れていないのだ。

伊良部の空中ブランコ飛行の場面は圧巻。

■ハリネズミ
患者:猪野誠司
職業:紀尾井一家の若頭
症例:先端恐怖症

強面を貫かねばならぬ、若頭猪野は、実は箸すら使えぬほどの先端恐怖症。
このままでは、沽券に関わる!一体どうすれば?

「やくざ稼業って、いわばハリネズミみたいなものじゃない。いつも相手を威嚇してないといけないわけでさ。そういうのって誰でも疲れるから、その反動で、先の尖ったものやシャープなものを受けつけなくなるとか……」

珍しくまともに分析しているけれど、やくざが凄んだ所で、まったく動じない伊良部&マユミのコンビもすごいし、注射への執念もまたすごい。

■養父のヅラ
患者:池山達郎
職業:付属病院勤務の大学講師
症例:強迫神経症

伊良部の学生時代の同級生、池山は今では学部長・野村の娘婿となった。夫婦の間には三歳になる息子もいるのに、池山は取り繕ったようなインテリの野村家に、どうにも馴染めない。何よりも気になるのは、養父のヅラ! あのヅラを一番まずい場面で、外してみたくてたまらない。

「破壊行動は、要するに自分を壊したいってことだから、代償行為を見つければ、案外収まるんじゃないの?」

伊良部とともに行う、「破壊行動」の数々。体裁を取り繕う人生は確かに苦しそうだけれど、伊良部の行動にも胃が痛くなりそう。同窓会で同級生が語る、伊良部の学生時代の話も面白い。

■ホットコーナー
患者:坂東真一
職業:プロ野球選手(ベテラン三塁手)
症例:スローイング・イップス

球団に、イケメン・ルーキーがやって来てから、ベテラン坂東は突然コントロールを失ってしまった。坂東は恐怖、嫉妬から逃れることが出来るのか。

■女流作家
患者:牛山愛子(ペンネーム星山愛子)
職業:作家
症例:嘔吐症&強迫症

売れる小説、売れない小説。星山愛子は、「売れる」小説を書ける作家。しかしそれは、「売れる」ものしか求められていないということでもある。彼女の渾身の作は、部数を伸ばすことが出来ず、同じような「売れる」恋愛小説を量産する毎日。この男女の職業の組み合わせはどこかで書いたのでは?、不安が止まらない。

「わたし、小説読んで泣いたの、生まれて初めてだったから」
わたしは救いようのない馬鹿だ。読者を忘れていたなんて。
マユミは怒ったような顔をしていた。目も合わせない。照れているのだ。可愛い。
「そう、ありがとう」 愛子は心から言った。飛び上がりたいほどのうれしさだ。
「それだけ。またああいうの、書いてください」
「うん、書く。今日から書く」

愛子渾身の作である『あした』を、マユミが認めるこの場面が良かった。
言葉は人間の宝物でもある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
前回の「イン・ザ・プール」では、一応治療法を書いたのだけれど、今回は「治療法」などと、とても一言で書きあらわせない(というか、前回に輪をかけて、治療なぞしていないように思える)。
伊良部は、空中ブランコでは空中ブランコに乗ってしまうし、プロ野球選手がやってくれば、草野球チームを立ち上げてしまう。さらに作家がやってくれば、編集部に小説の持込みをし、自分も本を出せると信じて疑わない。

どれもモノにはならないのかもしれないけれど、伊良部がどんどん多才になっているように思えた。ま、単に子供のように、突っ走ってるだけとも言えますが。しかし、伊良部医師には、このままどんどん突き抜けていって欲しくもある。 いけー!

奥田 英朗
空中ブランコ

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「マイルズ卿ものがたり」/マイルズ卿の日常(かなりのほほん)

 2005-12-17-10:28
坂田 靖子
マイルズ卿ものがたり

あとがきの記述から始めてしまいますが、フランスがルイ王朝華やかなロココの日々をおくっていた頃 イギリス人はジンとビールでぐでんぐでんになってくらしていた」とのことで、これはそんな時代のイギリスの貴族のお話。この本には九つの短編が収められているのだけれど、その一つ目は「マイルズ卿のかつら」というお話で、これもまさに「これは殿方が美しいかつらをかぶっていた頃のお話です」

更にあとがきから引くと、お酒だけではなく、賭事、娼館、化粧(ヨーロッパ全土でつけボクロが流行したが、男性がつけたのはイギリスだけだった)などと、よーするにみんなあそびまくっていた」らしい。こーゆーヘンな絵が残っているあたりうれしい時代である!」とあるのは、ウィリアム・ホガース の絵(wikipediaにリンク)。

では、優雅で、はちゃめちゃな話なのかというと、そこは坂田靖子さんが描くものなので、はちゃめちゃではあるけれど、優雅というよりは「のほほん」という言葉が似合う感じ。お人好しで世間知らずのマイルズ卿の暮らしが描かれる。
脇を固めるのは、世事に通じてお洒落な親友、ペンティントン卿(ただし大抵、話をややこしくする)と、酒飲みで妙に態度の大きい、おとぼけ執事。

執事の仕えぶりはこんな感じ。
マイルズ卿:「僕はしゅじんだぞっ!!」
執事:「それが何です 私は召使いですよっ!!」
    「さっさと服を着替えて下さいよ あんたと違って忙しいんだから!」

時々、マイルズ卿が不憫になります・・・。

日常の話ではあるけれど、見えない斑犬の話、逃げ出す細工物の話(片思いのサラ夫人への贈り物だったのに!)、小人の嫁入りの話、夜に逃げ出すマイセンの貴婦人の話などの不思議が、違和感なく織り込まれている。

のほほんと楽しい漫画。ただし、「異国の少年」の話だけは、「その頃 身分のある人々のあいだでは顔だちのよい異国の少年を 側に仕えさせることが大変流行っていた」とのことで、その背景が悲しいなぁ、と思う。

目次
マイルズ卿のかつら
斑犬
宝石の魚
マイルズ卿の歯痛
異国の少年
井戸の首
小人の結婚
マイセンの貴婦人
名馬ラトピック

*臙脂色の文字の部分は引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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プロフィール

つな がる

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つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
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2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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