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食べる、暮らし/「うおつか流ぜい肉リストラ術 手間いらずの健康術」

 2005-03-30-08:13
しつこく、料理本。

魚柄仁之助「うおつか流ぜい肉リストラ術 手間いらずの健康術」

食生活研究家で古道具屋を営む魚柄仁之助さん。テレビ、ラジオでも活躍されていらっしゃる。最近はあまりお見かけしないような気もするけれど、うっすらと記憶に残っていたらしく何となく店頭で手に取った。

世に料理本は数多いと思うけれど、栄養・料理を科学的に捉えつつ、かつ簡単に出来るように書かれている所が秀逸。目から鱗なことが、バシバシ書かれている。段取りのよさ、美味しく食べる工夫に惚れ惚れとする。
実際、物凄い安い食費で「健康美食」を営んでおられるのだけれど、単なる節約本ではない。
何作か続けて読むと、だぶってしまっている部分も見受けられるが、私が持っているのは「リストラ術」と、知恵の森文庫「魚柄の料理帖」の二冊。
料理と言うと、ついつい便利な台所グッズに目を奪われてしまう自分を反省する。料理をなさる方、一読をお薦めします。面白いです。

レシピ、節約生活を詳しく知りたいなら「魚柄の料理帖」。理論を知りたいのであれば「うおつか流ぜい肉リストラ術」がお薦め。私は「リストラ術」の方が好きです。

便利な台所グッズがなくても、料理はちゃんと出来るのよね~、と思いつつ、私、実はホームベーカリーなるものを持っている。これ目茶苦茶簡単に、美味しいパンが焼けるのですよ。材料を投入してボタンを押せば、美味しい食パンが焼きあがる。生地だけ作って、オーブンで焼くことも可能。天然酵母をおこすことだって出来てしまう(24時間かかりますけど)。天然酵母のどっしりしたパンも大好き。
魚柄さんだったら、きっちり自分で生地をこねるのでしょうけどね^_^;。。。
ま、魚柄さんのスピリッツだけは受け取ったということで。乾物を欠かさないようになったし、お浸しや胡麻和えなんかもよく作るようになりました。


*正確には講談社+α文庫という所から出版されています。


著者: 魚柄 仁之助
タイトル: うおつか流ぜい肉リストラ術―手間いらずの健康術
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食べる、暮らし/「聡明な女は料理がうまい」

 2005-03-29-09:13
暮らしの本が続きますが、個人的に今「暮らし方」や「料理熱」が高まっているのです。

で、今日は 桐島洋子「聡明な女は料理がうまい」

古い本です。でも今さらっとですけど読み直して、まだいけました。
「昭和五十一年に刊行されてベストセラーに(単行本の方)」って
、ほんとに古い。まだお産まれになっていない方も多そうですね。・・・私、産まれていますが。今だったら、この題名が物議を醸してしまうのでしょうか。「負け犬の遠吠え」のように。
本当は「聡明な人」や「聡明な人間」とすべきですが、そうするとこのコピーの良さが消えてしまうんでしょうね。

「負け犬」は未読なのですが、別にカテゴライズして喧嘩を売るような本ではないようですね。内容を確かめてから話してくれ~。実は「オニババ化する女たち」も気になっています。悲しい事に、他人事じゃないのですもの)

これは、私が初めて「生活者」を意識した本です。
私の手元にある文庫本の巻末には、娘・桐島かれんさん(モデルさんとして有名ですよね)の一文も寄せられております。こんな母娘関係素敵だなあ、と思います。

以下、プロローグからの引用。ちょっと過激?
しかし、こうやって言い切る桐島さんがかっこいいと思うのです。
単純なレシピ本ではありません。

男は女にできる仕事ができないのに、女は男の仕事をどんどんモノにしつつある。無能な男に女が追いつくのではなく、有能な“両性具有”の女に男が追いついての男女平等こそが望ましいのだ。
読者は、私の文章にかなりの強がりを感じられることだろう。正直言って私もしばしばへとへとになり、男のように奥さんを持ちたくなる。この分業社会で仕事と家庭を両立させるのは、口で言うほど簡単なことではない。しかし、そういう社会のしくみのほうがまちがっているのだから、屈服するわけにはいかないのである。断固強がって、人の二倍も三倍もがんばるくらいの心意気がなければ、とても社会を変えていくことはできないだろう。
ただがんばるだけで玉砕してしまっては始まらないから、男性的な自由な発想で家事を合理的に再編成し、最も快適な秩序を自分のものにして台所を賢く支配していかなければならない。私がいま書きたいと思っているのは、そういう戦略としての料理の本である。


生活者たるもの、合理的に家事をこなし、自らの手で美味しいものを作り出さなければなりません。凄く不思議なのですけれど、実験をきっちりこなす「理系男性」の中にも、料理は全く出来ません!という方がちらほらいらっしゃるのです。面倒くさい実験をきっちりこなすのだから、レシピがあって多少量や手順を間違えてもどうにかなっちゃう料理は、簡単だと思うのですけど。外食や店屋物が続くと、身体が辛くなってくるのになあ。平気なのかしら。一人暮らしなのに台所にはヤカンしかない、なんていう猛者もいらっしゃいました。
あ、でも「理系男性」の方々。きっと両極端で、それはそれは美味しい「ガトーショコラ」を焼いて会社に持って来て下さった、50代の男性もいらっしゃいました。この方は確か、チタンの中華鍋が欲しくて奥さまと交渉中だったはず。購入されたのだろうか。私は日々の料理はそれ程苦ではないのだけれど、お菓子作りはどうも苦手。インチキ理系人間だからでしょうか。実験での失敗も数知れず…。高い試薬を申し訳なかったです、先生…(ここで謝っても仕方ありませんが)。


*臙脂色の文字の部分は本文中より引用しております。何か問題がございましたらご連絡下さい。



著者: 桐島 洋子
タイトル: 聡明な女は料理がうまい

住む、暮らす/「京都がくれた「小さな生活」」

 2005-03-28-13:55
暮らし方の本をぺらぺら眺めるのも至福のひと時。
こちらは義母からお借りした。

麻生圭子「京都がくれた「小さな生活」」

モノグサなので自分はとても住めないけれど、京都の町屋暮らしって素敵だなあ、と憧れる。

ウナギの寝床構造、走り庭、坪庭、漆喰壁 などなど

「大改造!!劇的ビフォーアフター」(番組の改変期のせいで、二週ほど飛ばされている気がするけど)というTV番組が大好きで、家に居るときは大抵見ている。見逃すと凹みます。
見てどうなるというものでもないのだけれど、へ~、こういう方法が!など感心しながら見ている。家族の暮らしぶりを「匠」が上手に汲み取って、素敵な家を設計なさっている。
自分はこういう暮らし方がしたいという強い意思が、素敵な家を造るのだなあと感じる。思うように暮らしたかったら、まず自分の思いを明確にしなくてはならないのだなあ、と。

著者の麻生さん、作詞家を経てエッセイストになった方らしい。公式ページでプロフィールを見た所、私も知っている曲がいくつかあった。きっとこの本のコンセプトは、都会で華やかに暮らしていた著者が、一見不便で地味に見える生活を楽しんでいますよ、ということなのだと思う。

ちょっと自分では買わない類の本なのだけれど、

ひとつひとつの色かたちが美しい京野菜、和菓子、もちもちした生麩、羽釜で炊くご飯、炭の匂い、灰の色

何だかとっても羨ましい~。写真も豊富で、文章も語りかけ口調。さらっと読める。


私は世の中に下記のようなお菓子が存在することも知らなかった。
がさつな私には無理そう・・・。でも丁寧ないい暮らし。素敵だなあ。

こういう上菓子は風呂敷で抱えて持つものだったんですね。とはいえ、私だって、袋をぶんぶんと振り回したわけじゃありません。あくまでもふつう、です。ちょっと斜めになっただけ。それほど、やわらかいんです。


*臙脂色の文字の部分は、本文より引用を行っています。何か問題がございましたらご連絡下さい。

*正確には、集英社be文庫という所から出版されています。




著者: 麻生 圭子
タイトル: 京都がくれた「小さな生活」。

祈りの言葉/「平和の祈り」

 2005-03-27-09:56
本日はキリスト教で復活の主日にあたります。
所謂イースター【復活祭:イエス・キリストが十字架に架けられた後、復活したことを祝う】です。子供の頃に近所の教会などで、イースターエッグを貰った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
カトリック教会では前夜に復活徹夜祭ミサを行うことが多いのかな。多くの信者が洗礼を受ける日でもあります。新しい命に生きることが出来ますように。

(今年は所用により、復活徹夜祭も主日のミサも行けずじまい。
基本的に不良信者です…)


有名な祈りの言葉を載せます。世界に平和がもたらされますように。
宗教的なことを除いても、いい言葉だと思います。



闇に光を
悲しみのあるところによろこびを
なぐさめられるよりはなぐさめることを
理解されるよりは理解することを
愛されるよりは愛することを
わたしが求めますように。

「平和の祈り 聖フランシスコ」

アイデンティティ/「ノーザンライツ」

 2005-03-26-08:25
野田知祐さん、C.W.ニコルさんらの本を読んで憧れていたアラスカ。しかしそこは超インドア派の私、やはり実際にアラスカに行ってみるのではなく、アラスカに関する本を読む。死ぬまでに一度オーロラを見てみたいけれど、行動力がないので、実現しないような気がする・・・(滞在中に見られるとも限らないし)。

星野道夫「ノーザンライツ」

自然や動物の写真で知られている星野さん。文章にも非常に味がある。穏やかで、思慮深い。本書は、シリアとジニーという二人の年老いた女性から語られる、開拓時代のアラスカのお話を綴ったもの。このお二人、年老いたと言ってもまだまだ元気。彼女達の若き日の話しにはそんな昔にこんな女性が存在したのか、と衝撃を受ける。

若い頃は飛行機を乗り回し、アラスカに魅せられ、80歳に手が届こうとする年齢で、星野さんと共にアラスカ北極圏の川を下る旅をしている。
本来、執筆されるはずだったこの旅の様子は、星野さんが急逝されたため、彼の手によって書かれることはなかった。
お二人の写真の下に、星野さんが以下のように脚注を付けておられます。

アラスカのパイオニア時代を生きてきたシリアとジニー。二人は、遅れてアラスカにやってきたぼくに、いつも何かを託すようにアラスカの物語を語ってくれた。

アラスカの過去の話し、現在の話が丁寧に語られていく。「アラスカはいつも、発見され、そして忘れられる」。ただ自然っていいよね、素晴らしいよね、という本ではない。過去の痛み、喪失も語られている。
星野さんの人柄によるものだと思うのだけれど、周囲に居られる友人たちがとても素敵だ。痛みや喪失を越えて、再生を果たした人々なのだ。厳しい自然と対峙して生きてきた人々の中には、きっと何らかの人生の真実がある。

ご存知のように、星野さんはヒグマの事故により既に亡くなっておられます。「ミチオとの旅」として本書の主要な登場人物であるシリア・ハンター氏が最後に一文を寄せておられます。


特に心に残ったのが、「タクシードライバー」「思い出の結婚式」の二編。

「タクシードライバー」は、白人でありながら、誰よりも遠い昔のエスキモーの心を持っている若者・セスの物語。彼は老いてゆくことが無用な存在になってゆくアメリカ社会と、それが重要な存在になってゆくエスキモー社会との違いを身を持って感じる。

「思い出の結婚式」はアサバスカンインディアンであるアルの物語。アルはインディアンである自分と、白人であるゲイから産まれた一人息子カーロに、古いインディアンの歌を聞かせながら、こう語りかける。「一緒に歌わなくてもいいから、今自分がやっていることを止めて、ただ黙って聞け・・・」


先住民の人々の暮らしの中には、それまでの彼らの知恵が沢山詰まっている。急激な開発は、彼等の内、特に若者からその知恵を奪ってしまう。

いい本です。読んだことのある方は是非ご感想を聞かせて下さい。静謐な空間にいる気持ちになります。

C.W.ニコルさんについても書きたいことはあるのだけれど、本が手元になく記憶もあやふや。
「黒姫の赤鬼」と自称し、TVで吼えてらっしゃった所しか今は思い出せません^_^;。
星野さんと同じように先住民の人々に沿っておられたと記憶している。捕鯨の話なども良かった。
実家から持って来る事が出来たら書いてみたいと思う。


*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っています。何か問題がございましたら、ご連絡下さい。




著者: 星野 道夫
タイトル: ノーザンライツ

人生相談/「本日順風」

 2005-03-25-08:48
椎名誠さんつながりで知った、カヌーイスト野田知祐さんの本。
アウトドア人生相談と銘打ち、読者からの様々な質問に答えていく。
この回答がいい意味で適当。長さもまちまち。すぱっと歯切れよく答える野田さんが、小気味いい。ちょっと講演を聞きに行っているみたい。
センテンスも短く、読みやすい。興味を持った質問の回答だけを、ぱらぱら捲ってもいいのかもしれない。個人的には「ナマズの美味い食い方はありますか」という質問とその答えが好き。なんでこれを、「カヌーイスト」の野田さんに聞こうと思ったのだろう。
ナマズ。泥臭くてまずいと、野田さんは答えている。そういえば、まさに「ナマズを食べに行こう会」と称し、食べに行ったことがあるのを思い出した。ふわふわと柔らかくて美味しかったように思うのだけれど(あれ、ナマズだったよなあ)。

読者から出された質問は、野田さんのアウトドアの実践方法や考え方に関するもの、日本の自然破壊に関するものなど。
野田さんは、全国の川をカヌーで下っておられたので、日本の自然破壊、ダムの問題からも離れられない。最近は護岸工事の進んだ日本の川は見限って、シーカヤックを勧めておられたように記憶している。

超インドア派で体力のない私でも、うっかりカヌーに乗ってみたくなる。
この本を読んでいる間、頭の中にはずっと「自己責任」という言葉が浮かんでいた。多分、いい意味で厳しい人なのだと思う。


昨夏、西表島でカヌーツアーに参加した。
その川は干満の差が激しく、行きには全く見えていなかった干潟が、帰りには忽然と出現していて、カヌーを寄せて干潟の上を歩き、マングローブの林をじっくりと見た。
干潟には、シオマネキ(片方のはさみだけが大きくてそれを振り回している)、コメツキガニ(米粒みたいな団子状のものをいっぱい作る。米粒を足で踏むと何とも言えない感触)なんかも沢山いた。
干潟の上を裸足で歩く感触は何とも言えない。
もう無条件で気持ちよい。

ところで「マングローブ」という名前がついた植物があるわけではない、というのは有名なのだろうか。私はガイドさんに教えられて初めて知った。「熱帯や亜熱帯地域の河口など、満潮になると海水が満ちてくる所に生えている植物をまとめてマングローブと呼ぶ」らしい(ちなみに、根っこがまるで人の手のように見えるから「マングローブ」)。
西表島では、確か「オヒルギ」「メヒルギ」「ヤエヤマヒルギ」といった種類が見られるのだったと思う。ツアーガイドさんにいろいろ教えてもらったこと、もう大分忘れてしまった。しばらく呪文のように唱えていたのだけど、勿体無いなあ。「マングローブはどうやって増えるのか」とか、確か面白かったのに。

非常に楽しい体験だったのだけど、二人乗りのカヌーにおいて私は全く戦力にならなかった。一緒に漕いでいた夫に怒られました。
違う方、違う方にカヌーが進んでしまうのですよ。一人で漕ぐと面白いように前に進みませんでした。
くるくる回るか、岸に突っ込みそうになるか…。
アウトドア派にはなれそうにありません・・・。
いいのです・・・、本を読むだけでも・・・。


*昨夕のニュースで、横浜市の親子とツアーガイドさんが、西表島と新城島の間で行方不明になっていると放送されていました。
無事見つかりますように!





著者: 野田 知佑
タイトル: 本日順風

喪う/「博士の愛した数式」

 2005-03-24-10:39
過去形で書かれた物語には、何だか切ない匂いがする。

この物語は、80分の記憶しか持つことの出来ない博士、家政婦の私、その息子ルートの交流を描いたものだ。
博士は不慮の事故により、それまで持っていたものの殆どを喪ってしまった。
残されたのは、事故に遭う以前までの記憶、研究していた数学の知識、子供に対する限りない慈しみの情、そして80分の記憶しか保つことの出来ない脳。

博士から語られる数の話は、静謐で美しい。
そっと博士に寄り添う家政婦の私の姿、博士に全幅の信頼を寄せる息子ルートの心も、優しく、ただ切ない。本当に美しい魂の物語。
博士が喪ったものは数多いけれど、残されたものは削ぎ落とされた美徳だったのだろうなあ、と思う。どちらが幸せだったのか。
普通に考えれば事故に遭う前だと思うのだけれど、この物語を読むとどちらなのか分からなくなってくる。勿論、80分の記憶による苦悩も書いてあるのだけれど。


ahaha さんの所で、「
人前で読んではいけない本 ・感涙編」に分類されていたというのに、ついうっかり外で読み、目をシバシバさせながら、ラストを読む進める羽目に陥りました。外出中は大抵本を持ち歩いているので、そういう状況が実はとても多い…。
(このエントリーで同じく「感涙編」に分類されていた、島本理生「ナラタージュ」も新聞の書評で高評価。読んでみたい。)


数学の美しさ。感じてはいたのだけれど、私が出来たのはガチャガチャ計算していけば、いつかは必ず解ける「微分・積分」だった。
あれは所謂数学ではないように思う。
「美しい証明」や「美しい解法」。何となく判別がつくだけに、出来ない自分が悲しかった。これはもうきっとセンスで、そして残念ながら私にそれはなかった。
物理なんかをやっていると、ああ数学は物理の法則を理解するために発展したのかしら、等と思ったのだけれど、純粋な数の世界はもっと美しいものなのだろうか(この辺り、頭が文系なのに理系に進んでしまった人間の戯言なので適当です。物理と数学はどっちが先なんだ?でも物理は明らかに実学だけど、数学はそうではない気が)。

作中に出てくる江夏投手のエピソード。山際淳司「江夏の21球」を思い出した。こちらもまた良い本でした。




著者: 小川 洋子
タイトル:
博士の愛した数式

やわらかな心/「星の王子さま」

 2005-03-23-06:46
今さらだけど、今日は童話。サン=テグジュペリ「星の王子さま」
これは私が知っているV神父が大好きな本。でもまだ読んだことがなかった。読む機会を逃したまま大人になり、今更感が強かった。
神父の部屋には、自分で集めたり信者からプレゼントされた、「星の王子さまグッズ」が沢山飾ってある。
神父になってからの50年間の殆どを、異国である日本で過ごしたV神父は、今年日本での役目を終えて帰国される。

カトリックの神父には、まるでサラリーマンのように「異動」がある。
前任の教会からの異動で、こちらの主任司祭になられたのは5年前のことだった。
当時教会には前任のC神父のカラーがとても強く残っていて、V神父は結構苦労なさったのではないかと思う。
前任のC神父もとても素晴らしい人だったのだけれど、何せカラーが違いすぎた。
C神父は、大柄で神父としては比較的若く(この世界でも高齢化は問題です)、「待ってたよー!、よく来たねーー!!こちらにいらっしゃいよー!!」と言ってハグするような、非常にオープンな人だった。
一方の今度帰国するV神父は、小柄で穏やかで物静か(よーく見ると、キラキラした悪戯っ子の様な目に気付くけれど。夏はウィンドサーフィンを、冬はスキーを楽しむ、実は超の付く程のスポーツマンでもある)。
「謙遜」と「家族の愛」を尊び、お説教には「おしん」なんかも登場してしまう。
前任のC神父の時には、大勢いた若者達が見る間に減り、逆にお年寄りの姿が目立つようになった。
でも、先日行われた「金祝を祝う会(神父になって50年を祝う)&お別れ会」は、老若男女入り乱れての大盛況だった。
この5年間でじんわりと神父の人柄が伝わったのだ。


で、そんな神父が大好きな、「星の王子さま」
「お別れ会」に出た心のまま、読んでみることにした。

遠い星からやってきて、地球の砂漠でヘビやキツネ、飛行機乗りのぼくに出会った王子さま。これはそのまま神父の姿ではなかったか。
テレビもネットも今のように発達していなかった昔、神父は船で二週間かけて、日本にやって来た。しかも初任地は青森で、昔だから訛りもきつかったのか、「せっかく東京で二年間習った標準語は殆ど役に立たなかった」そう。

有名な言葉、「かんじんなことは、目に見えないんだよ」。
王子さまが自分を飼いならすと互いに離れた関係ではいられなくなる、面倒を見た相手には責任があるんだ、というキツネ。
私にとってもV神父の母国は、そのことを考えると何かほっこりと温かくなる場所になりました。
日本という国もV神父にとってそうなってくれるといい。
私が生きてきた時間よりも長い時間をこの地で過ごしたのだから、もう当然そうかな。
帰国後、暫く勉強期間(まだまだ勉強したいことがあるそうです!ちなみに御歳75。)に入られる神父さま。
V神父の帰国後の日々が実り豊かなものであることを祈っています。


外国の神父さんのお説教なんて分かるの?と思われるかもしれませんが、平易な言葉を用い、決して巧い話ではないところが、かえって心に伝わったように思います。
大切なのは理屈じゃなくて心で感じることだと思う。
逆に日本の神父さんの難しい教義の話なんかは、ちっとも分かりません…(いいのか、そんなんで。でも分からないものは分からないのだから仕方ない)。





著者: サン=テグジュペリ, 内藤 濯
タイトル: 星の王子さま

再生/「イマジン・ノート」

 2005-03-22-16:09
元漫画少女(ID:catcat)さんと「ガラスの仮面」について熱く語ったり、delusive penさんの所で名をお見かけして思い出した、漫画家・槇村さとるさん。
中学時代、彼女の「ダンシング・ジェネレーション」「NY・バード」を夢中になって読んだものでした。影響されダンスを真剣に習い始めた友人もいたほどで、強い影響力というかパワーを感じる作品を描かれる方です。夢を抱くようになった少女が、それを叶える為に必死に突き進んでいく。そのやり方は決してスマートなものではなく、時には泥臭ささえ感じるほどでした(お話としては、都会的だと思うのですけど・・・)。でも単なるスポ根ものではなく、主人公が素直に泣いたり笑ったり、ほんとにキラキラして見えました。


少女漫画家として活躍しておられた槇村氏ですが、実は根底に「生き辛さ」を抱え、生きている人間でした。これはそんな槇村さんが、苦闘の末、どうやって自分を取り戻したかを書いた、自伝的なエッセイです。職業として漫画家を選び、表現することで糧を得ていた槇村さん、途中で何度も何度も自分の表現の壁にもぶつかっています。その度に悩み、苦しみ、真剣に生きてきたから、無事に再生を果たされたのだと思います。その道程を、正直に素直に語っておられます。

彼女はこう語っています。

でもまあこれは私のケースで、だれも何も本当の事なんて教えてくれなかったし、私にもそんなこと出来ない。
私のやり方はあなたの参考になんて、ち~っともならない。

私と、あなたは、違う
みんな別々
みんなオリジン
みんな孤独(ひとり)
ひとりで生きてひとりで死んでゆく

だからこそ関わりたい、伝えたいと思うんだけどサ。

みんなの苦しみは、きっとそれぞれ違うものでしょう。
でもこの本を出版されたのは、きっと同じように生きにくさを抱えている人たちへのメッセージ。
だからこそ、こんなに正直に書かれたのではないかと思います。


幸福になる一番の近道は自分を知ること。蓋をして知らない振りをしていた自分の感情。嫌な所も、しょうがない所も、見えてしまえば、分かってしまえば、もう怖くは無い。そして悩み、苦しみ、生き辛さを抱えた日々も、決して無駄にはならない。


それぞれの作品についてインタビュー形式で語っておられる部分も挿入されています。昔読んだ作品が、こういった思いの中で描かれていたのだなあ、と知ることが出来ます。テンションの高い作品を描く人だなあ、とは思っていたけれど、こんな思いの中で描かれていたものだとは、中学生の頃には全く気付きませんでした。


*臙脂色の文字は、本文中から引用したものです。何か問題がございましたらご連絡下さい。



著者: 槇村 さとる
タイトル: イマジン・ノート

わかることへの道程/「「わからない」という方法」

 2005-03-20-08:16
斎藤孝著「読書力」 における新書系や評論の読書の定義、「新書系や評論の場合は、半分以上に目を通してあって要約ができれば読んだことにしてもいい」に力を得て、新書を少し読むことにしました。基本的には、「まえがき」と「あとがき」をしっかりと読み、具体例の部分は多少飛ばしながら読むというスタイルです。これであれば大分短時間で読めそうです。

でも、まずは読み易そうなところから。

橋本治著「「わからない」という方法」集英社新書

橋本治氏は、多岐に渡るジャンルで活躍しておられる作家さんです。今までにセーターの編み方についての本を出したり、古典の現代語訳をなさったり、時評なども行っているそうです。私は「桃尻語訳」と、よくテレビに出ていらっしゃることくらいしか、知りませんでしたけれど。この本には、橋本氏がなぜ多岐に渡るジャンルに手を出すことになったのか。その理由と答えが書かれてます。

わからないことをつぶしていくのが人生で、人生は分からない迷路。
「自分はどうわからないのか?」を自らに問うことだけが、さまざまの「わからない」でできている迷路を歩くための方向を指し示す。そしてその“方向”に進むことだけが、「わからない」の迷路を切り抜ける方法で、だから「わからない」は「方法」となる。
“わからない”と問うことが橋本氏の方法論なのである。

括弧だらけでよく分からないでしょうか?だとしたら私の意訳が拙いせいで、実際の本書は非常にわかりやすく、「なぜセーターの編み方についての本を出すことになったのか」「なぜ古典の現代語訳をすることになったのか」。ここに至った道筋が説明されています。

またあとがきにおいては、「わからない」は身体に宿る。「わからない」をそのままにせず、「自分の無能を認めて許せよ」と、まず認めることから、「わからない」が「方法」へと成り変るのだ、と語っておられます。


橋本さんは、自ら「わからない」事を見つけ、道を切り開いておられます。
しかし新人は好むと好まざるに関わらず、確実に「わからない」環境に入ることになります。職場の先輩方は、きっと新人が「わからない」ことをわかりません。「こうすべきだ」と事細かに教えてくれる人や、逆に「簡単だよ、ほら」などあまり指示をくれない人もいることでしょう。「なぜこうしなくてはならないのか」「その背景にあるものは何なのか」。この場合においても、常に問いかけながら働いていくことが必要なのではないかと感じました。・・・今は無職ですが、新人の頃にぼんやりと考えていたことです。


こういった、「私はこのようにしてきた」「こう考える」といった系統の本は、その考えに納得出来るものであると、読んでいて非常に気持ちのよいものでした。ぼんやりと思っていたことが、明文化されすっきり。目が開かされる思いです。

「わからない」は恥ずべきことでもなんでもない。「わからない」は「わかる」ための糸口で、これを辿っていくことで、いつか「わかる」ことに辿りつくのだ。


*臙脂色の文字は、本書の文章に意訳を加えたものです。何か問題がございましたら御連絡下さい。




著者: 橋本 治
タイトル: 「わからない」という方法
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プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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