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「気まぐれ少女と家出イヌ」/犬と暮らそう

 2009-05-04-21:26
気まぐれ少女と家出イヌ気まぐれ少女と家出イヌ
(2008/12/17)
ダニエル ペナック

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マロセーヌくんシリーズから考えると、この表紙の愛らしさがちょっと不思議だけれど、これもまたダニエル・ペナックなんですねえ。マロセーヌくんシリーズ以外と言うと、「片目のオオカミ」(感想)は少年とオオカミの物語だったけれど、今度は少女の物語。
語り手は「イヌ」(飼い主の「リンゴ」が付けた名が、「イヌ」なんです。斬新な名前?)。「イヌ」がであることを主張し、飼い主である「リンゴ」を教育し、きちんとした「ともだち」になるまでのお話です。

主人公である「イヌ」は、人間に捨てられて(というか、殺されそこない)、彼を教育してくれたおばあちゃん、クロのもと、ごみすて場で育つ。ところが、ある日の悲しい出来事によって、クロは死んでしまう。「イヌ」はクロが話していた「町」に出て、女の飼い主を探すことを決意する。しかし、町を歩いていたイヌは、町の美化活動により、野収容所に入れられてしまい…。

そこへ現れたのが、「リンゴ」たち一家。見てくれのいいは他にもいたのに、両親の渋い顔を尻目に、リンゴは決して器量よしとは言えない「イヌ」を連れて帰ることにする。ところが、リンゴとイヌとの蜜月は長くは続かない。子どもというのは気まぐれなもので、一方のは人間とは違うスピードで成熟していく。誇りある犬である「イヌ」は、家出を決行するのだが…。
読んでみての感想は、犬はこちらが思っている以上の事を、感じ取っているものなのかもしれないなぁ、とか、にしても、最後に「イヌ」たちがとった手段は大人としては、勘弁してほしい類のものだなぁ、とか。リンゴの母さん、「ビリビリ」の気持もわからんでもないのです。でも、ダニエル・ペナックの根底に流れるものは、「博愛」というか、他者の尊厳を守ることなんですよね。だから、あれがああなっちゃうのも、仕方ないのです。最終的にはまるーくおさまったのだしね。

さて、この本は名前が色々と面白いんです。「リンゴ」はリンゴの匂いがしたから「リンゴ」だし、母「ビリビリ」はいつもビリビリしてるからだし、父「デカジャコウ」もでかくて汗っかきだからなんです。こういうところ、きっと原語を巧く処理してるんだろうなぁ。「イヌ」のともだちの「ハイエナ」(犬)、「イノシシ」(こっちは人間)もいいんです。

あとがきにあたる「しつけもせずしつけられもせず」を読みますと、まぁ、ここにすべてダニエル・ペナックが言いたいことが入ってしまってはいるんですが…。それでも、この表紙のように可愛らしい、少女と犬の物語を楽しみました。白水社もこういうのも出すんですねえ。あ、そういえば、ニコルソン・ベイカーの「ノリーのおわらない物語」も白水社でしたっけ。児童書として、ちゃんとターゲットとなる少年少女に届いているといいな。「ちがいを大切にすること。これこそが友情のルール」だというダニエル・ペナック。彼がいうルールは人間同士だけのものにとどまらず、犬にまで広がっていたのでした。
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「ティンブクトゥ」/魂の行方

 2007-10-26-22:58

ポール・オースター, 柴田 元幸

ティンブクトゥ


ミスター・ボーンズには分っていた。ウィリーがもう長くはないことを。
楽しかった彼との日々が、終わってしまうことを…。

えーと、こう聞くと、ウィリーが犬で、ミスター・ボーンズが人間、と思えるのだけれど(いや、過去、こういう本を読んだこともあるしね)、あにはからんや、ここでは、ミスター・ボーンズが犬、ウィリーがその飼い主になるのです。

ウィリーの人生は、客観的に見て、とても成功したものとは言えない。狂気とアル中の詩人であるウィリーは、けれども、ブラウン管から彼に語りかけるサンタクロースから啓示を受け、ウィリアム・グレヴィッチ改めウィリー・G・クリスマスとなり、一年を通してクリスマスの教えを肯定し、何も求めることなく愛を返すことに専念した(もしくは、そう心掛けた)。

その試みは常に成功!というわけにはいかなかったけれど、ウィリーには常に自分が目指すべきものが見えていた。けれども、若さが失われ、浮浪者同様となったウィリーが、いくら博愛精神を示そうとも、世間は冷たいもの。そんなウィリーが、ボディーガード代わりに飼い始めたのが、ミスター・ボーンズだったというわけ。

ウィリーは全てをミスター・ボーンズに話したし、ミスター・ボーンズも犬の身に許される限り、それらを全て理解した。二人で<匂いのシンフォニー>の研究に夢中になったりもした。マシンガンのようなウィリーのトークの合間に語られたのは、「ティンブクトゥ―ティン‐ブク‐トゥ」のこと。それは人が死んだら行く場所であり、砂と熱からなる巨大な王国、永遠の無が広がる地を越えたところにある土地。ミスター・ボーンズには、その旅は困難なものだと思われたけれど、ウィリーはそこにはあっという間に行けるのだ、と請け負う。

けれど、「ティンブクトゥ」とは人が行く場所なのか? だとすれば、ペットである自分は? この世界に別れを告げるときが来れば、その後はそれまでの生で愛した人と共に暮らせるべきではないのか?

最初に恐れていた通り、やはりミスター・ボーンズとウィリーの別れの日がやって来る。ミスター・ボーンズはウィリーからの忠告を元に、ひとり、生きていこうとする。ウィリーほど信用に足る人間はいないけれども、ミスター・ボーンズは、少なくともウィリーと同じくらい信用できる人間を見つけ…。
ここから語られるのは、いやな奴が一人いたからといって、全員が悪い奴だと思うな、という教訓や、信用できる人間でもその人物に力がない場合の悲しさなど。そうして、ミスター・ボーンズを助けるのは、時に夢の姿を借りてやって来るウィリー。

「ミスター・ヴァーティゴ」ほど、読んでいる最中に面白い!、とは思わなかったのだけれど、読み終わった後にじーんと残るものがありました。犬の視点で語られるのだけれど、犬だから、というよりは、純粋な魂のお話として読みました。愛する者との日々の思い出、愛する者を失ってから、別れが来てからをどう過ごすのか。みんながみんな、夢の形を借りて、生者の元にやって来られるわけではないけれど、ウィリーとミスター・ボーンズは、きっとティンブクトゥに行けたよね。

■関連過去記事■
・「最後の物たちの国で 」/全てが失われゆく街で
・「ミスター・ヴァーティゴ 」/空も飛べるはず

「犬の日常」/ヨークシャーテリアのポピー氏が言うには・・・

 2007-04-02-22:25
津田 直美
犬の日常
河合楽器製作所出版事業部

ヨークシャーテリアが悪戯っぽくウインクしているという、実に可愛らしい表紙なのですが、画像が出ません。

こちらは、ウインクはしていないのですが、下の文庫の画像で雰囲気が分かるでしょうか。
ヨークシャーテリアのポピー・N・キタイン氏がウインクをしていない、氏の右手にクレヨンが握られていない、などの細部や、背景の色は違いますが、大まかに言えば似た表紙です。

目次
ポピーという名で6さいで
つっぱってみた私
罪と罰
ポピーズ・ポウ
犬生山あり谷あり
役立つ犬として
犬のしあわせ
人はいそぎんちゃく
日々のしあわせのために
犬の日のよそおい

津田さんの本は、「私の動物図鑑 」以来なのですが、可愛らしく揃った丸い字といい、丁寧に描かれた絵といい、やっぱりいいです。そして、その視線、視点も・・・。

これは、ポピー氏が書いたものを、津田さんが訳したという体裁をとっているわけですが、若かりし頃の失敗の話(取り上げられると勘違いして、自分の体の2/3はあろうかという牛の骨を飲み込んでしまい、まさに体全体が「つっぱって」しまう)、おかした罪に対する罰の話(お留守番中に復讐のうんちをした時に限って、家族はお土産を買ってきてくれたりする)、悩み多き犬生の話(マナーを守っておあずけされているのに、正直さが水となって鼻や口から出てしまう)、犬と人との幸せや、その共生など、この本全体から、それこそポピー氏が言う所の「しあわせ線」が出ているような気がします。

楽しく読んで、ほのぼのします。「ポピーズ・ポウ」では、ポピーのまえあしをかたどったお菓子の作り方の紹介も。レーズンで肉球を作ったり、薄く切ったアーモンドでツメを作ったり、なかなか芸も細かいのですよ。これはポピー氏の好物でもあるようで、テーブルに足をかけ、「おひとつでけっこうです」と言いながら、舌を出しています。

その他、下に出したものも、ポピー氏によるもののようです。

INUDASは生活と学問と日常の三冊を纏めたもののよう。

そして、こんなのも見つけてしまいました。

うわー、これ、読みたいなぁ。
「バスカビル家の犬」、「まだらのヒモ?」に、「茶色の研究」だって。

「犬はどこだ」/二十五歳、犬探し専門(希望)の私立探偵紺屋。最初の事件

 2007-01-11-23:12
犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)
(2005/07/21)
米澤 穂信

商品詳細を見る
何とか持ちこたえようとしたものの、力及ばず、糸がぷつりと切れたように、退職した「私」こと紺屋。東京のアパートを引き払って地元に戻り、約半年間のほぼ引きこもり生活を終え、彼が起したのは犬専門の調査会社。<紺屋S&R(サーチ&レスキュー)>。

ところが、地元の友人、町役場に勤める大南が気を利かせたお陰で、図らずも町の老人たちの間に「探偵さん」として宣伝されてしまったよう。持ち込まれたのは若い女性の失踪事件に、神社に伝わる古文書の解読。さらには、探偵に憧れる、高校時代の後輩、ハンペーこと半田平吉までもが、雇ってくれと<紺屋S&R>に現れて・・・。犬を探すはずだったのに・・・。犬はどこだ??

失踪人、佐久良桐子の足跡を辿るのは紺屋、愛車ドゥカティM400を駆って、古文書の由来を調査するのは、ハンペー。彼らはそれぞれのやり方で、担当した事件に迫る。

理知的で自らを頼むところが強かった桐子は、なぜ失踪したのか? 浮かび上がって来た彼女の姿に、紺屋は心ならずも退職せざるを得なかった、自らの姿を重ねるようになる。ハンペーにはやる気がないと評され、身体は疲れやすく、また仕事としての興味しか持てなかった桐子の失踪について、紺屋は血の通った人間としての興味を持ち始める。

さて、桐子を追うのは、紺屋一人ではなかった。彼女をネット上で追い詰めた、ストーカーの姿が紺屋にもくっきりと見えるようになる。そして、その間、ハンペーは何をしていたかというと、図書館や地元の老人を訪ね、ちゃらんぽらんな見かけによらず、きっちりと古文書の由来に迫っていた。両方の進捗を読んでいる読者には直ぐに分かるけれど、彼ら二人は最後までそれぞれが追うものの関連に気付かない。

ハンペーが追う古文書によれば、中世、戦国の世の人々は、ただ略取されるだけの存在ではなかった。時と場合によっては武器を取り、傭兵を雇い入れる「自力次第」の世界。民衆が常に弱く、虐げられる存在であると誰が決めた? それはまた、紺屋が追う桐子についてもいえる事。
そして、実に鮮やかな反転

最後はちょっとビターな味わい(探偵は警察ではないので、こういう物語もたまにはあるけど)。

春期限定いちごタルト事件 」、「夏期限定トロピカルパフェ事件 」などのほのぼのミステリから、米澤さんに入ったので、このビターなラストはちょっと意外だったけど、概ね楽しく読みました。
私立探偵紺屋、「最初の」事件ってことは、続編も出ると期待してもいいのだよね。

ハンペーのキャラもいいし、妹夫婦が営む喫茶店、<D&G(ドリッパー&グリッパー)>、彼らのキャラもいい感じ。未だ顔の見えないチャット相手の友人、<GEN>(紺屋のHNは<白袴>!)についても、追々明かされたりするのかな。

「犬のウィリーとその他おおぜい」/あなたは誰と、又は何と暮らしていますか?

 2006-02-22-19:37
ペネロピ ライヴリー, Penelope Lively, David Parkins,
神宮 輝夫, ディヴィッド パーキンス
犬のウィリーとその他おおぜい
理論社

目次
1  迷い犬ウィリーの巻
2  ネズミとティーポットとひもの玉の巻
3  ワラジムシ・ナットの浴槽大登攀の巻
4  レース用のハトとロンドン動物園の巻
5  サム・ネズミ、ホンダに乗るの巻
6  ワラジムシ・ナットがクモの戦いを知るの巻
7  ウィリーと大きな穴の巻
8  サムとネズミ・マンションの巻
9  クモと真珠の巻
10 サムとディクソンさんとハンカチとテレビの深夜映画の巻
11 ウィリーとハンバーガーとバス無賃乗車の巻

パヴィリオン・ロード五十四番地には、ディクソンさん一家が住んでいる。しかし、ここに住んでいるのは、「人間」のディクソン一家だけではないわけで・・・。

気はいいけど少々頭の足りない、白いテリア犬のウィリー、陽気でこれまた少々思慮の足りないネズミ、サムたち一家(ネズミたち全員がそうであるわけではなく、思慮が足りなく騒ぎを起こすのは、いつだってサム)、この中では一番思慮深いとも言え、自分の頭で考えることの出来るワラジムシのナット、ナットの友達で、美しい巣を作ることの出来るクモ。彼らがディクソンさんたちのいない所、目に見えない所で、それぞれの生活を営んでいるというわけ。彼らに気づくのは、ディクソン家の赤ちゃんくらいのもの。大人たちは少々おかしいなぁ、と思いつつも、彼らとばったり出くわすことはあまりない。

タイトルを見ると大体その内容も分かるけれど、1、7、11は、まさに、可愛いんだけれども頭の足りないウィリーが、巻き起こす騒動のお話。2、4、5、8、10は、夢見がちなサムが引き起こす騒動。ネズミたちは本来、決まりを守って危ないことをせずに一生を過ごすもの。不可抗力とはいえ、サムはネズミの中ではかなりの冒険家ともいえる。彼は自分が主役を張った事件が、勇気と大胆の物語として一家の伝説になるように、お話を都合の良いように作り変えるのに余念がない。ちなみに、ネズミたちに伝わる決まりはこんな感じ。

洗濯する衣類の中で眠るな。
犬をからかうな。
マッチは食べるな。
赤ん坊には愛想よく。
テレビの後ろには入るな。 トーマス大おじが入ってつくづく後悔した。
空の牛乳びんをいたずらするな。 中に落ちることがある。
オーヴンは料理をするもの。 料理されたネズミはいただけない。

どれも、ちょっとネズミとしては、くわばら、くわばらな感じでしょう?

3、5、9はワラジムシ、ナットとその友達クモのお話。一寸の虫にも五分の魂。ワラジムシにもなかなか立派な魂が宿っている。ネズミたちの暮らしは、ワラジムシからすると自由で屈託なく、気まぐれで楽しいことばかり。ワラジムシは姿かたちと同じように、固く不器用に生きるべき生き物。自分が言いたい事を口にしたり、仲間と違っていたり、目立つことは好まれず、これが年配者たち、チーフ・ワラジムシがいつまでも続いて欲しいと思うワラジムシの生き方なのだ。そんな中で、ナットは自分の頭で考え、意見を言えるワラジムシだった。この少々毛色の変わったナットが、一人気まぐれに生きているクモと友達になり・・・、というお話。

ウィリーに比べ、ネズミたち、ナットについての記述が多くなるのは、やっぱり彼らが自分の力で生きているから。そこへいくとウィリーは飼い犬であり、常にディクソンさん一家の世話になっているわけで、少々筆も鈍っている気がする。
いや、愛らしいんですけどね、ウィリー。

さて、この本の訳者は、実は「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」の訳者でもある。本書「犬のウィリーと~」は原題を「裏返しの家」といい、一軒の家に住む生き物の立場を文字通りに裏返して、小さな生き物たちを主役とした物語。社会性をもった生き物という意味で、ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」と通じる所があるのかもしれない。神宮さんは、非常に楽しんで面白がって、翻訳されたそう。自分たちの身近にも、小さな生き物たちが、一生懸命暮らしているのかもしれないなぁ。いや、やっぱり、虫はちょっと・・・、などとも思うわけでもありますが。

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「アバラーのぼうけん」/企画参加「動物が主人公の物語」

 2005-11-04-07:59
アメリカの少年少女の生活を描いた、懐かしい児童書に「ゆかいなヘンリーくんシリーズ」というシリーズがある。このシリーズの中に、一冊だけ動物を主人公とした本があるので、今日はこれを。


ベバリイ・クリアリー, 松岡 享子
アバラーのぼうけん

「ゆかいなヘンリーくんシリーズ」は、クリッキタット通りに住む、ヘンリー=ハギンズ少年を核となし、その周囲の少年少女の生活を描いたもの。特別出来る子なわけでもない、平凡なヘンリーくんと、その周囲で起こる出来事は、等身大のアメリカの少年少女を感じさせて、日本の少女であった私にも、親近感を持つことが出来た物語。全部を手元に持っているわけではないけれど、このシリーズは大好きだった。

さて、「アバラーのぼうけん」に戻ります。

目次
アバラーとのみ
アメリカ一清潔な犬
アバラーとフローリーさん
アバラー、マスコットとなる
アバラーとフットボールの大熱戦
有名な犬
アバラーとアパート

■「アバラーとのみ」
アバラーは、ヘンリー=ハギンズ少年の飼い犬。「アバラー」という名前は、ヘンリーくんに拾われた時に、あまりに痩せぎすで、肋骨が見えていたために、つけられたもの。ただし、今はもう良く太って、毛の艶もなかなかのもの。アバラーの一番の悩みは、首輪の裏側の、後足でどんなに掻いても届かないところに住み着いている、特別いやらしくがつがつした蚤。
ある日、巨大なショッピングセンターの駐車場で、ちょっとした手違いにより、アバラーヘンリーくん一家と離れ離れになってしまう。 アバラーは無事に、ヘンリーくんの元に戻ることが出来るのか?
ここに、アバラーのぼうけんが始まる。

■「アメリカ一清潔な犬」
最初に辿り着いたのは、ディングリー一家の所。この一家の車が、ヘンリーくん一家と同じ、真新しいステーションワゴンだったため、アバラーは間違えてディングリー一家の車に乗り込んでしまったのだ。ここでの災難は、お風呂と、スミレの匂いのする、泡石鹸一瓶全部(+ 一度も犬を飼ったことが無い子ども五人)。敏感な鼻を持つ犬にとってこれは辛い。スミレの匂いぷんぷんになりながら、アバラーは何とかこの一家の元から飛び出す。

■アバラーとフローリーさん
高速道路に沿って歩き続けたアバラーは、今度はフローリーさんというおばあさんの元に転がり込む。フローリーさんはとても親切でいい人だったけれど、日に三度のたっぷりとしたご飯、模造ダイヤのついたピカピカの赤い首輪、チェックのコート、麦わら帽子を被らせて、眼鏡、パイプを咥えさせる(ここの挿絵は絶品!)などなど、人間扱いされる暮らしにアバラーは嫌気がさす。今度もフローリーさんの隙を見つけて、なんとか彼女の元を逃げ去るのだ。

■アバラー、マスコットとなる
女の子の持つお弁当の匂いに惹かれたアバラーは、学校に辿り着く。ヘンリーくんの学校ではないけれど、沢山の子どもがいて、食べ物にも困らず、みんながアバラーを構ってくれる状況は、アバラーにはなかなか好もしい。アバラーは、ソンチェク先生の学級のマスコット犬になるが、一騒動を起こしてしまったために、学校から締め出されてしまう。

■アバラーとフットボールの大熱戦
すっかり迷い犬の暮らしにも慣れてきたアバラーは、猫の餌などを失敬しながら、秋の日差しを楽しんでいた。トコトコと歩いていた所、アバラーは何だか面白そうな場所を発見する。ホットドッグの匂い!人々の叫び声!フットボール場に潜り込んだアバラーは、ホットドッグを楽しみ、テイラー高校に勝利をもたらす。

■有名な犬
フットボール場で知り合った、ジョー少年の後を、アバラーはとことことついて行く。フットボール場でのアバラーの活躍が、新聞に載せられたため、ようやくヘンリーくんの目に留まるけれど・・・。

■アバラーとアパート
アバラーは今度は、アパートに住むラリーと友達になる。

読み終わる頃には、すっかり中年犬アバラーの気持ちが乗り移って、「人間の男の子」が大好きになっているし(女の子はすぐ抱き上げたりするから、かなわない!そこへいくと男の子はボール遊びだってしてくれる)、人間以外の動物にはちょっと冷たくなりそう(あいつらが大きな顔をするのは、我慢ならない!)。「小さな子」に対するアバラーの忍耐(物の分かっていない小さい子には、唯ひたすら相手が飽きるまで忍耐しかないのだ!)も面白い
ラスト、ようやくヘンリーくんと出会えた所では、読んでいるこちらも、尻尾を振りたいような気分になる。良かったね、アバラー
******************************************
■大元のとらさんの企画はこちら
→【参加募集】動物が主人公の物語-『荒野の呼び声』

再度、戌年に因んだとらさんの企画にトラバさせて頂きます。
■【私設TBステ】 戌年にちなんで犬の作品を楽しもう!

「いぬはミステリー」/ワンワン!

 2005-10-21-17:04

アシモフ他編、小梨直訳「いぬはミステリー」

アイザック・アシモフといえば、本来はSF界の巨匠なのだろうけれど、私にはアンソロジーの編者としてのイメージが強い。アシモフ編のアンソロジーには、どれも外れがないように思う(ま、そんなに沢山読んだわけでもありませんが)。

これは「いぬ」をテーマとしたミステリー。

目次
まえがき……アイザック・アシモフ
眠れる犬……ロス・マクドナルド
敵……シャーロット・アームストロング
ジャズの嫌いな犬……ウィリアム・バンキア
闇の中を……ポール・W・フェアマン
非常口……マイケル・ギルバード
なぜうちの犬は吼えないか……ロン・グーラード
ブーツィーをあの世へ……ジョイス・ハリントン
レオポルド警部、犬レースへ行く……エドワード・D・ホック
リンカーンのかかりつけの医者の息子の犬
                        ……ワーナー・ロウ
こちら殺犬課……フランシス・M・ネヴィンズJr.
ポピーにまつわる謎……Q・パトリック
シャンブラン氏への伝言……ヒュー・ペンティコースト
ラッフルズ、バスカヴィル家の犬を追う……バリー・ペローン
コヨーテとクォータームーン
     ……ビル・プロンジーニ&ジェフリー・ウォールマン
薪売り……ジョン・ルーディン
真昼の犬……レックス・スタウト

作者についての予備知識がなくても、大丈夫。
短編の扉に、詳しい著者のプロフィールが載せられている。

「闇の中を」
手違いで誘拐された少女ティナ。彼女は両親と共に、過去ブダペストで<恐怖>に襲われた経験がある。<恐怖>は両親を、彼女の元から永遠に連れ去ってしまった。ティナは過去に、<恐怖>と対決した時の教訓、「あきらめてはいけない」を胸に、ただ一人、誘拐犯のアジトから脱出する。森を抜けて、安全な叔父フーゴーの元へ。

今回の「いぬ」は、ドーベルマンのプリンス。ティナとプリンスは、ブダペストの家のベランダの下で、<恐怖>から身を隠している時に初めて出会い、その後はいつも一緒に生きてきた。

でも本当はそんなことはない。海をひとつ越えたくらいで<恐怖>から逃れられるわけはないのだ。そんな簡単なものではない。<恐怖>はいろいろな顔を持っていて、またいつか舞い戻ってくるに決まっている。これまでもそうだった。
だからぜったいに気を許してはいけない。
常に用心して、どんなことがあっても、くじけたりあきらめたりしてはいけないのだ。

ハンガリーからオーストリアの国境を抜けて、アメリカにやって来たフーゴーとティナとプリンス。
ティナの固い決意と、脱出行が息詰まるような作品。

「ラッフルズ、バスカヴィル家の犬を追う」
コナン・ドイル博士に罠が仕掛けられた。
それを知った、ラッフルズとバニーは…。

この「ラッフルズ」という人物自体も「E・W・ホーナングの作で人気を博した怪盗ラッフルズの使用権を得て」書かれたものとのこと。勿論、タイトルにある、「バスカヴィル家の犬」とも関連した作品。

■「コヨーテとクォータームーン」
純粋なユマティラ・インディアンである、ジル・クォータームーンは美しい二十六歳。動物管理局に勤める彼女は、高級住宅地のガレージに閉じ込められたドーベルマンを救出する。住人の名は、エドワード・ベナム。しかし、登録書類上は、ベナムが飼っているのは、ドーベルマンではなく、雌のハスキー犬のはず。不審な点が多いこの住人を、ジルは上司の命令を振り切って調べ始める。

■「真昼の犬」
褐色砂岩造りの家に住む、巨漢の探偵、ネロ・ウルフ!
私はアンソロジーでしか、この探偵を読んだことがないのだけれど、ネロ・ウルフ物は結構好み。

ネロの助手、アーチーが殺人事件の現場で出会った“ハット・ハウンド”(アーチーの帽子を救ったのだ!)のラブラドル・リトリバー。かのリトリバーは、勝手に彼の家である事務所までついて来てしまう。いつもうるさいウルフを慌てさせるつもりが、意外にもウルフは文句を付けながらも、リトリバーを飼うという魅力に取り付かれた模様。彼らは成り行き上、殺人事件にも首を突っ込むことになる。
**************************************
猫をテーマにしたものとは違って、ここに出てくる犬は、人間と一緒に事件を解決してくれるだけではない。なんといっても、人間よりも強い体と力を持っている犬種もあるわけで。でも、「いぬ」と「ミステリー」が好きな人には、楽しめるアンソロジーだと思う。

アイザック アシモフ, Isaac Asimov, 小梨 直
いぬはミステリー
(赤い表紙も可愛いのだけれど、残念ながら表紙画像が出ませんでした)

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「心とろかすような」/探偵物語

 2005-10-17-15:08
宮部みゆき「心とろかすような」

探偵事務所を舞台としているけれど、主人公は人間ではない。ちょっと変形の探偵物語。主人公は、蓮見探偵事務所の用心犬、元警察犬であるジャーマン・シェパードの老犬・マサ。 「パーフェクト・ブルー」の番外編にあたるものだけれど、事件としてはあまり好みではないので、こちらをあげたい(ただし、タイトルの響きと登場人物は好き)。

心とろかすような
てのひらの森の下で
白い騎士は歌う
マサ、留守番する
マサの弁明

以上、五つの事件がマサの目線から語られる。主たる登場人物は、蓮見探偵事務所の所長・蓮見浩一郎、浩一郎の長女で短大卒業後、父親の許で女性調査員として働き始めた加代子(加代ちゃん)、次女の高校生糸子(糸ちゃん)、パーフェクト・ブルー」で蓮見一家と親しくなった、諸岡進也。

■心とろかすような
俺はそんなに頭の固い方じゃない。少なくとも若者を理解しようと努めてはいる。しかし、ことが蓮見姉妹にかかわるとなると、俺は断然感情的になってしまうのである。
ことわっておくが、糸ちゃんは十七歳である。
乙女である。
俺は頭にくる。
諸岡進也の野郎は、俺の糸ちゃんと、こともあろうに朝帰りをやらかしやがったのだ。

糸ちゃんと、進也が巻き込まれた事件とは?「心とろかすような」笑顔が恐ろしいお話。

■てのひらの森の下で
俺がちゃんと散歩する犬であり、加代ちゃんが時間に几帳面であるばっかりに巻き込まれた事件の話だ。

散歩の途中見つけた死体が消えてしまった。死体はどこに?

本筋とは離れるけれど、ここの部分も好き。
彼女がいつもきちんと束ねている長い髪を、俺は「加代ちゃんのしっぽ」と呼んでいる。とてもきれいなしっぽだ。彼女はデビューしたばかりの若いサラブレッドに似ている。そのひたむきさも、目の輝きも、活動しているときにもっとも美しく見えるところも。

■白い騎士は歌う
俺はしっぽで床をぽんと打った。加代ちゃんがにっこりした。
「マサが『引き受けた』と申しました。わたしのパートナーなんですよ」
友恵さんが見おろしたので、俺は耳をピンと立てた。

依頼は、指名手配中の弟を探して欲しいというもの。彼が残した「白い騎士」という言葉の意味とは?

■マサ、留守番する
「ペットホテルを―」
加代ちゃんが言いかけ、俺がうううと唸るのを聞きつけて、「―探してみようか」という言葉を呑み込んだ。察しのいい女性である。俺は何が嫌だってあんなところに泊まるのは絶対に嫌だ。あんなところに預けられるくらいなら、野良になってワイルドな生き方をしてやる。

マサが留守番中の蓮見探偵事務所に、五羽のウサギが捨てられた。時同じくして、近所の水上公園では、ひったくりやカツあげが頻発し、ついには変死体が発見される。慰安旅行中なので、いつもの蓮見家のメンバーの出番はほとんどなく、今回マサに協力するのは地域の動物たち。可哀相なハラショウ、ちょっとイカれた話し方のカラスのアインシュタインなどが印象深い。

■マサの弁明
ここには宮部さんご本人が登場する(ただし、あくまでもこれは創作)。

最近、すっかり猫に心を奪われているけれど、犬もいいよね、と思う本です。

 ←私が持っているのはこちら
宮部 みゆき
心とろかすような―マサの事件簿
 ←こちらは文庫。でもハードの表紙の方が好きだなぁ

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

共に生きるということ/「神様の、くれた犬」

 2005-04-19-08:30

元漫画少女 さんと仲良くなった(と言い切るけど、良いかしら?元漫画少女さん)切っ掛けとなったのは、悲しいことだけれど彼女の愛猫が亡くなった事だったと思う。ネットでの出会いもタイミングが色々ある。たまたま目にした記事が、自分にとってとても印象に残るものだったりね。
愛猫が亡くなる直前に、懐かしの少女漫画の記事に心を惹かれて(また元漫画少女さんの記事がとても上手いんだ!思わず読みたくなること請け合い。とても追いつけそうにないけれど)、読書登録をさせて貰っていたのだった。で、お悔やみコメントを書いたり、猫の埋葬の報告コメントを頂いたり。
その後ネットに戻ってらしてすぐに、怒涛の「ガラかめ」突っ込みや、「闇のパープルアイ」のマッドサイエンティストで不死身な先生はターミネーターだ説等を繰り広げたのだった。

元漫画少女さんの動物のお医者さんの記事や、愛猫を亡くした彼女の悲しみに触れてどうしても書きたかった本。引越が終わり、ようやく出せた。

並木豊「神様の、くれた犬」健友館

捨てられたハスキー犬との出会い、Poohと名づけたその犬との交流の日々、突然の病によってPoohを失ってしまうまで、そしてPoohを失ってからの日々が書かれている。
ハスキー犬Poohへの愛情が沢山詰まった一冊。
ハスキーという犬種は、一時のブームにより数多く飼われたけれど、今では殆ど姿を見かけない。
この犬種の特性を無視し、適切な育て方をしなかったせいで、多くの不幸な結果が生まれてしまった。
ハスキー犬は、「ひたすら大人しく従順で扱い易く、その上、自立心に乏しく人間に依存したがる犬」ではない。いわゆる愛玩犬ではないわけだ。
犬の特性、躾など、本当に考えさせられる本です。
この本に出てくる躾もね、ただ飼主の言うことを聞かせるだけではなく、犬種の特性と犬の魂を尊重したやり方なのです。
並木さんとPoohとの真剣勝負。
並木さんご夫婦とPoohとの信頼の絆も素晴らしい。何といっても捨てられていたPoohが自分で、並木さんご夫婦を自分の飼主として認めたのだから。

あとがきで、並木さんはこう語っています。

愛する犬を失って、泣いているのはあなただけではないという事を知ってもらいたいと思いました。
ひとに話して、『少しおかしいんじゃないの、そんなことで』と、いかにも滑稽で愚かしい事だと言わんばかりの反応に打ちのめされ傷つき、痛むこころを抱えた人と、その“痛み”を共有したいと願いました。
ただの市井の犬だとしても、 “私たちの犬は素晴らしかったんだ、だから悲しいんだ” と誰に憚ることなく互いに言い交わし、慰めを分かち合いましょう。心から愛した、私たちの犬のために。

私には残念ながら犬を飼った経験はないけれど、小動物を飼った幾らかの経験も同じだなあと感じました。
どんなものであっても、それが占めていた場所というものは確かにあって、種類が同じだから等という理由で、他のものが身替りになることは決してない。

ペットショップなどで不幸な扱いを受けたり、捨てられる動物達がいなくなることを願います。


著者: 並木 豊
タイトル: 神様の、くれた犬

*臙脂色の文字の部分は引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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つな がる

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つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
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2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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