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「浅田次郎とめぐる中国の旅」/浅田さんと中国

 2008-10-13-22:45
浅田次郎とめぐる中国の旅 『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』『中原の虹』の世界浅田次郎とめぐる中国の旅 『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』『中原の虹』の世界
(2008/07/30)
浅田 次郎

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結局、私は全部を読み切ることなく、時間切れになってしまい、浅田さんの小説の美学などを知ることが出来て良かった~!という、そんなちと勿体ない読み方になってしまったんですが、やっぱりメモメモ。「中国」というテーマは、浅田さんの中でずっと繋がっていて、「蒼穹の昴」、「中原の虹」だけではなく、まだまだ続くそうですよー。

何せ「蒼穹の昴」を読んでからも、「珍妃の井戸」を読んでからも、滅茶苦茶時間が経ってしまっていて。分かり易く描いてくれる浅田さんのお陰で、読んでる間は何とかなるんだけど、せっかく浅田さん自身が「蒼穹の昴」縁の場所をめぐり、説明をしてくれるという企画であるのに、いま一つピンとこないままでありましたよ。勿体なー。「蒼穹の昴」、「中原の虹」と合わせて、訪れる場所は、紫禁城、北京、満州、万里の長城の四か所。「蒼穹の昴」は、古き良き北京のイメージが崩れるから、と敢えてその地を訪れることなく、書かれたそうです。

学者と小説家は違っていて、それでも京極さんとか、この浅田さんとか、在野の人たちがこんだけ調べているのが凄いなぁ、といつもその姿勢には頭が下がります。なお且つ、それらをエンターテインメントに仕立て上げてしまうのだから!

以下、インタビュアー・末國善己氏による「浅田次郎、歴史小説を語る」からの引用です。エピソードが血肉になってない小説は、やはり小説とはいえないよね。

誰でも調べたことは書きたくなる。僕はもともと歴史が好きで歴史小説を書いているので、知っていることは何でも書きたくなるのですが、いかにストーリーを妨害させない程度に抑えるかについては、いつも頭を悩ませています。

僕は小説を書く時に、二つのことを憲法にしています。一つは美しく書く。もう一つは分かりやすく書く。

どれほど難しい題材を扱おうと、分からないという読者がいたら作家の負けです。僕は分かる人間にだけ分かればいいという芸術は、間違いなく二流だという芸術観を持っています。頭で考えるのではなく、一目見ただけで驚きがある、感動するのが本物なんです。
その意味では、文字という知的な道具を使っている小説は、表現としては一番難しい。それでも、いい作品を作るためには、分かりやすく書くという努力は必要だと思います。

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「カッシーノ!」/浅田次郎、ヨーロッパの鉄火場をゆく

 2008-06-22-23:49
カッシーノ!カッシーノ!
(2003/06/20)
浅田 次郎

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目次
1 モナコの伯爵夫人
2 ギャンブラーの聖地
3 誇り高きクルーピエ
4 偉大なる小国家
5 リヴィエラの女王
6 花火とトップレス
7 アンティーブの古城にて
8 カンヌのナポレオン
9 サンレモの夜は更けて
10 バーデンよいとこ
11 ユーロ万歳!
12 カジノは国家なり
13 登山電車に揺られて
14 タイム・イズ・ライフ
15 アルプスのサムライ
16 伝統と格式の鉄火場
17 終身名誉会員
18 1億円しばりの密室
19 ノルマンディの妖精
20 博奕なるものあらずや
21 消費は美徳。倹約は罪。
22 皇帝のシュピール・バンク
23 ゲルマンの叡智
24 名作『賭博者』の背景
25 考えるドイツ人
26 アメリカン・スタイルの正体
27 遊べよ、日本人!

本書には何度も「鉄火場」という言葉が出てくるけれど、浅田さんがこの本の中で訪れるヨーロッパ各国のカジノには、鉄火場という言葉からイメージするような激しさや勇ましさはほとんどない。タキシード着用だったり、ジャケット、タイが必須とされるその場所は、非常に優雅なものであるし、たとえば日本のパチンコのようなせかせかしたところはどこにもない。

アメリカのカジノのような豪快さでもなく、あるのは洗練された大人の社交場としての姿なのかなぁ。ルーレットやブラックジャックの優雅な雰囲気が印象的。とはいえ、比較的ゆったりしたヨーロッパのカジノにおいても、短時間で出来、操作やルールも単純なスロットマシーンの台頭は逃れられないようだし、浅田さん自身もルーレットやブラックジャックで負けると、スロットマシーンの方へ流れておられるようです。

ギャンブルについての心構えについては、色川武大(阿佐田 哲也)さんの本に書いてあったことにも通じていたなぁ。ギャンブラーというと、大勝負を張っちゃう人というイメージがあるけれど、実際、本物のギャンブラーは常に掛け続けなければならないわけで、それには大勝でも大敗でもなく、小さな勝ちを積み上げることが大事なんだよね。

と、まぁ、そんなことは置いておいて、浅田さんがこういった本を書かれたことは特に意外ではなかったんだけど、良かったのはこの本を書くことになった心意気というか、意気込みです。

そう、ギャンブルとは非日常のもの。
プロローグ「非日常と非常識へのいざない」から少し引用します。

目先の事象に対処するだけの知識が、人生においていかに無力であるかは、すでに周知であろう。多くの日本人オヤジに必要なものは、われわれを縛めている日常と常識の打破である。要するに私は、ひたすらに非日常と非常識を求めて、世界カジノめぐりの旅に出た。
男の夢がぎっしりと詰まった紀行文として読むもよし、ギャンブル指南書とするもよし、すこぶるマニアックなガイドブックとなればなおよし、さらにやがて来たるべきカジノ解禁の一助となれば、これにまさる幸いはない。

勤勉を美徳とする日本人はどうしたって、「遊び」が下手。更に博才となると、これがある人は限られているようにも思うけれど、自分のお金をすることなく、一緒にカジノめぐりが出来ちゃうのは嬉しいなぁ。自分のお金や、ギャンブルにおけるヒリヒリとした感覚無くして何するものぞ、という話もあるけれど、実際風光明媚な土地にあるカジノの写真を見ているだけでも楽しいです。そして、なんだかんだいって、やはり「勤勉」かつ真面目であり、日本という国を愛する浅田さんの文章も勿論楽しい。

「沙高樓綺譚」/ある一夜の集い

 2008-01-18-22:19

浅田 次郎

沙高樓綺譚 (徳間文庫)
(私が読んだのは、枝垂れ桜が表紙の単行本なのですが、amazonでなぜか文庫本しか出ませんでした)


お話しになられる方は、誇張や飾りを申されますな。お聞きになった方は、夢にも他言なさいますな。あるべきようを語り、巌のように胸に蔵うことが、この会合の掟なのです―。

女装の主人の声が、沙高樓の部屋に響く…。

名をなし、功を遂げた人々が、青山墓地のそばの高層ビルのペントハウスに寄り集い、口外出来ぬ秘密を暴露し合う。高みに登りつめた人々というのは、孤独なもの。誰にも明かせなかったことを暴露する得難い快感、また忙しいくせに退屈している人種には最高の道楽として、百物語にも似るこの沙高樓の集いは続いていた。偶然、この場に招かれたフリーライターが体験する、ある一夜の出来事。

「小鍛冶」は、刀剣鑑定の家元が語る、この世にあってはならない刀剣の話。妖しいまでの刀剣の美しさに惹かれます。

「糸電話」は、旧家に生まれた医師が語る、偶然の邂逅のお話。よーく考えると、ずーんと怖いお話。子供の頃の約束、軽い気持ちでたがえてしまったことはありませんか?

「立花新兵衛只今罷越候」は、撮影監督が語る、終戦後の映画に現れたある男の話。浅田さんって、新撰組絡みだけでも、ものすごい本数のお話を書いているような。また、実際の撮影現場では、こんなことがあってもおかしくはないのかも、と思わせられる。

「百年の庭」は、庭番をつとめてきた女が語る庭の話。これは怖かったなぁ。英国の貴族の館にすら、これ以上の名園はないという、軽井沢で一番美しい紫香山荘の庭。本来は、ガーデニングの女王にして、美貌の女主人が語る予定であったのが、現れたのは長い白髪をうなじで束ねた老婆。彼女の話は、まるで人間でないものが話しているようで…。人の世の苦労を知らずに庭は作れず、また憎しみの心を知らなければ、雑草をむしることはできない。そして、ガーデナーは天然を支配する神ではなく、天然に仕える僕、庭園の囚人である。

「雨の夜の刺客」は、三千人の子分を束ねるやくざの大親分、辰が語る、若き日の自分の話。これは切ない。日本が東京オリンピックを目指し、高度成長の波に乗った時代。地味な仕事に嫌気がさした、中卒で都会にやって来た少年は、あっさりとやくざの世界へと流れつく。さらに恩義を受けた兄貴分に、「筋の通らない」願いをされた辰は、淡い恋も置き去りに、にっちもさっちもいかない立場に追い込まれる。辰が語る金持ちと貧乏人の違いが痛いなぁ。それは、逃げ道のあるなしの差なのだという。逆らうことを忘れた者、それが辰の言うところのやくざなのだという。

いやー、こんな話をもし一晩で聞いたならば、ぐったりしてしまうこと確実のお話たち。不思議な話を聞くつもりが、人間のくらーい面まで、覗きこまされる感じ。じんわりとした毒のある物語でした。浅田さんって、こういうお話も書かれるのですねえ。

目次
小鍛冶
糸電話
立花新兵衛只今罷越候
百年の庭
雨の夜の刺客


*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

■トラバが飛ばない「みすじゃん。」のおんもらきさんの記事にリンク

「シェエラザード」/豪華客船、弥勒丸

 2005-11-09-08:02
浅田次郎「シェエラザード」

美しき豪華客船、弥勒丸。彼女はなぜ沈められたのか?

弥勒丸は昭和十六年の九月に三菱重工長崎造船所で完成した、帝国郵船の最大級の豪華客船。横浜-サンフランシスコ航路に就航するはずだった彼女は、その完成と同時に戦争に駆り出された。

病院船として働いていた彼女は、ある特殊な任務に付く。協定により攻撃されないはずの航路の最中、弥勒丸は潜水艦の雷撃を受けて沈没する。

企業舎弟の町金業者、軽部と日比野は、ある日、台湾の要人、「宋英明」に呼び出される。宋老人は金貸しである彼らに、百億円の融資を請う。その百億とは、弥勒丸のサルベージのためのもの。弥勒丸は五十年もの間、台湾海峡の底深くに沈められたままであった。

宋老人は、日本人の手で弥勒丸が引き上げられる事を強く望み、彼らのオーナーである、共道会の会長、山岸とその義兄弟である全国船舶連合会のドン、小笠原を動かす事を望む。更にこの弥勒丸の引き揚げについては、政界、財界の二つのルートから、話が進められているという。政界ルート、財界ルート、更に彼らのヤクザのルートの三つに打診したということは、宋老人が本気でこのプロジェクトを成功させようとしていることを示す。

裏を取る必要から、軽部は過去手ひどい別れ方をした元恋人で、新聞社に勤める律子を頼る。軽部、日比野、律子の三人は、否応なしに弥勒丸の引き揚げプロジェクトに巻き込まれることになる。

物語は彼らによる調査と、弥勒丸の過去の時間を縦横に行き来する。

弥勒丸の船員は、帝国郵船勤務から全員丸ごと軍属となった。軍属となっても、豪華客船の乗員であるという、誇りと矜持を忘れない弥勒丸の船上では、海軍中尉の正木や、陸軍船舶課の参謀、堀少佐が乗船しているにも関わらず、どこかのどかで美しく凛とした空気が漂う。

弥勒丸のついた特殊な任務とは、連合軍の物資を捕虜へ送り届けるというもの。日本国内の物資も窮乏している折、なぜ虎の子の弥勒丸をこの任務に差し出したのか。この任務にあたる船には、連合国側の安全航行権が保障された。弥勒丸は攻撃も臨検もされないはずだった。臨検がないことから、シンガポール(昭南)で弥勒丸に積載されたものは何か?また、弥勒丸はそれをどこに届ける予定だったのか?そして、弥勒丸の安全な航海のための、「お守り」とされたものとは?

タイトルになっている「シェエラザード」。これは本の中で流れる、リムスキー・コルサコフの交響組曲、「シェエラザード」からとられたもの。千夜一夜物語の美しく賢い娘、シェエラザードは、シャリアール王にむごい誓いを捨てさせた。

弥勒丸はアラビアン・ナイトのシェエラザードのように、美しく、気高く、聡明な女性でした。
彼女は世界中の船乗りの夢。沈めようなどと考えたのは、あるいは沈めてもいいと考えたのは、みな船を知らぬ人間ばかりでしょう。

しかし、美しき弥勒丸は、むごい運命から逃れることが出来なかった。


惜しむらくは、弥勒丸に関わった過去の人々に比べ、現在の調査にあたる三人(というか、二人の男性)の魅力が薄いこと「久光律子ほど明晰で行動力に富む人間を知らない」と軽部に言わしめる、律子の頭のキレと行動力は分かるし、時に美しい弥勒丸に喩えられる律子は魅力的な存在でもある。その魅力的な律子がかつて愛し、今も拘る軽部という男の、存在感の無さには物足りなさを感じる。軽部、日比野ともにそれ相応の過去が描かれてはいるのだけれど、戦時中の人々に比べて、その存在感は如何にも弱い。

最後の「夜の涯に」の章も少し余計かな。ちょっと、「泣かせ」が入ります。

文句も言ったけれど、このスケールの大きな話を纏め上げる手腕は流石。魅力的な人物も沢山出てきます。それぞれの職務に誇りを持ち、己の信ずる所をいく人を書くのが、浅田さんはやはり上手いと思う。たとえそれが悲劇に雪崩込んでいくものだとしても。


読了後、検索した所、この「弥勒丸」の悲劇は、実在の「阿波丸事件」をモデルとしたものだそうです。

サイト「メコンプラザ」 さんの、「第26回 メコン圏を舞台とする書籍(小説・文学)」のこちらの頁 に詳細が載せられています。リンクフリーとありましたので、ここに紹介させていただきました。

 ← 私が読んだのはこちらの単行本
浅田 次郎
シェエラザード〈上〉
シェエラザード〈下〉

← 既に文庫化されているようです

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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