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「雑居時代」/どたばた同居生活

 2008-06-07-22:04
雑居時代 上 (1) (集英社文庫 52-G)雑居時代 上 (1) (集英社文庫 52-G)
(1982/07)
氷室 冴子

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雑居時代 下    集英社文庫 52-H雑居時代 下  集英社文庫 52-H
(1982/07)
氷室 冴子

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氷室冴子さんのコバルト文庫には随分お世話になりました。当時、小遣いのほとんどを注ぎ込んでは買ってたなぁ。そして、その内何冊かの本は実は未だに手元にあったりします。「シンデレラ迷宮」を手放してしまったのは、今思うと勿体なかった。一般に”明るくてたくましい少女”を描いたとされる氷室さんだけれど、氷室さんの描く少女たちは、実は明るいだけではなくって、「さようならアルルカン」、「白い少女たち」のようなある意味暗いお話もあったし、例えば瑠璃姫のお人好しで涙脆いところなど、その幅のある人物像が魅力でした。何よりも、お話の中の彼女たちは、生き生きと活躍していたしね。

さて、私の手持ちのこの「雑居時代」は、なんと昭和61年発行の第34刷のものだったりします。何がすごいって、こんな古い本の表紙があのamazonでしっかり出るということ!(新刊だって、出ないやつもあるのにさ) たぶん、この表紙は私が持ってるものと同じもの。それだけ、ロングセラーだと言えるのでしょうか。…amazonで表紙が出る出ないの基準も良くわからないけど。

さて、雑居時代は、才媛にして強烈な二重人格者「倉橋さんちの数子ちゃん」と、漫画家を目指す三井家弓、地方派クリスタルにして、能天気ハンサムボーイ、安藤勉の三人が営む共同生活を描いたコメディです。これ、今読んでも、キャラが立ってて好きだなぁ。数子が二重人格となった原因である憧れの譲叔父、彼の妻となった数子を数段上回る曲者の清香、譲の教え子にして彼を狙って数子と共同戦線を張っていた山内鉄馬など、脇の人物も抜かりなし。ま、譲については、憧れの君であるからして、他の強烈な人々に対して、キャラという程のことはないような気もするけど。

基本は数子を主人公としているんだけど、番外編の家弓の事情とか、鉄馬の事情も面白い。氷室さんは脇役をもとっても愛している気がして、それは「ジャパネスク」における小萩や守弥の日記もそうだし、「なぎさボーイ」「多恵子ガール」はいいとして、さらに「北里マドンナ」、「蕨ヶ丘物語」まで出ている所にも表れていると思うのです。広い世界に出ていく物語ではないのかもしれないけれど、そういう人の関係性を色々な面から描き出すという点で、得難い作家さんだったのではないかなぁ。何よりも自分が作り出したキャラに愛情たっぷりだった気がして、「ブンガク」としてはそれはプラスには働かないかもしれないけど、同じく少女だった読者としてはその世界を共有出来た気がして大好きでした。

「ジャパネスク」もいつの日か再開されるんだと信じていたのだけれど…。氷室冴子さんは6月6日に逝去されました。ご冥福をお祈りいたします。冊数が手ごろなところで、「雑居時代」を再読してたんだけど、これから「ジャパネスク」も引っ張りだしちゃおうかな。
目次
(上巻)
第一話 かくして雑居生活は始まるのだった
第二話 (番外編)家弓(あたし)には家弓(あたし)の事情があった
第三話 とりあえずハッピーエンド―嫁小姑戦争に終わりはあるか?
第四話 彼はジャムしか愛さなかった
第五話 買われた花嫁は紅バラを拒んだ
第六話 人生は百万のリハーサルと体力を要求する芝居だ
(下巻)
第七話 漫画家ほど素敵な商売はない!……と思う
第八話 哀愁のトム―その時、彼はキャベツを買った
第九話 ヒロインの条件は”絵になる”ことなのだ
第十話 (番外編)嗚呼、受難の日々―鉄馬(ホモ)には鉄馬(ホモ)のいわくいいがたい苦しみがある
第十一話 続・嫁小姑戦争
あとがき
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「多恵子ガール」/女の子の気持ち

 2005-09-23-07:51

これは昨日の「なぎさボーイ」 の対となる作品。

目次
第一章 女の子以前―十三歳
第二章 遅すぎた予感―十五歳
第三章 あなたについて考えている

多恵子から見たなぎさは、「なぎさボーイ」よりも随分と格好いい。「なぎさボーイ」はなぎさの内面の七転八倒で、周囲に見せたい「なぎさ像」とは違っているから、これは当然の帰結といえるのかもしれないが。多恵子はお節介で感情的な女の子だけれど、デリカシーもあるし(時々興奮し過ぎるきらいはある)、「見守る」ことの出来る女の子。だから、この「多恵子ガール」が、「なぎさボーイ」の補完的な位置にあたる。


「女の子以前―十三歳」は、多恵子が「雨城くん(なぎさ)」のどこが好きかという話。彼女の周囲でごちゃごちゃが色々あって、もっと違う目でいろいろなことをして、いろいろなことを見るんだと決意する、女の子以前の話。

あの人は強い人だ。ほんとに偉い人だ。
あたしはとても、そんな人にはなれそうもないけど、そういう人をわかる人にはなりたい。
拍手する時、その人の後ろにあるたくさんの練習や、いろんな気持ちを想像できる人には、なりたい。


こんなこと言われたら、男の子冥利に尽きるような気がするよ。
男の子限定ではないのかもしれないけど。


「遅すぎた予感―十五歳」は、多恵子の口から語られる受験勉強時代の話。「なぎさボーイ」から見ると、例の「革命」前後の話になる。同じ蕨高校を受けるということで、なぎさと多恵子は、その他、北里、野枝、三四郎を入れたグループを作っていた。楽しい生活の中に不穏な空気が忍び寄る。

何ヶ月かして、あたしはこの日のことを、ある理由から、たびたび
思い出した。
この日の自分の呑気さ、他愛なさがおかしくて、思い出すたび苦笑した。


「あなたについて考えている」は、ライバルにあたる槇修子が、多恵子の前に現れて以降の話。

離れれば離れるだけ、あの人は知らない人になった。他人の顔した人に
なった。
知りたい。
もっともっとあの人のことが知りたい。
あたしはちょっとだけしか、あの人のことを知らなかった。それだけのことだ。


「多恵子ガール」を読むと、なぎさが思っていた以上に、多恵子がなぎさのことを良く見ていたことが分かる。 私はクラスの人気者的な明るい多恵子が苦手で、当時、鮮やかな槇修子に随分と肩入れして読んだものだった。なぎさが色々思い悩むだけあって、槇修子は鮮やかで凛々しく魅力的な女の子。硬質なイメージ。これを読んでいた当時は、なぎさなんて大した男じゃないんだから、そんな男は多恵子に上げてあげるわ、なんて思っていたのだけれど。

改めて読んでの感想は、若いって恥ずかしいけどいいよね、ということかなぁ。この本には、思春期の色々が沢山詰まっている。多恵子の良さ、可愛らしさも、今読んだ方が良く分かる。

氷室 冴子
多恵子ガール
集英社コバルト文庫

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「なぎさボーイ」/男の子の気持ち

 2005-09-22-08:32

氷室冴子「なぎさボーイ」

突然、古い本を持ち出してしまいますが、今日は「なぎさボーイ」について。渡辺多恵子さんによる、表紙イラストも実に愛らしい。

「男はすべからく枝葉末節にこだわることなく泰然と構える」をもって理想とする、俺、雨城なぎさ。しかし、彼の外見はそんな決意を裏切るもの。身体は小づくりで、女顔。幼稚園の入園式ではプロポーズされ、中学生となっても、全校生徒に「なぎさちゃん」呼ばわりされてしまう、一種のアイドルでもある。これはそんな「男たるもの」な彼が、恋愛に七転八倒する様を描いた本。

タイトルに「男の子の気持ち」と入れたけれど、実際は女性である氷室冴子さんが書かれているので、これが本当に「男の子の気持ち」なのかは分からない。でも思春期で、且つ「男たるもの」な男の子って、こんな感じなのでしょうか。対になる「多恵子ガール」があって、こちらは多恵子の側から描かれた本。

目次
第一話 俺たちの序章
第二話 俺たちの革命
第三話 俺たちの乱世


「俺たちの序章」は、同じ高校を受験する、なぎさと多恵子の共通の友人、三四郎の恋物語。三四郎は気弱で頼りない同級生。なぎさは父のように、多恵子は母のように、これまで彼の面倒を見てきたのだ。なぎさから見た多恵子は、彼の建前では、でしゃばりでお祭り好きの、お節介で感情的なオンナ。でも本当は? 根性を見せた三四郎にならい、建前ばかりだったなぎさが、ようやく自分の本音を認めるようになる。ちなみに、三四郎の恋は「蕨ヶ丘物語」という別の本になっている。

そうなんだ。
俺は多恵子が、ずっと気に入っていた。
だけど、素直になるのが下手だった。しょうがないよな、性格だし。

「俺たちの革命」は、なぎさが自分の気持ちを認めてからの話。彼は「革命」と呼ぶのだけれど、実際は大した行動を起こしたわけではない。だけれどなぎさは、「革命後」に多恵子が気になって仕方がない、自分自身が気に入らない。多恵子の一挙一動が気になる彼は、「男は泰然と」からは外れているわけであるから。自分の心を乱したくないなぎさは、多恵子に「革命前」に戻ることを宣言する。なぎさにとって思わぬ伏兵が現れ、またごちゃごちゃと考えた挙句に、もう一度仲直り。

あれに意味をもたせて、革命革命と騒いでいたのは、俺の独り芝居だったのか・・・・・・。とすると、今までが革命前夜、今日が革命当日ってことになるのかな。

「俺たちの乱世」では、舞台は高校へ。乱世というだけあって、なぎさと多恵子の周囲にも、それぞれにライバルが出現する(なぎさのライバル、松宮は前章で出てきているけれど)。なぎさは多恵子とはクラスが離れてしまうものの、あまり一緒になりたくなかった、ライバルの松宮、槇修子とは同じクラスになる。突然名前が出てきてしまうけれど、槇修子とは、なぎさが中学時代に陸上競技会で出会った、鮮やかで凛々しく
強い女の子。有体に言えば、多恵子と槇修子の二股状態になってしまい、自他共に認めるシンプル思考のなぎさは大混乱に陥る。

「槇が男だったら、北里以上の親友になれるよ。槇は特別な人間だ。多恵子とは次元が違う。多恵子がいてもいなくても、特別な人間には変わらないんだ」
****************************************************
ちなみに、この「なぎさボーイ」は中途半端な所で終わっているので、「多恵子ガール」を手元において読まないと、身もだえする羽目に陥る。「多恵子ガール」は、「なぎさボーイ」のラストよりも、もう少し長く物語が続く。「ボーイ」と「ガール」、両方の側面から描かれるのが、当時はとても新鮮だった。

氷室 冴子
なぎさボーイ
集英社コバルト文庫
古い本なのに、画像が出て感動です。可愛いでしょ?

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたらご連絡ください。

「続ジャパネスク アンコール!」/平安コメディ♪

 2005-06-26-22:05
氷室冴子「続ジャパネスク アンコール!」集英社コバルト文庫


表紙扉より
若君(高彬)と瑠璃姫との仲を裂こうとするわたし(守弥)は、新たな策謀を胸に、姫が静養している吉野に乗り込んだ!!
  (守弥のジャパネスク・ダンディ
わたくし(小萩)が瑠璃さまにお仕えするようになって、もう八年。瑠璃さまとの奇妙な出会いを、日記に認めてみました。(小萩のジャパネスク日記
いよいよ京へ御帰還よ!!小萩とふたり、おしのびで京へ近づいたあたし(瑠璃姫)に、思いもよらないお出迎えが!?(瑠璃姫にアンコール!

目次
守弥のジャパネスク・ダンディ の巻
小萩のジャパネスク日記 の巻
瑠璃姫にアンコール! の巻
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■「守弥の~」では、「ジャパネスク アンコール!」 に引き続き、懲りない高彬の御付・守弥が暗躍(しようとする)。前回の失敗を踏まえ、今度は直接吉野の瑠璃姫の元に乗り込む。しかし、抜けてる守弥の事、そう上手く運ぶわけもなく。崖から落ちて記憶を喪失。敵である瑠璃姫に助けられてしまう。

「あんたの声、好きよ。もう一度言って」
(中略)
だが、しかし、男には主義に反してもやらねばならない時もあるのだ。
わたしは優しく言った。
「瑠璃姫。もう、いいですから、お帰りなさい」

声が好き、とか声で思い出すことがあるのって、分かるような気がする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■「小萩の~」は今度は、瑠璃姫に仕える一の女房、小萩視点のお話。幼い頃の瑠璃姫との出会いの話。これもまた、瑠璃姫のいい話。瑠璃姫に惚れ直す。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■「瑠璃姫に~」は、サイドストーリーではなく、視点は瑠璃姫に戻る。吉野での長い静養が明け、京に戻ってきた話。身分違いの恋や、少し大人になった瑠璃姫、何とも天晴れな夏姫(於夏)。そして、最後にようやく瑠璃姫と高彬は結ばれる。

みんな、どこかしらで嘘をついているし、奇麗ごとですまない現実を、あたしだっていくつも見てきた。以前だったら、問答無用でむしゃぶりついて、中将の不実を詰り、姉君のわがままを詰り、亡くなった阿久のために泣きじゃくるのだけど、心は今もそうだけど、あたしの目は、現実に生きている優しい女に向いてしまう。
死んだ人より、生きてる人のこれからを考えなきゃ。
******************************************
ジャパネスクの3からは、ちょっと長い続き物の話になるので、それはまた今度。お二方の「ざ・ちぇんじ!」記事にあてられ、ついつい「ジャパネスク」を再読してしまいました。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、御連絡下さい。

「ジャパネスク アンコール!」/平安コメディ♪

 2005-06-26-20:42
氷室冴子「ジャパネスク アンコール!」集英社コバルト文庫


表紙扉より
僧唯恵の謀反事件から五か月あまり・・・・・・ぼく(高彬)の許婚の瑠璃さんは、“物の怪に憑かれた”との悪い噂を残して、吉野に篭もったままだ。おかげで、ぼくの母上の態度は硬化―絶対に瑠璃さんとの結婚は許さぬとおっしゃる。そんなある夜、ぼくはたいへんな情報を耳にした。事件以来行方不明の唯恵を、京(みやこ)の中で目撃したというのだ。事件の真相を知るぼくとしては、唯恵を逮捕させたくないのだが・・・・・・。

の続編にあたります。

目次
高彬のジャパネスク・ミステリー の巻
ジャパネスク・スクランブル の巻

いつもは瑠璃姫が主人公で、彼女視点で語られるのだけれど、これはサイドストーリー。この人から見た時の話、とかの視点が異なる話って、大好きだ。多分氷室さん自身が、脇役などへの愛が深い人で、それでこういう本を楽しんで書かれたのかな、と思う(「多恵子ガール」「なぎさボーイ」「北里マドンナ」みたいにね)。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■「高彬の~」は当然ながら、瑠璃姫の許婚の高彬視点。姉思いだけど、ちょっと抜けてる瑠璃の弟・融が活躍(?)する。

■「ジャパネスク~」は、幼少の砌より高彬に仕える守弥視点。大事な若君・高彬を都の物笑いになった「瑠璃姫」なんかと、くっ付けてたまるかー!!、というお話。策略を巡らせるのだけれど、何せ肉体が伴わない頭脳派なものだから、何やらおかしな方向に? 守弥の相棒、たくましき零落の姫君(身分の高い姫なのに、困窮生活のために超リアリストに!)、煌姫もいい。

「なんて素敵にジャパネスク2」/平安コメディ♪

 2005-06-26-19:57
氷室冴子「なんて素敵にジャパネスク2」集英社コバルト文庫

表紙扉より
あの鷹男の帝からの、三日にあげぬ宮中へのお招き―でも、高彬という立派な(!?)許婚のあるあたし(瑠璃姫)だもの、“持病の瘧”にかこつけて断っていたわよ。だけど、とうとう帝の攻勢に耐えきれなくなったあたしは、最後の切り札と、尼寺へ駆けこんでやったの。ところがその夜、うちの三条邸が、何者かの放火によって焼け落ちてしまった―そして、事件の陰には、妖しくも美しい鬼の姿が・・・・・・。

目次
一の巻 太秦へ
二の巻 初めての夜に燃えて
三の巻 あれは妖しき 美しき鬼
四の巻 夜闇に 鬼は怪しく囁く
五の巻 鬼は荷葉(かよう)の女を喰らう
六の巻 人を愛する眼は青く 人を憎む眼は赤い
七の巻 高彬、鬼を斬る!
八の巻 み吉野に 雪は降りつつ


一作目から転じて、これは哀しい物語。

「その少女は死にました。わたしは、その姫が好きだった。都の姫にありがちの気位の高さというものが微塵もなく、野育ちの里娘のように暖かで、裏がなく、嘘もなかった。勇ましくて、優しかった。そう・・・・・・ある時、野犬が襲ってきたことがありました。その姫は自分も怖いだろうに、庇うようにわたしの前に立って、泣きながら犬に石をぶつけるのです。あっちへ行け、暑リんじゃ駄目、あっちへ行け―そう言いながら、石を拾っては投げ、投げては拾っていた。泣きながら。犬が逃げて行ってから、わたしにしがみつきながら、よかったね、暑リまれなくてよかったねと何度も繰り返し、しゃくりあげていました。吉野君は綺麗だから―」
吉野君の声が、かすかにかすれた。
「綺麗だから、暑リまれて傷が残ってはたいへんよと言って。わたしを全身で守ってくれた」

どうしようもない宮廷の複雑さ、運命が描かれる。高彬も、かっこいいよ。いい男なり。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、御連絡下さい。

「なんて素敵にジャパネスク」/平安コメディ♪

 2005-06-26-19:40
氷室冴子「なんて素敵にジャパネスク」集英社コバルト文庫

←持ってるのと、画像が違うけど


コバルト文庫、氷室冴子とくると、「げー」となる方もいらっしゃるかもしれない。でも、読まなきゃ勿体無いよー、と思うのです。というわけで、「ジャパネスク」。ジャパネスクシリーズは平安朝を舞台にした物語。古文が楽しくなるし、魅力的な人物が沢山出てくる。好みのキャラクターは誰かな?私は女性では、やっぱり主人公・瑠璃姫。ちょっとおっちょこちょいだけど、ひたすらに真っ直ぐな性格が好きだ。男性では、ちとミーハーではありますが、鷹男の帝。かっこいいんだ。

まずは、一冊目。
表紙扉より
あたし、大納言藤原忠宗女瑠璃姫(だいなごんふじわらのただむねのむすめるりひめ)、十六歳。初恋の人、吉野君(よしののきみ)との清らかな思い出に殉じて、生涯独身で過ごそうと決心しているの。だから、世間体を気にして、うるさく結婚を勧めるとうさまとは、毎日のように大喧嘩よ。そんなある夜、とうさまの陰謀で、権少将(ごんのしょうしょう)が夜這いをかけてきた。『強行突破の既成事実』で結婚させられるなんて、ああ、絶対絶命よ!!

目次
お約束は始めての接吻(キス)で の巻
初めての夜は恋歌で囁いて の巻
初めての夜よ もう一度 の巻

シリーズの最初だから、平安時代の風俗(というのかな、文化的なこと。「通い婚」や食べ物の話、宴の話、生活全般の話などなど)の説明の部分も、上手に挟み込まれている。この部分だけでも、ほんとに「古文」の勉強が楽しくなると思う。一夜を過ごした後に、殿方が姫君に贈る後朝の歌、なんて話も出てくるから、何となく「和歌」にも興味が出てきたりね。

第一作目では、初恋の人「吉野君」の思い出に殉じ、独身主義を貫こうと思っていた瑠璃姫が、身近にいた弟・融の友達で筒井筒(おさななじみ)の高彬の存在に気付く。互いの家柄も釣り合い良く、縁談もまとまりそうなのだけれど、悉く横槍が入る瑠璃と高彬の仲。しかし、横槍が入って黙っちゃいないのが、瑠璃姫の瑠璃姫たる所以。そうこうしているうちに、東宮をめぐる陰謀に巻き込まれ、働く内に、「不倫のトキメキ」(事実上、まだ妻ではないのだけれど)なんかも覚えてしまう。瑠璃姫大活躍!な一冊。でも、この一巻が終わるまで、瑠璃姫と高彬は結ばれません(最後の横槍はなかなかひどい)。頑張れー!

少女若しくは家庭小説/「マイ・ディア」

 2005-05-26-07:51

とら さん、みわ さん、戸隱 さん(順不同)と、コメント欄で児童書について話していました。私のブログ、記事本体よりもコメントの方が、皆様のお陰で数段面白いのですよ。で、好きな児童書について書きたいなあ、と思っていたのだけれど、あまりの数の多さに困惑。ぐるぐるしてたら、なぜだか少女小説に着地してしまいました。児童書については、またその内リベンジということで・・・。

一応、過去記事で児童書について少しでも触れたものを挙げておきます。もしよろしければ、こちらの記事もご覧下さい。
・児童書関連の記事。イギリス七つのファンタジーをめぐる旅ドリトル先生の英国
・ナルニア国ものがたりゲド戦記シリーズエルマーシリーズ


で、少女小説について、今日はこちら。

氷室冴子「マイ・ディア *親愛なる物語*」

少し前にトラステで、「読書は教養のためにするものか、はたまた娯楽のためのものなのか、激論をせよ」なるお題があがっていました。私にとっての読書は、自分が現実に生きる世界とは異なる世界を知る、若しくはそこで遊ぶためのもので、そのどちらにも当て嵌まらない。この「異なる世界」をより良く知るために、「教養」的な本を読むこともあるけれど。子供の頃の現実の世界というのはとても狭くて、大人のように他の「娯楽」や気晴らしがあるわけではないから、本にはそれはそれはお世話になったもの。ちと脱線しますが、私は本を読まずにはおられなかったから、「本を読まずに育つことの出来た、現実の世界がちゃんと広かった人たち」に対する憧れもあります。読書が習慣づいて、現実には体験できない、豊かな世界を知ることが出来るのは良かったのかな、とも思いますけど。


で、「マイ・ディア」は文字通り、氷室冴子さんの「親愛なる物語」である「家庭小説」について書いたもの。目次は以下。

いとしのマシュウ『赤毛のアン』
オルコットかモンゴメリか『八人のいとこ』『花ざかりのローズ』
ハウス食品におねがい『リンバロストの乙女』
ストーリーテリングということ『若草の祈り』
軽やかなワルツみたいに『少女パレアナ』
ミスターの魅力『少女レベッカ』『レベッカの青春』
心ふるえて・・・・『十七歳の夏』
ひとやすみにお茶を『秘密の花園』『あしながおじさん』『丘の家のジェーン』『昔気質の一少女』他

赤毛のアン
については過去記事 にしたこともあるのだけれど、その他にも私にも懐かしい本がいっぱい。そして、この氷室さんの本を信頼するに値すると思うのは、赤毛のアンに関する以下の記述。

アンの物語がアニメ化されたり、映画化されたりしたときに、アンが最初から、なんの屈託もない、天真爛漫なコとして出てくると、(なんか、ちがう)としっくり、こないものがある。(中略)『赤毛のアン』は、おしゃべりすることでしか自分を主張できなかった、器用そうにみえて、ほんとはすごく不器用な女の子に、世界が少しずつ扉をひらいて、優しくなってゆく物語なんです、ほんとはね。

アンはおしゃべりで、ただ能天気な女の子じゃあ、ないんだよ。だから世界中の「女の子」たちに、世代を越えてあれだけ愛されているんだよね。「嗚呼、私オルコットは駄目だったよ」、とか「ネズビットが駄目だったのは、ストーリテリングということが分かっていなかったせいか」とか「パレアナのあの性格!滅茶苦茶鬱陶しかったよ」など、いろいろ懐かしいことこの上ない。『昔気質の一少女』なんて、確か家にあった旧字体の本で読んだはず。だから、家は親子二代で読んだのかな。

この氷室さんの本自体がとても古くて、私が持っているのは15年前のもの。この本で知ってから読んだ、『リンバロストの乙女』もとても良かった(が、実家で紛失してます。どこ行っちゃったんだー。涙)。『十七歳の夏』も良かったような記憶があります。 過去少女だった人たちには、とても懐かしい物語たちだと思うし、こういった小説群には日常の細々したことが、ちょっと素敵な事に思える魔法がかけられていると思う。ゴシップ好きな人、細かいお節介を焼く人もしょうがないなあ、と少し愛らしく思えるかも、です。


皆それぞれの中に「親愛なる」物語が存在するのでしょうね。ホント、ブログ書いてると、本に対するラブレターを書いているみたいだなあ、と時々思います。それも熱烈な。

少女小説とは少し違うかもしれないけれど、この本に挙げられていないもので好きだった少女たち。

・リンドグレーン「長くつ下のピッピ」における「世界一つよい女の子」ピッピ・ナガクツシタ
・プロイスラー「小さい魔女」 における小さい魔女。少女じゃないけど、「年はたったの百二十七」で「魔女のなかまでは、まだ、ひよっこみたいなもの」だからいいよね。
・エンデ「モモ」モモ
・クリアリー「ヘンリーくんシリーズ」における「豆台風」ラモーナ
・ブライトン「おちゃめなふたごシリーズ」サリバン家のふたご、パットとイザベル
・ワイルダー「大草原の小さな家シリーズ」ローラ。最後の方は、滅法強力な、辺境でたくましく生きる主婦の生活になってますが。

少年少女とすると、ポプラ社吉本直志郎さんのもの。村上豊さんの何とも豊かな挿絵がついた、「青葉学園物語シリーズ」。同じ作者でこちらは流麗な中島きよしさんの挿絵がついた「バカラッチ隊シリーズ」。同じく中島潔さんの挿絵がついた「十二歳シリーズ」(こちらだけ手元になくて、検索したら薫くみこさんという方が書かれたらしい。日本の物では非常に珍しく、少女たちがとても良かった)。

うーん、自分の子供時代には、色々と不満も後悔も多いのですが、本だけは大変に豊かに育ったのだなあ、と改めて思いました。 あと、過去氷室冴子さんについての記事も書いてます。何だかリンクばかりで申し訳ないですが、よろしければこちら もどうぞ。


著者: 氷室 冴子

タイトル: マイ・ディア―親愛なる物語

amazonで「出品者から」と書いてあるということは、これはもしかして絶版なのでしょうか。うーん、流石15年前。いい本なのだけどな。偶に古本屋で見掛けます。


*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたらご連絡下さい。

氷室冴子さん/『コバルト文庫』

 2005-04-07-08:01

コバルトの女王?氷室冴子さん。この人の本は随分読みました。
なんで急にコバルトかというと、色々な方のブログを廻っていて、ふと思い出したので。自分にもちゃんと記憶力があったのね、と思いました。

ギャグに走っている作品、平安時代のもの、いろいろありましたが、私はこの人の真面目な本が結構好きでした。寄宿生活を送る少女達を描いた「白い少女たち」。テーマ的にはとても痛いものなのだけれど、少女の純粋さ、潔癖さがよく描かれていた。ひねた子供だったので、「さようならアルルカン」も共感を持って読みました。

とりあえず、今一冊を挙げるとすれば、日本語もイラストも大変に美しい「ヤマトタケル」
大王の愛を一途に求め戦い続けるタケル、タケルを愛しながらもタケルの輝きが強すぎて、タケルを真っ直ぐに愛することが出来ない弱い大王。
タケルの純粋で真っ直ぐな心が、ただただ悲しいのです。
この本では氷室さんは文体にも非常に拘わったらしく、朗読しても気持ちの良い美しい日本語が続きます。国文科卒業のなせる業でしょうか?森田じみい氏によるイラストも実に美しい。



平安時代を描いた「なんて素敵にジャパネスクシリーズ」「ざ・ちぇんじ!」のお陰で古文を読むのが楽しかった。お、この漢字読めるよ~と。女子高のノリを知らない私でも、「クララ白書」「アグネス白書」における寄宿舎生活や、女の子の悩みを覗く事は楽しかった。寄宿舎生活と言えば、ポプラ社「おちゃめなふたごシリーズ」 を思い出したりね。「なぎさボーイ」「多恵子ガール」を読んで、恋って難しいんだねと思ったり。でも私は、きっと多恵子みたいな女の子は嫌いで、槇さんの方が好き。「多恵子とは次元が違う、特別な同志みたいな仲間なんだ」なんて言われたら、むしろ誇らしいかもしれない。まあ、思春期の男の子の苦し紛れの言い訳なんだけど。
何か、書けば書くほど懐かしいですな。そして、書けば書くほどいつも以上に文体が崩れていきますね。汗 

この頃は多分コバルト全盛期で、所謂少女小説に勢いがあったのだと思う。イラストも今のように画一的ではなく、それぞれの個性にあったものが付けられていて、良かったのだ。コバルトでは、氷室さんの他には久美沙織さんなどを読んでいた。この後、私はティーンズ・ハート神戸あやかさんに流れて、段々とこれらの小説を卒業していった。
関係ないけれど、やはり少女小説の女王と呼ばれていた、神戸あやか(本名・花井愛子。なんと「花井愛子」「神戸あやか」「浦根絵夢」の三つの名前と作風を分けて、小説をリリース。本人称する所の「アウトロー」な神戸あやか名義の作品が一番好きだった。当時驚愕の出来事でした)さん、その後自己破産されて、それ関係の本も出されていたように思う。

さて氷室冴子さん、確か一時期大人の小説も書いておられたように記憶しているのだけれど、「蒼の迷宮」という平安時代の作品が、前編が出たきりなのですよね。もう後編は出ないのでしょうか。いい加減、内容を忘れてしまった気もするけれど。

この人の惜しい所は、エッセイ等で「あの批評家にこんなこと言われたーーー。アタシ、頑張ってるのにーーー」となっていたこと。いい作品を書いていたと思うのに、昇華されていない自分の感情そのものを活字にするのは、得策ではないと思うのです。惜しい!
でも私もそうなりがちなので、気をつけよっと。作家でも何でもありませんが、ブログで発信してますものね。お見苦しいことのなきように。

著者: 氷室 冴子, 森田 じみい
タイトル: ヤマトタケル
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プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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