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「水族」/大人の絵本

 2009-04-09-21:54
水族 (Coffee Books)水族 (Coffee Books)
(2009/01)
星野 智幸小野田 維

商品詳細を見る

岩波書店の「Coffee Books」シリーズなるものの一冊のようです。他のラインナップも見たけど、そっちはちょっと食指が動かず。目指すところは大人の絵本? 綺麗な本ですよー。

代々木動物園の夜間警備員として雇われた、雨利潤介。ちょっと変わっているのは、彼の職場が湖底にあるということ。湖底にある分厚いアクリル板でできた直方体の小屋の中で暮し、やはり全面アクリル板でできた中トンネル内の廊下を見回る。そこからは、銀色の小魚の群れや、サメやマグロなどの大型魚、海亀、イルカ、アシカ、ペンギンが泳ぐさまを眺めることが出来る…。

何やら曰くありげな潤介の生い立ち、自らを劣っていると信じ込む潤介。様子のおかしい魚たち。

最初の休園日に、潤介はカバの飼育係だという浜麦さんと東京電波塔に上る。やたらと人から見られる潤介、都会に慣れない内は、人の目を気にしないことだと浜麦さんは言うのだが…。
SF的なお話でもあります。「植物診断室」(感想)のベランダに作った「自然林」といい、星野さんの本を読むと、沈黙のまま生命力に溢れたような、妙に迫力ある描写に呑まれちゃいます。なんとなく、気持ち悪くもあるんだけどね。

眼下には狂暴なほどの緑が繁茂し、ジャングルを形成している。それが都心の平野部一面に連なり、遠くに行くに従って迫り上がって、柔らかい緑のビロードに変わっていく。平野部はその緑の斜面に囲まれたすり鉢の底にあった。(p26から引用)

あれ、ここはあんまり気持ち悪くないかな。人ではないものの無言の迫力は、この人の持ち味なのかしらん。無機質と有機物が混じり合ったような不思議な味わい。でも、ラストの様子は美しいです。
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「疏水のある風景」/日本全国、里の水の風景

 2008-05-24-21:44
「疏のある風景」全国土里ネット

amazonで検索しても出てきません。「冊子」だからなのかな。

全国土里ネット(どうも、これで、”みどりネット”と読ませるらしい)が出していて、「宝くじの普及宣伝事業として作成されたもの」だそう。なーんと、「まえがき」には「全国土里ネット会長、野中広務」の名が…。国や政治家っていろいろなことやってるんですね…。

「疏のある風景」なる写真コンテストが行われていたらしいのだけど、その入選・入賞作35作品を中心に、当該疎や地域の関連情報と併せて取りまとめたとのこと。どうも農業水利施設の役割や機能についての啓蒙が目的のようですが、写真も綺麗だし、読み物としても面白かったです(関連ページはここ)。
目次
01 北海幹線用水【北海道】
02 道川放水路【青森県】
03 金山大堰【山形県】
04 金山大堰【山形県】
05 金山大堰【山形県】
06 山形五堰【山形県】
07 山形五堰【山形県】
08 二の堰【山形県】
09 二の堰【山形県】
10 二の堰【山形県】
11 印旛沼【千葉県】
12 印旛沼【千葉県】
13 鷹栖口用水【富山県】
14 金沢疎水群【石川県】
15 蓼川【長野県】
16 中濃用水幹線水路【岐阜県】
17 新堀川排水機場【岐阜県】
18 濃尾用水【愛知県】
19 明治用水【愛知県】
20 立梅用水【三重県】
21 姉川左岸幹線用水(出雲井堰)【滋賀県】
22 西の湖 水郷【滋賀県】
23 琵琶湖疎水【京都府】
24 洛西用水【京都府】
25 伏見用水【京都府】
26 大山井堰【京都府】
27 岩見用水【兵庫県】
28 東西用水【岡山県】
29 藍場川【山口県】
30 那賀川用水(大西堰)【徳島県】
31 吉野川北岸用水【徳島県】
32 堀川用水【福岡県】
33 通潤用水【熊本県】
34 南阿蘇疎水群【熊本県】
35 上井手用水【熊本県】
写真コンテスト入賞作から選んでいるからか、日本全国というには多少の偏りがあって、自分の住んでいる辺りがないのはちょっと残念(と、思ったら、「疏水名鑑」のページに「全国疏水名鑑」というコンテンツがあり、無事、自分の住む場所の近くの疎水を発見しました♪ ウォーキングコースも載ってます。つか、農林水産省ってこういうのも仕事なのか…)。

この本の中では、徳島県の吉野川のページにあった、阿波の土柱の写真と、熊本県の通潤用水の通潤橋が印象的でした。日本にもこんな風景が!、とびっくりする土柱の写真に、日本最大の石造りアーチ水路橋。放水をする石橋なんて、初めて見ました~。

「ラグーナ/LAGUNA」「アックア・アルタ」/水の風景

 2008-03-01-21:24

河名木 ひろし

ラグーナ―もうひとつのヴェネツィア (Bee books)
アックア・アルタ―ヴェネツィア高潮 (Bee Books)
Bee Books


花粉症で疲れた目に優しい写真集。笑 ほんと、コンタクトが入んなくて、困っちゃいます。

と、それは置いておいて、本の話にもどります。ラグーナ/LAGUNA」は副題に「もうひとつのヴェネツィア」とあるのだけれど、ヴェネツィアではなく、その周辺のラグーナの佇まいを写したもの。

先日読んだ、塩野七生さんの「漁夫マルコの見た夢 」のマルコが住んでいたような辺りなのかな。この風景は、昔からあんまり変わっていないんじゃないかなぁ、と思いました。

この中で、私のお気に入りの一枚は、「Laguna Nord」という遠くに陸を望む一枚。ほとんど官能的とも言える、緩やかな波が美しいです。こういうのは潟ならではの風景なのかな。

もう一冊の、アックア・アルタ」はヴェネツィアの高潮を写したもの。風景が主だった「ラグーナ/LAGUNA」とは異なり、こちらではほとんどすべての写真に人物が写り込んでいます。膝や腰辺りまで水につかりながらも、なぜか楽しげな人々の表情が印象的です。あとがき」から引くと、ヴェネツィアでは晩秋から春にかけての大潮の時期に、シロッコ(アフリカ大陸からの南風)に雨という気象条件が重なると、潮位が異常に高くなり、街のあちこちが冠水する高潮に見舞われるのだとか。そういえば、私がヴェネツィアに行った時も、朝方は思いっきり冠水していたのを覚えているのだけれど、あれも晩秋のことでした。

河名木さんの写真略歴を見ると、「1947年 東京・深川の運河沿いに生まれる。」、「1973年 初渡欧。約一年間を各地で過ごし、特にかつての深川の運河の様子を彷彿とさせるヴェネツィアに魅了される。」とある。日本にも、かつては豊かな水の世界が隣にある、そんな世界があったのだよね。運河とかお堀とか、やっぱりいいよなぁ。

こちらも気になります。


今回の二冊ではほとんど文章がなかったんだけど、これは紀行文のようだし、面白そう。

後はこちらか。長らく積みっぱなし…。

写真で見てもやっぱりヴェネツィアって不思議な街だなぁ、と思うんだけど、それを知るためにはやっぱり早いとこ読むべきだよなぁ。

■参考■
地球観測研究センター(EORC) の「千年にわたり作り上げた水の都、ヴェネツィア 」。
こういう機関があるんですね、面白い~。

「漁夫マルコの見た夢」/ヴェネツィアの一夜の夢

 2008-01-27-21:43
塩野 七生, 水田 秀穂
漁夫マルコの見た夢

あの塩野さんが絵本??、という感じですが、中型の本だし、実際は結構文字も多いし、でもって内容も結構おっとなーなので、これもまたありかな、な本なのです。

ヴェネツィア近くのリド島に住むマルコは、十六歳にして既にリド一番の牡蠣獲り名人と言われていた。普段は口数の少ない控え目な若者であるのに、海の中でマルコは大胆で自信に満ちた一人の男に変わる…。

さて、いつもはマルコの獲る牡蠣を、親方が金持ちの家に売りに行ってくれるのだけれど、生憎用事があった親方はマルコに代わりを頼む。壮麗なダンドロ家の配膳室に招き入れられたマルコは、そこでキプロスのマルヴァジア酒を振舞われる。通常、親方ペペに振舞われるものよりも、上等な葡萄酒…。マルコはそれだけ見目が良く、若い女の召使が思わず贔屓したくなるような若者だというわけ。

そこへ突然入って来たのは、ダンドロ家の美しい奥方。奥方の気まぐれで若い貴族のなりをさせられたマルコは、ダンドロ家で開かれた夜会の客となる。

商用のため、主人たちが長く海外に滞在することの多いヴェネツィアの貴族の家では、留守を守る女たちには、「カヴァリエレ・セルヴェンテ」(奉仕役の騎士)と呼ばれる男をはべらすことも許されていたのだとか。しかしながら、これらの男たちは主人たちと同じ階級の男たちであることが不文律であり、他の階級の男たちに手を出すことは許されなかったのだという…。

夜半近く、客たちは仮装して街へ出る。男と女は、長い黒マントの下に見える衣装でしか見分けることが出来ず、鳥のくちばしのように鼻のとがった仮面で上半分を覆っていては、誰かを見分けることもまた不可能である。そう、まるで深い海の底に潜ったかのようで…。仮装したマルコは、みずみずしい若さをまき散らすかのように大胆に振舞い始める。

そして、ダンドロ家の屋敷に辿り着いた奥方とマルコは…。マルコは柔らかな寝床の上でも、自由で大胆な漁夫であった。

一夜が終われば、それはただの夢。しかしながら、マルコは朝の光を正面から受け、波の上に美しく浮かぶヴェネツィアの街を眺めながら、ある確信で身体を熱くする。マルコは再びあの夢を見ることが出来るのか? 策略をめぐらすマルコは、最初の純真な彼ではないけれど、自由で大胆な漁夫というのがまさに彼本来の資質であるのかもしれない。

さて、ダンドロ家と言えば、「三つの都の物語」の主人公の一人、マルコ・ダンドロがまさにダンドロ家の出であった。マルコは良くある名前なのだろうけど、このダンドロ家とあのダンドロ家が関係あれば、ちょっと面白いなぁ、と思ったことでした。大胆に行動した漁夫マルコの血が、もしもマルコ・ダンドロにも流れていたら…。生粋の貴族よりも、何だか魅力的だなぁ、と。「三つの都の物語」において、マルコ・ダンドロは生粋の貴族として、きちんと行動していたのだけれどね。

「幻想秘湯めぐり」/温泉の味わい

 2007-12-13-22:33

南條 竹則

幻想秘湯巡り
同朋舎

わー、南條さんだー、と特に確かめもせず、ネットでぽちっと図書館予約をしたのだけれど、実際手元に来てびっくりの表紙のおどろおどろしさ。ま、たしかに表紙に小さく「ホラージャパネスク」とあるのだけれど…。なんか、このノリの表紙と、本の大きさをどこかで見たことがあるなぁ、と思ったら、「日本怪奇幻想紀行」のシリーズが後ろのページに載っていました(以前読んだ、このシリーズの4巻、芸能・見世物録の感想はこちら )。

目次
まえがき
恐山―死者も入りぬという地獄湯に浸かる
台、花巻、鉛温泉―賢治を想いつつ温泉俳諧小説を作る
那須湯本温泉-妖狐を語り、火事の湯の話に震える
山代、山中、和倉温泉―鏡花に誘われて北陸へ旅立つ
修善寺温泉―死人の面に纏わる伝説の筥湯に入る
塩原温泉―とある温泉宿で、身も凍る怖い体験をする
畑毛温泉―過ぎし日を想い、温泉神秘小説の想を練る
温泉津温泉―角の生えた銅像と鄙びた温泉町に安らぐ


南條さんは、「恐怖の黄金時代 」なんて本も著わしておられるわけで、そういった方面にも造詣が深いわけですが、南條さん自身の本来の文章の味わいは、「酒仙 」や「猫城 」に見られるような、どこかすっとぼけたところにあると思うのです。

実際、この本の中でも、本当の恐怖体験は「塩原温泉」くらいのもの。あとは、淡淡とした味わいの不思議や、温泉に絡めた文学が語られる。

温泉というと、私の場合、上げ膳据え膳もまた楽しみだったするのだけれど、ここでいう温泉はもっと純粋な湯治的なもの。一人、ふらりと小体な宿に泊まる、こんな旅も楽しいかもなぁ(南條さんも一人でばっかり旅しているわけではないのだけれど)。

参考文献に挙げられている本、著者を見ても錚々たるメンバーです。私でも知っているところで言うと、幸田露伴、宮沢賢治、鶴屋南北、岡本綺堂、泉鏡花、尾崎紅葉などなど。これらが温泉文学とでもいうのかな、そういった視点で語り直されるわけです。ところで、貫一お宮の「金色夜叉」。これに、「続々金色夜叉」なんてものがあったことを初めて知りました。「金色夜叉」では舞台は熱海だけれど、「続々」では塩原が舞台となるのだって。ここでは、貫一は復讐鬼転じて救い主となり、なんだか「モンテ・クリスト伯」を思わせるのだとか。

なかなかね、その温泉地のことなら何でも知ってる屋台があるような温泉(ここでは、過去の話として、屋台を引く夫婦者の事が書かれていたけど、今でもこういう人達っているのかしら?)には行かないけれども、ノスタルジックな味わいというか、自分が知っている温泉とは、多少パラレルワールド的でもある、少々幻想的な温泉を楽しめる一冊でした。

「アジア古都物語 京都」/水の都、京都

 2007-05-13-22:58
 
NHK「アジア古都物語」プロジェクト
NHKスペシャル アジア古都物語 京都―千年の水脈 
日本放送出版協会

何でわざわざ「京都」の本を読んだかといえば、それは、ここのところ、京都を舞台にした物語をいくつか読んでいて、京都という土地自体に興味を持ったため。

万城目学さんの「
鴨川ホルモー 」などというけったいな物語の舞台となり、森見登美彦さんの「きつねのはなし 」、「太陽の塔 」を生み、梨木香歩さんの「家守綺譚 」の主人公・綿貫が住むのも琵琶湖疎水近くの家。

そんな京都とは一体どんな都市なのか??

目次
千年の水脈たたえる都 井上勝弘
 バスから見えた都の原風景
 京の雅を支えた奇跡の水
 馬琴も惚れた鴨川の水の不思議
 姿を現した巨大な水甕 
 都の水源「カモ」の聖地
 「鴨脚」を名乗る一族
 一直線に並ぶ「緑の道」
 千年の叡智、そして現代の危機

京都の地下水 楠見晴重
 [一]地下水とは何か
 [二]京都盆地の地質構造
 [三]京都水盆
 [四]京都盆地の水脈

Asian Talk
水の都・平安京 山田邦和
 鴨川と葛野川
 平安京内の川
 貴族と庭園
 平安京の都市民と水

あとがき 森崎義人
参考文献
放送記録


千年の古都、京都。
京都は老舗の多さでも知られるけれど、たとえば染色、たとえば豆腐、たとえば酒。これらの生業は豊かな井戸水、即ち、京都の地下水によって成り立っていた。

ここで言う京都における豊かな水とは、地表に出ている川の流れだけではない、脈々と流れる地下水脈の流れを言う。

奈良時代、京都盆地一帯は、山向こうの鄙びた土地という意味の、「山背」と呼ばれたのだという。奈良盆地よりはるかに広く、新京に相応しい場所。そこはまた、巨大な地下の水甕を持つ、都に相応しい場所であった。

水の聖地「カモ」の地を守ってきたカモ氏の話、下鴨神社、糺の森の話などが興味深かった。”みたらし団子”は、この糺の森にこんこんと湧いた水、みたらしの池の丸い水泡の形をまねて作ったものなのだって。

シミュレーションの詳しい事などは(私には)良く分からないけれど、京都の巨大な地下の水甕を図解化する場面など、ぞくぞくきた。地表に出ている水の流れだけが、全てではない所も面白かったなぁ。

京都はやっぱりちょっとトクベツな都なのかも。

「川の名前」/川と夏と少年と

 2007-04-25-00:12
 
川端 裕人
川の名前 

川に夏に少年。この三つが揃ったら、他に何が必要なのだろう。
必要なものは、もう全て揃っているではないか!

とはいえ、舞台は多摩川の支流、桜川。現代の少年たちの物語であるからして、少年たちが川にじゃぼーんと飛び込み、カワガキとなって川と戯れる、なんていう形の川と少年の物語ではない。

主人公は、菊野脩、小学校五年生。自然写真家の父さんと、これまで一緒に行ったのは、アマゾンやユーコンなどのスケールの大きな川。今までは長期の休みは、この父と共に撮影旅行に出ていたし、学校だって何度も変わった。父と離婚した母は既に新しい家庭を築いている。この夏だって、本当は父さんは脩と一緒にユーコン川に行きたかったみたいだけれど、何が特別というわけでもない、この場所、この桜川北小の五年二組。この夏、脩はここを離れたくないと思ったのだ。

脩と共にこの夏をすごすのは、一緒に自由研究をする事になった、ゴム丸こと亀丸。そして、物静かな態度だけれど、川について誰よりも深い知識を持ち、脩とゴム丸を助ける、河童こと河邑。

出て来るのは、勿論、脩の仲間たちだけではなく、何かとゴム丸に突っかかる、ジャイアンを思わせる海野や、すかした優等生、手嶋たち。

そして、彼らを巡るこの夏の出来事。

何かと脩を敵視するすかした優等生、手嶋との関係は、年齢は違うけれど、まるで『
河よりも長くゆるやかに 』のトシと深雪のようでもある。互いに認め合った彼らはきっと、これからは親友になるのだろう。

夏が終わって、少年達は少し大人になる。

周りを固める大人もいい。圧巻は、チャルメラの音楽と共に現れ、「カワガキ~」と叫ぶ喇叭爺だけど、教師のデビルもなかなかだし、水族館の獣医、鈴木先生だっていい。あ、父さんの妹で、脩を預かってくれている、看護士の恵美もね。

タイトルにもなっている「川の名前」。この意味は、是非、自分で確かめて欲しいなぁ。「川の名前」に自分の居場所。うーん、深いです。結構前に、この本をいい!と書いておられるブログを幾つかお見かけして、そんなにいいなら、読んでみようと思っていたのだけれど、さすが評判の本。面白かったです~。

 ←少年達を前面に押し出した文庫もいいけど、単行本の装丁の方がイメージ。



メモ1
ホトケドジョウ (=オババ)
:神奈川県水産技術センター内水面試験場のページにリンク
オギ
:浜島書店のページにリンク
 ススキと、混同していましたよ・・・。違うのね。

メモ2
以下、ネタバレになってしまうので、これから読まれる方は、どうぞお読みになりませんよう(リンクも飛ばないでくださいねー)。全てを忘れ去ってしまう、自分のためのメモであります。

しかし、この作者は、ほんとにペンギンが好きなのだなぁ、と。笑
以前読んだ、同作者による本の記事はこちら → 

こっちは思いっきり、ノンフィクションなんだけど。いやぁ、この方、とっても多才だなぁ

「きつねのはなし」/ひたひたと来るもの、あれは

 2007-03-12-22:16
森見 登美彦
きつねのはなし

目次
きつねのはなし
果実の中の龍

水神


森見登美彦さん、初読みです。

妄想系小説を書かれる方だと勝手に思っていたのだけれど、これはむしろ端正な味わいの淡い幻の物語。水や闇のほの暗さ、手触り、湿り気を、その深淵を覗き込むような物語。

四つの短篇におけるキーワードは、芳蓮堂という古道具屋、和紙で作られた狐の面、からくり幻燈、胴の長いケモノ、そして水・・・・。

独立しているようでいて、ゆるく繋がっているこれら四編の物語は、四編全てを読んでも、全てが語られるわけではない。むしろ謎は増すばかり。でも、この物語は全てが明らかにならなくて良いのかもしれない。「果実の中の龍」の「私」が言うとおり、「本当でも嘘でも、かまわない。そんなことはどうでもいいことだ」なのかもしれない。

この「果実の中の龍」は不思議な話で、先輩が淡々と語る話に、あわあわと引き込まれる。

「こうやって日が暮れて街の灯がきらきらしてくると、僕はよく想像する。この街には大勢の人が住んでいて、そのほとんどすべての人は他人だけれども、彼らの間に、僕には想像もつかないような神秘的な糸がたくさん張り巡らされているに違いない。何かの拍子に僕がその糸に触れると、不思議な音を立てる。もしその糸を辿っていくことができるなら、この街の中枢にある、とても暗くて神秘的な場所に通じているような気がするんだ」

京都の街ではそんな風に何かを爪弾くと、見知らぬ異界への道が開かれるのかも、などと思ってしまう。同じく京大出身作家であり、京都を舞台にしていても、万城目さんの『
鴨川ホルモー 』などとは、また随分違った仕上がり。鴨川ホルモー』のせいで、吉田神社と聞くだけで、何となく笑ってしまうんだけれど、こちらでは背筋にひやひやと来る。

そして、水神」に出てくる疎水には、『
家守綺譚』! と思うのだった。というわけで、再度、疎水百選」へのリンク 。音が出ますので、ご注意下さい。でも、このせせらぎの音、やっぱり、いいなー(本書の中では、そんな優しげな音はしていないけれど)。

不思議に出会い、そしてまた普通の生活へと戻る。振り返ってみた時、それは幻のようでもある。でも、京都の街の中のどこかに、芳蓮堂とナツメさん、古い屋敷の水神はひっそりと存在しているのかもしれない。
 ← 次はこれにいきたいのに、単行本なんだよね・・・。図書館の予約は凄い数みたいだし。

その後に読んだ、「夜は短し歩けよ乙女」の感想
 →「
夜は短し歩けよ乙女 」/歩けよ、乙女。京の春夏秋冬を!

いやー、綺羅綺羅と美しく、丹精込めて作られた金平糖のような物語でした。

臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡下さい。

「家守綺譚」/文士、綿貫、家の守役となる

 2007-01-13-00:38
梨木 香歩
家守綺譚

その家の北側は山になっており、山の裾には湖から引いた疎水が走る。家の南側には田圃。
この田圃にも疎水から用水路が引かれており、その水路の途中が、この家の池になっている。

水や自然に囲まれたこの家の本来の持ち主は、綿貫の学生時代の友人、高堂。高堂は湖でボートを漕いでいる内に、行方不明になった。高堂の老父に頼まれた、私、綿貫征四郎はこの家の守をすることになる。売れない物書きの端くれである、綿貫にとっては願ってもない話。

目次
サルスベリ
都わすれ
ヒツジグサ
ダァリヤ
ドクダミ
カラスウリ
竹の花
白木蓮
木槿
ツリガネニンジン
南蛮ギセル
紅葉


ススキ
ホトトギス
野菊
ネズ
サザンカ
リュウノヒゲ
檸檬
南天
ふきのとう
セツブンソウ
貝母(ばいも)
山椒

葡萄
-------------
綿貫征四郎随筆「烏傷ォ苺記(やぶがらしのき)」

ところで、この家には色々なものが「出る」。水に恵まれた環境からか、最初にやって来たのは、逝ってしまったはずの高堂だった。それに触発されたわけではないのだろうが、庭のサルスベリは綿貫に懸想し、掛け軸の中にいたはずの鷺は池の河童を狙い、犬のゴローは河童と鷺の仲裁で名を馳せ、庭の白木蓮はタツノオトシゴを孕み、木槿が満開になれば、その助けを借りて聖母が出でる。松茸を狩りに山寺へ行けば、信心深い狸に出会い、疎水べりを歩けばカワウソの老人の釣り姿を見る。啓蟄には小鬼のふきのとう採りを手伝い、疎水の桜に見蕩れれば、桜鬼(はなおに)が暇乞いにやって来る。

語られるのは、様々な交わり。

合理的、科学的であることが幅を利かせる以前の時代。隣のおかみさんは、河童や鬼の話をしたり顔で聞き、明快に判断するが、土地の者でもない異国の学者が言う事などには否定的。

文明の進歩は、瞬時、と見まごうほど迅速に起きるが、実際我々の精神は深いところでそれに付いていっておらぬのではないか。鬼の子や鳶を見て安んずる心性は、未だ私の精神がその領域で遊んでいる証拠であろう。鬼の子や鳶を見て不安になったとき、漸く私の精神も時代の進歩と齟齬を起こさないでいられるようになるのかもしれぬ。

とはいえ、これらの鬼の子や鳶との交わりのなんとも豊穣な事。交わるものが人であろうと、そうでなかろうと、恬淡としつつも、綿貫の交わりには貴賎はない。

例えばそれは、信心深い狸と出会い、背中をさすり、お経を称え続けた時の話。信心深い狸は、畜生の身でありながら、成仏出来ない行き倒れの魂魄を背負ってしまうのだという。綿貫を騙して背中をさすらせた格好となった狸は、お礼として松茸を籠に一杯置いてゆく。回復したばかりの身で、律儀に松茸を集めてきた狸を思い、綿貫は胸を突かれる。何をそんなことを気にせずともいいのだ。何度でもさすってやる、何度でも称えてやる。

無駄を愛し、花や木を愛でる。そして、それらとの交わりを持つことで、人間だけではない、もっともっと豊穣な世界が立ち現れるのかも。行動半径も狭い綿貫の世界は、現代のどこへでも行ける私の世界などより、もっとずっと広がっているように思える。

また、のんびりしているようで、綿貫の生き方は真摯。それは高堂たちの世界である、あちらの世界に行った時の会話にも。何者にも煩わされない美しいだけの世界は、「私の精神を養わない」。

何者をも否定しないけれど、自分というものを持つ綿貫。
日常の不思議を扱った小品集のようでありながら、その背後には骨太の時が流れている。
【メモ】
疎水ってナニ?、と思って調べたら、こちらのサイトを見つけました。

 
疎水百選  (音が出ます、注意!)

水のせせらぎが心地よいこのサイトによると、『疏水』とは、水田の国、日本の水路造りや水路網をあらわしてるとのことです。

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡下さい。
「みすじゃん。」のおんもらきさんの記事にリンク

「ナマコガイドブック」/世に珍妙な生き物あり

 2006-12-05-21:16
本川 達雄, 今岡 亨, 楚山 勇
ナマコ ガイドブック
阪急コミュニケーションズ

目次
第1部 ナマコについてのQ&A(本川 達雄)
第2部 ナマコの特徴(本川 達雄)
第3部 ナマコ学基礎講義(本川 達雄)
第4部 最後の大疑問(本川 達雄)
第5部 ナマコの写真図鑑(今岡 亨)

表紙写真は、恐らくはジャノメナマコにジイガセキンコ。なかなかに美しいでしょ?
この他にも美しかったり、面白かったりするナマコ類がいっぱい。

体表に梅の花のような棘がびっしり付いたバイカナマコも面白いし、海蛇と見まごうばかりのなが~いクレナイオオイカリナマコも、これが海鼠の一種だなんて何だか不思議。海鼠ってごろんと太目のものばかりじゃないのね。でも、ネットをちょっと見回ってみたら、この本を見て綺麗と思ったものも、やっぱりちょっと気持ち悪かったり。単に「この本の」写真が美しいのかも・・・・。

さて、この本はフルカラーでナマコ類の写真が楽しめる本であり、またナマコについて易しく解き明かしてくれる本でもある。

面白かったナマコの習性としては、以下の二点。

ナマコは危機を感じると、口から一切合財を吐き出してしまうのだそう。そうして、敵がそれ(周口神経、石灰環、水管環、ポーリ嚢、生殖巣、腸丸ごと(腸血洞、呼吸樹))を食べている間に、中身が空になった体壁のみで、砂の中へと逃げ出すのだって。この空になった中身は、二ヶ月で再生を果たすのだそうだ。

もう一点は、ナマコ類がとっても省エネな生き物だということ。だからこそ、海底の砂(についた有機物)なんてものが、食べ物になっちゃうんだよね。生きるのにほんの少しのエネルギーしか必要としないから、こんな習性でいられるわけ。沢山のエネルギーを必要として、精力的に動き回る他の動物達とは正反対。

世の中の生き物が全部こうなっちゃったら困るだろうけど、自分の体を与えちゃったり、最小限のエネルギーで生きていたり、ナマコって平和的で面白い生き物なんだなぁ、と思ったことでした。

「お湯のグランプリ」/ウチ風呂のヨロコビ

 2006-06-26-21:56
パラダイス山元
お湯のグランプリ―誰も書けなかった入浴剤文化論

お風呂、好きですか? 楽しんでますか?

上げ膳据え膳の温泉旅館もいいですが、あれはやっぱり値の張るもの。
そうそう足繁く行けるものではござりませぬ。

そこで、登場するのが入浴剤!この表紙画像の「風呂ーリスト・パラダイス山元」さんの、なんと幸せそうなことよ。

「はじめに」から引用いたしますと、こんな感じ。

ウチ風呂の魅力はなんといっても、なんでもアリなことです。やれ、お風呂は11時半で終了!とか浴槽内飲食厳禁!などとワケわからないことも言われませんし、体毛を剃ろうが、大声で「アーーーーーーッ、うっ!」とか叫ぼうが、若干家族からシロい目で見られるだけで、なんの問題も起こりません。

さぁ、夢の世界平和、大型レジャー時代が再び到来するまで、贅沢は入浴剤ぐらいにして質素な生活をエンジョイしましょう!

いや、大声で叫ぶのはどうよと思うけど、確かに何でもアリなのは、やっぱりウチ風呂。プライベートな空間だしね。

さて、ここに紹介されるは、「温泉入浴剤編」では北海道~九州のエリア別、及び幻の温泉入浴剤の8つのカテゴリ、「非温泉入浴剤編」では、漢方・鉱石編発泡系など6つのカテゴリに分けられた、全百種類の入浴剤。

お子さんがいらっしゃる方であれば、「子どもがよろこぶ楽しい入浴剤アラカルト」なんかも、いいかもしれませぬ。平成十三年初版とのことなので、内容がちょっと古いのかもしれませんが、キティーちゃんからセーラームーン、ウルトラマン、デジモンなど、キャラクターものも何でもアリっぽい。今であれば、もっと色々増えているのかな。

さて、私がこの本の中で興味を持ったのは、松村酒販による「甲州ワインの湯、同じく松村酒販「地酒の湯 濁り酒牛乳石鹸共進社「乳華の湯 牛乳風呂。・・・・あれ、食べもの系ばかり?笑

いや、温泉系も実際には良く使うのですけどね・・・。でもさ、温泉系の入浴剤の色って時々不思議ですよね。何でその色?、と思うことが多々。笑 (この本の中では、「~の爽やかな雰囲気を表した」などと、全般的に好意的であるんだけどさ)

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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