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「恋文の技術」/なにはなくとも書くのだよ

 2009-06-10-23:28
恋文の技術恋文の技術
(2009/03)
森見 登美彦

商品詳細を見る

内容(「BOOK」データベースより)
京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が一人。無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ―。

目次
第一話  外堀を埋める友へ
第二話  私史上最高厄介なお姉様へ
第三話  見どころのある少年へ
第四話  偏屈作家・森見登美彦先生へ
第五話  女性のおっぱいに目のない友へ
第六話  続・私史上最高厄介なお姉様へ
第七話  恋文反面教師・森見登美彦先生へ
第八話  我が心やさしき妹へ
第九話  伊吹夏子さんへ 失敗書簡集
第十話  続・見どころのある少年へ
第十一話 大文字山への招待状
第十二話 伊吹夏子さんへの手紙
手紙で綴られる物語と言えば、三島由紀夫の「三島由紀夫レター教室」(感想)なんかを思い出しちゃうんですが、「レター教室」では五人の書き手がそれぞれ手紙を書くことによって、人間関係が浮かび上がるところが面白いのだけれど、反してこちらの「恋文の技術」では手紙の書き手はただ一人(「大文字山への招待状」だって、たぶん書き手は彼だよね?)。

書き手たる守田一郎は、ひたすらに書いて書いて書きまくる。だって、研究室でただ一人、淋しい臨海実験所に送られてしまったのだもの。置いてきた(?)親友の恋の行方が気になり、決して勝てはしないお姉様が気になり、家庭教師をしていた少年が気になり、本質を突きすぎる妹が気になり、学生時代に縁のあった森見登美彦氏が気になり、恋する伊吹夏子さんの様子が気になり…。

それぞれに宛てた手紙は、無論その相手への感情、立場によって、それぞれ違った物言いとなる。守田一郎、しょーもなー、と思う部分もあるんだけど、通して読むと愛しくさえあるんだな、これが。そう、彼の妹の言うとおり、「みんながお兄ちゃんの手紙にこたえて、手紙を書いてくれるっていうのは、とてもすごいこと」なんです。同じく妹の言葉を借りると、彼はワガママで偏屈で、何かというと威張ったり、ふてくされてばっかり、なんだけどね。

なにはなくとも書く。文通武者修行。こんな友人がいたら、厄介な…、と思うかもしれないけど、きっと楽しいのだと思います。携帯メールなんかだと、私はついつい心の中で返事をしてしまって、うっかり返信するのを忘れちゃうんですが、とりあえず書きまくって繋がる守田一郎のように、自分のメッセージはやっぱりきちんと届けてこそ、ですね。

あと、これはあんまり本質的ではないし、そう具体的に書いてあるわけじゃないんだけど、社会に出る前、自分の研究室時代を懐かしく思い出してしまいました。エバポレーターの陰で泣くとか、椅子を並べて仮眠とか。かつ、揃えた靴の中に、ゴ○ブ○とか。学校って、なんだってあんなにあいつらがいるんだ~。
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「美女と竹林」/森見・Bamboo・登美彦、ミッション、コンプリート??

 2008-10-21-23:22
美女と竹林美女と竹林
(2008/08/21)
森見登美彦

商品詳細を見る

やみくもに好きなものについて書いてみようとしたら、そこで出てきたのが「美女」と「竹林」だったという、森見さんによる、エッセイとも何ともつかぬ本。でも、小説ではないよね? 読み終わって、たぶんみんな、美女はどこだ?!と思うのだろうけれど、これだけ何も進まない話を面白く読ませちゃう術は流石だなーと思います。

学生時代の研究対象であり、また今でも大好きだという竹林。作家として行き詰った時の保険として多角的経営を考えると、今後は竹林が来る! というわけで、森見氏は職場の先輩、鍵屋さんなる女性のご実家の竹林を預かることになったのです。以前は鍵屋さんの祖父が手入れをされていたというこの竹林。今では荒れ果てているようで…。森見氏は、学生時代からの盟友、明石氏の手を借りて(だって、一人じゃ淋しいから)、この竹林に手を入れることになったのです。

なんだけど! 実際は本業の仕事があったり、執筆活動があったり、執筆にかかわる諸々のお仕事があったり、明石氏は司法試験の受験生であったり、にっくき薮蚊が登美彦氏らを襲ったり、と竹林整備は遅遅として進まないのです。というわけで、途中に挟まるのは、妄想であったり、森見氏の日常&竹林整備が進まない言い訳であったり。

実際手入れが進み始めるのは、担当編集者の方々の手を借りるようになってから? 道具も毎度毎度ホームセンターで購入されているようなんだけど、前回に購入したはずの道具たちはどうなってんでしょ。ノコギリなんかは、消えてなくなるわけもなく。この後も、ほんとに「竹林部」が結成されたんですかねえ。

なんだか、分かるなーと思ったのが、青春のしょうもなさを表現している以下の部分。

ただし明石氏はその能力を、専門たる法律の勉強に傾注するだけに飽きたらず、とにかくもう、お年玉のつかい道を知らない子どものように、めったやたらと浪費した。その余人の追随を許さない圧倒的なお大尽ぶりが、大学内の学生たち(主として男)の繊細で高貴なハートを撃ち抜いた。  (p23より引用)

そういうの嫌いじゃないんだけど、大学に長くいた人って、なんかどこか独特なんだよねえ。無駄であればある程良し、というのも、やはり実社会とはまた違った価値観が支配している場所である証拠な気がします・・・。この明石氏と森見さんのお話は、ほとんど森見さんの描く腐れ大学生のお話そのまま。

面白かったのが、「森見登美彦(MBC最高経営責任者)今、すべてを語る」の部分。妄想って、スバラシイ! 竹林だけでこんだけ妄想出来るのは、作家さんはたくさんいるけど、やはり森見氏をおいて他にないのではないでしょうか。どうでもいいけど、森見さんってセグウェイ好きなのかなぁ。セグウェイには、私はあまり心惹かれないよ…(嵐がCMで楽しそうに乗ってるけども)。
目次
登美彦氏は如何にして竹林の賢人となりにしか
ケーキと竹林
竹林整備初戦
机上の竹林
森見登美彦氏の弁明
登美彦氏、清談に耽る
T君の話
登美彦氏、外堀を埋めて美女と出逢う
竹林は遠きに在りて想うもの
竹林へ立ち向かう四人の男
登美彦氏の夏’07
紳士たちの反撃
孟宗竹分解法講義
腰と竹林
森見登美彦(MBC最高経営責任者)今、すべてを語る(前編)
森見登美彦(MBC最高経営責任者)今、すべてを語る(後編)
大団円の発掘

「有頂天家族」/すべて阿呆の血のしからしむるところ

 2008-02-29-23:56


森見 登美彦

有頂天家族


これは狸と人間と天狗の物語。
主たる登場人物は、阿呆の血が色濃く流れるが、母思いの優しい四兄弟から成るある一家(でも、狸)及びその天敵一家(もちろん、こちらも狸)、忘年会にて狸鍋を囲むことを会則としている、金曜倶楽部の面々(「食べちゃいたいほど好きなのだもの」と嘯く大学教授と、天狗道を邁進する元・人間含む)、傲岸不遜な態度は変わらないものの、今となってはほぼ力を失ってしまった天狗、「赤玉先生」(哀しいまでに甘い赤玉ポートワインを愛飲する)。

人間は街に暮らし、狸は地を這い、天狗は天空を飛行する。
 平安遷都この方続く、人間と狸と天狗の三つ巴。
 それがこの街の大きな車輪を廻している。
 天狗は狸に説教を垂れ、狸は人間を化かし、人間は天狗を畏れ敬う。天狗は人間を拐かし、人間は狸を鍋にして、狸は天狗を罠にかける。
 そうやってぐるぐる車輪は廻る。
 廻る車輪を眺めているのが、どんなことより面白い。
(p7より引用)

三つ巴はぐるぐる廻って、うごうごと日々を過ごす内に、物語はクライマックスの大騒動へ! 楽しいんだけど、「で??」、と言われちゃうと困っちゃう物語でもある。だけど結局ね、文中にもあるように「面白きことは良きことなり!」だと思うのですよ、きっと。

一つの大きな謎は、この下鴨の狸四兄弟の偉大なる父はなぜ死んだのか、ということなんだけど、これが章が進むにつれて、徐々に、徐々に分かっていくという仕掛け。知っていながら、聞かれるまでは黙っている周囲の天狗も、大概ずるいよな~、とも思うんだけど、ね。

天空を自在に駆け、異能を持つ天狗は孤高の存在。しかしながら、能力を失ってなお、孤高の存在であることのみを貫こうとする天狗の姿は、哀れであり滑稽でもある。互いにそれが分かっていても、師に傅く四兄弟の三男、矢三郎とのやり取りは、ほとんど様式美。いやー、私にはこうやって人を立てる(いや、この場合天狗だけど)ことは出来ないなぁ。でも、それもまた師弟愛なんだよな。

偽叡山電車が街を駆け、偽電気ブランを製造する狸たちがいて、偽車夫つきの自働人力車が街を走る。これまでの森見作品においても、洛中において沢山の不思議なものや不思議な人物が出てきたけれど、あのうちの幾人かは天狗だったり、狸が化けたものだったのやもしれません。矢三郎のお得意の化け姿は、腐れ大学生だしさ。

「阿呆の血」というフレーズが何度も出てくるんだけど、なんとも言えぬ愛しさを籠められると、「阿呆」というのもいいもんんですね(何となく、関東は「馬鹿」をつかい、関西は「阿呆」をつかうイメージ。「阿呆」は言われ&聞き慣れないからか、実際に言われると、ちょっとぎょっとします。いや、「馬鹿」もそんな言われないけどさ)。そして、「阿呆」と言えば、同じ阿呆なら踊らにゃ損損。楽しきこと、面白きことを精一杯楽しみなさい、というお話でもありました。

ところで、弁天が好むという赤割り(焼酎を赤玉ポートワインで割ったもの)ってどんな味なのでしょう。何焼酎で割るかによっても変わるよねえ。とりあえず、色は綺麗そうではあるけれど。

目次
第一章 納涼床の女神
第二章 母と雷神様
第三章 大文字納涼船合戦
第四章 金曜倶楽部
第五章 父の発つ日
第六章 夷川早雲の暗躍
第七章 有頂天家族

「【新釈】走れメロス 他四篇」/森見氏が語り直す古典文学作品

 2007-10-10-22:25
森見 登美彦
新釈 走れメロス 他四篇

目次
山月記
藪の中
走れメロス
桜の森の満開の下
百物語


森見さんの本は、「夜は短し歩けよ乙女 」もそうだったけれど、装幀もいいですよねー。これもね、「山月記」では万年筆と原稿が、「藪の中」では雨粒と傘が、「走れメロス」では桃色ブリーフが、「桜の森の満開の下」では乙女が、「百物語」では和蝋燭が、アイコンのように描かれている。

森見登美彦氏のブログ、「この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ 」では、作品を「子」として愛でる登美彦氏の姿が見られるわけですが、やっぱり装幀にも拘りがおありなのでしょうか。

takam16 さんに教えていただいて、NHK教育の森見氏出演「トップランナー」も見ましたが、その辺への言及はなかったです(つか、デザイナーの方が張り切って作っちゃうような作品なのかしらん)。

さて、本題に。

これはタイトルからも分かる通り、古典作品を【新釈】により語りなおした短編集。

基本、いつもの森見作品のように京都を舞台とし、「山月記」では、孤高の学生はついには天狗になり、「藪の中」ではある自主製作映画を巡る人間模様が描かれ、「走れメロス」では、詭弁論部の学生は友情を証するために、何としても約束を破ろうと躍起になる。「桜の森の満開の下」では、ある女に出会って、男は腐れ学生から成功した作家になり、「百物語」では、百物語の會の周辺に佇む学生の姿が描かれる。

それぞれの物語は、時に登場人物を同じくし、その間には緩やかな繋がりがあるようである。

元ネタとしては、芥川龍之介の「藪の中」、森鴎外の「百物語」が未読。せっかくその作品の雰囲気も共に【新釈】したというこの作品、「百物語」はともかく、「藪の中」は読んでおきたかったなぁ。

しかし、ここにも出てきますよ、「パンツ番長」。もしかして、森見さんのお気に入りネタ?笑 パンツ繋がりではありませぬが、「走れメロス」では、附属図書館の図書を借り出したまま返却しない連中に、制裁を加えて図書を回収すべく設置された学生組織、「図書館警察」なる摩訶不思議組織が出てきます。この図書館警察長官との仁義なき戦いも面白い。さて、「図書館警察」と言えば、スティーブン・キングのその名もずばり、「図書館警察 」があるのだけれど、「【新釈】~」に出てくる「図書館警察」の方が、言葉のイメージに近いです。図書館をよく利用する人間には、たとえ延滞してなくても、この言葉の響き、ちょっと怖~くないですか?

坂口安吾の「桜の森の満開の下(これは、タイトルが滅茶苦茶いいよねえ)は、随分前に読んだっきりだけれど、これもまた雰囲気が出ていたように思います。

「夜は短し歩けよ乙女」/歩けよ、乙女。京の春夏秋冬を!

 2007-06-24-19:37
森見 登美彦
夜は短し歩けよ乙女

図書館での長きにわたる予約待ちの後、ようやく私の手の元に乙女がやって参りましたよ! やっと出会えた乙女の可憐なことといったら、まさにこの表紙絵のよう。その他にも、この表紙絵には読んだ後にもう一度眺めると、色々と楽しい仕掛けが施されております。今ひとたび、ごろうじあれ。

男汁溢れる「
太陽の塔 」も良かったのですが、同じようにストーカー癖に陥る先輩が居てすらも、こちらの可憐な乙女はあくまでキラキラとその可愛さを周囲に撒き散らす。いやまったく、可愛い女の子は世の財産です。

はからずもその場の主役へと躍り出て、可憐に活躍を果たす彼女、黒髪の乙女とは裏腹に、彼女に惚れ、迂遠な外堀埋めへと、その青春の殆どの労力をつぎ込む、彼女のサークルの先輩は、まるで路傍の石のごとき存在。彼ら二人の命運や如何に??

春。
乙女は満艦飾の夜に、二人の男の借金を賭けて、李白翁と「偽電気ブラン」の呑み比べを行う。この夜はまさにカーニバル・ナイト。木屋町から先斗町へとかけて、乙女、先輩、また夜に出会った胡散臭い人々を引き連れ、夜は過ぎ行く。

夏。
乙女は古本市にて、幼い頃に愛した絵本「ラ・タ・タ・タム」を手に入れる。

秋。
乙女は大きな緋鯉のぬいぐるみを背負い、達磨の首飾りを下げて、心行くまで学園祭を楽しむ。時に、ゲリラ上演される「偏屈王」の主役、プリンセス・ダルマ役をつとめながら。

冬。
乙女は京の町に吹き荒ぶ風邪の旋風を封じ込める。

さて、その間、ストーカーの如く彼女に付き従う「先輩」である「私」が何をやっていたかといえば・・・。春には乙女とはまた別の所で酒宴へと巻き込まれ、夏には乙女の欲する絵本を賭けて灼熱地獄を戦い抜き、秋には乙女を求めて学園祭を彷徨った挙句に、プリンセス・ダルマの相手役である「偏屈王」の座を署・ャ取る。冬には風邪に倒れながらも、妄想と現実をごっちゃにする彼最大の能力を持ってして、乙女の危機を救う。

そこかしこで偶然を装い出会うたびに、「たまたま通りかかったもんだから」という台詞を喉から血が出るほど繰り返し、乙女は天真爛漫な笑みを持って「奇遇ですねえ!」と応えるのであるが・・・。

美しく調和のとれた人生を目指して、もりもりとご飯を食べ、むん、と胸を張って歩き、喜ばしい事があれば、二足歩行ロボットの真似をし、なむなむ!と万能の祈りを唱える、黒髪の乙女。好奇心溢れる彼女の目を通した世界は、楽しく良き人ばかりであり、逆に、万年硬派、永久外堀埋め機関と化した、「先輩」の目を通して見る世界は胡乱。その世界の対比を楽しむも良し、乙女の可憐さを愛でるも良し、先輩の報われない努力に涙するも良し。

確かに、これは楽しい本でした~。登場人物も結構な数に上るのだけれど、彼ら彼女らにはそれぞれ登場する必然があり、その描き分け、肉付けもまた見事。

さて、酒好きとしては、第一章における偽電気ブランの描写にも心惹かれるのでした。乙女いわく、それはこんな飲み物なのだという。

それはただ芳醇な香りをもった無味の飲み物と言うべきものです。本来、味と香りは根を同じくするものかと思っておりましたが、このお酒に限ってはそうではないのです。口に含むたびに花が咲き、それは何ら余計な味を残さずにお腹の中へ滑ってゆき、小さな温かみに変わります。それがじつに可愛らしく、まるでお腹の中が花畑になっていくようなのです。飲んでいるうちにお腹の底から幸せになってくるのです。

お腹の中に花畑、咲かせてみたい! 飲み比べ、李白、などというキーワードから、同じくこちらも楽しい酒を描いた、南條竹則氏による「
酒仙 」を思い出してしまいました。

また、本好きとしては、第二章の「下鴨納涼古本まつり」における、俺様な美少年でもある古本市の神にも出会ってみたいところ。

ただの変人なのか、それとも人間の枠すら越えて、既に妖怪なのか、判然としない人々が出てくるのもまた楽しいところでした。というか、あの人たち、ほんとに人間??

目次
第一章 夜は短し歩けよ乙女
第二章 深海魚たち
第三章 御都合主義者かく語りき
第四章 魔風邪恋風邪


「虫とけものと家族たち」、「鳥とけものと親類たち」、「ラ・タ・タ・タム」 はamzonを見たところ、実在の本だったのですね。知らなかった~。

 ←森見氏、幼少期の思い出の絵本だったりするのかしらん?


*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「太陽の塔」/青春とはイコール妄想?

 2007-05-02-22:15

森見 登美彦
太陽の塔

乙女その一、「
千の天使がバスケットボールする 」の樹衣子さんが、『夜は短し歩けよ乙女 』を片手に微笑んでおられるのですが、そちらはまだ借りられないので、乙女二号の私は、日本ファンタジーノベル大賞の受賞作でもあるこちらの本を。

 
何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
 なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。

展開されるのは、もてない冴えない男子大学生たちの話。主人公は休学中の五回生と、「大学生の中でもかなりタチの悪い部類に属」す。強がりと言われようと、その行動を謗られようとも、彼らの世界は彼らの中(だけ)でそれなりに完結していたのだが・・・。

主人公である「私」は、三回生の時に水尾さんという恋人を作り、その男だけの妄想と思索の世界を裏切った。しかしながら、この嬉し恥ずかしの、ジョニー(詳しくは、本書を参照されたい)の暴走を食い止める日々も、長くは続かなかった。水尾さんはあろうことか、この私を袖にしたのだ! 水尾さんが私の元を去っても、私は水尾さん研究(副次的な目標は「彼女はなぜ私のような人間を拒否したのか」という疑問の解明)に余念のない日々を続けるのであるが・・・。

寒々しい独り身を容赦なく襲うクリスマスに吠え、男どもの妄想をぺちゃんこにする「邪眼」を持つ女子の視線に相対し、水尾さんの身辺をうろつく男にストーカー行為を非難され、矢鱈と個性の濃い友人たちと語らう日々。そう、友人の飾磨の言葉を借りれば、「我々の日常の九〇パーセントは、頭の中で起こっている」。これらの日々は、飾磨が企画した、クリスマスイブの四条河原町での「ええじゃないか」決起でクライマックスを迎えるのであるが・・・。

 
何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
 そして、まあ、おそらく私も間違っている。

途中からは微妙に現実からずれてくる気もするし、それまで語られてきた記憶の中の恐ろしい先輩と、現実の先輩の姿との乖離などを考えると(ま、先輩は彼らを置いて、さっさと大人になったのかもしれないけど)、ここで語られる全てが妄想である可能性も捨てきれず・・・。可愛らしく、猫のように良く眠るという水尾さんも、ほんとに存在するのかしらん。

さて、読み終わって、文中で注意されていたように、「体臭が人一倍濃く」なったかどうかは謎ですが、この妄想は確実に尾を引く。ゴキブリキューブとか、ちょっと夢に出てきそうで怖いです。てか、ゴキブリってほんとにキューブになるの? これは妄想ではなく、現実なんだよねえ? 集合体はボーグ(@スタートレック)で十分です・・・。

私は綺麗に整えられた感のある『
きつねのはなし 』よりも、妄想が爆発してるこちらの方が好みみたい。この勢いをかうというか。何じゃこりゃーな物語でもあるのだけれど、好きな人は好きなお話だと思います。逆もまた真で、受け付けない人は受け付けないかもしれませぬが・・・。

←文庫も

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡下さい。

「みすじゃん。」のおんもらきさんの記事にリンク
プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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